【R18】月読神社の賽銭箱に選ばれた色欲高校生〜たった五円で願いを叶えられる賽銭箱〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
上 下
32 / 111
第三章 最強高校生vs内閣総理大臣

第32話 独房の内閣総理大臣

しおりを挟む
「お願いです! 殺さないでください! 総理に脅されただけなんです!」

 まだ死にたくない。誰にでも命乞いする軽い男だと言われてもやってやる。

「こんな物騒な物を向けた後に、それは都合が良すぎじゃないですか? お互い敵対せずにwin-winの関係で行こうと言いましたよね? こうやって敵対すると、片方だけがwinするしかありません」
「ううっ!」

 どうやら無駄な命乞いだったみたいだ。
 こめかみから右耳の穴に銃口を移動されて、グリグリと耳の穴かっぽじって、よく聞けよ状態だ。
 こんな事になるなら藤原さんに頼んで、一発で妊娠させる薬を飲んで子作りすれば良かった。
 殺されても、両親に孫の顔は見せてあげられた。

「そ、それは……人質を取られて仕方なかったんです! 何でも言う事を聞くから助けてください!」
「取引き条件としては弱いですね。何でも出来る人間に何でもするですか」
「うぅ、うぅぅ……助けてください。お願いです。まだ未成年なんです」

 涙も鼻水も流して、何とか情に訴える。テーブルの上に白木の賽銭箱が見えた。
 何でも欲しい物を手に入れられる相手に、何をどうすればいいのか分からない。
 
「まあいいでしょ。これが何なのか分かりますか?」
「へぇっ?」

 突然、右耳から銃口を離すと、千葉がテーブルの財布から硬貨を取り出した。
 あの大きさで銀色の硬貨は一円玉しか知らない。

「一円玉ですか?」
「もっとよく見てください。本当に一円ですか?」

 言われた通りによく見ると、百円玉みたいに硬そうな金属で、円の文字が角になっていた。

「一角?」
かくではなく、発音はモウです。中国の硬貨です」
「す、すみません! 馬鹿なんです! 馬鹿なんです!」

 中国の硬貨らしいけど、間違えたから殺される。最後のチャンスを失敗した。
 急いで謝罪して、お馬鹿アピールをした。馬鹿だから間違いを冒してしまう。

「まあ、敵の敵は味方と言いますし、日本人同士で戦うなんて不毛なだけですね。あの西田総理は偽者で、本物は地下牢に囚われていますよ。どんな風に脅されたのか教えてくれませんか?」
「偽者? まさか……」

 間違えたから射殺かと思ったのに、硬貨を転がしながら別の事を話し出した。
 知り合いじゃないけど、総理の顔は誰でも知っている。見間違える日本人はいない。

「知らないフリですか? 賽銭箱に本物の総理の居場所を願えば分かりますよ。賽銭箱のお金は何を使っているんですか?」
「ご、五円玉です」

 抵抗したくても何も出来ない。何も話さずに拷問もされたくない。
 知っている事は全部話すから、透明人間の薬が切れる前に楽に殺してほしい。
 裸の少年のタンポンを切り落として、拷問なんてしないでほしい。

「では、一枚だけお貸しします。これで総理の正体が分かります。ですが、その前に知っている事を全部教えてください。何か助けになるかもしれません」
「はい、もちろん全部教えます! 何でも聞いてください!」

 財布から五円玉を一枚取り出すと、また情報を聞いてきた。もちろん何でも教える。
 三日以内に千葉を殺さないと俺が殺される事、千葉を探した方法まで全部話した。

「……なるほど、そういう見つけ方もあるんですね。以後気をつけます。では、さようなら」
「えっ? ええーッッ⁉︎」

 知っている事は全部話した。
 それなのに白木の賽銭箱から瞬間移動を取り出して、笑みを浮かべて千葉が消えた。
 情報を洗いざらい喋らされて、情報と銃を持ち逃げされた。

