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第六章 記憶喪失の少年vs中華人民共和国

第72話 組織のトップを決める決闘

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 裸のエミリを町で見つけて、キャンピングカーに連れ帰った。
 母さんの裸だと思えば、身体は反応しないはずなのに普通に反応した。

「何で凛風を殺してないの⁉︎」
『利用価値が出来た。文句でもあるのか?』
「あんっ、な、無いです」

 拘束されてベッドに寝ている凛風を見て、エミリが予定が違うと驚いた。
 でも、賽銭箱に発作を起こされて、すぐに同意した。

(俺も出来るのか?)

 多分、賽銭箱がエッチな発作を起こしているのは分かる。
 あとでやり方を教えてもらおうかと思ったけど、必要なかった。
 エミリの股間を意識して悶えろと念じたら、エミリが床に倒れた。

「ううんっ、やぁん、あああぁ、んんんっ! 分かったって、もうやめてぇ、死んじゃうぅぅ!」

 股間を両手で押さえて悶え苦しんで、お漏らしまでしている。
 いい気味だ。このまま失神するまでイカせてやる。

「んあああああぁっ!」

 一分も経たずにエミリが床をのたうち回って失神した。
 自分で出した汚いものを、汚い身体を痙攣させて拭いている。

「ははっ。ざまぁみろ」
『気は済んだか? やり過ぎると死ぬ。次はこの女を町に連れて行くぞ。連絡させる』
「分かっているよ。すぐに着替える」

 エミリを床に放置して、凛風をさっきまで戦っていた建物に連れていった。
 持ち物には携帯電話はなかったから、水色の賽銭箱の中に連絡手段があるんだろう。
 念の為に悶えろと念じたけど、この女は反応しなかった。

 やっぱり賽銭箱に方法を聞くしかない。性奴隷二号にしてやる。
 悪の女幹部なら、正義の味方に捕まったら、好き放題に凌辱される覚悟はあるだろう。

 ♢

 賽銭箱の予定通りに、決闘が四日後の夜に決まった。
 その間に星白銀の刀を作り、星白銀の繊維で作られた防弾・防刃の服を作った。
 トドメに中国娘百三十一人と異文化交流して、日本人と中国人の男の違いを教えた。

 もちろん異文化交流が最大の目的ではない。
 処女の純潔を集めて、性奴隷薬二号を作って、凛風に投与した。
 お供えする物と、願う人間の想いが強ければ、特殊な物も作れるそうだ。

「観客が多すぎる。全員敵なんじゃないのか?」

 万全の準備を済ませて、決闘の日に指定された場所に向かった。
黄山こうざん』と呼ばれる神聖な山で、世界遺産にも登録されている。

「何だ、あのガキは! 一度も見た事ないぞ!」
「白虎の姉さんか、朱雀の姉さんの男なんじゃないのか! ブチ殺してやりてぇなぁ!」
「邪魔だから、誰か撃ち殺せよ! ライフル持って来た奴いるだろ!」

(俺だけ完全に敵地だな。エミリと凛風の応援旗はあるのに)

 月夜に照らされた荒々しい山の景観に感動する前に、千五百人以上はいる中国マフィアが怖い。
 岩山の壁に囲まれた、平たい灰色の岩舞台にたくさんの人が集まっている。
 岩や木に隠れている奴も探せば、絶対に二千人は超えている。

「うおおおおーッッ! 李伟《リーウェイ》長老と 張敏ヂャンミンの叔父貴が来たぞぉー!」

 舞台に突然現れた二人の男に大歓声が上がった。

「アイツが今の実質的な組織のトップ。老李ラオリーと呼ばれていて、元白虎で今は青龍よ」

 長い白髪と顎髭の八十歳ぐらいの老人を指差して、エミリが教えてきた。
 仙人のような白い服を着ていて、右手に白鞘の細い両刃剣を持っている。
 身長百八十センチ以上あり、逞しい筋肉質の身体は二十代にも見える。

 もう一人が前に命を狙った張敏の叔父貴だ。四十代後半、短い青髪で顔は傷だらけだ。
 身長百九十センチ、盛り上がった筋肉の印象は青鬼だ。
 仙人と青鬼なら、死にかけの仙人と戦いたい。

「困ったものだ。最近の女は野心家が多い。それにそれを是とする愚かな男もだ」
「愚痴なら私ではなく、愛人の女にしたらどうですか? 男が優秀ならば、女を非とする男が多いはずですよ」

