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第三章 最強高校生vs内閣総理大臣

第31話 全てが見える力

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 藤原さんに都道府県、市、町の問題も手伝ってもらった。
 196ヵ国よりは、47都道府県の問題は簡単だった。
 それでも勉強をたっぷり頑張った。学生の本分は勉強だ。

「ここか……」

 朝まで待たずに千葉信一の捜索を始めた。まさか東京にいるとは思わなかった。
 人が多いから、下手にミサイル攻撃されないんだろう。

「さて、新兵器の出番だ!」

 新人特殊部隊と透明人間を倒して手に入れた、一時間だけ透明人間になれる薬を飲んだ。
 ムフフ……これで気づかれずに、ビルやお店の中を無断で隅々まで探し回れる。

 美女のスカートの中にはいないとは思うけど、念の為に確かめないといけない。
 気配を消して背後から、地面にしゃがみ込んで覗いていく。
 
「ふぅー、春だから助かった」

 恵みの春を堪能したから、捜索を本格的に開始した。気配を消す練習はバッチリだ。
 賽銭箱は透明になるけど、服は透明にならない。裸で動き回らないといけない。
 冬だったら耐えられなかったけど、春と夏なら夜でも平気そうだ。
 今度は学校で試しても良いかもしれない。

「瞬間移動されたら終わりだな。見つけたら瞬殺しないと」

 ビルやマンションの一階から最上階まで調べていく。
 退社後のオフィスビルは探しやすい。でも、整形されていたら終わりだ。
 居酒屋の店員だったり、記憶を消した新婚夫婦の旦那になられていたら厄介だ。

 それにマンションの場合は、瞬間移動で一部屋ずつ調べるのが面倒だ。
 壁でも何でも透視できる眼鏡が欲しい。
 藤原さん一筋だけど、男だから、可愛い女の子の下着や裸が見たい。

「うーん、いないなぁー」

 結構調べたけど、怪しい建物が見つからない。
 通報レベルの変態を何十人か見つけただけだ。
 どこかの国の独裁者みたいに、地下室に隠れているのかもしれない。
 やっぱり透視眼鏡が欲しい。一旦家に帰って色々と準備しよう。

「歩き疲れたぁー。もうすぐ朝だよ」
 
 簡単に見つかるとは思ってなかったけど、ちょっとは自信があった。
 仮眠を二時間取ると、透明人間の薬と瞬間移動の道具を補充した。

 そして、予定通りに賽銭箱で新兵器に挑戦した。
 透視眼鏡は透視できる厚さで難易度が大きく変わる。
 とりあえず服さえ透ければ何でもいい。
 
「星」
「……正解だ」

 暗い部屋で魔法使いのような爺さんがカードを見せてくる。
 五つのカードの裏面を見て、表面の四角、三角、川、丸、星を当てる試練だ。
 難しい試練だけど、二十五回連続正解すると、服を透視できる眼鏡が手に入る。

 別に女の子の下着や裸が死ぬ程見たいわけじゃない。怪しい人間は武装している。
 服の下に武器を隠している人間は、間違いなく裏社会の人間だ。
 それを調べる為に、絶対に必要なアイテムなんだ。

「最後の問題だ、んっ? 鼻血が出ているぞ」
「問題ないです。続けてください」

 透明眼鏡を手に入れる為に、五円玉を課金しまくった。
 今の集中力なら、カードが全部透けて見える気がする。
 占い爺さんに言われて、鼻血を手の甲で拭き取ると試練を続行した。

「分かった。このカード……」
「逆三角形」
「……全問正解だ。お前にスケスケべの称号を与える」

 カードが見せられた瞬間に即答した。
 占い爺さんが手首を軽く捻って、緑色の逆三角形のカードを見せた。

「ふぅー…………貰いましょう」

 目を閉じて長く息を吐き出すと、目を開けて戦利品を要求した。
 ククッ。これで全てが見えるようになった。

「……これは見つかるな」

 透明人間になって、家の洗面台の鏡で透視眼鏡を着用した。
 空中に眼鏡だけが浮かんでいる怪奇現象が発生した。
 見つからないように使わないといけない。

「んっ?」

 洗面所の扉が開いて、朝食の片付けを終えた母さんが入ってきた。
 これからコンビニに出勤するみたいだ。俺がいるのに服を脱ぎ始めた。

「⁉︎」

(美雪みゆき……じゃないよ! 母さん相手に何反応してんだよ⁉︎)

