【R18】月読神社の賽銭箱に選ばれた色欲高校生〜たった五円で願いを叶えられる賽銭箱〜

もう書かないって言ったよね?

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第八章 小島の王vs偉大なる大国の聖女

第95話 レストランの傭兵交渉

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「強制移住させた方が早そうだ」

 六人乗りのヘリコプターを操縦して、上空からスサノオの気配を探していく。
 小さな村や町があるから、住民全員を瞬間移動で、ヘイゼル市に連れて行きたい。
 町は無事に人口三万人を突破して、市にレベルアップした。

『また幽霊村が出来るだけだ。新聞で騒がれるぞ』

 宙に浮いた賽銭箱が窓から地上を眺めて、やり過ぎるなと注意してきた。
 町の住民達に頼んで、親戚をトラックの荷台に詰め込んで連れて来てもらった。
 一人連れて来ると報酬に千ギル支払った。ギルはヘイゼルだけで使える独自通貨だ。
 三十ギルでフランスパンが一本丸々買える。

「虐殺も誘拐もしてないから大丈夫だ。皆んな快適な監禁生活を楽しんでいる」
『目新しい幸福は長続きしない。人間とは環境に慣れ、飽きて退屈するものだ』
「確かに美味しい料理も食べ飽きると、他の料理が食べたくなるか」

 市民の幸福度は高い。だけど、内閣の支持率と同じかもしれない。
 賽銭箱の言う通り、下がらない工夫が必要だ。
 新作料理を市長自ら腕を振るって、市民達に提供するしかない。

『左から気配がする。行ってくれ』
「了解。次は当ててくれよ」

 賽銭箱が神の気配を察知したようだ。ヘリコプターの進行方向を変えた。
 でも、誰の気配なのか分からない。弟に最後に会ったのは何千年も前だ。
 さっきは凶悪な土地神をミサイルで爆撃して封印した。

『この町で間違いない』
「よし、着陸するか」

 人口四千人程の町の上空にやって来た。この町から気配を感じるらしい。
 上空でヘリコプターを消して、着陸ではなく、俺が見事に着地した。
 村では人気の一発芸だ。

「我は神の……」
「ママぁー! 人が空から落ちてきたぁー!」
「逃げろぉー! アメリカの戦闘兵器だ! 皆殺しにされるぞ!」
「……」

 神の使いだと名乗る前に住民達が逃げ出した。
 愚かにも選ばれし国の選ばれし国民になれる権利を放棄している。
 人の話は最後まで聞くように教えられてないようだ。

「俺はアイ○ンマンじゃないぞ」

 文句を言っても第一印象は最悪みたいだ。
 むしろ、アイ○ンマンなら喜んで近寄ってきたかもしれない。
 素顔の神村マンは黒人の皆さんには人気がないようだ。

『目的を忘れるな。そのまま前に進め』
「そうだな。今日は拉致が目的じゃない」

 賽銭箱に言われて目的を思い出した。住民に嫌われようと関係ない。
 スサノオと契約できれば、住民を集める必要がないかもしれない。
 アンアンマンとして復活できる。

 灰色と白色の二階~四階建ての小さなビルが並んだ狭い道を進んでいく。
 相手は凄腕のスナイパーだ。もう狙われている可能性もある。
 両手に瞬間移動を持って、周囲を警戒して進んでいく。

「いらっしゃい、いらっしゃい! そこのお兄さん、何か買っていってよ」
「コ○コーラあるよ。コ○コーラあるよ」
「駄目だよぉー。カゴ持ってないと買い物できないよぉー。カゴ買ってよぉー」

 建物の一階は商店になっていて、日本の商店街のように品物が多数売られている。
 神村マンを金持ちの観光客だと思っているのか、地面に座ったまま熱心に商売してくる。
 美味しいコーラなら、ヘイゼル市で小豆抹茶コーラが売られている。
 車で五日の距離にあるから飲みに来なさい。

