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第2章・海賊編
第30話・海賊討伐の報酬
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「ヒィー!フゥー!ヒィー!フゥー!」
ギィコギィコ!とルインの両腕はもうパンパンになっています。休む事なく一晩中、船のオールを漕ぎ続けました。もう街の灯りは見えなくなりました。だって、とっくに太陽が昇ってしまっています。
「ハァハァ!はっはははは、やっと着いた。これで水が飲める!」
海賊船にあった食料と飲み物を少しばかり持ってきましたが、足りなかったようです。それに持ってきた飲み物もマズかったです。お酒を飲んだ状態で真っ直ぐに船を進める事は予想外に難しかったです。色んな意味でフラフラになりながら、ダリアの港にようやく到着しました。
ドォン!と普通に歩いていたのに、ルインは市場の買い物客と打つかってしまいました。キチンと前を見て歩いて欲しいものです。
「まったく朝からガキが酔っ払いやがって!気をつけて歩けよな!」
(同じ顔と同じ服の五つ子か?)
「ああ、駄目だ!今日は人が多過ぎる。通れる隙間もないよ」
打つかったおじさんに怒られてしまいました。それに五つ子ではなく、ただ単に酔っているので、おじさんがボヤけて5人に見えるだけです。ルインは酒には弱いようです。
(人も多いし疲れたし、気分も悪いし、少しだけ横になって寝ようかな?)
石畳の路の真ん中に横になると、すぐに寝てしまいました。通行人や買い物客が迷惑そうにルインを見ています。流石に邪魔です。数人の男達に手足を持ち上げられると市場の端に寝かせられました。
❇︎
「おい?おい?起きてくれよ!金はどうしたんだ?」
ペチペチと頬を叩きながらルインを起こそうとする男がいました。昨日会ったトレインという男のようです。残念ながら金貨は1枚も手に入りませんでした。当然、分け前は0です。何もあげる事は出来ません。
「んんっ……ちょっと寝ちゃったのか?すみません、今何時ですか?」
寝ボケているようです。目の前の男が誰だか分からないようです。
「何だ?酔っ払ってるのか?もうすぐ午後4時になるぞ。それよりもいくら貰えたんだ?10枚か、20枚か?」
(4時?……良かった。まだギルドが閉まるまで時間がある。さっさと行ってレベルを上げないとな。それと宿屋にも行かないとな。宿泊しないとバイキングが食べられないよ)
酔いが醒めて、少しずつ頭がハッキリとしてきました。でも、残りの所持金が少なくなっている事を忘れているようです。残りの金貨は2枚にまで減っています。クエストを受けて少しは所持金を増やす必要があります。
「急がないと……どうもありがとうございます」
「ちょっと!お金は?半分くれる約束でしょう!」
ルインは中央部に走っていきました。男の声はまったく届きませんでした。
(そういえば冒険者ギルドに入っても捕まらないのか?海賊とはいえ、人を沢山殺したんだ)
タッタッタッと駆け足でダリアの石畳の路を走り抜けます。よく考えると犯罪を起こした冒険者はギルドに行けば捕まります。ウェインが行けと言ったので、多分大丈夫でしょうが少しだけ心配になってしまいました。
(気にしてもしょうがないか。駄目なら駄目で、次の手を考えないといけないな。とりあえずは海に逃げれば捕まる事はないだろう)
そんな事を考えていると、冒険者ギルドに着いてしまいました。先に宿屋に行く予定でしたが、さっさと覚悟を決めて、大丈夫か確認した方が安心出来そうです。
キィィィ! 扉を開けるといつもの男性職員が入り口に立っていました。この時間帯が勤務時間のようです。
(あれは一昨日のレベル26の青年!クエストも受けていないのに、昨日の今日でまた来るなんて!)
