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最終章 旅立ち編
第30話 (明日香パート)
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「ごめんなさい。私、斎藤さんの事を誤解していたみたいです。てっきり薫君を奴隷のようにこき使う最低の親戚だと思ってしまって……これからは仲良くしてください」
(これは謝っていると見た方がいいのか、ぶん殴った方がいいのか、分からないわね)
七瀬さんが薫と話して、抱き合った後に私に謝りにきました。どう考えても何かの作戦だとしか思えません。ここは仲良くするフリをして様子を見るしかありません。
「ふっふ…七瀬さんが思っているような事は一度もした事はないわよ。それに会うのは年に数回しかないのよ。奴隷にしたくても出来ないわよ」
「あれ…? じゃあ、駅前で手を繋いでいたのは本当に久し振りに会ったから、たまたまそうしてただけなんですか⁈ 私、毎日のようにやりまくっているかと思っていました」
「七瀬さん、やっぱり私に喧嘩売ってるわよね? ハッキリ言ってよ。私の事、嫌いなんでしょう?」
「そんな事ないです。私、斎藤さんの事、全然嫌いなんかじゃありません。本当に仲良くなりたいと思っているのに酷いです。薫君~、斎藤さんが意地悪するよぉ~」
隣で黙って聞いていた薫に泣きつきます。隙があればすぐに薫にベタベタくっ付いて離れません。
(薫の前だからって、嘘ばっかり)
前言撤回です。こんな性悪女とはフリでも仲良く出来ません。きっと身体を使わないと薫の気も引けない哀れな女なんです。薫の精神教育上、良くない影響を与えるので、さっさと別れさせるべきです。
「七瀬さんは言いたくないようだけど、私はあなたの事が嫌い。薫の彼女だからって、人前でベタベタ、イチャイチャと見せつけるようにして、くっ付いて離れない。ハッキリ言って私はあなたのように身体を使う女が嫌いなの。同じ女として見っともないとしか思えないわ」
「自分に魅力がないからって、私に八つ当たりしないでくださいよ。薫君に女として見向きもされないのは可哀想だと思いますけど、私には関係ないじゃないですか」
確かに私の見た目はボーイッシュ系です。髪は肩まで伸ばしていますが、ゴム紐で結べば男の子に見られる事もあります。でも、スポーツで鍛えた引き締まった身体と胸の大きさなら、目の前のペタンコには勝っています。
「何が魅力が無いよ! 自分は胸ペタンの癖に!」
「ふっふ…残念ながらありますよ。ねぇ、薫君。私の胸があるか触って確かめてくれないかな? 斎藤さんが私が胸ペタンだって酷い事言うんだよ。ねぇ~ねぇ~、触って?」
七瀬さんは自分の胸を持ち上げて、薫に触るように迫っていきます。こんな痴女相手に私の薫はデレデレ、デレデレと本当にだらしないです。
「えっ~と、そのぉ~、あっははは////」
薫は困ったように笑っていますが、手は胸に触ろうと伸びていきます。
ジィーーー。
「薫、分かっていると思うけど、触ったらへし折るわよ」
ピッタと、薫は手を止めると、名残惜しそうに手を引っ込めていきました。私の言葉が冗談じゃないのが伝わって無駄な手間が省けてよかったです。
「う…うん。分かってるよ。七瀬さんもいつまでも明日香と喧嘩せずに仲良くしようね。今日は皆んなで一緒の部屋で寝るんだから」
「えっ~~、一緒なのは薫君だけがいいなぁ~」
またです。どうせ一緒が良いのは、部屋じゃなくて布団の中です。でも、今度の薫はデレデレしませんでした。
「ごめんね。予算の都合でそれは無理なんだ。貯金もほとんど無くなりかけているから、次に泊まりがけの旅行に行くとしたら、冬休みになると思うんだ。だから、最初の旅行は2人に仲良くなってもらう為に用意したんだけど、ごめんね。無理矢理仲良くさせようとしても、そんなの無理だったよね。2人の気持ちも考えずに無神経だったね。もう無理しなくていいから」
薫がそんな気持ちで旅行を計画していたなんて気づきませんでした。ただ自分の事が好きな女の子を2人連れ回して、あれやこれやと楽しみたいだけだと、私は変な勘違いをしてしまいました。
「うううん…薫君が悪い訳じゃないよ。私が悪いの。薫君と2人っきりの旅行だと思って凄く楽しみにしていたから…それで斎藤さんに八つ当たりしてたの。前は遠くからチラッと見ただけで分かんなかったけど、近くで見たら斎藤さん、凄く綺麗で可愛いから負けちゃうと焦っちゃって、ついつい意地悪したの。2人とも、ごめんなさい」
七瀬さんが私と薫に頭を下げて謝ります。確かに彼女も薫の被害者です。せっかくの旅行に私のような邪魔者がいたら、怒るのも当然です。でも、それは私も同じです。ちょっとは私のように我慢して欲しかったです。
「はいはい。もういいですよ。結局は二股かける薫が1番悪いんだから。七瀬さんは全然悪くないよ。薫と一緒がいいのなら、私はソファーとか床で寝るから気にしないで」
「ありがとう、斎藤さん。本当は良い人なんだね。それなのに、意地悪ばかりして、ごめんなさい」
「いいのよ。私の事は置き物だと思っていいから、2人で楽しんで…」
(ずっと起きて見ててやるんだから。私が見ている前で出来るならやってみなさいよ)
