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第十五話 お父さんの頼み事
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激しい戦いを乗り越えたピーちゃんは一休みすることにした。
竜薬草を食べて、傷だらけの身体を日向ぼっこで治療している。
土下座から解放された僕もベッドで横になった。
この日はちょうどお父さんが帰ってくる日だ。
ピーちゃんの大冒険をお父さんに話そうと思う。
僕と同じで絶対に嘘だと思うはずだ。
コンコン。
「はーい」
ベッドで横になっていると扉を叩く音が聞こえた。
返事をすると扉が開いて、お父さんが入ってきた。
「おかえり、お父さん」
「ただいま。元気そうで良かったよ。やあ、ピーちゃんもいたんだね」
『ふぅー、激しい戦いだった』
「ん?」
ピーちゃん、それはもういいよ。窓の外の遠くの方を見つめないでいいよ。
ほら、お父さんが困った顔になっているよ。
「よく分かんないけど、ピーちゃんにお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」
『聞くだけならいいよ』
ピーちゃん、それもうやめた方がいいよ。
カッコつけているみたいだけど、超ウザいだけだよ。
あと窓の外見ないで、お父さんの方を見て話そうか。
窓の外には誰もいないよね。
「それは良かった。前にピーちゃんが持ってきたドラゴンのウンチが大量に欲しいんだよ。どうしても欲しい物があるんだけど、高くて買えないんだよ」
『ああ、アレ。いいよ』
頼む方も頼む方だけど、受ける方も受ける方だね。
また安請け合いしている。
「お父さん、欲しい物って何?」
とりあえず聞いてみた。灰色ドラゴンは危険な魔物だ。
ロクデモない物が欲しいなら、ピーちゃんの命が危険だと説明して諦めてもらおう。
「ん~~、内緒にしたかったんだけど仕方ないか。レナスの病気を治せるかもしれない薬があるんだよ」
『だったらやるしかないね』
ピーちゃん、さっきやるって言ったばかりだよ。もう忘れちゃったの。
「お父さん、その薬本当なの? 治せる薬は無いってお医者さんが言ってたよね?」
「ん、あぁ、そ、そうだったな。でも、大丈夫だ! お父さんが行商を始めたのは、治療方法を見つけようと思ったからだ。それが見つかったんだ! もう大丈夫だぞ!」
「本当かなぁ~? 悪い人に騙されているんじゃないの?」
「ハッハハハ。騙されていたとしても次を探すさ。ピーちゃん、ドラゴンのウンチ頼んだよ」
『任せといて』
お父さん動揺しているし、なんか怪しい話っぽいな。
まあ、ウンチのお金で買えるならいいかな。タダだし。
「ピーちゃん、ウンチ取っていいか冒険者ギルドで聞くんだよ。勝手に取ると怒られるからね」
『分かってる。聞こうと思ってた』
本当かなぁ~。怪しいけどピーちゃんを信じることにした。
その日の夜ご飯は久し振りにお父さん、お母さん、僕、ついでにピーちゃんの四人で食べた。
お父さんの仕事の話を聞きたかったけど、ピーちゃんの激しい戦いが披露された。
何故なら大量の食べかけ野菜が晩ご飯に登場したからだ。
白くてトロトロのシチューの中には細切れにされた野菜達が大量に沈んでいる。
明日はカレーかもしれない。
お母さんの仕事は農家手伝いだから、普段から野菜には困っていない。
ピーちゃん、今度からはクエストで食べ物貰える報酬だった時は人数分だけ貰ってきてね。
三百人分はマジ死ぬよ。
♢♢♢
「うぅぅ……食べすぎで死にそう」
ピーちゃんのせいで夜中に起きてしまった。
フラフラと部屋から出てトイレに向かっていく。
「他に方法はないの? もっと別の方法があるんじゃないの?」
「あるかもしれないけど、レナスには時間がないんだ。方法を選んでいる場合じゃない」
お父さん達の部屋から話し声が聞こえてきた。僕の話をしているみたいだ。
立ち聞きしているのを見つかると怒られるけど、僕の話だからいいよね。
「でも、最近は竜薬草のお陰で元気になっているじゃない。このまま食べ続けていれば元気になるかもしれないでしょ」
「確かに顔色は良くなっている。でも、良くなると信じて待つなんて出来るか? レナスに一生恨まれてもいい。私は父親としての責任を果たしたいんだ」
「でも、あの子が人間じゃなくなるなんて……」
「大丈夫だ。ピーちゃんもいる。僕達もいる。きっと上手くいく。僕を信じてくれ」
「そ、そうね……」
