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第四話 雨月の祭り
雨月の祭り 完
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私たちは暫く祭りの町を歩くことになった。町は一の鳥居から楼門まで驚く程の露店に溢れ、商店もお祭りメニューを売っていたり、ラムネや飴を売り歩く妖怪が居たりもした。
町を歩くだけで、甘い綿菓子の香りや、くじ引きの結果に一喜一憂する子供の声、露店の売り文句、歩いた時に鳴る下駄の音、話し声などがいつも以上に町に色を添えていた。
「お、この前のあんちゃんじゃねえか」
「あ、経凛々さん」
彼のほんのり赤くした頬を見るときっと、飲んでいるのだろう。
「この前はお世話になりました」
仲直りしたのかと彼はどこか嬉しそうに言った。
「あんちゃん、初めての雨月祭はどうだい」
「いつも賑やかなのに以上に賑やかで、驚きました」
「そうだろ、この祭りの為に態々遠方からくる妖怪なんかもいるぜ。妖怪は祭り騒ぎが好きだからな」
「そうなのですか」
「嗚呼、ほら祭りでお面って見た事ないか。あれは人以外の者や神に扮する意味もあるらしいぜ。まぁ、お面を芸能が人気だったからって説もあるらしいが。要するに人間も妖怪も祭りの時はお互いに扮して楽しんでいた訳だ」
私はちょっと意外な豆知識を知った。経凛々は香果さんをちらりと見て私に小声で云った。
「ほら、店の料理を買って一緒に食べましょうと言えば香果様だって機嫌が良くなってモテるぜ。甘いもの負けてやるからさ」
「なんて、商売上手なんだ」
情けないとは自分でも思うが私はそれに乗せられて買ってしまった。お昼も過ぎていたのでお腹が空いていたのもあったが、負けてくれると言ったりんご飴が気泡が多くとにかくおいしそうだったのもある。
「香果様によろしく伝えておいてくれよ」
そう彼は言うと大盛りの焼きそばとりんご飴を二つずつ渡してくれた。
「香果さん、経凛々のさんのお店で買ったんだけれど、りんご飴をおまけで貰って。こんなに食べきれないから良かったら一緒にお昼でもどうかなって」
「本当かい。嬉しいよ」
香果さんは欲しかったおもちゃを買って貰った子供の様な反応をした。その反応が純粋に嬉しかった。
「私、お祭りのりんご飴や焼きそばが大好きなのだよ」
「なら良かった」
私達はは祭りの時に出ている臨時の椅子に座り焼きそばと飴を食べた。太くモチモチとした麺と程よい濃さのソースは覚さんが自信たっぷりな理由がすぐに解った。りんご飴は袋から取り出すと、りんごを覆うルビーが日の光を反射しキラリと輝いた。シャキシャキとしたりんごとパリッとした宝石が誰もがうっとりとするハーモニーを奏でていた。
「ご馳走様でした。八雲君ありがとう。とても美味しかったよ」
「僕も出店の焼きそばがこんなに美味しいとはびっくりしちゃったよ」
その後も私たちは射的や型抜きなどを楽しんだ。お化け屋敷にも入ったのだが、言葉通り本物のお化けしかいないのでちょっぴり怖かった。客も驚かす方も妖怪だらけで、上から落ちてくる人形を見た時は何故か少し安心した。
夕方も近くなってくるとふと彼の事が心配になった。
「そう言えば藤華さん達は大丈夫かな」
「多分、今頃酔っているだろうね」
香果さんははぁ、と今にもため息を出しそうであった。
「私も顔を出さなくてはいけないのだけれど、何せ酔っ払いばかりで。今日はこうやって抜け出したしてしまったから、尚、嫌な予感しかしないのだよね」
香果さんは口にこそ出していないが目は「やっぱり顔を出さないと駄目かい」と言っていた。