『この建物の中にいる。好戦的な弟だ、気を付けろ』
「大丈夫だ。上級の神なら、俺は瞬殺されるから何も感じない」

 二階建ての小さなレストランに到着した。食事中ならば好都合だ。
 美味しい料理を食べながら、思い出話をすれば、時間という溝は簡単に埋められる。

『おおーい、兄貴! こっちだ、こっちだ!』

 四角いテーブルが所々に置かれた店内に入ると、テーブルに座る男の方から声が聞こえた。
 着古した白い長袖長ズボンを着た現地民かと思ったけど、浅黒い顔は日本人に近い気がする。

『間違いない。弟だ』
「大丈夫みたいだな」

 仲は悪くないようだ。安心してテーブルに向かった。
 短く整えられた黒髪と口髭、顎髭を生やした三十代程の男が座っている。
 肌の色は薄い黒色だけど、顔の印象は西洋系にも東洋系にも見える。
 この男がスサノオの使徒みたいだ。

「立っていないで、座ったらどうだ?」
「すみません、失礼します」

 無関心な声の男に言われて、椅子に静かに座った。テーブルの上にはパンと豆のスープしかない。
 あまり食べ物には興味がないみたいだ。料理の腕を厨房を借りて披露できそうにない。

『久し振りだな、兄貴。兄貴の気配を感じて驚いたぜ。親父かお袋、姉貴でも死んだのか?』
『全員生きているはずだ。お前に協力して欲しい事があるから探していた』
『へぇー、兄貴が俺に頼み事とは珍しいな。どんな事なんだ?』

 テーブルの上に黒色と青色の渦巻きが、混ざり合ったような賽銭箱が現れた。
 ボロ賽銭箱をテーブルに置くと、勝手に兄弟で話を始めている。
 
「初めまして、神村遥です。賽銭箱の使徒で、この国で小さな街の市長をしています」
「ガルシア・レフト。ただの人殺しの傭兵だ」

 ……うん、人と仲良くするつもりがない人だ。
 賽銭箱と同じように仲良くしようとしたけど、無理そうだ。
 初対面の自己紹介で、人殺しをアピールする人は対人関係に難ありだ。

『いやいやいや、兄貴の頼みでもそれは無理だって。コイツの祖先と二人で日本を飛び出して、二人三脚でやって来たんだ。今更、別の血脈と契約するつもりはないぜ』
『お前の使徒とその家族の面倒は、この男が責任を持ってみる』
『あぁー、分かんねぇかな? 面倒とかそういうじゃないんだよ。変えられない生き様があるんだよ。俺の使徒達は戦争で育ってきたんだ。それを何千年も続けてきたんだ。世界が何回変わっても、胸の真ん中に変わらないものがあるんだよ』
『変わる事を恐れては何も出来ない。広い世界を見て回ったわりに、随分と小さな世界になったものだ。その信念を変えれば、お前の狭くなった世界も大きく変わるはずだ』
 
 交渉は順調には進んでいないようだ。弟が協力するのを断固拒否している。
 俺の事が気に入らないわけじゃないと思うけど、協力してもらわないと困る。

「だったら傭兵として雇われませんか? 土地神を捕まえるのに協力してくれるだけでいいです」

 傭兵ならば金さえ出せば、依頼者の言う通りに働いてくれるはずだ。
 チンチンの治療代だと思えば、三億円ぐらいは余裕で出せる。
 指を三本見せて交渉開始した。

『何だ、仕事の依頼か? それにしても兄貴も物好きだな。このガキからは欲望の臭いしかしない。俺なら別の奴と契約する。こんなの繁栄させても害悪にしかならねぇぜ』
『心配されなくても分かっている。利害の利が上回っている間は力を貸すだけだ』

 どうやら兄弟二人に嫌われているみたいだ。でも、チンチンが治るまでの短い付き合いだ。
 チンチンのように長くなる付き合いにはならない。

『まあ、三億なら報酬は十分だ。兄貴の顔も立ててやらねぇとな』
「助かります! ありがとうございます!」

 椅子から素早く立ち上がって、頭を下げて感謝した。
 三億円は全額前払いで支払った。貯金はまだ千五百億円もある。
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