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第四十八話 不良になった
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『二発で地面に倒してやった。泣きながら地面食べてた』
「がっははは! 酷え奴だな。友達に土食べさせるなんて」
「でも、超加速の体当たり二発だぜ。前はただの体当たり一発で倒れていたのに成長してやがる。いや、進行しているの間違いか」
「どっちでもいいよ。根性のある子供じゃねえか。見直したぜ」
ドラゴン倒してやることないから、冒険者ギルドに遊びに来た。
受付に座って、小さなコップの美味しい飲み物を飲みながら、みんなにレナスの話をした。
「ピーちゃん、やりすぎるのも駄目なのよ。将来家にこもって、働かない大人になるんだから」
『そうなの? それは困る。どうしたらいいの?』
治療したつもりなのに、あれじゃあ別の病気になるみたいだ。
お姉さんに注意されたので、次に何をしたらいいのか聞いてみた。
そしたら、怖いおじさんが教えてくれた。
「そんなの簡単だぜ。家から追い出せばいいんだよ。死ぬか働くか、どっちか自分で選ばせるんだよ」
でも、これも駄目らしい。
「馬鹿言ってんじゃないわよ。子供相手に出来るわけないでしょ」
「イテテテ! フローラちゃん、冗談だって!」
お姉さんにおじさんが頬っぺたつねられて痛がっている。
「いい、ピーちゃん。まずは仲直りよ。今度こそ古代の森で果物取ってきて、その子にちょっとだけ分けて、残りはこっちに持ってきてね」
『分かった。そうする』
お姉さんにしっかり返事すると扉に向かって逃げた。
今度失敗したら僕もタダじゃ済まない。
どんな目に遭うかと思うと震えが止まらない。
『さっさと取ってこよ』
羽根をピーンと伸ばすと目的地に向かって飛んだ。
♢♢♢
果物狩りを終わらせると、まずは冒険者ギルドに果物を届けた。
お姉さんが喜んで、僕の姿が描かれた討伐依頼書を破り捨ててくれた。
「冗談よ」と笑いながら言っていたけど、本気と冗談の違いが分からなかった。
『ふぅー、食って寝たい』
急ぐ必要がなくなったから、のんびりレナスの家に飛んでいく。
果物一個で仲直りできるから単純で分かりやすい。
しばらくは村で日向ぼっこして、グゥーたらして過ごそう。
村に着くと黒い屋根に白い壁の家に向かった。
目立ちたいのかレナスの家だけ色が塗られている。
他の家は色は塗らずに木の色をしている。
『帰ってきたぞ』
軽く窓を叩いて教えてやった。
ベッドから降りて、土下座になるまで時間がいる。
『ん?』
待ってあげているのにまったく中から音がしない。
慌てて土下座すると思っていたのに、まったくの無反応だ。
土下座せずにベッドに寝ているつもりだ。
また土食べたいみたいだけど、今日は果物を持ってきた。
今日はこれを食べてもらう。窓を持ち上げて中に入った。
『あれ?』
よく見るとベッドには誰もいなかった。
いつもベッドに寝ているから、いるのが当たり前になっていた。
多分、トイレか風呂場で血を飲んでいる。
部屋の扉を頑張って開けると家の中を飛び回った。
すると、泣いているお母さんを台所で見つけた。
『どうしたの?』
「ピーちゃん……?」
声をかけると赤い目で振り向いた。
「それがレナスが家出してから帰らないのよ。二、三日で帰るって書いてあったのにもう四日よ。何かあったんじゃないかと心配で心配で」
『…………』
ヤバイ。僕のせいだ。家にこもらずに山にこもりに行ったみたい。
『だ、大丈夫。僕が探して連れてくる。これお土産。食べて』
収納袋から変な果物を取り出してテーブルに急いで置いた。
「ありがとう、ピーちゃん。あの人は吸血鬼の治療方法を探しているみたいで連絡は取れないし、私一人じゃどうすることも出来ないし」
なんか言ってるけど、どこ探せばいいんだろ?
死体になっていたら隠した方がいいのかな?
