【R18】月読神社の賽銭箱に選ばれた色欲高校生〜たった五円で願いを叶えられる賽銭箱〜

もう書かないって言ったよね?

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第三章 最強高校生vs内閣総理大臣

第35話 現れた援軍

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 服、防弾チョッキ、靴を履くと、廊下を走ってトイレの隠し扉に急いだ。
 生中継している国会会議に狼の仮面を着けた、DJウルフとして出演する。
 今度はフェイクニュースで誤魔化せない。国民の前で偽総理をボコボコにする。

「あぁー」

 だけど、そう簡単には行かないようだ。走るのをやめて立ち止まった。
 廊下の真ん中に黒マスクが四人も立っている。

「狼さん、遊びましょう」

 聞き覚えのある声だ。間違いない、俺の左腕を折った男だ。
 男が楽しそうに言うと、他の三人も手に持った警棒を振って伸ばした。
 人を袋叩きするのに、ちょうどいい長さになった。

「遊ぶなら四人でやり……」
「それはやめた方がいい。こっちも授業参観や家庭訪問で暴れたくない」

 瞬間移動のボタンを押そうとしたら、看守の一人が左手を上げて止めてきた。
 明らかに正体がバレている。下手に瞬間移動を使えば、その瞬間に誰かが死ぬ。
 
「通りたければ全員倒して通れ。簡単だろ?」

 難易度は明らかに不可能だ。四人が一斉に向かって来た。
 刀よりは銃の方が速い。隙を見つけて頭に銃弾をブチ込むしかない。

(何度も使えない。最低二人殺す!)

 左手に瞬間移動を持ったまま、賽銭箱から銃を取り出して両手に持った。
 下手には使えないけど、使わないと勝てない。
 瞬間移動のボタンを押して、最後尾の看守の目の前に飛んだ。

『パンッ!』
「っ……!」

 左目に右手の銃口を向けて発射した。
 左手から使用済みの瞬間移動を落として、新しい最後尾に左手の銃口を向けた。

「ぐっ……あがががーッッ!」

 発射した銃弾を跳んで避けられたが、右手の銃を素早く動かしていた。
 看守の頭に向かって、至近距離で右手の銃を連射した。
 看守の頭が銃弾で削り取られていく。

「へへっ! 少しはやるな!」
「ぐがぁっ!」

 あの男が床スレスレに接近して、左手首を狙って警棒を振り上げた。
 手首への強烈な一撃で銃が左手から飛んでいった。
 無事な右手の銃で男の口を狙おうとしたが、男が目の前から消えた。

「なっ⁉︎ ぐがぁ、ぐぅ、ぐああっ!」

 思考が僅かに停止した瞬間、背中、左足、右手に次々に衝撃が襲いかかって来た。
 何が起こったか考える前に、次の衝撃がやって来る。

「ぐぅ、はぁ、はぁ……!」

 手足を集中的に強打されて、やっと攻撃が止まった。十五発から先は覚えてない。
 痛みに倒れないように耐えるだけで限界だ。もう手も足も上がりそうにない。

「おいおい、頭は狙ってないんだ。まだ倒れるなよ。俺の真似は良かった。だが、二対一で使われたら手も足も出ないよな? これが無くなるまで耐えるしかない。まあ、無くなる前に普通は殺すよな」

 何か最近、冥土の土産が多い。男が筒型の瞬間移動を見せて投げ捨てた。
 二人掛かりの瞬間移動で、高校生を警棒で袋叩きにして楽しんでいる。
 プロの殺し屋なら、頭に一発叩き込んで楽に殺してほしい。

「うぐっ、くぅぅぅ!」

 戦う気力は残っていない。廊下の前後を挟まれた状態で逃げるのは無理だ。その前に走れない。
 足を引き摺るように移動して、壁に背中を預けて座り込んだ。これで敵の攻撃範囲を絞れる。

