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第6話

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「クックククク」
「お、おい⁉︎ な、何するつもりだ⁉︎ 俺達に手を出したらタダじゃおかねえぞ‼︎」

 鞘から日本刀を抜くと、鞘を地面に投げ捨て、笑顔でチンピラ達に近づいていく。
 明らかにチンピラ達はビビっている。斬ったり刺したりされると思っているのだろう。
 もちろん、大正解です!

「さあ、ご覧ください。この剣は東方にある国の隠れ里で作られた呪われた剣です。何とこの剣……絶対に人を殺せない呪いがかけられております。嘘だと思ったら、さあ、ご覧ください!」

 ☆貫通マジック発動☆

「えいやぁ!」
「ぎゃああああ‼︎」
「「「きゃああああ‼︎」」」
「エ……エイパムぅうううう‼︎」

 一思いにチンピラの腹に日本刀を突き刺した。
 見事に背中から刃が突き出ている。どこからどう見ても完璧に貫通している。
 刺されたチンピラは当然大絶叫。観客も大絶叫。仲間のチンピラも大絶叫だ。
 皆さんとっても良い反応なので、さらに追加で突き刺しまくってみた。

「えいやぁ! えいやぁ! えいやぁ!」
「「「きゃああああ‼︎」」」
「ぶぐぅ、いやぁ、や、やめんディ~‼︎」
「やめてくれ‼︎ これ以上、刺されたらエイパムが死んじまう‼︎」

 ハァハァ、これは癖になりそうだ。悪い意味で……。
 チンピラと観客の反応が凄く良い。仲間チンピラなんかは涙と鼻水を滝のように流してお願いする始末だ。

「ママぁ、何も見えないよぉー?」
「子供は見ちゃいけません!」

 親子連れのお母さんが子供の両目を必死に両手で目隠ししている。安心してください。
 ルーイン小早川じゃないから、誰も死なない安全なマジックです。
 それにまだまだこんなもんじゃない。

 ☆切断マジック発動☆

「てえぃ!」
「「「きゃああああ!」」」

 貫通だけだと飽きられる。名前を覚えてしまったチンピラ・エイパムの左足の膝から下を切り落とした。
 石畳の地面に足が転がり、女性観客から悲鳴が上がった。
 よく見てください。切断面は綺麗だし、血も出ていませんよ。

「俺の……俺の……俺の足がぁああああ‼︎」
「この人でなしがぁああああ‼︎ 切るなら俺を切れ‼︎ 俺を切れぇええええ‼︎」

 もちろん、嫌です。自分が代わりになるとチンピラその2が立候補しているけど、まだまだクライマックスはこれからだ。この先が最大の見せ場になる。
 今度は右足半分を切り落とした。

「うぎゃああああ‼︎」
「もうやめてくれ‼︎ 俺達が悪かった‼︎ 頼むからやめてくれ‼︎ お願いだからやめてください‼︎」

 その2の必死のお願いを無視して、右足に続いて、さらに肘の少し先から左腕半分、右腕半分と切り落としていく。
 四肢を切断されたエイパムが、あしたのジョーみたいに灰色に燃え尽きている。
 だったら望み通りに死なせてあげよう。最後に切るならもちろんここしかない。

「さあ、皆さんご覧ください! ここを切られて生きていられる人間はいるでしょうか? 呪われた剣の力をとくとご覧ください!」

 観客に自信満々にそう言うと、エイパムの首を狙って日本刀を横に振り抜いた。

「うりゃー!」
「「「きゃああああ‼︎」」」

 スパァンと綺麗に切られた首から上が落ちてきた。
 エイパムの頭が地面に落ちるとその2を見て言った。

「……ボ、ボンジョビ?」
「エイパムぅう~~~~‼︎」
「「「オエエエエエッッ‼︎」」」

 ヤバイ。ちょっとグロ過ぎた。
 チンピラその2・ボンジョビの涙が血涙に変わってしまった。観客達もハンバーガー吐いている。
 楽しいマジックショーのつもりが、ただの活きのいい築地チンピラの解体ショーになってしまった。
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