とりあえず近くの鳥に聞いてみよ。
『ねえ、フードかぶった変な子供見なかった?』
『見たよ。飛ぶのが下手な子供だよね?』
『違う違う。フードかぶった飛べない子供探している』
『う~~ん、じゃあ見たことない』
『ねえ、フードかぶった変な子供見なかった?』
『ああ、あれだろ。何日か前に見たぞ。あっちの方に飛んでいったぞ』
『違う違う。飛べない子供探している。飛べる子供じゃない』
『だったら知らないな』
色んな鳥に聞いてみたけど、飛べる子供の話ばかりだった。
背中に翼があるなら飛べると思うけど、お姉さんに『ヤバイ奴の背中に翼が生えた』と言ったら、「それは圧倒的な表現力が見せる幻ねえ」と言われた。
たしかに翼が見えたのは一瞬だった。その後は見えなかった。
『仕方ない。お姉さんのところに行こう』
討伐依頼は無理でも、捜索依頼は出してくれると思う。
グゥーたらしようと思ったのに、レナスのせいだ。
見つかったら果物を口の中に詰め込んでやる。
「あら、ピーちゃん。もう仲直りしてきたの?」
街まで全速力で飛んできたからヘトヘトだ。
いつものドリンクを注文すると、クチバシにコップを咥えて一気に飲み干した。
『ふぅー、生き返った!』
おじさん達の真似だ。死んでないけど生き返った。
『違う。家出していた。お母さん、泣いていた。探すの手伝ってほしい』
「あー、それはヤバイわね。それは【不良】よ」
『不良? それってヤバイの?』
なんか知らない言葉が出てきた。また変な病気にかかったみたいだ。
「不良はヤバイわよ。街にもいるけど、人の物は盗むわ、人を襲うわ、やりたい放題よ」
『不良、ヤバイ。なんで誰も怒らないの?』
「フフッ。でもね、兵士に捕まったら牢屋に連れて行かれるのよ。人には話せられないような酷い罰を受けることになるんだから」
『それって土食べるよりも酷いこと?』
「土なんて食事みたいなものよ。ピーちゃんなら羽根をむしられて、クチバシを切り落とされて、脚も切り落とされるわね。その後は」
『ピィーー‼︎ 酷い罰だ!』
不良も怖いけど、兵士の罰はもっと怖い。
そんな罰に遭うなら不良なんてなりたくない。
なる人の頭はどうかしている。あっ、ヤバイ人がなるから不良なんだ。
だったらレナスが不良になるのは間違いない。
しかも僕のせいでなったのなら、僕まで責任取らせられる。
それはヤバイ。兵士に捕まるのは嫌だ。
『兵士よりも前に急いで探して! お金なら払うから!』
「毎度あり、ピーちゃん。その子の特徴と名前教えてちょうだい。すぐに見つけてあげるわよ」
『分かった!』
白い髪、フードローブ、子供、剣を持っていると教えると、支払う金額を聞かれた。
多いほど早く見つけるらしいから、収納袋から有り金全部取り出した。
僕の方はレナスの村の近くにある町か村で不良が現れてないか聞き込みだ。
「がっははは! 酷え奴だな。友達に土食べさせるなんて」
「でも、超加速の体当たり二発だぜ。前はただの体当たり一発で倒れていたのに成長してやがる。いや、進行しているの間違いか」
「どっちでもいいよ。根性のある子供じゃねえか。見直したぜ」
ドラゴン倒してやることないから、冒険者ギルドに遊びに来た。
受付に座って、小さなコップの美味しい飲み物を飲みながら、みんなにレナスの話をした。
「ピーちゃん、やりすぎるのも駄目なのよ。将来家にこもって、働かない大人になるんだから」
『そうなの? それは困る。どうしたらいいの?』
治療したつもりなのに、あれじゃあ別の病気になるみたいだ。
お姉さんに注意されたので、次に何をしたらいいのか聞いてみた。
そしたら、怖いおじさんが教えてくれた。
「そんなの簡単だぜ。家から追い出せばいいんだよ。死ぬか働くか、どっちか自分で選ばせるんだよ」
でも、これも駄目らしい。
「馬鹿言ってんじゃないわよ。子供相手に出来るわけないでしょ」
「イテテテ! フローラちゃん、冗談だって!」
お姉さんにおじさんが頬っぺたつねられて痛がっている。
「いい、ピーちゃん。まずは仲直りよ。今度こそ古代の森で果物取ってきて、その子にちょっとだけ分けて、残りはこっちに持ってきてね」
『分かった。そうする』
お姉さんにしっかり返事すると扉に向かって逃げた。
今度失敗したら僕もタダじゃ済まない。
どんな目に遭うかと思うと震えが止まらない。
『さっさと取ってこよ』
羽根をピーンと伸ばすと目的地に向かって飛んだ。
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果物狩りを終わらせると、まずは冒険者ギルドに果物を届けた。
お姉さんが喜んで、僕の姿が描かれた討伐依頼書を破り捨ててくれた。
