病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?

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第十一話 竜薬草

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 翌日、ピーちゃんはすっかり元気になっていた。
 色んな薬草をかけ合わせて、品種改良しているとお母さんは言っていた。
 よく分からないけど、僕の病気も良くなるかもしれないらしい。
 そうなると良いんだけどね。

「あら、ピーちゃん。もうすっかり元気になったわね。やっぱりピーちゃんのあの肥料が効果あるみたいね。ピーちゃん、お願いがあるんだけど、またあの黒い石を拾ってきてくれない?」

 僕の朝ご飯を持ってきたお母さんが部屋に入ってくると、窓枠で日向ぼっこしているピーちゃんを見て言った。

『いいよ。取ってくる』
「ありがとう、ピーちゃん。ピーちゃんの朝ご飯も持ってくるわね」
『わぁーい』

 ピーちゃん、勇気の安売りも安請け合いも両方やめた方がいいよ。
 アイツにもうボロ負けしたの忘れたの?
 薬草で治せるのは怪我だけで、命は治せないんだからね。

 木の実とお肉を食べるとピーちゃんは喜んで旅立っていった。
 親指大のソーセージで命をかけるピーちゃんが僕は心配だよ。

『ただいま』

 心配すること数日、ピーちゃんが帰ってきた。
 今度は自分で窓を押し上げて部屋の中に入ってきた。

『楽勝だった。卵も返してきた』

 まだ返してなかったんだね。

『しばらくは採取をお願いしたいって、包帯お姉さんからお願いされた』
「へぇー、ピーちゃん人気者だね」

 包帯は冒険者ギルドのお姉さんが巻いてくれたんだね。
 きっと喧嘩も止めてくれたんだろうね。ピーちゃんの命の恩人だよ。

『でも断った。討伐クエスト受けてきた』
「!」

 ピーちゃん、なぜ断ったの? 人にも鳥にも向き不向きがあるんだよ。

『「おいおい、また採取か? チキンは討伐クエストの一つも出来ねえのかよ? 俺だったら恥ずかしくてギルドに来れねえよ」ってアイツが言ってきた! もう二度と言わせない‼︎』

 またアイツが原因なの。ピーちゃんがめちゃくちゃ怒っている。
 悪いこと言わないから、アイツには二度と関わらない方がいいよ。

「はぁー、それでどんなクエスト受けてきたの?」

 怒っているピーちゃんに何を言っても無駄だと、ため息を吐くと聞いてみた。

『【ブラックバードの討伐】受けてきた。畑の野菜食べられて大変だって言ってた』
「…………」

 それ、ピーちゃんが絶対受けたら駄目なクエストだよ。
 世界中の鳥を敵に回したいの? もう迷子になっても誰も助けてくれないよ。

【種族:ブルーバード レベル12 筋力19 耐久9 敏捷20 器用5 知力5 魔力4 運4 残りポイント6】

 とりあえず何を言っても無駄なので、レベルが2上がっていたピーちゃんのポイントを使った。
 敏捷よりも今は耐久を上げた方が良さそうだ。耐久に6分けて、15にしておいた。
 これで叩かれても、少しは痛くないはずだ。

「よし、ピーちゃん、特訓しようか」

 そして、さらに特訓で強くなれる。

『特訓もういい。二度としない。特訓嫌い』

 でも、ハッキリ断られてしまった。さすがは勇気のピーちゃんだ。
 でも、断るべきはクエストの方だよ。挑発に怒らない勇気だよ。

 一晩ゆっくり休むとピーちゃんは旅立っていった。
 部屋には取ってきた魔竜石がたくさん置かれている。
 臭くないけど、ここはトイレじゃないよ。

「うっ、すごく苦い……」

 お母さんが喜んで石を片付けてくれたので、僕は薬草を食べた。
 お母さんが花壇で育てた薬草で『竜薬草』と名付けたそうだ。
 これを食べ続ければ竜のように強くなれるそうだ。

「そうなるといいんだけどな」

 ベッドから立ち上がると窓の外の青空を見た。
 お母さんの言う通りになるのか、お医者さんの言う通りになるのか。
 僕はどっちを信じたらいいんだろうか。ピーちゃん、早く帰ってきてね。
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