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第二章 最強高校生vs上級国民
第16話 憧れの藤原さんの部屋
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階段を上がって、二階の藤原さんの部屋に案内された。隣の部屋は藤原ママの部屋らしい。
藤原さんに無理矢理に悪さしようとしたら、永久追放される。
「飲み物持って来るね。お茶とジュースのどっちがいいかな?」
無防備なのか、信用されているのか、藤原さんが聞いてきた。
「えーっと、お茶でお願い」
「うん、適当に座って待っててね」
答えると本当に飲み物を一階に取りに行ってしまった。
好きな女の子の部屋に一人残されたら、男は何するか分からないよ。
「すぅーはぁー、これが藤原さんの匂い……」
想像通りの良い匂いで凄くドキドキする。
今すぐにスマホでお部屋を撮影したい。
白色のフローリングに、ピンク色の楕円形の小さな絨毯が敷いてある。
モコモコ絨毯の上に、長方形の小さなテーブルが置かれている。
半分が板で、半分がガラスで出来ている。
白い土台のベッドには、薄紫色のシルクのような布団が乗ってある。
ここに藤原さんが寝ている。潜り込んで匂いを全身全霊で嗅ぎたい。
そして、違う種類の枕が何故か五つもある。
こんなにたくさんの誰と寝ているのか凄く気になる。
「ごくり、この部屋のどこかに藤原さんの……」
ベッドの土台には、大きな引き出しが二つある。
ベッドの近くには、引き出しが縦に五つ重なった白いタンスがある。
白いタンスの隣にある薄いピンク色の机にも引き出しが四つある。
白い壁には茶色い扉のクローゼットが付いてある。
このどれかに藤原さんのパンティが収納されている。
一つぐらいなら開ける時間はある。パパッと見て、パパッと写真を撮って閉めればいい。
十二分の一の運試しのようなものだ。当たりを引いたら、相思相愛で間違いない。
(見るだけ、見るだけだから……)
「ごめんね、待たせちゃって。ケーキがあったから持って来ちゃった」
「うううん、全然待ってないよ」
……あ、危なかった。座っていたから助かった。
白タンスの引き出しに手を伸ばそうとしたら、藤原さんが戻ってきた。
「チーズと抹茶しかないんだけど、神村君の好きな方を選んでいいよ」
四角い金属のお盆をテーブルに置くと、藤原さんが聞いてきた。
どっちも残り物の気配しか感じないけど、選択を間違えるわけにはいかない。
出来る男の対応力を見せる時だ。
「どっちも好きだから、どっちでも良いよ。藤原さんはどっちが好きなの?」
「うーん、私は抹茶の方が好きかな」
「じゃあ、チーズケーキを貰うね」
これが出来る男の対応力だ。自然な流れで藤原さんに、好きなケーキを選んでもらった。
「うん、でも、ちょっと待ってね……はい、抹茶も好きなら半分食べて」
でも、出来る男と出来る女の対応力は違うみたいだ。
藤原さんが抹茶ケーキをフォークで半分切って、俺のチーズケーキの皿に乗せてくれた。
「あ、うん、ありがとう。じゃあ、藤原さんも抹茶を……」
「私はいいよ。ダイエット中だし、神村君はお客様なんだから一杯食べて」
「じゃあ、遠慮なく。いただきます」
真似してチーズケーキを半分渡そうとしたけど、藤原さんに断られてしまった。
確かに太った藤原さんと痩せている藤原さんなら、痩せている方が良い。
お礼を言って、ケーキを食べた。
「それで藤原さん、話があるんだよね? 電話じゃ話せない話なの?」
ケーキを少しずつ食べながら、家に呼ばれた理由を聞いてみた。
「あっ、うん……怒らないで聞いてね」
「うん、怒らないよ」
フォークを皿に置くと、藤原さんが真剣な表情で見つめてきた。
藤原さんに何を言われて、絶対に怒ったりしない。
それどころかそんなに見つめられると、キスしたい衝動の方が抑えられない。
「神村君って……その……人間なの?」
「んっ? 人間?」
聞きにくそうに聞かれたけど、怒る前に意味が分からなかった。
聞き返してみると、藤原さんが両手を振って慌て始めた。
「いいの! 無理に聞くつもりはないから!」