楽しい祭りもそこそこに直会の席に行く。部屋の襖を開けた途端に鼻がツンとした。
「うわっ、酒くさ」
恐る恐る後ろを見ると香果さんが「今回もかい」と言って静かにため息を吐いた。
席に誰一人として起きている者はおらず、皆酒を飲んでは眠っていた。彼は近くに居た藤華さんを軽く揺すった。
「藤華、起きてくれるかい。ほら、起きて」
「ん~。酔いすぎて旦那の幻覚を見てやがる」
「藤華、幻覚ではないから。ほら、起きて」
「ホントに旦那ですかい」
香果さんは息を軽く吐く。呆れて何も言えないらしい。
「一体どれだけ飲んだんだい。いつもより皆飲み過ぎだよ」
「ここだけの話しですぜ。そりゃ、旦那が居ないと言うので誰も咎めるものは癒せんから、無くなるまでみんなで。これを旦那に言っちゃ嫌ですぜ」
「全く」
私たちは酔っ払いを何とか無事に全員家に帰して一息を吐く。
藤華さんは猫になっているがまだすやすやと寝ている。
香果さんは袖から一片の菖蒲の花弁を唇で挟むと静かに息を吹きかけた。すると口元の花弁は何処かに消え、その代わりに物静かで賢そうな女性が居た。
また香果さんが同じようにもう一片も花弁に息を吹き込むと、同じように消えて今度はしっかりとした体形で爽やかな男性が姿を現した。
「申し訳ないのでけれど、此処の片付けを頼んでも良いかい」
二人は静かに頷くとゆっくりと片付けを始めた。
「八雲君。君も疲れただろう。屋敷に戻ってゆっくりしようか。勿論まだお祭りはやっているから遊んできても良いが如何するかい」
「僕も、帰ろうかな。お祭りは楽しかったけれど少し疲れちゃったし」
私たちは屋敷に戻った。
私は自分の部屋でごろりと休んでいたが何故か風に当たりたくて孫廂に出た。すると、少し奥で香果さんがぼんやりと月を眺めているのが目に入った。声を掛けようか、優男の趣味を邪魔しない方が良いか迷っていたら、彼が私に気付いたらしく静かに手を振った。
彼の処に行くと漆が艶やかに光る杯に月が映っていた。
「八雲君、何か食べるものでも持って来ようか」
「いや、大丈夫だよ」
そう言いながら私のお腹は素直に返事をした。
香果さんは少し可笑しそうに微笑むと、牡丹餅を持ってきてくれた。
一口食べると小豆の甘さともち米の甘さが上品に感じられて、しつこくない甘さが私の食べる手を止めさせなかった。
香果さんは少し嬉しそうに静かに笑む。
「八雲君が異形である私の事を受け入れてくれて友人で居てくれると解っていたらもっと早く打ち明けるべきだった」
香果さんは何処か淋しそうに呟いた。
「そんな事ないよ」
つい声を張ってしまった。彼は自分の呟きが聞こえていたのかと目を丸くした。
「黙っていて本当に申し訳なかった。これは我侭だけれどこれからも私の友人でいてくれるかい」
「勿論だよ」
「ありがとう、八雲君。これからもよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
雅やかで誰よりも優しい友人は私にも聞こえるかの声量でポツリと「いつかあの人にも会いたいなぁ」と零した。
私が絶対に会えるよと言おうと口を開いた。その途端、どこからか大きな音がした。
二人して音がした方を向くと黒猫が一升瓶を転がしていた。
「コラ、藤華」
名を呼ばれた酔い猫はふと目を上げる。
「だ、旦那」
「もう直会は終わったのだよ」
彼は直会が終わった事にも、香果さんがいる事にもびっくりして目をパチパチと見開く。どうやらさっきの件で目が覚めたらしい。
「だ、旦那違うんでっせ、これは」
「何が違うと言うのかい。暫くはお酒禁止だからね」
「そんな、旦那。それだけは勘弁してくだせえ」
「もう、駄目なものは駄目なのだよ」
香果さんはぷんぷんと全く迫力なく怒っている。