「良い手だ。後ろに逃げられないけどな」

 これ以上は何も出来る事がない。あとはご自由に殴ってくださいだ。

「何か来る……多いな。捕まえている人数と合わない」

 急に看守が廊下の先を見て言った。複数の足音が近づいている気がする。
 まさかとは思うけど、議員達が逃げずに助けに来たのだろうか。

「この音……コイツら武装しているな」

 二人が独房と鏡張りの部屋がある方向を見ている。上着から銃を抜いて構えている。
 同じように見ていると、廊下の先から迷彩服を着た集団が現れた。

「自衛隊、何で?」

 この先は行き止まりだ。その前に自衛隊が現れる理由が分からない。

「武器を捨てて投降しなさい。そうすれば命だけは助けよう」
「総理……」
「ははっ。正気に戻ったのか?」

 長いマシンガンを向けた自衛隊員の中から、廃人だと思っていた西田総理が現れた。
 片方のレンズだけが割れている眼鏡をかけている。さっきまでとは雰囲気が違う。

「日本語が通じないようだ。撃て」
「⁉︎」

 総理の短い合図で、二十人以上の自衛隊員が構えるマシンガンが一斉に火を噴いた。
 けたたましい音を立てて、数百を余裕で超える、数千の銃弾が黒マスク二人を襲った。
 黒マスク二人が抵抗する事も出来ずに、銃弾の雨に撃たれて床に倒れた。

「撃ち方やめぇーッ!」

 指揮官らしい男の声で銃声がストップした。
 銃声が消えると総理の声が聞こえてきた。

「この先に出口がある。私を含めて偽者の議員を全員捕まえてくれ。抵抗するなら殺害を許可する」
「はっ! 了解しました! 総理の護衛に三名残れ。残りは続け。アリ一匹も逃すな!」
「はっ!」

 五十人近くもいる自衛隊員が、目の前を駆け足で通り過ぎていく。
 倒れている黒マスクの顔面に、念の為か銃弾をブチ込んでいる。

「先程は返事も出来ずに済まなかった。君のお陰で助かった」
「うぐぐっ!」

 総理が目の前までやって来ると、しゃがみ込んで話しかけてきた。
 立ち上がろうとしたけど、身体が痛くて無理そうだ。

「ああ、動かないで。そのままで構わない。君が渡してくれたこれで、頼もしい援軍を呼ぶ事が出来た。国民を代表して感謝する。あとの事は私達に任せてほしい。治療が必要ならば手配しよう」

 総理が右手に持ったボールペン二本を見せてきた。
 どこでも瞬間移動を使って、自衛隊をここまで連れて来たみたいだ。

「総理、偽総理が持っている黄金の賽銭箱を必ず奪ってください。手に持てる小さな賽銭箱ですが、あれは危険な物です」
「賽銭箱か……分かった。済まないが大至急本隊に伝えてくれ」
「はっ! 了解しました!」

 賽銭箱の事を伝えると、総理に頼まれた隊員が無線機で知らせている。

「君のお陰で本当に助かった。総理として最後の仕事が出来る。生きていたら今度はゆっくり話そう」
「うぐっ……総理、待ってください。俺も連れて行ってください。俺にしか出来ない事があるかもしれない」

 総理が立ち上がって行こうとしたから、壁に手を付いて立ち上がった。
 偽総理は賽銭箱を持つ強敵だ。絶対に逃すわけにはいかない。

「無理はしな……いや、今は無理をする時か。肩を貸そう。今は時間が惜しい」
「すみません。あと五円玉とかないですか?」

 総理が一瞬断ろうとしたが、猫の手も借りたい程の国家の危機だ。
 サッと左側に立って身体を支えると、隊員の一人も右側に立って身体を支えてくれた。
 図々しいついでにお金も貸して欲しい。

「悪いが今は世界一貧乏な総理大臣だ。一円も持っていない。貸せるものは身体一つだけだ」
「そうですよね」

 薄緑色の作業着を着た総理に頼む事じゃなかった。当然、任務中に買い物する隊員もいない。
 五人もいるのに、所持金は0円だった。
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