「嘘でしょ! これはヤバイって!」

 金縛りが解けて動けるようになったけど、標的が目の前から消えた。
 冗談だと言って、すぐに現れてほしい。でも、絶対に現れない。
 俺なら二度と見つからないように、居場所を数時間ごとに変える。

「落ち着け、落ち着け! まだ何か手があるはずだ!」

 大失敗はこれが初めてじゃない。焦る気持ちを抑えて、冷静に考えるしかない。
 生きているなら、まだ出来る事はたくさんある。
 子供だって作れる。逃げる事も出来る。アイドルだって覗ける……

「そうだ、逃げればいいんだ! まだ失敗した事は知られていない!」
 
 もう終わりだと思ったけど、まだ二日も猶予があった。
 これだけあれば、総理の方を殺す事だって出来る。殺される前に殺すしかない。
 国会議事堂の床に爆弾仕掛けて、総理が演壇で演説する瞬間に爆破すればいい。

「そういえば偽者とか言ってたけど……あれって本当なのか?」

 爆弾を作る前に千葉が言った事が気になった。偽者の総理だと言っていた。
 総理は賽銭箱の持ち主は探せないと言っていた。前に一度確かめたから間違いない。

 だけど、ソファーの上に五円玉が置かれている。
 もう一度だけ確かめてもいいかもしれない。

「まあ、本物でも偽者でも殺さないと殺されるけど……」

 確かめたところで意味はないけど、服と靴を履くと賽銭箱にお願いした。
 本物の西田総理の居場所を教えて欲しいとお願いすると、いつもの断崖に放り出された。

「……少なくとも居場所は分かるのか」

 藤原さんの家に現れた総理は黄金の賽銭箱を持っていた。だけど、賽銭箱は使っていない。
 借りただけの賽銭箱を持っていた可能性もある。それならただの馬鹿力ジジイだ。
 賽銭箱の本当の持ち主が他にいる可能性がある。

 パパッと頂上まで登りきると、いつもの幽体離脱で飛ばされた。

「何だよ、やっぱり国会議事堂じゃないか」

 見覚えしかない宮殿のような建物が見えてきた。
 居場所が分かる理由があるとしたら、総理がまだ寝ていて、賽銭箱を持っていないだけだ。
 多分、政治家の乱交パーティで夜は忙しかったのだろう。寄付金集めによくやるよ。

「こっちの道は知らないな」

 トイレの隠し扉を通り抜けて、灰色の長い廊下を進んでいく。
 途中の分かれ道を曲がってしまった。
 真っ直ぐ進めば、マシンガンだらけの鏡張りの部屋に着く。

「この扉は独房か?」

 見覚えのある扉と扉横の小さな穴が壁に見えた。
 四角い穴から部屋を見ると、中に人の姿がチラッと見えた。
 俺以外にも誰か捕まっているようだ。

「おっと、ここか?」

 二十部屋以上の扉を通過すると、飛んでいた身体が急に止まった。
 まだ奥まで部屋が続いているみたいだけど、この扉の向こうに総理がいるみたいだ。
 扉を通り抜けると、薄緑色の囚人服を着せられた、白髪混じりの長い髪と髭の男が座っていた。

「この人が本物の総理?」

 髪と髭の長さから半年以上は切っていないと思う。
 身体は痩せ細り、虚な目で緑色の壁をジッーと見ている。
 テレビの総理と違って、オーラというか覇気を感じない。

「……あれが本物? じゃあ、偽者は誰なんだ?」

 時間切れになった。高級マンションの部屋に戻されてしまった。
 偽者が本物の総理を幽閉して、やりたい放題やっているみたいだ。
 だけど、目的が分からない。

「総理に聞くしかないか」

 幽閉場所は分かった。着た服をまた脱ぐと、使い捨ての瞬間移動のボタンを押した。
 幽閉された総理に話を聞けば、何か分かるかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...