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第2章 恋愛編
第11話 (明日香パート)
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薫に彼女が出来てしまった。
(どんな子なんだろう?)
こんな時に別々の学校に通っていると相手の事が分からないから少し不安になってしまう。
(もしかしたら、見た目が良いだけで性格最悪の子かもしれない。薫がホテルで皿洗いのバイトをしているのを知って、金づるにしようとしているのかも! だってそこまでカッコよくないし。中の上ぐらいだし…)
よく考えれば知り合って3ヶ月程度で薫を好きになる女の子がいるとは思えません。冷静になって考えれば、おかしな点が一杯ありました。
「確か友達に薫と同じ学校に通っている子がいたはずだから聞いてみないと…」
中学校の同級生に頼めば、薫と仲がいい女友達ぐらいは分かるはずです。薫の為にも私の為にも知らないといけない事があるのです。
❇︎
「あっ…斎藤さん! 本当に久し振りだね。4ヶ月ぶりかな」
「うん、そうだね。それよりもお願いしていた事、何か分かったかなぁ?」
同じ中学校に通っていたバスケ部のチームメンバーに、薫の高校に通っている女の子がいました。薫とは別のクラスだったので調べるのに苦労したそうです。
「それなんだけど……特に仲が良い女の子は3人だけだったよ。その中で最近知り合ったばかりの女の子はこの2人だけだよ」
友達のスマホには2人の女性の画像が映っています。黒髪の大人しそうな女の子と茶髪のギャル系の女の子です。いかにも薫が騙されそうなタイプです。
「ありがとう。変な頼み事してごめんね」
「良いんだよぉ~。探偵みたいで楽しかったし。それよりも望月君と従姉弟だったなんて驚いたよ。なんで学校では隠してたの?
「ほら、それは従姉弟同士で比べられたくないからだよ。黙っててごめんね」
「まあ、なんとなく斎藤さんの気持ちは分かるよ。それよりも望月君に彼女かぁ~……ちょっと羨ましいなぁ~。私も彼氏欲しいよ」
やっぱり高校生になったら彼氏を作りたいと思うようです。それは男の子の薫も一緒なのかもしれません。強引に誘われて断り切れずに仕方なくOKしたのかもしれません。
「そうだね。私もお盆までに作りたいよ。それでどっちの女の子が怪しいと思う? この茶髪の女の子はどういう性格なのか分かる? 服装が派手とか男遊びが激しいとか、そんな感じの女の子じゃないよね」
人を見た目で判断しては駄目ですが、こっちの茶髪の女の子の方が悪そうなイメージに見えました。
「えっ~と……古谷萌花さんだね。分かるのは茶道部で実家が和菓子屋さんをやっているぐらいかな。男遊びが派手なんって噂は一度も聞いた事ないよ。どちらかというとそういう事にはキッチリしている感じかな」
「そうなんだ……」
(この子は違うのかも…見た目と違って中身はしっかりしているんだね。だとしたら、こっちの大人しそうな女の子かな)
女の子に告白されて私に相談するぐらいです。古谷さんのようなしっかりした女の子に告白されて不安になるとは思えません。だとしたら、付き合うのにもキスするのにも不安になる、もう1人の子になります。
「ねぇ、こっちの大人しそうな子はどんな子なのかな?」
「その子は私もよくは分からないけど…名前は七瀬明日香さんだよ。クラブ活動はしていないみたい。分かるのはそれぐらいかな。でも、斎藤さんも下の名前は明日香だったよね。なんか付き合ったら呼びづらそうだね」
「あっはは…そうだね」
(多分、この子で間違いないかも。なんだかそんな気がする。確かめるには薫に彼女の名前をさりげなく聞いて、教えてくれるか確かめるだけ)
❇︎
『デートは週に何回ぐらいがいいと思う?』
「そんなの分かる訳ないじゃない。まだ誰とも付き合った事ないんだから」
夜にまた薫からの相談のメールが来ていた。最近は頻繁に薫が連絡を送るようになった。私としては嬉しさ半分、悲しさ半分といった感じです。こっちは水泳部の練習で疲れていたので適当に返事を送る事にしました。
『7回』
「くっふふふふ…」
揶揄いメールを送ると少しだけスッキリしました。
ピロリーン。
『巫山戯ないでまともに答えてよ。実際に何回ぐらいがいいか教えてよ!』
すぐに返ってきたメールには、薫の必死さが込められていました。本当に困っているのだろう。しょうがないので少しだけ考えて返事を送る事にしました。
『3回未満。一緒にいる時間が多過ぎると私なら疲れちゃう。恋人以外とのプライベートな時間も大切だと思うよ』
「まあ、学生だと週末ぐらいしか、ゆっくりデートは出来ないだろうけどね」
ピロリーン。
『分かった。話し合って決める事にするよ。ありがとう…おやすみzzz』
「なっ!」
一方的に連絡をしておいて、要が済んだら寝ようとします。こっちも聞きたい事があるのに自分勝手な奴です。
『ねぇ、彼女の名前を教えてよ。写真とかないの? 見せてよ!』
今度はこっちの質問に答えてもらう番です。すぐに返ってこなかったので寝ていたと思っていたら、3分後にメールと画像が送られてきました。
『これが彼女のシンディ・キンバリー。じゃあ…おやすみzzz』
「むぅ~~……そう来たか。絶対に教えないつもりだな。だったら意地でも調べてやるんだから」
どう見ても送られてきた画像の女性は外国人です。真面目に答えるつもりはないようです。やっぱり私に知られるとマズいのかもしれません。
(どんな子なんだろう?)
