【R18】月読神社の賽銭箱に選ばれた色欲高校生〜たった五円で願いを叶えられる賽銭箱〜

もう書かないって言ったよね?

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第九章 神の名を持つ男vs神域の支配者

第106話 トンネルの中の町

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 ゴーストと火の玉を倒すのを諦めて、トンネルの奥を目指した。
 次に遭遇したのは、茶色い毛むくじゃらのパグの顔に似た犬獣人だった。
 住民かと思ったけど、持っていたこん棒で攻撃してきたから怪物だ。

「ガァフ!」
「フゥッ!」

 こん棒と剣を打つけ合って、互いの武器を弾き合った。力は僅かに俺が上らしい。
 続いて回転斬りで素早く懐に潜り込むと、左脇を剣で真横に斬り裂いた。

「シャッ!」
「クゥゥン……!」

 手応えありだ。肉を斬り裂き、犬獣人が苦痛の声を上げた。
 斬れない幽霊なんてどうでもいい。これが俺本来の実力だ。

「ダァッ!」
「フンガァ……!」

 振り返った犬獣人がこん棒を振り上げていたけど、さらに素早い動きで剣を顎下に振り上げた。
 剣が顎下から鼻先まで斬り裂き、犬獣人の身体を後方に吹き飛ばした。
 掃除道具の箒でも、達人の俺が使えば名剣に早変わりだ。

「フン。口程にもなかったな」

 やはり教える先生が悪かった。幽霊なんて無視して、先に進めば良かった。
 俺を無駄に怖がらせて、無駄な修業に時間を使わされた。

「フッ。今度はトカゲか」

 犬獣人に混ざって、剣と盾、胸鎧を装備した緑色のリザードマンが現れた。
 二メートルのデカゴブリンの強化版か知らないけど、俺の前に現れた事を後悔させてやる。
 右手に細い鉄剣、左手に太い鉄剣を持って、トカゲ剣士に突撃した。

「ハァッッー!」
「リィガァァー!」

 双剣と剣と盾を激しく打つけ合い、お互いが相手の攻撃速度を上回ろうとする。
 愚かにもトカゲ剣士が尻尾を振り回してきたが、俺の反応速度を舐めている。
 右手の剣を振り上げて、尻尾を半分の長さに切断してやった。
 
「グルッ、ガァ……!」

 ……終わりだ!
 怯んだトカゲ剣士の顔面に向かって、二本の鉄剣の高速連続突きを発動した。

「ララララーッッ!」
「ッ……!」

 鋭い切っ先の突っ張りに突き刺されて、トカゲの意識は瞬時に吹き飛んだ。
 もう死んでいるから必要ないけど、気分で左右同時の振り払いで首ギロチンしてやった。
 これが俺の真の実力だ。全員殺してやるから掛かって来い。

「はぁ、はぁ……やれば出来るな」

 余計な動きでかなり疲れたけど、まだまだ先に進めそうだ。

「ふぅー、ここの住民は怪物を倒しているのか?」

 流石に怪物の数が多すぎる。住民が頻繁に通るなら、もっと数は少ないはずだ。
 弱い雑魚しか出現しないから、誰も掃除に来ないのかもしれない。
 緑鬼も中級っぽいから、この辺は下っ端の担当区域なんだろう。
 
「ククッ。今度は少しは強そうだな」

 恐ろしい形相の悪魔が現れた。
 大きな牛角に赤色の筋肉質な身体、背中にはコウモリの翼を生やして、手には三叉の槍を持っている。
 日本の神様なんだから、雪女とか猫娘とか濡れ女を出した方がいい。
 俺の神気を覚醒させたいなら、怪物の方も協力的じゃないと駄目でしょ。

 ♢

(町なんじゃね?)

 赤色デーモン、超マッスル熊を倒してトンネルを進むと、町みたいな場所に着いてしまった。
 骨と革で作られたテントの家が五十ぐらいはある。
 トンネル通路の真ん中に作られているから、休憩所の可能性もありそうだ。