私はその光景を見て、何故か安心感を覚え笑ってしまった。
後日談としては、香果さんの目を盗んででもお酒を飲みたい藤華さん対絶対にお酒禁止期間はお酒を飲ませないように奮起する香果さんの戦いが暫く続いていた。
町を歩くだけで、甘い綿菓子の香りや、くじ引きの結果に一喜一憂する子供の声、露店の売り文句、歩いた時に鳴る下駄の音、話し声などがいつも以上に町に色を添えていた。
「お、この前のあんちゃんじゃねえか」
「あ、経凛々さん」
彼のほんのり赤くした頬を見るときっと、飲んでいるのだろう。
「この前はお世話になりました」
仲直りしたのかと彼はどこか嬉しそうに言った。
「あんちゃん、初めての雨月祭はどうだい」
「いつも賑やかなのに以上に賑やかで、驚きました」
「そうだろ、この祭りの為に態々遠方からくる妖怪なんかもいるぜ。妖怪は祭り騒ぎが好きだからな」
「そうなのですか」
「嗚呼、ほら祭りでお面って見た事ないか。あれは人以外の者や神に扮する意味もあるらしいぜ。まぁ、お面を芸能が人気だったからって説もあるらしいが。要するに人間も妖怪も祭りの時はお互いに扮して楽しんでいた訳だ」
私はちょっと意外な豆知識を知った。経凛々は香果さんをちらりと見て私に小声で云った。
「ほら、店の料理を買って一緒に食べましょうと言えば香果様だって機嫌が良くなってモテるぜ。甘いもの負けてやるからさ」
「なんて、商売上手なんだ」
情けないとは自分でも思うが私はそれに乗せられて買ってしまった。お昼も過ぎていたのでお腹が空いていたのもあったが、負けてくれると言ったりんご飴が気泡が多くとにかくおいしそうだったのもある。
「香果様によろしく伝えておいてくれよ」
そう彼は言うと大盛りの焼きそばとりんご飴を二つずつ渡してくれた。
「香果さん、経凛々のさんのお店で買ったんだけれど、りんご飴をおまけで貰って。こんなに食べきれないから良かったら一緒にお昼でもどうかなって」
「本当かい。嬉しいよ」
香果さんは欲しかったおもちゃを買って貰った子供の様な反応をした。その反応が純粋に嬉しかった。
「私、お祭りのりんご飴や焼きそばが大好きなのだよ」
「なら良かった」
私達はは祭りの時に出ている臨時の椅子に座り焼きそばと飴を食べた。太くモチモチとした麺と程よい濃さのソースは覚さんが自信たっぷりな理由がすぐに解った。りんご飴は袋から取り出すと、りんごを覆うルビーが日の光を反射しキラリと輝いた。シャキシャキとしたりんごとパリッとした宝石が誰もがうっとりとするハーモニーを奏でていた。
「ご馳走様でした。八雲君ありがとう。とても美味しかったよ」
「僕も出店の焼きそばがこんなに美味しいとはびっくりしちゃったよ」
その後も私たちは射的や型抜きなどを楽しんだ。お化け屋敷にも入ったのだが、言葉通り本物のお化けしかいないのでちょっぴり怖かった。客も驚かす方も妖怪だらけで、上から落ちてくる人形を見た時は何故か少し安心した。
夕方も近くなってくるとふと彼の事が心配になった。
「そう言えば藤華さん達は大丈夫かな」
「多分、今頃酔っているだろうね」
香果さんははぁ、と今にもため息を出しそうであった。
「私も顔を出さなくてはいけないのだけれど、何せ酔っ払いばかりで。今日はこうやって抜け出したしてしまったから、尚、嫌な予感しかしないのだよね」
香果さんは口にこそ出していないが目は「やっぱり顔を出さないと駄目かい」と言っていた。
楽しい祭りもそこそこに直会の席に行く。部屋の襖を開けた途端に鼻がツンとした。
「うわっ、酒くさ」
恐る恐る後ろを見ると香果さんが「今回もかい」と言って静かにため息を吐いた。
