【R18】月読神社の賽銭箱に選ばれた色欲高校生〜たった五円で願いを叶えられる賽銭箱〜

もう書かないって言ったよね?

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第九章 神の名を持つ男vs神域の支配者

第103話 岩山のダンジョン探索

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 黄泉の国に戻ると、別の岩山の鉄格子の前までやって来た。

「ここの封印が一番弱いから開けられるんだよ。エィッ!」
「おお!」

 ラス様が鉄格子の鉄棒を両手で掴むと、真横に引っ張った。
 すると、鉄棒が横に曲がって隙間が広がった。
 反対側の鉄棒も同じように引っ張ると、人が通れるぐらいの隙間になった。

「この中に入って、何をするんですか?」

 ママの脱獄を手伝う可能性が高そうだけど、もしかすると違うかもしれない。
 念の為にラス様に聞いてみた。

「怪物退治よ。この中は怪物が閉じ込められたダンジョンになっているの。簡単に言うと、ママの身体から落ちた老廃物から生まれた怪物が住んでいるの。ダンジョンは中で全部繋がっているから、ママの所には入らないように気を付ければ大丈夫よ」

 脱獄はしなくていいみたいだけど、危険なダンジョンで怪物倒して、レベルアップみたいだ。
 ラスボスはママみたいだけど、倒したらアウトだから、押し倒すだけで我慢だ。
 どうせ押し倒した先は今は出来ない。

「じゃあ、簡単に手順を説明するから忘れないでね。今は肉体の方が魂よりも強いから、その猫耳の姿なの。まずは怪物を倒しまくって、元の姿に戻ってみて。それで下級神ぐらいの力になれるから」
「分かりました。怪物はどうやって倒すんですか? ラス様も付いて来るんですよね?」

 白猫イケメンから神村に戻るのは我慢する。
 あとは武器と仲間を用意してもらいたい。今の俺は荷物持ちぐらいしか出来ない。
 剣を持てば戦士になれるから、回復術が使えるラス様に援護してもらいたい。

「私は入れないから駄目だよぉー。それに一人で倒さないと意味ないよ。ここの時間は止まっているようなものだから、外の時間とか気にせずに頑張ってみようぉー!」

 ラス様が元気に左拳を上げている。武器なし、仲間なしでテンションは上がらない。

「あの、武器だけでいいから、何か貰えませんか?」
「武器なら宝箱が落ちているよ。まずは下級神になるまで、その辺で頑張って」
「じゃあ、食糧だけでも……」
「大丈夫、大丈夫。草とか生えているらしいよ」

 何が大丈夫なのか一つも分からない。鉄格子の中に無理矢理に押し込まれた。
 これ以上は話すだけ時間の無駄らしい。ラス様が鉄格子を曲げて隙間を閉じた。

「ちょっと! これだと出られないじゃないですか⁉︎ 開けてくださいよ!」

 鉄格子を自分で引っ張ってみたけど、ビクともしない。
 ラス様に必死にお願いした。逃げ道ぐらいは用意してほしい。

「いやぁー、パパに雰囲気が似ているから放っとけないんだよねぇー。駄目な子供ほど可愛いのは本当だね。下級になったら迎えに来るから、ここで待っていて。死んだら駄目だよぉー」
「嫌ぁー! 置いてかないでぇー!」

 手を振って離れていくラス様に、鉄格子から両手を出して、大声で助けを求めた。
 獅子は我が子は千尋の谷に落とすそうだけど、俺はどう見ても子猫ちゃんだ。
 一緒に落とされた獅子の子供の餌にしかならない。

 ♢

「くっ、駄目か」

 ラス様の姿が完全に見えなくなった。自力で脱獄するのは無理なのは分かっている。
 だったら、やる事は一つしかない。まずはどんな怪物がいるのか調べるしかない。

「最悪だ。人間のやる事じゃない」

 神に文句を言っても何も変わらない。
 二車線ぐらいの広さになった岩山トンネルを進んでいく。
 トンネルは明るく、湧き水が所々にある。
 シャボン玉のような水の色だけど、飲めない不味さではなかった。
 壁には緑色の苔があるから、海藻だと思って我慢すれば食べられる。