「ジャンボ」
「あんっ?」

 遊牧民のような服装をしたスケルトンに話しかけた。
 頭を隠すように黒いタオルを巻いて、赤い服を着て、長い杖を持っている。

「ジャンボ? 何だ、それは?」
「何も分からないんです。いきなり女性に放り出されてしまったんです」

 渋い男の声で遊牧骨が聞いてきたけど、それはもういい。
 困り顔で話して、こっちが知りたい事だけを教えてもらう。

「放り出された……ああ、イザナミ様か。イザナミ様の所は上級神しか入れない。中級神はここから先には進めないんだ」

 遊牧骨がトンネルの先を指差して教えてくれた。
 つまりあっち側は立ち入り禁止エリアだ。

「そうなんですね。どうやったら上級神になれるんですか?」
「カッカカ! そんな方法があるなら、俺が知りてぇよ」

 遊牧骨が軽く笑って答えた。上級神になるのは相当に難しいようだ。
 緑鬼も頑張れば中級神になれると言っていた。逆に頑張らなければ下級神のままのようだ。

「じゃあ、中級神になる方法を教えてくれませんか? 神気を習得できれば、なれると聞いたんですけど」
「ああ、その通りだが、神気は他人に教えられるものじゃない。自分でコツを掴むしかないな」
「そうですか……」

 緑鬼と同じで説明が下手だ。これ以上聞いても時間の無駄になりそうだ。
 倒した怪物の使い道と俺に才能があるのか聞いて、他の頭の良さそうな住民に聞いてみるか。

「才能なんて分からねぇよ。死体は神気を使えば物に変えられる。怪物でも特定の武器とか作れるんだから、お前にも出来るんじゃないのか?」
「マジですか!」
「ああ、マジだ。生の死体を食ったら、イザナミ様の呪いが移って死ぬから気を付けろよ」

 才能は分からないみたいだけど、重要な情報を手に入れた。
 あのクソ緑は俺には出来ないと思ったのか、教えなかったようだ。
 舐めやがって、俺の真の実力を見せてやる。

「ぐぅぬぬぬぬ!」

 やり方を教えてもらうと宝箱に向かって、全力の気を送り込んだ。
 手の平大のパンでもいいから、普通の食べ物が食べたい。
 もう苔と水だけの食事は嫌だ。

「ああ、やめておけ。一滴も神気が流れていない。お前には才能がない」
「ですよねぇー。餡パンと牛乳をお願いします」

 ちょっとやってみただけだ。結果は分かっていた。
 遊牧骨に宝箱を渡して、欲しい食べ物を作ってもらった。

「お前、神気をイザナミ様に封印されているんじゃないのか? 流石に一滴も流れないのは才能が無さすぎる」
「もぐもぐ、封印……?」

 餡パン食べていると遊牧骨が原因があると言ってきた。イザナミ様には左手を斬り落とされただけだ。
 封印された心当たりはないけど、別の封印がある事を思い出した。チンチンが封印されている。

(もぐもぐ、あの忌々しい女め!)

 シスターが俺を大人中級神にさせるのを妨害していたみたいだ。
 自分がエッチしないからって、俺まで巻き込まないでもらいたい。

「上級神が三人いれば封印が解けると聞いたんですけど、ここに何人ぐらい居ますか?」

 コップの牛乳を一気に飲み干すと聞いた。もうこうなったら自力で治すしかない。
 上級神に土下座しまくって、ラスママには内緒で治してもらう。

「正確には知らないが、四人ぐらいはいるじゃないのか?」
「分かりました。ちょっと頼んでみます!」

 四人もいれば十分だ。危険エリアに侵入して、イザナミ様に捨てられた直後の憐れな神になろう。
 服をビリビリに破いて、ちょっと生傷を作れば、同情して内緒で治してくれる。

「待て待て。それは無理だ」
「えっ? 四人いれば大丈夫ですよ」

 立ち入り禁止区域に行こうとしたら、遊牧骨に止められてしまった。
 走り出した情熱はそう簡単には止まらない。

「本当に何も知らないんだな。封印を解くのに必要なのは数じゃない。神気には属性と効果がある。厄祓いの効果を持っていないと封印は解けない」
「じゃあ、厄祓いを使える神が居ればいいんですね。ありがとうございます」

 呼び止めた理由を遊牧骨が教えてくれた。
 確かに厄祓いが得意な神に協力してもらった方が良さそうだ。

「だから、無理だって言ってるだろ。ここには厄祓いが出来る神がいないんだ。イザナミ様が呪われてんだぞ。居たら自分の呪いを解いている。お前のは封印じゃなくて、呪いを移されたんだよ。気の毒だが諦めるんだな」
「なっ⁉︎」

 ……だったら鉄格子の前で待っているだけで良かった!
 中級神になるのも、封印も解くのも無理なら、今すぐに食糧を大量に作ってもらう。
 あとは鉄格子の前でテント生活をするだけだ。
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