 母親とは思えない柔らかそうなおっぱいを見て、ちょっとだけ顔を埋めたくなった。
 母さんの下着が大人の黒レースだと分かったけど、頭の中から急いで追い出した。
 今から学校をサボって捜索を再開する。母親の朝風呂を覗く時間はない。

「ふぅー、危なかった。今夜、芸能人で試そう」

 覗くなら若くて可愛い方が良い。美少女アイドルの家を賽銭箱で探そう。
 総理に殺される前に、残り二日の人生を男らしく楽しみたい。

「賽銭箱を持っている人間が隠れる場所かぁー……」

 瞬間移動で昨日の町にやって来た。
 夜まで時間があるから、オフィス街を透明人間で探し回る。
 賽銭箱があれば食べ物は手に入るけど、トイレ、食事、睡眠は外でするしかない。
 安心して暮らせる場所が必要だ。

 金はあると思うから、一軒家、ホテル、マンションに住んでいると思う。
 ついでに美女三人ぐらいと一緒に住んでいるはずだ。
 あとは賽銭箱で料理を作らせる為に一流コックもいる。もちろん美女だ。

「くっ! 同じ逃亡者のくせに、何て羨ましい奴なんだ!」
 
 潜伏場所の手掛かりは見つからないけど、優雅な生活を送っているのは想像できた。
 だとしたら、金持ちが住みそうな場所が怪しい。
 一軒家なら豪邸、ホテルなら高級ホテル、マンションなら最上階だ。

(……自分の捜索能力が恐ろしい)

 高級マンションに住む金持ちお嬢様達を覗き回っていたら、目的の人物まで見つけてしまった。
 ベランダの窓から透視眼鏡でカーテンの布を透視して、部屋の中を覗く事が出来る。
 日本の裸族は最高だ。やっぱり透視眼鏡は必要なアイテムだった。

(たったの一人か……)

 千葉は一人用のソファーに座って、明るい部屋の大画面テレビで海外ドラマを見ている。
 部屋には他に人はいないみたいだ。瞬間移動で部屋に入って、銃で動かないように脅そう。
 この位置だと横顔しか見えない。似ているだけの別人の可能性もある。

 透視眼鏡をかけたまま、右手に銃を持って、左手の瞬間移動のボタンを押した。

「動くな! 動けば殺す!」
「……」

 座っている千葉の真横に移動して、頭に銃口を押しつけた。
 見たくないけど、服を透視して武器を持ってないか確認した。
 白のワイシャツに、ゆったりとした灰色の長ズボンだけみたいだ。

「ふふっ。動くなか……なかなか笑わせてくれる」
「千葉信一だな? お前を殺しに来た」

 どうやら本人で間違いないようだ。
 空中に浮かぶ眼鏡と銃を見ても、動揺どころか可笑しそうに笑っている。

「それは大変そうだ。今から動くから、出来るかどうか試してみるといい」
「……っ!」

 撃てないと思って完全に舐めている。
 ソファーから立ち上がろうとしたから、容赦なく頭に向かって引き金を引いた。
 こっちは百人以上も殺している凶悪犯だ。一人増えた程度で何とも思わない。

「なっ⁉︎ ぐぐぐっ!」

 だけど、緊急事態発生だ。どんなに力を入れても指先がピクリとも動かない。
 それどころか首から下もまったく動かない。金縛りになったみたいだ。

「おやおや、まだ撃たないんですか? 立ち上がってしまいましたよ」
「お、俺に……な、何をした!」

 ソファーから立ち上がった千葉が、両手を広げて困った感じに言った。
 意識がある状態で金縛りに出来るなら、時間停止と同じだ。なんて羨ましい事が出来るんだ。

「手品の仕掛けを教えるのは嫌ですが、神村さん、同じ国の人間として教えてあげます。超能力です」
「うぐっ!」

 透明人間なのに、誰だか分かるみたいだ。多分、声で気づかれた。
 千葉が俺の右手から銃を簡単に奪い取ると、銃口を頭に押し付けて教えてくれた。
 形勢が逆転してしまった。絶対に冥土の土産だ。まだ死にたくない。
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