駄目だ、もう限界だ。トイレに行かないと別の理由で怒られる。
立ち聞きを諦めてトイレに急いだ。
竜薬草を食べて、傷だらけの身体を日向ぼっこで治療している。
土下座から解放された僕もベッドで横になった。
この日はちょうどお父さんが帰ってくる日だ。
ピーちゃんの大冒険をお父さんに話そうと思う。
僕と同じで絶対に嘘だと思うはずだ。
コンコン。
「はーい」
ベッドで横になっていると扉を叩く音が聞こえた。
返事をすると扉が開いて、お父さんが入ってきた。
「おかえり、お父さん」
「ただいま。元気そうで良かったよ。やあ、ピーちゃんもいたんだね」
『ふぅー、激しい戦いだった』
「ん?」
ピーちゃん、それはもういいよ。窓の外の遠くの方を見つめないでいいよ。
ほら、お父さんが困った顔になっているよ。
「よく分かんないけど、ピーちゃんにお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」
『聞くだけならいいよ』
ピーちゃん、それもうやめた方がいいよ。
カッコつけているみたいだけど、超ウザいだけだよ。
あと窓の外見ないで、お父さんの方を見て話そうか。
窓の外には誰もいないよね。
「それは良かった。前にピーちゃんが持ってきたドラゴンのウンチが大量に欲しいんだよ。どうしても欲しい物があるんだけど、高くて買えないんだよ」
『ああ、アレ。いいよ』
頼む方も頼む方だけど、受ける方も受ける方だね。
また安請け合いしている。
「お父さん、欲しい物って何?」
とりあえず聞いてみた。灰色ドラゴンは危険な魔物だ。
ロクデモない物が欲しいなら、ピーちゃんの命が危険だと説明して諦めてもらおう。
「ん~~、内緒にしたかったんだけど仕方ないか。レナスの病気を治せるかもしれない薬があるんだよ」
『だったらやるしかないね』
ピーちゃん、さっきやるって言ったばかりだよ。もう忘れちゃったの。
「お父さん、その薬本当なの? 治せる薬は無いってお医者さんが言ってたよね?」
「ん、あぁ、そ、そうだったな。でも、大丈夫だ! お父さんが行商を始めたのは、治療方法を見つけようと思ったからだ。それが見つかったんだ! もう大丈夫だぞ!」
「本当かなぁ~? 悪い人に騙されているんじゃないの?」
「ハッハハハ。騙されていたとしても次を探すさ。ピーちゃん、ドラゴンのウンチ頼んだよ」
『任せといて』
お父さん動揺しているし、なんか怪しい話っぽいな。
まあ、ウンチのお金で買えるならいいかな。タダだし。
「ピーちゃん、ウンチ取っていいか冒険者ギルドで聞くんだよ。勝手に取ると怒られるからね」
『分かってる。聞こうと思ってた』
本当かなぁ~。怪しいけどピーちゃんを信じることにした。
その日の夜ご飯は久し振りにお父さん、お母さん、僕、ついでにピーちゃんの四人で食べた。
お父さんの仕事の話を聞きたかったけど、ピーちゃんの激しい戦いが披露された。
何故なら大量の食べかけ野菜が晩ご飯に登場したからだ。
白くてトロトロのシチューの中には細切れにされた野菜達が大量に沈んでいる。
明日はカレーかもしれない。
お母さんの仕事は農家手伝いだから、普段から野菜には困っていない。
ピーちゃん、今度からはクエストで食べ物貰える報酬だった時は人数分だけ貰ってきてね。
三百人分はマジ死ぬよ。
♢♢♢
「うぅぅ……食べすぎで死にそう」
ピーちゃんのせいで夜中に起きてしまった。
フラフラと部屋から出てトイレに向かっていく。
「他に方法はないの? もっと別の方法があるんじゃないの?」
「あるかもしれないけど、レナスには時間がないんだ。方法を選んでいる場合じゃない」
お父さん達の部屋から話し声が聞こえてきた。僕の話をしているみたいだ。
立ち聞きしているのを見つかると怒られるけど、僕の話だからいいよね。
「でも、最近は竜薬草のお陰で元気になっているじゃない。このまま食べ続けていれば元気になるかもしれないでしょ」
「確かに顔色は良くなっている。でも、良くなると信じて待つなんて出来るか? レナスに一生恨まれてもいい。私は父親としての責任を果たしたいんだ」
「でも、あの子が人間じゃなくなるなんて……」
「大丈夫だ。ピーちゃんもいる。僕達もいる。きっと上手くいく。僕を信じてくれ」
「そ、そうね……」
駄目だ、もう限界だ。トイレに行かないと別の理由で怒られる。
立ち聞きを諦めてトイレに急いだ。
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