「えーっと、藤原さん……とりあえず落ち着いて話そうか。質問の意味が分からないよ」
藤原さんの真似をして、両手の手の平を向けて、まぁまぁ落ち着こうとお願いした。
藤原さんが手を振るのをやめて、ゆっくり深呼吸すると落ち着いてくれた。
「う、うん、神村君、凄く強かったよね。宇宙人とか狼男とか吸血鬼なのかと思ったの。正体を隠して暮らしていたのに、私の所為でごめんね」
「うん、藤原さん。それ全然違うから」
「えっ、そうなの?」
ハッキリ否定すると、藤原さんの暗い表情が驚きに変わった。本気で言っていたみたいだ。
凄い想像力だけど、目の前で不良を瞬殺する俺を見たら、勘違いするのも無理ない。
「うん、正真正銘の普通の人間だよ。変身も出来ない、血も飲まない、ただの人間だよ」
「じゃあ、特殊な訓練を受けた……」
「特殊部隊の隊員でも、忍者の末裔でも、裏社会の暗殺者でもないよ」
藤原さんが言おうとしている事が分かったから、先にネットに書かれていた事を言った。
そういえば、宇宙人と狼男と吸血鬼も書かれていた。
「えっ、でも、普通の高校生はあんな事できないよ。刀とか車の運転とか」
信じやすいのか、騙されやすいのか、藤原さんは俺よりもネット情報を信じている。
真実は一つなのに複数の情報がある時点で、ネット情報は嘘の方が圧倒的に多い。
そんな素直なところが可愛いけど、言葉よりも実際に見てもらった方が早い。
「落ち着いて、言いたい事は分かっているから。今、証拠を見せるから……」
鞄の中から賽銭箱を取り出すと、右手に持って藤原さんに見せた。
「この賽銭箱は魔法の賽銭箱なんだ。五円玉を入れて願いを言うと願いが叶うんだよ」
「……神村君、私、そんなに子供じゃないよ。サンタクロースがいないのも知ってるんだから」
賽銭箱の力を説明すると、藤原さんが頬を少し膨らませて怒っている。
可愛いけど、嘘じゃないと証明できる。
「じゃあ、俺がサンタクロースになるよ。欲しい物の写真とか見せてくれれば、それをプレゼントするよ」
「んー、そこまで言うなら……ちょっと待ってて」
全然信じてないけど、藤原さんがポケットから白いスマホを取り出して調べ始めた。
飛行機とビル以外なら、プレゼントできると思うよ。
藤原さんに無理矢理に悪さしようとしたら、永久追放される。
「飲み物持って来るね。お茶とジュースのどっちがいいかな?」
無防備なのか、信用されているのか、藤原さんが聞いてきた。
「えーっと、お茶でお願い」
「うん、適当に座って待っててね」
答えると本当に飲み物を一階に取りに行ってしまった。
好きな女の子の部屋に一人残されたら、男は何するか分からないよ。
「すぅーはぁー、これが藤原さんの匂い……」
想像通りの良い匂いで凄くドキドキする。
今すぐにスマホでお部屋を撮影したい。
白色のフローリングに、ピンク色の楕円形の小さな絨毯が敷いてある。
モコモコ絨毯の上に、長方形の小さなテーブルが置かれている。
半分が板で、半分がガラスで出来ている。
白い土台のベッドには、薄紫色のシルクのような布団が乗ってある。
ここに藤原さんが寝ている。潜り込んで匂いを全身全霊で嗅ぎたい。
そして、違う種類の枕が何故か五つもある。
こんなにたくさんの誰と寝ているのか凄く気になる。
「ごくり、この部屋のどこかに藤原さんの……」
ベッドの土台には、大きな引き出しが二つある。
ベッドの近くには、引き出しが縦に五つ重なった白いタンスがある。
白いタンスの隣にある薄いピンク色の机にも引き出しが四つある。
白い壁には茶色い扉のクローゼットが付いてある。
このどれかに藤原さんのパンティが収納されている。
一つぐらいなら開ける時間はある。パパッと見て、パパッと写真を撮って閉めればいい。
十二分の一の運試しのようなものだ。当たりを引いたら、相思相愛で間違いない。
(見るだけ、見るだけだから……)
「ごめんね、待たせちゃって。ケーキがあったから持って来ちゃった」
「うううん、全然待ってないよ」
……あ、危なかった。座っていたから助かった。
白タンスの引き出しに手を伸ばそうとしたら、藤原さんが戻ってきた。
「チーズと抹茶しかないんだけど、神村君の好きな方を選んでいいよ」
