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第六章 記憶喪失の少年vs中華人民共和国

第64話 気功術キーチクと翻訳機

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「何だ、この顔は? 中の下じゃないか……」

 蒼桜さんの発作がおさまっている間に、シャワーを浴びる事にした。
 シャワー室の鏡を見て驚いた。どこにでもいる平凡な男の顔だ。
 黒髪に十六歳ぐらいの若い顔は日本人だと思う。

 でも、男は顔じゃない。大事なのは心とイチモツの大きさだ。
 顔は老ければ悪くなるけど、イチモツは永遠に悪くならない。
 若い女性にとって、イケメンと同じぐらいに、イチモツが大きい男は貴重な存在だ。

『ちょうど話が済んだところだ。これからお前には翻訳機を手に入れてもらう』
「んんっ、ああっ、はぁ、はぁ……」

 シャワー室から出るとお爺さんというか、ベッドに三個目の賽銭箱が乗っていた。
 蒼桜さんの発作がまた再発したのか、上と下の口に指を入れて悶えている。
 これで残り一個になったけど、こんなに簡単で良いのだろうか?

「あなたが俺を助けてくれたんですよね? ありがとうございます」
『私は鎖を外す力を少し貸しただけだ。お前の中には【キーチク】と呼ばれる特別な力が眠っている』
「キーチク? 俺の中にそんな力が眠っているんですね」

 お爺さん賽銭箱さんにお礼を言うと、俺が特別な力を持っていると教えてくれた。
 その特別な力を持っていたから、鎖で拘束されていたのかもしれない。
 まさか自分が選ばれた存在だとは思わなかった。

『そうだ。キーチクは身体の中に生命エネルギーである気を溜めて、相手の体内に放出する技だ』
「気を溜めて、相手を内部から破壊する技……」

 かめ○め波というよりも、波○拳に近い技だと思う。何だか凄そうだ。

『ただし、今のお前では上手く使えない。忘れていい。今は賽銭箱を手に入れる為に翻訳機が必要だ。残り二つの賽銭箱があるのは中国だ。中国語が分かる翻訳機を手に入れてもらう』
「分かりました。お金はどこにありますか?」
 
 ……やっぱり残りは二つだったか。
 キーチクという気功術も気になるけど、蒼桜さんの為にも翻訳機を手に入れよう。
 賽銭箱さんにお金の場所を聞いてみた。
 無人島なら飛行機か船で行き来しているから、そこにあるのかもしれない。

『お金なら引き出しに大量の五円玉がある。それを使えば願いを叶える為の試練を受けられる』
「試練って何ですか?」
『やってみれば分かる。私にお金入れて、中国語が分かる翻訳機が欲しいと言えばいい』
「分かりました。やってみます」

 よく分からないけど、記憶が無いから賽銭箱さんを信じてやるしかない。
 引き出しから一枚五円玉を取ると、賽銭箱に入れて言ってみた。

「中国語が分かる翻訳機が欲しいです」
『その願いを叶える事は出来る。願いを叶えたければ、難しい試練を乗り越えろ』
「えっ、ええっ⁉︎」

 突然の事でビックリした。賽銭箱さんの中に身体が吸い込まれた。
 身体が放り出されたと思ったら、知らない倉庫の中にいた。

「こ、ここは……?」
『ここは工場だ。三時間以内に設計図に書かれている部品を全て集めろ。集められた時に中国語が分かる翻訳機を与えよう。さあ、難しい試練を乗り越えろ』
『ピイイー♬』

 賽銭箱さんが何をすればいいのか教えてくれた。
 笛の音が聞こえると、必要な物が書かれた紙が落ちてきた。

「うわぁー、七十個以上も部品があるよ」

 白い紙には英語と数字が組み合わされた文字が並んでいる。
 試しにレゴブロックのような小さな電子部品を手に取ってみた。
 これにも英語と数字が書かれている。

「なるほど、紙と同じものを集めればいいのか」

 一軒家程の広さの倉庫には、山積みの電子部品の山が四つある。
 ブロックの数は一山千個以上はありそうだ。全部で四千個を超えている。
 普通の方法で探すのは難しい。部品に法則性でもないと無理だ。

 部品の最初の文字はR、B、Y、G、Wの五つだけだ。
 ブロックの色は赤、青、黄、緑、白の五色だから、色を指定していると思う。

 次に最後の文字は全部数字だ。0、3、6、9の四つで、電子部品の山は十字に置かれている。
 こっちは時間だと思う。山の先の壁に壁掛け時計が一つだけ置かれている。
 多分、あの山が0を意味していると思う。

「まずは正解なのか確かめてみないと」

 何もしないと始まらない。予想が正しいのか電子部品を調べる事にした。

 ♢

「感觉很好、感觉很好、感觉来了、感觉来了!」
「はい、分かりました。もっとしますね」

 何度も挑戦して、中国語の翻訳機を手に入れた。蒼桜さんの言っている言葉が分かる。
 予想は当たっていたけど、色がごちゃ混ぜだったから、見落としてしまうと取り返しが付かなかった。
 箱を持っていって、不必要なブロックは次々に箱に放り込んだ。

「あんっ、あんっ、んんっ……!」
『これからの説明をする。そのままやりながら聞くように』
「はい」

 二股の尻尾の先を舐めながら、四つん這いの猫耳蒼桜さんを後ろから突きまくる。
 命の恩人への恩返しは凄く気持ちが良い。エッチしながら賽銭箱さんの話を聞いた。

『これから賽銭箱を持っている組織を襲撃する。居場所は蒼桜が知っているから案内してくれる。お前達二人が協力すれば、倒す事は可能なはずだ』
「僕に出来るんでしょうか? 戦うのは得意じゃないと思うんですけど」

 銃とか普通に持っている人達と戦うなんて怖い。

『大丈夫だ。記憶を失っても身体は覚えている。キーチクを扱えるお前なら問題ない』
「そう言われると何だか行けそうな気がします!」
「あううっ、あっ、ひいっ! あん、ああん!」

 賽銭箱さんに言われて、ちょっと自信が出てきた。
 自分の意思とは関係なく、両手が自然に蒼桜さんのおっぱいに伸びていって、揉み回して硬い先端を引っ張ってしまう。
 僕は日常的にこんなエッチな事をしていたみたいだ。もしかすると恋人がいたのかもしれない。
 僕の知らない僕は、恋人がいる気功術の達人なのかもしれない。

『不安ならば銃を手に入れればいい。マシンガン、ライフル、ロケットランチャーと何でもある』
「お願いします! あっ、その前に精力剤をもう一本ください。エッチしていると何かを思い出せそうな気がするんです」
『分かった。好きにするといい』
「ありがとうございます!」

 賽銭箱さんにお礼を言って、ひっくり返した。
 ピンク色の液体が入った小瓶が出てきたので飲んだ。
 これでまた元気に恩返しが出来る。
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