本当は全力で邪魔するつもりです。私はまだ薫とそんな深い男女の関係になるつもりは微塵もありません。でも、薫が誰かに寝取られるのはどうしても我慢できませんでした。
(これは謝っていると見た方がいいのか、ぶん殴った方がいいのか、分からないわね)
七瀬さんが薫と話して、抱き合った後に私に謝りにきました。どう考えても何かの作戦だとしか思えません。ここは仲良くするフリをして様子を見るしかありません。
「ふっふ…七瀬さんが思っているような事は一度もした事はないわよ。それに会うのは年に数回しかないのよ。奴隷にしたくても出来ないわよ」
「あれ…? じゃあ、駅前で手を繋いでいたのは本当に久し振りに会ったから、たまたまそうしてただけなんですか⁈ 私、毎日のようにやりまくっているかと思っていました」
「七瀬さん、やっぱり私に喧嘩売ってるわよね? ハッキリ言ってよ。私の事、嫌いなんでしょう?」
「そんな事ないです。私、斎藤さんの事、全然嫌いなんかじゃありません。本当に仲良くなりたいと思っているのに酷いです。薫君~、斎藤さんが意地悪するよぉ~」
隣で黙って聞いていた薫に泣きつきます。隙があればすぐに薫にベタベタくっ付いて離れません。
(薫の前だからって、嘘ばっかり)
前言撤回です。こんな性悪女とはフリでも仲良く出来ません。きっと身体を使わないと薫の気も引けない哀れな女なんです。薫の精神教育上、良くない影響を与えるので、さっさと別れさせるべきです。
「七瀬さんは言いたくないようだけど、私はあなたの事が嫌い。薫の彼女だからって、人前でベタベタ、イチャイチャと見せつけるようにして、くっ付いて離れない。ハッキリ言って私はあなたのように身体を使う女が嫌いなの。同じ女として見っともないとしか思えないわ」
「自分に魅力がないからって、私に八つ当たりしないでくださいよ。薫君に女として見向きもされないのは可哀想だと思いますけど、私には関係ないじゃないですか」
確かに私の見た目はボーイッシュ系です。髪は肩まで伸ばしていますが、ゴム紐で結べば男の子に見られる事もあります。でも、スポーツで鍛えた引き締まった身体と胸の大きさなら、目の前のペタンコには勝っています。
「何が魅力が無いよ! 自分は胸ペタンの癖に!」
「ふっふ…残念ながらありますよ。ねぇ、薫君。私の胸があるか触って確かめてくれないかな? 斎藤さんが私が胸ペタンだって酷い事言うんだよ。ねぇ~ねぇ~、触って?」
七瀬さんは自分の胸を持ち上げて、薫に触るように迫っていきます。こんな痴女相手に私の薫はデレデレ、デレデレと本当にだらしないです。
「えっ~と、そのぉ~、あっははは////」
薫は困ったように笑っていますが、手は胸に触ろうと伸びていきます。
ジィーーー。
「薫、分かっていると思うけど、触ったらへし折るわよ」
ピッタと、薫は手を止めると、名残惜しそうに手を引っ込めていきました。私の言葉が冗談じゃないのが伝わって無駄な手間が省けてよかったです。
「う…うん。分かってるよ。七瀬さんもいつまでも明日香と喧嘩せずに仲良くしようね。今日は皆んなで一緒の部屋で寝るんだから」
「えっ~~、一緒なのは薫君だけがいいなぁ~」
またです。どうせ一緒が良いのは、部屋じゃなくて布団の中です。でも、今度の薫はデレデレしませんでした。
「ごめんね。予算の都合でそれは無理なんだ。貯金もほとんど無くなりかけているから、次に泊まりがけの旅行に行くとしたら、冬休みになると思うんだ。だから、最初の旅行は2人に仲良くなってもらう為に用意したんだけど、ごめんね。無理矢理仲良くさせようとしても、そんなの無理だったよね。2人の気持ちも考えずに無神経だったね。もう無理しなくていいから」
薫がそんな気持ちで旅行を計画していたなんて気づきませんでした。ただ自分の事が好きな女の子を2人連れ回して、あれやこれやと楽しみたいだけだと、私は変な勘違いをしてしまいました。
「うううん…薫君が悪い訳じゃないよ。私が悪いの。薫君と2人っきりの旅行だと思って凄く楽しみにしていたから…それで斎藤さんに八つ当たりしてたの。前は遠くからチラッと見ただけで分かんなかったけど、近くで見たら斎藤さん、凄く綺麗で可愛いから負けちゃうと焦っちゃって、ついつい意地悪したの。2人とも、ごめんなさい」
七瀬さんが私と薫に頭を下げて謝ります。確かに彼女も薫の被害者です。せっかくの旅行に私のような邪魔者がいたら、怒るのも当然です。でも、それは私も同じです。ちょっとは私のように我慢して欲しかったです。
「はいはい。もういいですよ。結局は二股かける薫が1番悪いんだから。七瀬さんは全然悪くないよ。薫と一緒がいいのなら、私はソファーとか床で寝るから気にしないで」
「ありがとう、斎藤さん。本当は良い人なんだね。それなのに、意地悪ばかりして、ごめんなさい」
「いいのよ。私の事は置き物だと思っていいから、2人で楽しんで…」
(ずっと起きて見ててやるんだから。私が見ている前で出来るならやってみなさいよ)
本当は全力で邪魔するつもりです。私はまだ薫とそんな深い男女の関係になるつもりは微塵もありません。でも、薫が誰かに寝取られるのはどうしても我慢できませんでした。
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