四角い金属のお盆をテーブルに置くと、藤原さんが聞いてきた。
どっちも残り物の気配しか感じないけど、選択を間違えるわけにはいかない。
出来る男の対応力を見せる時だ。
「どっちも好きだから、どっちでも良いよ。藤原さんはどっちが好きなの?」
「うーん、私は抹茶の方が好きかな」
「じゃあ、チーズケーキを貰うね」
これが出来る男の対応力だ。自然な流れで藤原さんに、好きなケーキを選んでもらった。
「うん、でも、ちょっと待ってね……はい、抹茶も好きなら半分食べて」
でも、出来る男と出来る女の対応力は違うみたいだ。
藤原さんが抹茶ケーキをフォークで半分切って、俺のチーズケーキの皿に乗せてくれた。
「あ、うん、ありがとう。じゃあ、藤原さんも抹茶を……」
「私はいいよ。ダイエット中だし、神村君はお客様なんだから一杯食べて」
「じゃあ、遠慮なく。いただきます」
真似してチーズケーキを半分渡そうとしたけど、藤原さんに断られてしまった。
確かに太った藤原さんと痩せている藤原さんなら、痩せている方が良い。
お礼を言って、ケーキを食べた。
「それで藤原さん、話があるんだよね? 電話じゃ話せない話なの?」
ケーキを少しずつ食べながら、家に呼ばれた理由を聞いてみた。
「あっ、うん……怒らないで聞いてね」
「うん、怒らないよ」
フォークを皿に置くと、藤原さんが真剣な表情で見つめてきた。
藤原さんに何を言われて、絶対に怒ったりしない。
それどころかそんなに見つめられると、キスしたい衝動の方が抑えられない。
「神村君って……その……人間なの?」
「んっ? 人間?」
聞きにくそうに聞かれたけど、怒る前に意味が分からなかった。
聞き返してみると、藤原さんが両手を振って慌て始めた。
「いいの! 無理に聞くつもりはないから!」
「えーっと、藤原さん……とりあえず落ち着いて話そうか。質問の意味が分からないよ」
藤原さんの真似をして、両手の手の平を向けて、まぁまぁ落ち着こうとお願いした。
藤原さんが手を振るのをやめて、ゆっくり深呼吸すると落ち着いてくれた。
「う、うん、神村君、凄く強かったよね。宇宙人とか狼男とか吸血鬼なのかと思ったの。正体を隠して暮らしていたのに、私の所為でごめんね」
「うん、藤原さん。それ全然違うから」
「えっ、そうなの?」
ハッキリ否定すると、藤原さんの暗い表情が驚きに変わった。本気で言っていたみたいだ。
凄い想像力だけど、目の前で不良を瞬殺する俺を見たら、勘違いするのも無理ない。
「うん、正真正銘の普通の人間だよ。変身も出来ない、血も飲まない、ただの人間だよ」
「じゃあ、特殊な訓練を受けた……」
「特殊部隊の隊員でも、忍者の末裔でも、裏社会の暗殺者でもないよ」
藤原さんが言おうとしている事が分かったから、先にネットに書かれていた事を言った。
そういえば、宇宙人と狼男と吸血鬼も書かれていた。
「えっ、でも、普通の高校生はあんな事できないよ。刀とか車の運転とか」
信じやすいのか、騙されやすいのか、藤原さんは俺よりもネット情報を信じている。
真実は一つなのに複数の情報がある時点で、ネット情報は嘘の方が圧倒的に多い。
そんな素直なところが可愛いけど、言葉よりも実際に見てもらった方が早い。
「落ち着いて、言いたい事は分かっているから。今、証拠を見せるから……」
鞄の中から賽銭箱を取り出すと、右手に持って藤原さんに見せた。
「この賽銭箱は魔法の賽銭箱なんだ。五円玉を入れて願いを言うと願いが叶うんだよ」
「……神村君、私、そんなに子供じゃないよ。サンタクロースがいないのも知ってるんだから」
賽銭箱の力を説明すると、藤原さんが頬を少し膨らませて怒っている。
可愛いけど、嘘じゃないと証明できる。
「じゃあ、俺がサンタクロースになるよ。欲しい物の写真とか見せてくれれば、それをプレゼントするよ」
「んー、そこまで言うなら……ちょっと待ってて」
全然信じてないけど、藤原さんがポケットから白いスマホを取り出して調べ始めた。
飛行機とビル以外なら、プレゼントできると思うよ。
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