【R18】月読神社の賽銭箱に選ばれた色欲高校生〜たった五円で願いを叶えられる賽銭箱〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
上 下
20 / 111
第二章 最強高校生vs上級国民

第20話 便利な道具と小林寺入門

しおりを挟む
「ただいま」

 何もしないアピールの為に走らずに、ゆっくり歩いて家に帰った。
 学校で授業中に考えていた事を全て試すしかない。

『分身』『瞬間移動』『透明人間』『絶対防御』『悪人探知器』『時間停止』『飛行マント』——

 学校に分身を行かせれば、その間のアリバイを作れる。俺が攻撃してないなら、俺の家族も攻撃されない。
 瞬間移動は悪人がいる場所に素早く移動する為と、襲われている人を助ける為だ。
 藤原さんが監禁されている時に、これがあればもっと早く助けられた。
 その他のアイテムも戦いに必要な物だ。どれか一つでも作れれば、全面戦争が優位になる。

「まずは悪人探知器だ。善人を間違って殺したらマズイ」

 悪人の中に美少年がいた場合は、敵なのか化粧水なのか分からない。
 皆殺しは楽だけど、無実の美少年だったら両親にも世間にも非難される。

「簡単な試練で悪人が一目で分かる道具をください」
『その願いを叶える事は出来ない。叶えたければ、難しい試練を乗り越えろ』

 賽銭箱に五円入れてお願いした。作れると分かったけど、難しい試練だった。
 個人的に簡単、危険、難しいの順番で難易度が上がると思っている。
 もう一度五円入れると願った。とりあえず挑戦してみよう。

『ここはひよこ鑑定場だ。八分以内に百匹のひよこをオスとメスで分けよ。成功すれば悪人が分かる眼鏡を与えよう。ただし、一羽でも間違えれば試練は失敗だ。さあ、難しい試練を乗り越えろ』
『ピイイー♬』
「ひよこの百発百中当てか……人間に出来るのか?」

 難しいなら出来ると思った自分を殴りたい。
 横長の大きな机の上に、大きな箱に入った黄色いひよこ百羽がピヨピヨ鳴いている。
 大きな箱の左右にオス、メスと書かれた箱が用意されている。

『失敗だ』
「くっ!」

 試しに一羽持って、メス箱に入れてみた。
 神爺の声が聞こえて、すぐに部屋に帰された。

「駄目だ、プロを呼ばないと無理だ」

 運に任せて、有り金全部使いたくない。
 悪人眼鏡を諦めて、次の願いを言ってみた。

「一ヶ所だけ瞬間移動できる道具が欲しい」

 自由に瞬間移動するのが無理なのは知っている。でも、一ヶ所だけなら可能性はある。
 藤原さんに持たせておけば、緊急避難させる事が出来る。

『その願いを叶える事は出来る。叶えたければ、不可能な試練を乗り越えろ』
「ああ、駄目だ」

 可能だけど、不可能な試練だった。この時点でもう諦めた。

「……何だ、ここは?」

 硬い金属の地面に放り出された。まるで機械の中に閉じ込められた気分だ。
 天井や床、壁に見える緑色に光る線が不規則に伸びている。
 金属の壁は硬く冷んやりしている。

『ここは古代施設だ。十六時間以内に施設に仕掛けられた謎を解き、最深部に辿り着ければ、瞬間移動できる道具を与えよう。さあ、不可能な試練を乗り越えろ』
『ピイイー♬』

 神爺の説明が終わると、笛が鳴り響いた。
 ひよこよりは可能性はあるけど、不可能には挑みたくない。

「とりあえずやってみるか」

 何もやらないとお金が勿体ない。機械音が鳴り響く迷路を歩いた。
 こういう謎解きゲームは仲良し四人組とかで挑戦したい。
 藤原さんと二人で協力して謎を解きたい。

「失敗したら藤原さんを誘ってみようかな」

 協力して瞬間移動できる道具を二つゲットして、お互いの家を緊急避難所にする。
 そして親に隠れて、あんな事やこんな事を……ムフフフ。

「これは?」

 妄想しながら適当に歩いていると、行き止まりの壁に扉とタッチパネルを見つけた。
 見た感じだと二十五枚のパズルを動かして、何かの絵や記号を作るみたいだ。
 不可能というわりには簡単な謎解きパズルだ。