「まずは武器を手に入れないと死ぬな」

 トンネルに複数ある通路を一つずつ調べていく。
 怪物はもう見つけている。青く透明なスライムと薄緑色の巨大ナメクジだ。
 こんな雑魚を怖がっていたなんて恥ずかしい。見つけたら踏み潰してやった。

「ベッドがある……」

 通路の行き止まりに扉を見つけた。
 恐る恐る開けてみると、狭い部屋には誰もいなかった。ベッドと茶色い宝箱があるだけだ。
 生活感はないから、休憩室みたいな場所かもしれない。長居しない方が良さそうだ。

「よし、剣だ! んっ? 小さくなった⁉︎」

 横長の宝箱の蓋を開けると、中に古代人が使うような幅広いの鉄剣が入っていた。
 無いよりはマシだと思って手に取ると、宝箱が手の平サイズに小さくなった。
 もしかしたらと思って、宝箱に鉄剣を入れてみると予想通りに吸い込まれた。
 これなら持ち運びが楽で助かる。

「時間が分からないのはキツイな」

 ポケットにスマホが入っていたけど、壊れているのか動かない。
 空腹や疲れや眠気を感じるから、身体の時間は流れているみたいだ。
 とりあえず安全な場所を見つけるまでは、休むのは我慢しよう。

「へぇー、これは吸い込めるんだ」

 両刃の鉄剣で倒した大ナメクジが宝箱に吸い込まれた。水と苔は吸い込めなかった。
 通路の死体を片付けるには、ちょうどいいゴミ箱だ。

「エィッ! ヤァッ!」

 スライムと大ナメクジを鉄剣で倒しまくって、死体を宝箱に放り込んでいく。
 トンネルの中がすっかり綺麗になってしまった。
 時間経過で新しい怪物は生まれないみたいだ。

「髪がちょっと黒くなっている。雑魚を倒しても効果は薄そうだ」

 スマホの画面を鏡代わりに見ると、髪の一部が黒くなっていた。
 雑魚を合わせて七十匹以上も倒したのに、あまり元に戻っていない。
 もっと強い怪物を倒した方が効果があるのかもしれない。

「まずは弱そうな方を倒してみるか」

 トンネル探索で別の怪物が出現した通路が二ヶ所あった。大コウモリと大ガエル、狼と大鷲だ。
 飛び跳ねるだけの大ガエルを斬り倒して、飛んでくるだけの大コウモリも斬り倒した。
 老師との三年間の修業で鍛えた、剣術や体術は身体が覚えている。

「うん、やっぱり少しずつ強くなっている」

 楽に大ガエルと大コウモリを倒せるようになってきた。
 力だけでなく、素早さや跳べる高さも上がっている。
 スマホで確認すると、髪の黒い部分が広がっていた。

「グゥゥゥ……」
「あぁー、あれはまだいいかな」

 通路を進んでいくと、また別の怪物が現れた。
 ドロドロに溶けた身体のゾンビが、唸り声を上げて動き回っている。
 仕方ないから通路を引き返した。狼と大鷲を倒してレベルアップだ。
 ゾンビに噛まれたら一発で終わりだ。

「回復薬とか、万能薬とかないのかな?」

 二個目の宝箱には籠手、胸当て、脛当ての革鎧セットが入っていた。
 出来れば回復薬や強力な武器が欲しい。

 折れた鉄剣を宝箱に入れると、修理されて戻ってくる。
 便利だけど、斬れ味は低いままだ。

(死体をお供え物だと考えると、願いを言えば叶うんじゃないのか?)

 試しに回復薬が欲しいとお願いしてみた。何も反応がなかった。
 やっぱり収納箱の代わりにしかならないみたいだ。
 ラス様の説明が足りないから仕方ない。
 
「はぁー、頑張って下級神を目指すしかないか」

 一人で寂しいけど、下級神になるまでの我慢だ。きっと神様になれば、色々と出来る事が増えると思う。
 宝箱の真の力も発揮できるはずだ。あるのか分からないけど、そう信じるしかない。
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