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第七話 空飛ぶ灰色ドラゴン
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『あれがドラゴンかな?』
ピーちゃん、ドラゴン知らなかったんだね。だから来ちゃったんだね。
山の周りを飛び回る灰色の大きな鳥がたくさんいたんだって。
ピーちゃん、鳥とドラゴンは全然違うよ。僕でも知っているよ。
ドラゴンはとっても強くて、大きな翼が背中に生えた大きなトカゲだ。
口には鋭い牙が生えていて、しかも火まで吐くと言われている。
ドラゴンを倒した人は『勇者』や『英雄』と呼ばれる伝説の人になれるらしい。
それが『ドラゴン』だ。
『う~ん、穴がない。上の方かな?』
パタパタと山の下の方を探してみたけど、穴が見つからなかったそうだ。
でも、山の上の方はドラゴンが飛び回っている。とっても危険だ。
ピーちゃんの話し通りなら山は岩山だ。それも三角形の尖った岩山だ。
隠れられる場所はなかったそうだ。
だから、ピーちゃんは泥だらけになった。
泥で青い羽根を汚して茶色にして目立たないようにした。
ピーちゃん、賢い。これで安心だね。
『美味そうな鳥だな。食ってやる』
『‼︎』
と思ったのに、飛んでいるうちに泥が身体から取れちゃった。
そして、灰色子供ドラゴンに見つかってしまった。
大きさを聞いたら、縦にベッド1、横にベッド2、厚さはベッド1だった。
ドラゴンから見たらピーちゃんなんて、豆粒と同じだ。
お願いだから食べないで見逃してほしい。
『グオオォ!』
もちろんそれは無理なお願いだった。
ドラゴンが口を開けて襲いかかってきた。
食べられないようにピーちゃんは素早く避けると、ドラゴンの首から背中を通り抜けて、背中に隠れた。
それも茶色の魔法袋を頭から被った状態で。
『あの鳥、どこ行きやがった?』
ドラゴンはピーちゃんを見失ったみたいだ。小さくて良かったね、ピーちゃん。
しばらく飛び回ると探すのを諦めて、ドラゴンは山に空いてある無数の穴の一つに入った。
どうやら穴はドラゴンの巣穴みたいだ。
こんな危険な場所にピーちゃんを石拾いに行かせるなんて、冒険者ギルドは酷いところだ。
ピーちゃんの為にも、もう二度と行かないように言ってやる。
『ぐぅー、ぐぅー』
ドラゴンは巣穴に入ると、唸るようなイビキ声を上げて寝てしまった。
ピーちゃんにとっては逃げるチャンスだ。でも、ピーちゃんは逃げなかった。
このチャンスを石拾いを使った。僕ならきっと逃げると思う。
僕もピーちゃんの勇気を見習いたいな。
背中から暗い穴の中を探すと、すぐにドラゴンの近くに転がっている、たくさんの石ころを見つけた。
大きさは僕の頭ぐらいで、全体的に黒色で青、赤、黄、緑の光る粒々が入っている石ころだ。
ピーちゃんが袋から一つを取り出すと僕に見せてくれた。
記念に何個か持ってきたもので、僕に全部プレゼントしてくれるそうだ。
ピーちゃんの『勇気の証』だ。これを持っていると何だか勇気が出そうな気がするよ。
『ぐぅー、ぐぅー』
ドラゴンが寝ている間に巣穴の光る石を全部魔法袋に入れると、ピーちゃん脱出作戦が始まった。
外には飛び回るドラゴンがいる。見つかれば食べられちゃう。
ピーちゃんは覚悟を決めると巣穴から飛び出した。それも袋を被っていない状態でだ。
ピーちゃん、勇気の安売りはやめた方がいいよ。
『美味そうな鳥だな。食ってやる』
『駄目だ。あれは俺が食う』
『いいや、俺が食う。邪魔するな』
『邪魔なのはお前だ。お前から食うぞ』
これが正解だったみたいだね。ピーちゃん、ゴメンね。
ピーちゃんを誰が食べるかで、ドラゴンが言い争いを始めた。
その隙にピーちゃんは急降下した。
地面まで逃げると、その後は地面スレスレを飛んで逃げたそうだ。
もちろん袋は被っていない。ピーちゃん、運が良かっただけだからね。
次に同じことやったら帰れないからね。
こうやって無事にピーちゃんは冒険者ギルドに帰ってこれた。
でも、今度は行く前に僕に相談してね。
頼りにならないと思うけど、心配ぐらいは出来るから。
『鉱石取ってきた』
冒険者ギルドの扉が開いた瞬間に中に入ると、受付に止まってピーちゃんが報告した。
「あら、鳥さん。早かったのね。迷わずに山には行けた?」
『大丈夫、鳥に聞きながら行った。たくさんドラゴン飛んでた』
「ん? 子竜山のドラゴンは飛ばないわよ。大きい茶色のトカゲがいるだけで、翼がないから飛べないわよ」
『ピィ~~?』
ピ、ピーちゃん⁉︎ 可愛く鳴いても、首を傾げても駄目だよ。
道、というか山間違えたよね? 違う山行っちゃったんだよね。
「もしかして『灰竜山』に行っちゃった? 灰色の大きなドラゴンが飛んでいる山よ」
『うん、その山行った。大丈夫、次は間違えない』