こんな時に別々の学校に通っていると相手の事が分からないから少し不安になってしまう。
(もしかしたら、見た目が良いだけで性格最悪の子かもしれない。薫がホテルで皿洗いのバイトをしているのを知って、金づるにしようとしているのかも! だってそこまでカッコよくないし。中の上ぐらいだし…)
よく考えれば知り合って3ヶ月程度で薫を好きになる女の子がいるとは思えません。冷静になって考えれば、おかしな点が一杯ありました。
「確か友達に薫と同じ学校に通っている子がいたはずだから聞いてみないと…」
中学校の同級生に頼めば、薫と仲がいい女友達ぐらいは分かるはずです。薫の為にも私の為にも知らないといけない事があるのです。
❇︎
「あっ…斎藤さん! 本当に久し振りだね。4ヶ月ぶりかな」
「うん、そうだね。それよりもお願いしていた事、何か分かったかなぁ?」
同じ中学校に通っていたバスケ部のチームメンバーに、薫の高校に通っている女の子がいました。薫とは別のクラスだったので調べるのに苦労したそうです。
「それなんだけど……特に仲が良い女の子は3人だけだったよ。その中で最近知り合ったばかりの女の子はこの2人だけだよ」
友達のスマホには2人の女性の画像が映っています。黒髪の大人しそうな女の子と茶髪のギャル系の女の子です。いかにも薫が騙されそうなタイプです。
「ありがとう。変な頼み事してごめんね」
「良いんだよぉ~。探偵みたいで楽しかったし。それよりも望月君と従姉弟だったなんて驚いたよ。なんで学校では隠してたの?
「ほら、それは従姉弟同士で比べられたくないからだよ。黙っててごめんね」
「まあ、なんとなく斎藤さんの気持ちは分かるよ。それよりも望月君に彼女かぁ~……ちょっと羨ましいなぁ~。私も彼氏欲しいよ」
やっぱり高校生になったら彼氏を作りたいと思うようです。それは男の子の薫も一緒なのかもしれません。強引に誘われて断り切れずに仕方なくOKしたのかもしれません。
「そうだね。私もお盆までに作りたいよ。それでどっちの女の子が怪しいと思う? この茶髪の女の子はどういう性格なのか分かる? 服装が派手とか男遊びが激しいとか、そんな感じの女の子じゃないよね」
人を見た目で判断しては駄目ですが、こっちの茶髪の女の子の方が悪そうなイメージに見えました。
「えっ~と……古谷萌花さんだね。分かるのは茶道部で実家が和菓子屋さんをやっているぐらいかな。男遊びが派手なんって噂は一度も聞いた事ないよ。どちらかというとそういう事にはキッチリしている感じかな」
「そうなんだ……」
(この子は違うのかも…見た目と違って中身はしっかりしているんだね。だとしたら、こっちの大人しそうな女の子かな)
女の子に告白されて私に相談するぐらいです。古谷さんのようなしっかりした女の子に告白されて不安になるとは思えません。だとしたら、付き合うのにもキスするのにも不安になる、もう1人の子になります。
「ねぇ、こっちの大人しそうな子はどんな子なのかな?」
「その子は私もよくは分からないけど…名前は七瀬明日香さんだよ。クラブ活動はしていないみたい。分かるのはそれぐらいかな。でも、斎藤さんも下の名前は明日香だったよね。なんか付き合ったら呼びづらそうだね」
「あっはは…そうだね」
(多分、この子で間違いないかも。なんだかそんな気がする。確かめるには薫に彼女の名前をさりげなく聞いて、教えてくれるか確かめるだけ)
❇︎
『デートは週に何回ぐらいがいいと思う?』
「そんなの分かる訳ないじゃない。まだ誰とも付き合った事ないんだから」
夜にまた薫からの相談のメールが来ていた。最近は頻繁に薫が連絡を送るようになった。私としては嬉しさ半分、悲しさ半分といった感じです。こっちは水泳部の練習で疲れていたので適当に返事を送る事にしました。
『7回』
「くっふふふふ…」
揶揄いメールを送ると少しだけスッキリしました。
ピロリーン。
『巫山戯ないでまともに答えてよ。実際に何回ぐらいがいいか教えてよ!』
すぐに返ってきたメールには、薫の必死さが込められていました。本当に困っているのだろう。しょうがないので少しだけ考えて返事を送る事にしました。
『3回未満。一緒にいる時間が多過ぎると私なら疲れちゃう。恋人以外とのプライベートな時間も大切だと思うよ』
「まあ、学生だと週末ぐらいしか、ゆっくりデートは出来ないだろうけどね」
ピロリーン。
『分かった。話し合って決める事にするよ。ありがとう…おやすみzzz』
「なっ!」
一方的に連絡をしておいて、要が済んだら寝ようとします。こっちも聞きたい事があるのに自分勝手な奴です。
『ねぇ、彼女の名前を教えてよ。写真とかないの? 見せてよ!』
今度はこっちの質問に答えてもらう番です。すぐに返ってこなかったので寝ていたと思っていたら、3分後にメールと画像が送られてきました。
『これが彼女のシンディ・キンバリー。じゃあ…おやすみzzz』
「むぅ~~……そう来たか。絶対に教えないつもりだな。だったら意地でも調べてやるんだから」
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