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第十七話 調査クエストだから大丈夫
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「ねえ、ピーちゃん……」
『なに?』
聞きたくないけど、聞かないと駄目だよね。
窓枠で野菜を食べているピーちゃんに思い切って聞いてみた。
「僕の病気が治ったら、ピーちゃんはどうするの?」
『嬉しい』
「ん~~、そういうことじゃなくて。家から出て行くとか、友達やめるとかしないの?」
『しないよ。美味しいご飯食べられるから』
うん、僕の家は食堂じゃないよ。もちろん宿屋でもないよ。
とりあえずペットという名の友達付き合いは続けてくれるみたいだ。
嬉しいけど、ちょっと微妙だ。美味しいご飯ならお金払えば街でも食べられる。
案外、ピーちゃんから友達解消される日は近いかもしれない。
『ごちそうさま。ポイント分けて』
ご飯を食べ終わるとピーちゃんが言ってきた。
【種族:ブルーバード レベル19 筋力24 耐久19 敏捷40 器用6 知力7 魔力10 運7 残りポイント6 『バードストライク習得』『超加速習得』】
レベルが1しか上がっていない。石を拾ってきただけだからだろうか。
やっぱり激しい戦いじゃないと、レベルは大きく上がらないみたいだ。
とりあえずバランスよく上げるよりは、敏捷に6だ。
攻撃が当たった時の為に耐久上げるよりも、当たらないように敏捷上げた方がいい。
これからは全部敏捷に使おう。
「ピーちゃん、上げておいたよ」
『やれやれ敏捷だけか』
文句があるなら自分で上げなよ。出来るんでしょ。
「それでピーちゃんは次はどんな採取クエストするの? 魔竜石、全部取ったからもう取れないでしょ」
気を取り直して、今度の予定を聞いてみた。
『採取はもうしない。討伐クエストする。F級やる』
ピーちゃん、身の程をわきまえるように言ったよね。
まぐれでG級達成できたようなものなんだから、やるとしてもF級じゃなくてG級からだよ。
『……うん、分かった。そうする』
僕の説得が効いたみたいだ。素直に聞いてくれた。
知力を上げる必要はなさそうだね。
♢♢♢
コツコツ、コツコツ。
『は、激しい戦いだった……』
ピーちゃん、言ったよね。頷いたよね。
三日後、ボロボロのピーちゃんが窓を開けられない状態で帰ってきた。
窓を押し上げると、窓枠で力尽きた。
ゆっくり玄関から外に出ると、花壇から竜薬草を一本引っこ抜いた。
「ピーちゃん、薬草だよ」
『ぐぅぅぅ! マ、マズイ』
「食べられるだけ感謝しないと駄目だよ。それで何してきたの? 討伐クエストしてきたんでしょ」
採取でこんな怪我はしない。僕との約束を破って討伐クエストしてきた証拠だ。
『男には、絶対に、負けられない、戦いがあるんだ』
「ボロボロで言う台詞じゃないね」
ピーちゃん、また一羽根剥けてきたの。瞳に強い意思を込めて言ってきた。
レベルを見ればどんなことしてきたのか分かるけど、一応先に話を聞くね。
万が一の採取の可能性もあるから。
♢♢♢
ちょっと回復するとピーちゃんがゆっくり話し始めた。
家を出発するとまずは冒険者ギルドに向かったそうだ。
そこで僕との約束どおりに採取クエストを探してもらったそうだ。
「F級の果物採取クエストがあるわよ。ピーちゃんなら一日で終わりそうね。どうかしら?」
『う~~ん、野菜も飽きたからそれでいいかな』
ピーちゃん、分かっていると思うけど、個人的に貰う分は四人分だけでいいからね。
それ以上貰ってきた時は僕の村の人達に配るんだよ。
お母さん、大変だったって言ってたからね。
「じゃあ決定ね。場所はちょっと遠い山の中にあるけど、魔物はいないから安心して採取できるわよ。あっ、【調査クエスト】も近くにあるのね。……良かったら、ついでにそっちもやってみない? 空から調べれば何か見つかるかもしれないし、何も見つからなくても問題ないわよ」
『じゃあやってみる。討伐じゃないなら大丈夫』
どうやらこれが怪我の原因みたいだ。
ピーちゃんにどんな調査クエストなのか聞いてみた。
調査クエストとは、ようするに見回りのようなものらしい。
何か変なところはないか、怪我した人や落とし物がないか調べる仕事だ。
今回頼まれたのは山の中にダンジョンがあるので、それに関係した調査になる。
ダンジョンの外に出た魔物はいないか、襲われている人はいないか、だけの簡単な調査だ。
聞いた話だけなら怪我する可能性は低そうだ。
『うん、これ美味しい』
冒険者ギルドを出発すると、無事に迷子にもならずに目的地に到着したそうだ。
見つけた果物は美味しい【ストロベリー】だったそうだ。
収納袋から取り出してもらった小指大の小さな赤い実は【ラズベリー】だった。
まあ、形も似ているし、同じだと言ってもいいかな。
『面倒臭い。疲れた』
採取クエストはこの天然産のラズベリーを集める仕事だ。
クチバシで枝から実をもぎ取っては収納袋に入れていく。
受付のお姉さんにたくさん欲しいと言われたので、頑張って入れていく。
でも、さすがに疲れた。休みがてら調査することにした。
木から飛び立つと周辺をぐるぐる飛んでみた。
近くに村も町もなく、ただただ緑の自然が広がっているだけの山だ。
退屈だと思いつつ、ピーちゃんは頑張って調べ回ったそうだ。