お姉さんに聞かれて、ピーちゃんは自信満々に答えた。
その自信がどこから来るのか知りたい。
ピーちゃん、ドラゴン知らなかったんだね。だから来ちゃったんだね。
山の周りを飛び回る灰色の大きな鳥がたくさんいたんだって。
ピーちゃん、鳥とドラゴンは全然違うよ。僕でも知っているよ。
ドラゴンはとっても強くて、大きな翼が背中に生えた大きなトカゲだ。
口には鋭い牙が生えていて、しかも火まで吐くと言われている。
ドラゴンを倒した人は『勇者』や『英雄』と呼ばれる伝説の人になれるらしい。
それが『ドラゴン』だ。
『う~ん、穴がない。上の方かな?』
パタパタと山の下の方を探してみたけど、穴が見つからなかったそうだ。
でも、山の上の方はドラゴンが飛び回っている。とっても危険だ。
ピーちゃんの話し通りなら山は岩山だ。それも三角形の尖った岩山だ。
隠れられる場所はなかったそうだ。
だから、ピーちゃんは泥だらけになった。
泥で青い羽根を汚して茶色にして目立たないようにした。
ピーちゃん、賢い。これで安心だね。
『美味そうな鳥だな。食ってやる』
『‼︎』
と思ったのに、飛んでいるうちに泥が身体から取れちゃった。
そして、灰色子供ドラゴンに見つかってしまった。
大きさを聞いたら、縦にベッド1、横にベッド2、厚さはベッド1だった。
ドラゴンから見たらピーちゃんなんて、豆粒と同じだ。
お願いだから食べないで見逃してほしい。
『グオオォ!』
もちろんそれは無理なお願いだった。
ドラゴンが口を開けて襲いかかってきた。
食べられないようにピーちゃんは素早く避けると、ドラゴンの首から背中を通り抜けて、背中に隠れた。
それも茶色の魔法袋を頭から被った状態で。
『あの鳥、どこ行きやがった?』
ドラゴンはピーちゃんを見失ったみたいだ。小さくて良かったね、ピーちゃん。
しばらく飛び回ると探すのを諦めて、ドラゴンは山に空いてある無数の穴の一つに入った。
どうやら穴はドラゴンの巣穴みたいだ。
こんな危険な場所にピーちゃんを石拾いに行かせるなんて、冒険者ギルドは酷いところだ。
ピーちゃんの為にも、もう二度と行かないように言ってやる。
『ぐぅー、ぐぅー』
ドラゴンは巣穴に入ると、唸るようなイビキ声を上げて寝てしまった。
ピーちゃんにとっては逃げるチャンスだ。でも、ピーちゃんは逃げなかった。
このチャンスを石拾いを使った。僕ならきっと逃げると思う。
僕もピーちゃんの勇気を見習いたいな。
背中から暗い穴の中を探すと、すぐにドラゴンの近くに転がっている、たくさんの石ころを見つけた。
大きさは僕の頭ぐらいで、全体的に黒色で青、赤、黄、緑の光る粒々が入っている石ころだ。
ピーちゃんが袋から一つを取り出すと僕に見せてくれた。
記念に何個か持ってきたもので、僕に全部プレゼントしてくれるそうだ。
ピーちゃんの『勇気の証』だ。これを持っていると何だか勇気が出そうな気がするよ。
『ぐぅー、ぐぅー』
ドラゴンが寝ている間に巣穴の光る石を全部魔法袋に入れると、ピーちゃん脱出作戦が始まった。
外には飛び回るドラゴンがいる。見つかれば食べられちゃう。
ピーちゃんは覚悟を決めると巣穴から飛び出した。それも袋を被っていない状態でだ。
ピーちゃん、勇気の安売りはやめた方がいいよ。
『美味そうな鳥だな。食ってやる』
『駄目だ。あれは俺が食う』
『いいや、俺が食う。邪魔するな』
『邪魔なのはお前だ。お前から食うぞ』
これが正解だったみたいだね。ピーちゃん、ゴメンね。
ピーちゃんを誰が食べるかで、ドラゴンが言い争いを始めた。
その隙にピーちゃんは急降下した。
地面まで逃げると、その後は地面スレスレを飛んで逃げたそうだ。
もちろん袋は被っていない。ピーちゃん、運が良かっただけだからね。
次に同じことやったら帰れないからね。
こうやって無事にピーちゃんは冒険者ギルドに帰ってこれた。
でも、今度は行く前に僕に相談してね。
頼りにならないと思うけど、心配ぐらいは出来るから。
『鉱石取ってきた』
冒険者ギルドの扉が開いた瞬間に中に入ると、受付に止まってピーちゃんが報告した。
「あら、鳥さん。早かったのね。迷わずに山には行けた?」
『大丈夫、鳥に聞きながら行った。たくさんドラゴン飛んでた』
「ん? 子竜山のドラゴンは飛ばないわよ。大きい茶色のトカゲがいるだけで、翼がないから飛べないわよ」
『ピィ~~?』
ピ、ピーちゃん⁉︎ 可愛く鳴いても、首を傾げても駄目だよ。
道、というか山間違えたよね? 違う山行っちゃったんだよね。
「もしかして『灰竜山』に行っちゃった? 灰色の大きなドラゴンが飛んでいる山よ」
『うん、その山行った。大丈夫、次は間違えない』
お姉さんに聞かれて、ピーちゃんは自信満々に答えた。
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