「冗談よ」と笑いながら言っていたけど、本気と冗談の違いが分からなかった。
『ふぅー、食って寝たい』
急ぐ必要がなくなったから、のんびりレナスの家に飛んでいく。
果物一個で仲直りできるから単純で分かりやすい。
しばらくは村で日向ぼっこして、グゥーたらして過ごそう。
村に着くと黒い屋根に白い壁の家に向かった。
目立ちたいのかレナスの家だけ色が塗られている。
他の家は色は塗らずに木の色をしている。
『帰ってきたぞ』
軽く窓を叩いて教えてやった。
ベッドから降りて、土下座になるまで時間がいる。
『ん?』
待ってあげているのにまったく中から音がしない。
慌てて土下座すると思っていたのに、まったくの無反応だ。
土下座せずにベッドに寝ているつもりだ。
また土食べたいみたいだけど、今日は果物を持ってきた。
今日はこれを食べてもらう。窓を持ち上げて中に入った。
『あれ?』
よく見るとベッドには誰もいなかった。
いつもベッドに寝ているから、いるのが当たり前になっていた。
多分、トイレか風呂場で血を飲んでいる。
部屋の扉を頑張って開けると家の中を飛び回った。
すると、泣いているお母さんを台所で見つけた。
『どうしたの?』
「ピーちゃん……?」
声をかけると赤い目で振り向いた。
「それがレナスが家出してから帰らないのよ。二、三日で帰るって書いてあったのにもう四日よ。何かあったんじゃないかと心配で心配で」
『…………』
ヤバイ。僕のせいだ。家にこもらずに山にこもりに行ったみたい。
『だ、大丈夫。僕が探して連れてくる。これお土産。食べて』
収納袋から変な果物を取り出してテーブルに急いで置いた。
「ありがとう、ピーちゃん。あの人は吸血鬼の治療方法を探しているみたいで連絡は取れないし、私一人じゃどうすることも出来ないし」
なんか言ってるけど、どこ探せばいいんだろ?
死体になっていたら隠した方がいいのかな?
とりあえず近くの鳥に聞いてみよ。
『ねえ、フードかぶった変な子供見なかった?』
『見たよ。飛ぶのが下手な子供だよね?』
『違う違う。フードかぶった飛べない子供探している』
『う~~ん、じゃあ見たことない』
『ねえ、フードかぶった変な子供見なかった?』
『ああ、あれだろ。何日か前に見たぞ。あっちの方に飛んでいったぞ』
『違う違う。飛べない子供探している。飛べる子供じゃない』
『だったら知らないな』
色んな鳥に聞いてみたけど、飛べる子供の話ばかりだった。
背中に翼があるなら飛べると思うけど、お姉さんに『ヤバイ奴の背中に翼が生えた』と言ったら、「それは圧倒的な表現力が見せる幻ねえ」と言われた。
たしかに翼が見えたのは一瞬だった。その後は見えなかった。
『仕方ない。お姉さんのところに行こう』
討伐依頼は無理でも、捜索依頼は出してくれると思う。
グゥーたらしようと思ったのに、レナスのせいだ。
見つかったら果物を口の中に詰め込んでやる。
「あら、ピーちゃん。もう仲直りしてきたの?」
街まで全速力で飛んできたからヘトヘトだ。
いつものドリンクを注文すると、クチバシにコップを咥えて一気に飲み干した。
『ふぅー、生き返った!』
おじさん達の真似だ。死んでないけど生き返った。
『違う。家出していた。お母さん、泣いていた。探すの手伝ってほしい』
「あー、それはヤバイわね。それは【不良】よ」
『不良? それってヤバイの?』
なんか知らない言葉が出てきた。また変な病気にかかったみたいだ。
「不良はヤバイわよ。街にもいるけど、人の物は盗むわ、人を襲うわ、やりたい放題よ」
『不良、ヤバイ。なんで誰も怒らないの?』
「フフッ。でもね、兵士に捕まったら牢屋に連れて行かれるのよ。人には話せられないような酷い罰を受けることになるんだから」
『それって土食べるよりも酷いこと?』
「土なんて食事みたいなものよ。ピーちゃんなら羽根をむしられて、クチバシを切り落とされて、脚も切り落とされるわね。その後は」
『ピィーー‼︎ 酷い罰だ!』
不良も怖いけど、兵士の罰はもっと怖い。
そんな罰に遭うなら不良なんてなりたくない。
なる人の頭はどうかしている。あっ、ヤバイ人がなるから不良なんだ。
だったらレナスが不良になるのは間違いない。
しかも僕のせいでなったのなら、僕まで責任取らせられる。
それはヤバイ。兵士に捕まるのは嫌だ。
『兵士よりも前に急いで探して! お金なら払うから!』
「毎度あり、ピーちゃん。その子の特徴と名前教えてちょうだい。すぐに見つけてあげるわよ」
『分かった!』
白い髪、フードローブ、子供、剣を持っていると教えると、支払う金額を聞かれた。
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