「これなら適当に動かしていれば、そのうちに当たるかも」

 ジグソーパズルと同じなら、角と端から並べていけばいい。
 外側から内側に向かって、少しずつ合わせていけば完成だ。

「よし、完成だ」

 十五分ぐらいで宇宙文字が完成した。
 扉に緑色の血管が浮かび上がり、強く光ると勝手に左右に分かれて開いた。

『ドドドドッ!』
「はぐっ……!」

 凄く見覚えのある光景だ。扉が開いた瞬間に死んだ。
 頭に複数の銃身を回転させて発射するバルカン砲を装備した、多脚戦車に全身を穴だらけにされた。

「はっ!」

 意識が戻ると、横長鞄と刀と一緒に部屋に倒れていた。
 特殊部隊の隊員はいなかったけど、殺人ロボットがいた。

 ♢

「いきなり凄い道具は無理か……」

 さっきので分かったけど、強くなってから挑戦しないとクリアできない試練がある。
 ゴブリンと同じで難しい試練でも、何度も続けて地味に強くなるしかない。

「あぁー、長いのは嫌だなぁー」

 この試練に武器は持ち込めない。靴だけ履いて、賽銭箱に五円入れた。

「難しい試練で少し強くしてください」
『その願いを叶える事は出来る。叶えたければ、難しい試練を乗り越えろ』

 賽銭箱に吸い込まれて、石畳の地面に放り出された。

「……また来てしまった」
『ここは小林寺だ。一週間の試練に逃げ出さずに耐え切れれば、少しだけ強くしよう……』

 神爺の説明中だけど、前に一回来た事がある。
 小林寺は山の頂上に建てられた大きな修業寺だ。

「ハァッ! ヤァッ! ハァッ! ヤァッ!」

 橙色の修業着を着た少年と青年が日夜修業に励んでいる。
 本物の少林寺と違い、普通に日本語で会話するから偽少林寺だ。
 
「何をしている? 早く立ち上がりなさい。それとも袋叩きに耐えられる修業がしたいのか」
「老師、申し訳ありません」

 有無を言わせない先輩のような威圧の篭った声が聞こえた。
 素早く立ち上がって、灰色の髪と髭の威厳のある老人に両手を合わせて謝罪した。
 最初に挑戦した時に謝罪しなかったら、集団リンチに遭って、三千段の岩階段から投げ落とされた。
 この小林寺は礼儀作法に恐ろしく厳しい。

「よろしい。靴を脱ぎなさい」
「はい」

 老師が顎髭を撫でで謝罪を受け入れると、最初の修業が始まった。
 言われた通りに急いで靴を脱いだ。

「靴を履きなさい」
「はい」

 靴を脱ぐと、すぐに老師が履くように言ってきた。
 この脱いで履く動きを疲れるまでやらされる。
 絶対にあの映画の真似だ。

「休む事なく、そのまま続けなさい」
「はい」

 老師が修業中の少年達に右手を向けて、少しだけ指を動かした。
 三人の少年が全力疾走で椅子とテーブルを持ってきた。
 阿吽の呼吸というよりも、絶対的な支配だ。

「はぁ、はぁ……老師、この修業に何の意味があるんですか?」

 三時間も続けて疲れてきたので、椅子に座って書物を読んでいる老師に聞いた。
 どんなに素早く脱いで履けるようになっても、この修業は終わらない。
 老師の気持ちを汲み取った行動をしないと、次の修業には進ませてくれない。

「意味が分からないなら、意味が分かるまで続けなさい」
「くっ! 俺は強くなる為に来たんです! 武術を教えてください!」

 老師の言葉にブチ切れたフリをして、脱いだ靴を地面に叩きつけた。
 老師に投げつけるのは絶対に駄目だ。命中しなくても集団リンチに遭う。

「この無礼者が! 老師に……」
「構わない」
「はっ!」

 俺の態度に本気でブチ切れた、門下生二百名以上が襲い掛かろうとした。
 それを老師が片手で制止して、椅子から立ち上がった。

「お前の言う通りだ。靴を履くのも脱ぐのもどこでも出来る。武術もそうだ。どこでも出来る。それなのに何故、皆がこの寺にやって来ると思う?」

 老師の問いには沈黙で分からないと応えた。すぐに老師が続きを話し出した。

「人は動物や植物と同じだ。環境によって己の姿を変える。道場ならば強く、学校ならば賢く、己を変える。だが、お前には迷いがある。迷いがある者は一生変われない。私が見ていたのはお前の変われる力だ」
「も、申し訳ありません、老師! すぐに続けます!」

 老師の言葉で何かに気づいたフリをして、地面に素早く土下座した。
 そして、投げつけた靴を急いで拾おうとすると老師が止めた。

「その必要はない。外界と隔離されたこの場所で行う事は全てが武術になる。お前に箒を一本渡す。その箒で一週間寺を隅々まで掃除せよ。一週間後の寺と箒を見て、お前の変われる力を見させてもらう」
「はっ! ありがとうございます!」

 大袈裟に感謝して、全力疾走で箒を持ってきた少年から、老師が受け取った箒を受け取った。
 この場面は二回目だ。面倒くさいけど、やっと次の修業に進める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...