そこでまさかの出会いがあった。
『アイツがいる』
そう、アイツが山にいたのだ。
『なに?』
聞きたくないけど、聞かないと駄目だよね。
窓枠で野菜を食べているピーちゃんに思い切って聞いてみた。
「僕の病気が治ったら、ピーちゃんはどうするの?」
『嬉しい』
「ん~~、そういうことじゃなくて。家から出て行くとか、友達やめるとかしないの?」
『しないよ。美味しいご飯食べられるから』
うん、僕の家は食堂じゃないよ。もちろん宿屋でもないよ。
とりあえずペットという名の友達付き合いは続けてくれるみたいだ。
嬉しいけど、ちょっと微妙だ。美味しいご飯ならお金払えば街でも食べられる。
案外、ピーちゃんから友達解消される日は近いかもしれない。
『ごちそうさま。ポイント分けて』
ご飯を食べ終わるとピーちゃんが言ってきた。
【種族:ブルーバード レベル19 筋力24 耐久19 敏捷40 器用6 知力7 魔力10 運7 残りポイント6 『バードストライク習得』『超加速習得』】
レベルが1しか上がっていない。石を拾ってきただけだからだろうか。
やっぱり激しい戦いじゃないと、レベルは大きく上がらないみたいだ。
とりあえずバランスよく上げるよりは、敏捷に6だ。
攻撃が当たった時の為に耐久上げるよりも、当たらないように敏捷上げた方がいい。
これからは全部敏捷に使おう。
「ピーちゃん、上げておいたよ」
『やれやれ敏捷だけか』
文句があるなら自分で上げなよ。出来るんでしょ。
「それでピーちゃんは次はどんな採取クエストするの? 魔竜石、全部取ったからもう取れないでしょ」
気を取り直して、今度の予定を聞いてみた。
『採取はもうしない。討伐クエストする。F級やる』
ピーちゃん、身の程をわきまえるように言ったよね。
まぐれでG級達成できたようなものなんだから、やるとしてもF級じゃなくてG級からだよ。
『……うん、分かった。そうする』
僕の説得が効いたみたいだ。素直に聞いてくれた。
知力を上げる必要はなさそうだね。
♢♢♢
コツコツ、コツコツ。
『は、激しい戦いだった……』
ピーちゃん、言ったよね。頷いたよね。
三日後、ボロボロのピーちゃんが窓を開けられない状態で帰ってきた。
窓を押し上げると、窓枠で力尽きた。
ゆっくり玄関から外に出ると、花壇から竜薬草を一本引っこ抜いた。
「ピーちゃん、薬草だよ」
『ぐぅぅぅ! マ、マズイ』
「食べられるだけ感謝しないと駄目だよ。それで何してきたの? 討伐クエストしてきたんでしょ」
採取でこんな怪我はしない。僕との約束を破って討伐クエストしてきた証拠だ。
『男には、絶対に、負けられない、戦いがあるんだ』
「ボロボロで言う台詞じゃないね」
ピーちゃん、また一羽根剥けてきたの。瞳に強い意思を込めて言ってきた。
レベルを見ればどんなことしてきたのか分かるけど、一応先に話を聞くね。
万が一の採取の可能性もあるから。
♢♢♢
ちょっと回復するとピーちゃんがゆっくり話し始めた。
家を出発するとまずは冒険者ギルドに向かったそうだ。
そこで僕との約束どおりに採取クエストを探してもらったそうだ。
「F級の果物採取クエストがあるわよ。ピーちゃんなら一日で終わりそうね。どうかしら?」
『う~~ん、野菜も飽きたからそれでいいかな』
ピーちゃん、分かっていると思うけど、個人的に貰う分は四人分だけでいいからね。
それ以上貰ってきた時は僕の村の人達に配るんだよ。
お母さん、大変だったって言ってたからね。
「じゃあ決定ね。場所はちょっと遠い山の中にあるけど、魔物はいないから安心して採取できるわよ。あっ、【調査クエスト】も近くにあるのね。……良かったら、ついでにそっちもやってみない? 空から調べれば何か見つかるかもしれないし、何も見つからなくても問題ないわよ」
『じゃあやってみる。討伐じゃないなら大丈夫』
どうやらこれが怪我の原因みたいだ。
ピーちゃんにどんな調査クエストなのか聞いてみた。
調査クエストとは、ようするに見回りのようなものらしい。
何か変なところはないか、怪我した人や落とし物がないか調べる仕事だ。
今回頼まれたのは山の中にダンジョンがあるので、それに関係した調査になる。
ダンジョンの外に出た魔物はいないか、襲われている人はいないか、だけの簡単な調査だ。
聞いた話だけなら怪我する可能性は低そうだ。
『うん、これ美味しい』
冒険者ギルドを出発すると、無事に迷子にもならずに目的地に到着したそうだ。
見つけた果物は美味しい【ストロベリー】だったそうだ。
収納袋から取り出してもらった小指大の小さな赤い実は【ラズベリー】だった。
まあ、形も似ているし、同じだと言ってもいいかな。
『面倒臭い。疲れた』
採取クエストはこの天然産のラズベリーを集める仕事だ。
クチバシで枝から実をもぎ取っては収納袋に入れていく。
受付のお姉さんにたくさん欲しいと言われたので、頑張って入れていく。
でも、さすがに疲れた。休みがてら調査することにした。
木から飛び立つと周辺をぐるぐる飛んでみた。
近くに村も町もなく、ただただ緑の自然が広がっているだけの山だ。
退屈だと思いつつ、ピーちゃんは頑張って調べ回ったそうだ。
そこでまさかの出会いがあった。
『アイツがいる』
そう、アイツが山にいたのだ。
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