確かに昨日の早朝に海賊討伐のクエストを受けようとギルドに来ましたが、普通職員はそんな事までチェックする必要はありません。どう考えても個人的な興味のようです。
「こんにちは。今日はクエストの受注ですか?それとも経験値ですか?」
「こんにちは。経験値を貰いに来ました。それと短時間で出来そうなクエストがあればやってみたいんですが、ありますか?」
「そうですねぇ~……まずは経験値を貰ってからでどうでしょうか?少しでもレベルアップすればそれだけ選べるクエストも増えると思います。さあ、あちらにどうぞ!」
(何だか、さっさとレベルアップさせたがっているようだけど、一昨日に遅くなってしまったからだろうな。迷惑をかけないように先に経験値を貰うか)
ナハティという名の男性ギルド職員に促されるままに小部屋に向かいました。
(海賊100人ぐらいは倒したけど、格下だったからレベル15ぐらいアップだろうな。さてと、さっさと創造神に祈らないとな……)
いつものように魔法陣の上に乗ると、創造神テロスに向かって祈り始めました。部屋に描かれている5つの魔法陣が赤く輝き始めました。
❇︎
(やはり遅い!もう10分は経っている!まさか、一昨日と同じでホイホイとレベルが20も上がているのか……)
ソワソワしながら、ルインが入っている小部屋の前を何度もナハティという職員が彷徨いています。国営ギルドでこんな職員がいたらすぐに上司に怒られてしまいますが、彼はこのギルドでも年長者で地位も高い方です。少しぐらいは許されるようです。
(ちょっとだけ部屋の中を見るぐらいなら問題ないだろう。もしかして、倒れている可能性もある。そうだ!10分も部屋から出て来ないのなら、倒れている可能性大だ!見よう!)
キィィィとそっと扉を開けて中を見るとまたしても信じられない光景が起きていました。
チャリン♪ チャリン♪ チャリン♪ 天井の魔法陣から金貨の雨が降り注いでいました。
「凄い!凄い!なんか知らないけど金貨が降ってくる。もしかして⁈この枚数はデレスの討伐報酬?」
降ってきた金貨を数えるとちょうど60枚ありました。海賊デレスの討伐報酬と同じ枚数です。
(今、デレスと言いましたか⁉︎金貨60枚……まさか!いや、ありえない。でも、ありえない事が目の前で起こっているのも事実。まさか、本当に……)
ルインのレベルはグングンアップしていきます。そして、レベル100を超えて、レベル129でやっと止まりました。明らかにデレスや海賊達を倒した経験値だけでは、こんなにレベルアップはしません。他にも何かありそうです。
「ここまで上がる理由がない……やっぱりこのパイシーズが原因だろうな。経験値を大量に与える宝石?さすがに違うだろう。だとしたら、デレスの異常なレベル変化と同じようなものかも」
ルインの場合は一時的なレベルアップではなさそうです。常時レベル129の力を発揮する事が出来るのならば、アンミリテッドを使えば魔法使いとも互角に戦う事が出来そうです。でも、クローリカがわざわざそんな危険な状況を用意するとは思えません。つまりはまだこの程度の力ならば余裕で押さえつける自信があるという事でしょう。
(考えるのは後でいい。まずは宿屋に行こう。ウェインに聞けば理由も分かるし、臨時収入も入った。クエストを無理に受ける必要もないな。時間も出来たし、レベルだけじゃなく少しは戦闘技術も上げないとな)
(マズイ!出るようです!)
