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公園不倫デビュー

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 今日、私は仕事から帰ると、暗い家の中で2人の子供が泣いていた。真由子は家を出て行ったようだ。テーブルの上には婚約指輪と彼女の名前が書かれた離婚届けが置かれていた。

 私は真由子の電話に急いで連絡を取ろうとしたが、私の番号は着信拒否されているようだった。とりあえず今すぐにやらなければならない事は優愛と心愛を安心させる事だった。

 2人に急いで晩ご飯を用意して、寝かしつけると、私は少しだけ冷静になる事が出来た。そして、真由子の両親に連絡する事を決めた。

『拓也さん、ごめんなさいね。真由子はもう駄目みたいなの。しばらく、1人にしておけば落ち着くと思うから、その間は私達が優愛ちゃんと心愛ちゃんの面倒を見させてもらえないかしら?』

 電話越しに真由子の母親とゆっくりと話す事が出来た。どうやら前々から真由子は、私との離婚を両親に相談していたようだ。さすがに両親にも離婚したい本当の理由は話していないようだった。

『いえ、結構です。子供達の面倒は私1人でも見る事は出来ます。真由子から連絡があったら一度ゆっくり話そうと伝えてください。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。』

 これ以上、真由子の両親と会話すると、子供達があれこれ理由をつけられて真由子の両親に引き取られそうな気がしてならなかった。

 私のこれまでの我慢や苦労は優愛と心愛の為である。真由子が何度他の男に抱かれようと私は我慢して来た。それもこれも子供達に悲しい思いをさせたくなかったからだった。

 そして、遂に真由子は私のそんなささやかな願いさえも裏切り、子供達を捨てて出て行ってしまった。私は真由子が優愛と心愛を泣かせる事だけは許せなかった。

 ❇︎

 真由子の代わりはただただ大変だった。粉ミルクは何度も作った事はあった。オムツ交換する事も苦ではあったが我慢出来ないレベルではなかった。でも、仕事をしながら毎日続ける事は不可能に近かった。結局は保育園や私の両親に頼る結果になってしまった。

「あんたは気にせずに仕事して来なさい!それに可愛くないあんたを20年も育てるよりは、何倍もマシよ。お母さん達に感謝して、老後はたっぷりと仕送りするのよ!」

「あぁ…分かっているよ。」

「まったく~、真由子さんがいくら可愛いからって毎晩パンパン、バンバン無計画にやりまくるからこうなるのよ。もっと節約しなさい!お母さんが面倒見れるのは子供達の世話までなんですからね!あんたの夜のベッドの面倒までは見れませんからね!」

 これ以上、母親の頼子よりこの愚痴を聞いていると、仕事前に精神的に疲れ果ててしまうだろう。あと20年もすると真由子が私の母親のようなデリカシーの欠片もない女になると思うと、いま別れてしまった方が正解かもしれない。綺麗な姿の真由子を思い出の中でいつまでも大切にする事が出来るだろう。

 両親の協力、とくに専業主婦の母には感謝しなくてはならない。父と子供達の3人の面倒を見る事は、50代の母には大きな負担になっただろう。感謝の言葉では言い表せないほどだった。

(ボーナスが出たら、温泉旅館でもプレゼントするか。……流石に子供の教育費で海外旅行は無理だろうな。)

 5万円程度の夫婦揃っての温泉旅館を毎年2回プレゼントするだけで、3年近くも私と子供達は、母と、たまに父にお世話になる事が出来た。

 まあ、目の中に入れても可愛い孫娘の成長を、ほぼ毎日見る事が出来たのだ。こちらの方が感謝されてもいいかもしれない。

 そんな事を思い出しながら、来週には心愛が小学校に入学する日がやって来ようとしていた。妻が出て行ってから、早くも6年の月日が流れていた………。

 ◆

 夫の拓也から離れた私は、お腹の子供の父親であろう公園で知り合った立花祐樹たちばなゆうきのアパートを訪れていた。

 彼は最初、私が妊娠した事を告げると、とても驚いていた。その反応は十分に理解出来た。何故なら、彼は結婚して2歳の子供もいたのだから……。

「しばらくでいいの……仕事と住む場所を見つけたら、すぐに出て行くから安心して。」

 まだまだ就職したばかりの彼には貯金はほとんどなかった。彼は自分と奥さんの両親に金銭的な援助を受けながら、細々と子育てを頑張っていたのだ。ここに来ての私の存在は彼の人生を大きく狂わせる事になっただろう。

「真由さんの旦那さんに謝って何とかならないかな?ほら!見ての通り貧乏だから、俺と生活すると苦労するよ。……それに夜には優香ゆうかが帰って来るし、ごめん!中絶費用は出すから、何とかあとの事は真由さんが1人で頑張ってよ!本当にごめん!」

 彼に渡された現金はたったの10万円でした。これでどうやって中絶すればいいと思っているのでしょう。私は妊娠してもう16週目を迎えていました。部長や拓也と違って、彼は見た目通りにただただ若いだけの頼りない男性でした。
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