席に誰一人として起きている者はおらず、皆酒を飲んでは眠っていた。彼は近くに居た藤華さんを軽く揺すった。
「藤華、起きてくれるかい。ほら、起きて」
「ん~。酔いすぎて旦那の幻覚を見てやがる」
「藤華、幻覚ではないから。ほら、起きて」
「ホントに旦那ですかい」
香果さんは息を軽く吐く。呆れて何も言えないらしい。
「一体どれだけ飲んだんだい。いつもより皆飲み過ぎだよ」
「ここだけの話しですぜ。そりゃ、旦那が居ないと言うので誰も咎めるものは癒せんから、無くなるまでみんなで。これを旦那に言っちゃ嫌ですぜ」
「全く」
私たちは酔っ払いを何とか無事に全員家に帰して一息を吐く。
藤華さんは猫になっているがまだすやすやと寝ている。
香果さんは袖から一片の菖蒲の花弁を唇で挟むと静かに息を吹きかけた。すると口元の花弁は何処かに消え、その代わりに物静かで賢そうな女性が居た。
また香果さんが同じようにもう一片も花弁に息を吹き込むと、同じように消えて今度はしっかりとした体形で爽やかな男性が姿を現した。
「申し訳ないのでけれど、此処の片付けを頼んでも良いかい」
二人は静かに頷くとゆっくりと片付けを始めた。
「八雲君。君も疲れただろう。屋敷に戻ってゆっくりしようか。勿論まだお祭りはやっているから遊んできても良いが如何するかい」
「僕も、帰ろうかな。お祭りは楽しかったけれど少し疲れちゃったし」
私たちは屋敷に戻った。
私は自分の部屋でごろりと休んでいたが何故か風に当たりたくて孫廂に出た。すると、少し奥で香果さんがぼんやりと月を眺めているのが目に入った。声を掛けようか、優男の趣味を邪魔しない方が良いか迷っていたら、彼が私に気付いたらしく静かに手を振った。
彼の処に行くと漆が艶やかに光る杯に月が映っていた。
「八雲君、何か食べるものでも持って来ようか」
「いや、大丈夫だよ」
そう言いながら私のお腹は素直に返事をした。
香果さんは少し可笑しそうに微笑むと、牡丹餅を持ってきてくれた。
一口食べると小豆の甘さともち米の甘さが上品に感じられて、しつこくない甘さが私の食べる手を止めさせなかった。
香果さんは少し嬉しそうに静かに笑む。
「八雲君が異形である私の事を受け入れてくれて友人で居てくれると解っていたらもっと早く打ち明けるべきだった」
香果さんは何処か淋しそうに呟いた。
「そんな事ないよ」
つい声を張ってしまった。彼は自分の呟きが聞こえていたのかと目を丸くした。
「黙っていて本当に申し訳なかった。これは我侭だけれどこれからも私の友人でいてくれるかい」
「勿論だよ」
「ありがとう、八雲君。これからもよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
雅やかで誰よりも優しい友人は私にも聞こえるかの声量でポツリと「いつかあの人にも会いたいなぁ」と零した。
私が絶対に会えるよと言おうと口を開いた。その途端、どこからか大きな音がした。
二人して音がした方を向くと黒猫が一升瓶を転がしていた。
「コラ、藤華」
名を呼ばれた酔い猫はふと目を上げる。
「だ、旦那」
「もう直会は終わったのだよ」
彼は直会が終わった事にも、香果さんがいる事にもびっくりして目をパチパチと見開く。どうやらさっきの件で目が覚めたらしい。
「だ、旦那違うんでっせ、これは」
「何が違うと言うのかい。暫くはお酒禁止だからね」
「そんな、旦那。それだけは勘弁してくだせえ」
「もう、駄目なものは駄目なのだよ」
香果さんはぷんぷんと全く迫力なく怒っている。
私はその光景を見て、何故か安心感を覚え笑ってしまった。
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