ルインが部屋から出ようと扉の方を振り返りました。ナハティは急いで隣の小部屋に隠れました。コソコソと隠れて見ていたのがバレると、警戒されてしまうだけでなく、もしかすると口封じに消されてしまうかもしれません。
キィィィ、パァタンと扉の開く音が聞こえた後に閉まる音が聞こえました。ルインはロビーでナハティを探しましたがいませんでした。しばらく待っていましたが、現れません。ルインは諦めて冒険者ギルドを出ると宿屋に向かいました。今なら宿泊する事も晩ご飯を食べる事も出来そうです。
❇︎
ギィコギィコ!とルインの両腕はもうパンパンになっています。休む事なく一晩中、船のオールを漕ぎ続けました。もう街の灯りは見えなくなりました。だって、とっくに太陽が昇ってしまっています。
「ハァハァ!はっはははは、やっと着いた。これで水が飲める!」
海賊船にあった食料と飲み物を少しばかり持ってきましたが、足りなかったようです。それに持ってきた飲み物もマズかったです。お酒を飲んだ状態で真っ直ぐに船を進める事は予想外に難しかったです。色んな意味でフラフラになりながら、ダリアの港にようやく到着しました。
ドォン!と普通に歩いていたのに、ルインは市場の買い物客と打つかってしまいました。キチンと前を見て歩いて欲しいものです。
「まったく朝からガキが酔っ払いやがって!気をつけて歩けよな!」
(同じ顔と同じ服の五つ子か?)
「ああ、駄目だ!今日は人が多過ぎる。通れる隙間もないよ」
打つかったおじさんに怒られてしまいました。それに五つ子ではなく、ただ単に酔っているので、おじさんがボヤけて5人に見えるだけです。ルインは酒には弱いようです。
(人も多いし疲れたし、気分も悪いし、少しだけ横になって寝ようかな?)
石畳の路の真ん中に横になると、すぐに寝てしまいました。通行人や買い物客が迷惑そうにルインを見ています。流石に邪魔です。数人の男達に手足を持ち上げられると市場の端に寝かせられました。
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「おい?おい?起きてくれよ!金はどうしたんだ?」
ペチペチと頬を叩きながらルインを起こそうとする男がいました。昨日会ったトレインという男のようです。残念ながら金貨は1枚も手に入りませんでした。当然、分け前は0です。何もあげる事は出来ません。
「んんっ……ちょっと寝ちゃったのか?すみません、今何時ですか?」
寝ボケているようです。目の前の男が誰だか分からないようです。
「何だ?酔っ払ってるのか?もうすぐ午後4時になるぞ。それよりもいくら貰えたんだ?10枚か、20枚か?」
(4時?……良かった。まだギルドが閉まるまで時間がある。さっさと行ってレベルを上げないとな。それと宿屋にも行かないとな。宿泊しないとバイキングが食べられないよ)
酔いが醒めて、少しずつ頭がハッキリとしてきました。でも、残りの所持金が少なくなっている事を忘れているようです。残りの金貨は2枚にまで減っています。クエストを受けて少しは所持金を増やす必要があります。
「急がないと……どうもありがとうございます」
「ちょっと!お金は?半分くれる約束でしょう!」
ルインは中央部に走っていきました。男の声はまったく届きませんでした。
(そういえば冒険者ギルドに入っても捕まらないのか?海賊とはいえ、人を沢山殺したんだ)
タッタッタッと駆け足でダリアの石畳の路を走り抜けます。よく考えると犯罪を起こした冒険者はギルドに行けば捕まります。ウェインが行けと言ったので、多分大丈夫でしょうが少しだけ心配になってしまいました。
(気にしてもしょうがないか。駄目なら駄目で、次の手を考えないといけないな。とりあえずは海に逃げれば捕まる事はないだろう)
そんな事を考えていると、冒険者ギルドに着いてしまいました。先に宿屋に行く予定でしたが、さっさと覚悟を決めて、大丈夫か確認した方が安心出来そうです。
キィィィ! 扉を開けるといつもの男性職員が入り口に立っていました。この時間帯が勤務時間のようです。
(あれは一昨日のレベル26の青年!クエストも受けていないのに、昨日の今日でまた来るなんて!)