 好々爺を思わせる優しい口調なのに、言ってる内容が男女差別だ。
 それに対して、女が居なければ何も出来ないくせに、偉そうに言ってんじゃないクソ爺だ。
 早くも老李と凛風の口喧嘩が始まった。

「口がよく回る。男に取り入って、今の地位を手に入れた雌鶏が。男の好む言葉を喋るオウムでいればいいものを、何故、馬鹿げた事を考えた?」
「チャンスが目の前を通り過ぎれば、女も掴みたくなるものですよ。さあ、どのように戦うか決めましょうか」
「待て。その前に殺したい奴がいる。そこのお前、俺の部下を殺したな?」

 二人の口喧嘩を聞いていると、いきなり青鬼が話しかけてきた。
 経験から知っている。こういう相手にはビビったら負けだ。

「はぁ? いちいち覚えてねぇよ。思い出してやるから首でも持って来い」
「その腰の剣が証拠だろうが!」

 そうです、俺が殺しました。
 ブチ切れた青鬼がいきなり殴りかかってきた。
 左腰の青龍刀のボタンを押して緊急回避した。

「チッ。危ねぇな、戦いはまだ始まってないぞ」
「李、五分で終わらせる。準備運動にコイツの首を引き千切ってやる」

 青鬼がそう言って黒スーツを脱ぐと、紫色のビジネスシャツを腕捲りした。
 両腕に切り傷や火傷、撃たれた跡が見える。よく怪我するドジっ子みたいだ。

「その必要はない。女二人は儂が一人で相手する。それで十分だ」
「ちょっと待て。蒼桜の代わりに戦うのは俺だ。勝手に決めるな」

 漢気を見せたいんだろうけど、エミリに死なれたら、家族を助けられなくなる。
 エミリは見学で、代わりに俺が戦うと老人に言った。

「喧嘩を売ってきたのは、そちらの方だ。我が猟犬達よ、こちらに来い」

 老李の呼び掛けに応えて、四人の男達が観客の中から飛び出した。
 いきなり六対三で戦うなんて、漢気の欠片もない。

「これはどういう事? 決闘の掟を破るつもりなら、誰もあなたを認めないわよ」
「破る? 何の事だ。猟犬達よ、お前達の命を忠誠の証として渡せ」
「はっ。喜んで」

 凛風が聞くと、悪びれもなく老李が言った。
 鞘から剣を抜いて、男達に命じると、男達が服から賽銭箱を取り出した。
 そして、男達の首を老李が剣を振り払って斬り落とした。

「李、何のつもりだ? お前まで気が狂ったのか?」

 青鬼にとっても予想外の行動みたいだ。俺から目を離して、老李に聞いている。

「この戦いは絶対に負けられない。猟犬の替えは終わった後に用意すればいい。勝ちたければ、お前も猟犬の賽銭箱を使え」

 老李が答えながら、四つの賽銭箱にお金を入れ始めた。
 前にボロ賽銭箱に言われてやった、賽銭箱の吸収をするつもりだ。

「フン。そこまでする相手には見えないが……おい、二人来い!」

(やらせねぇよ!)

 青鬼が真似して呼んでいるけど、その前に殺す。青龍刀を腰から抜いて、ボタンを押した。
 狙うのは観客から飛び出した二人だ。

「セリァッ!」
「ぐぎゃああ……!」

 片方の前に現れて、刀を振り下ろして胸を両断した。
 もう一人が素早く銃を出して、俺に向けてきた。

「貴様、邪魔するつもりか!」
「それいいの? 俺に攻撃したら決闘の掟を破るんじゃないの?」
「くっ、ぐがぁ……!」

 俺は質問して攻撃しただけだ。掟の絶対防御を使って、容赦なく二人目も斬殺した。
 パワーアップがしたいなら、漢方薬でも飲んでろ。

「この卑怯者! 恥を知れ!」
「叔父貴! そんな奴、早く殺してください!」

 観客達の罵声が飛んでくるけど、ルール違反をしたのは俺じゃない。
 決闘中に賽銭箱で願いを叶えるのは禁止されている。
 やるなら俺のように戦闘前に済ませるのが、大人の常識だ。
 あのクソ爺が普通に掟を破っているだけだ。

「もう許さん! また俺の部下を殺したな! 賽銭箱よ、こちらに来い!」

 自分も殺そうとしたのに俺に激怒している。
 理不尽な怒りに文句を言いたいけど、青鬼の前に二つの賽銭箱が現れた。
 パワーアップは阻止できないみたいだ。
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