確かに昨日の早朝に海賊討伐のクエストを受けようとギルドに来ましたが、普通職員はそんな事までチェックする必要はありません。どう考えても個人的な興味のようです。
「こんにちは。今日はクエストの受注ですか?それとも経験値ですか?」
「こんにちは。経験値を貰いに来ました。それと短時間で出来そうなクエストがあればやってみたいんですが、ありますか?」
「そうですねぇ~……まずは経験値を貰ってからでどうでしょうか?少しでもレベルアップすればそれだけ選べるクエストも増えると思います。さあ、あちらにどうぞ!」
(何だか、さっさとレベルアップさせたがっているようだけど、一昨日に遅くなってしまったからだろうな。迷惑をかけないように先に経験値を貰うか)
ナハティという名の男性ギルド職員に促されるままに小部屋に向かいました。
(海賊100人ぐらいは倒したけど、格下だったからレベル15ぐらいアップだろうな。さてと、さっさと創造神に祈らないとな……)
いつものように魔法陣の上に乗ると、創造神テロスに向かって祈り始めました。部屋に描かれている5つの魔法陣が赤く輝き始めました。
❇︎
(やはり遅い!もう10分は経っている!まさか、一昨日と同じでホイホイとレベルが20も上がているのか……)
ソワソワしながら、ルインが入っている小部屋の前を何度もナハティという職員が彷徨いています。国営ギルドでこんな職員がいたらすぐに上司に怒られてしまいますが、彼はこのギルドでも年長者で地位も高い方です。少しぐらいは許されるようです。
(ちょっとだけ部屋の中を見るぐらいなら問題ないだろう。もしかして、倒れている可能性もある。そうだ!10分も部屋から出て来ないのなら、倒れている可能性大だ!見よう!)
キィィィとそっと扉を開けて中を見るとまたしても信じられない光景が起きていました。
チャリン♪ チャリン♪ チャリン♪ 天井の魔法陣から金貨の雨が降り注いでいました。
「凄い!凄い!なんか知らないけど金貨が降ってくる。もしかして⁈この枚数はデレスの討伐報酬?」
降ってきた金貨を数えるとちょうど60枚ありました。海賊デレスの討伐報酬と同じ枚数です。
(今、デレスと言いましたか⁉︎金貨60枚……まさか!いや、ありえない。でも、ありえない事が目の前で起こっているのも事実。まさか、本当に……)
ルインのレベルはグングンアップしていきます。そして、レベル100を超えて、レベル129でやっと止まりました。明らかにデレスや海賊達を倒した経験値だけでは、こんなにレベルアップはしません。他にも何かありそうです。
「ここまで上がる理由がない……やっぱりこのパイシーズが原因だろうな。経験値を大量に与える宝石?さすがに違うだろう。だとしたら、デレスの異常なレベル変化と同じようなものかも」
ルインの場合は一時的なレベルアップではなさそうです。常時レベル129の力を発揮する事が出来るのならば、アンミリテッドを使えば魔法使いとも互角に戦う事が出来そうです。でも、クローリカがわざわざそんな危険な状況を用意するとは思えません。つまりはまだこの程度の力ならば余裕で押さえつける自信があるという事でしょう。
(考えるのは後でいい。まずは宿屋に行こう。ウェインに聞けば理由も分かるし、臨時収入も入った。クエストを無理に受ける必要もないな。時間も出来たし、レベルだけじゃなく少しは戦闘技術も上げないとな)
(マズイ!出るようです!)
ルインが部屋から出ようと扉の方を振り返りました。ナハティは急いで隣の小部屋に隠れました。コソコソと隠れて見ていたのがバレると、警戒されてしまうだけでなく、もしかすると口封じに消されてしまうかもしれません。
キィィィ、パァタンと扉の開く音が聞こえた後に閉まる音が聞こえました。ルインはロビーでナハティを探しましたがいませんでした。しばらく待っていましたが、現れません。ルインは諦めて冒険者ギルドを出ると宿屋に向かいました。今なら宿泊する事も晩ご飯を食べる事も出来そうです。
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