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大好きな人 ※

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「あ、でも俺ゴムないわ……。まさかこうなるとは思ってなくて……」

 その言葉で少し緊張が和らいだ気がする。
 純粋に上条さんとの交際を止めるためだけに、私の元へ来てくれたのだということがわかって嬉しくなってしまう私は単純だろうか。

「私、持ってる……」
「は……え、なんで……」

 健斗の顔に僅かに見えた焦燥感。
 私が誰か別の人とそういう行為に興じるために、ゴムを持っているとでも思ったのだろうか。

「元々昔からポーチに入れてある。……使えるかな?」

 案の定、私のその発言に対して明らかにホッとしたような表情を浮かべている。
 コロコロと変わる表情が子犬のようで、面白い。

「使える……んじゃね? ……とりあえず貸して、着けてみるから」
「う、うん……」

 着けてみる、という言葉に思わず赤面してしまう。
 するとその様子を見た健斗も真っ赤になる。

「な、なんでそんな照れるんだよ」
「だって恥ずかしいんだもんっ!」
「これからもっと恥ずかしいことするのに?」

 私からゴムを受け取った健斗は口でその封を開けると、中身を取り出して装着する。
 その動作がなんだかいやらしい。

「とりあえず普通に使えそう」
「そ、それならよかった、です……」
「なんで敬語」
「き、緊張してるの……」

 すると健斗は再び緊張をほぐすかのように、私の額や頬にキスを落としていく。

「俺だって緊張してる。途中でやらかしたらどうしようとか。でも沙良と一つになりたい」
「……私も、健斗と一つになりたい」
「いい……?」

 もうここまで来て、今さらそんなこと聞く必要はないはずなのに。
 不安そうにそう尋ねる彼に向けて、私は微笑みながら頷いた。



 健斗は自分自身を右手で持ち、その先端を私の入り口に擦り付ける。
 ゴム越しとはいえ、彼の熱が伝わってきてドキドキしてしまう。

「健斗、焦らすのは嫌……」
「痛かったら、俺の背中に爪立てていいから」
「ん……」

 やがて狙いを定めたかのように、一点に向けてグッと力が込められるのを感じる。
 それと同時に熱く大きなものが、メリメリと狭い入り口を押し広げるようにして入ってきた。

「あっ、大きい……」
「それ、煽ってんの?」

 健斗を見れば、額に光る汗が。
 そして眉間に皺を寄せて、苦しげに荒い呼吸を繰り返す。

 久しぶりの挿入は痛みを伴い、目一杯広げられる入り口は今にも裂けてしまうのではというほどである。

「ごめん沙良、痛い……?」
「少しだけ……でも続けてほしいの」

 気遣わしげに頬を指で撫でると、健斗はこれまで体重をかけるようにして込めていた力を弱めた。

「最後まで挿れて、健斗」
「お前さ、その顔……絶対誰にも見せるなよ」
「ん、見せない。健斗だけ……んあっ!」

 ずっと勢いよく陰茎が押し込まれた。
 一番大きな先端を抜けると、一気に痛みが和らいでいく。
 健斗はそのまま最奥まで腰を押し付け、互いの体はこれ以上ないほどに密着する。

「やばい……え、こんなに気持ちいいんだっけ? 持ってかれそう」
「ん……」

 私は彼の背に手を回してギュッとしがみついた。

「沙良好きだよ。ずっと一緒にいたい。結婚してくれる?」
「……それはまだわかんない」
「……だよな、早まりすぎた……」
「でもずっと一緒にいたい気持ちは同じだよ」

 その言葉にグッと唇を噛み締めたかのように見えた健斗は、私の腰に両手をあてがってゆっくりと動き始める。

 ずる、と引き抜かれたものが時間をかけて最奥まで押し込まれると、その刺激がもどかしくて、一気に貫いてほしいという欲が生まれ始める。

「ね、もっと……」
「もっと、何……?」

 絶対にわかっているはずなのに、あえて気づかないフリをする。

「もっと激しくして……」
「っ……ほんと二年の間に可愛くなりすぎだろ……おかしくなりそう」

 ボソッとそう呟くと、たがが外れたかのように勢いよく腰を打ち付け始めた。
 求めていた刺激に、私の中の何かが歓喜する。

 パンっと体がぶつかり合うたびに、最奥まで届く熱いもの。
 それが指では届かなかったところを強く押し込み、思わず息が止まりそうになる。

「あっ……いいっ……健斗……」
「やばい、久しぶりすぎるし沙良可愛すぎるし、あんまもたない……」

 彼の呼吸は荒い。
 腰に手を添えたまま、グリグリと中をかき回すように動かされ、快感の波が何度も私を襲う。
 さらに健斗は繋がっているところの上にある敏感な場所を、再び指で擦り始めた。
 刺激が強すぎてむしろ痛いほどの快感が苦しい。

「あっ、いっ……そこ一緒はダメ!」
「沙良、一緒にいこう……? 気持ちよくなって?」
「やっ、そこ擦らないで!」

 彼は空いた手で胸を揉みしだき、私にキスをする。
 ねっとりと絡まる舌は執拗で、行為の激しさも相まって息ができなくなる。
 一度に全身を愛され、私の中でまた絶頂に向けて何かが弾け飛びそうになってきた。

「健斗、いく……いっちゃうの……」
「愛してる沙良っ! 俺ももういくっ……」

 最後の悪あがきとでも言うように、渾身の力を振り絞って腰を打ちつけられる。
 全身が激しく揺さぶられ、その度に擦れ合った粘膜同士が焼けそうに熱い。
 
「あっ、沙良! いくっ、出るっ……」

 その言葉と共に最奥に打ち付けられた健斗の体が、ビクビクと震える。
 ん……と吐息を漏らしながら切なげな顔で欲を吐き出した健斗の顔が、どうしようもなく色気に溢れている。

「全然止まらない……めっちゃ出てる」
「っ……」

しばらくしてようやく放出を終えた彼のものが引き抜かれると、ゴムの先端には大量の白いものが溜まっていた。

「あんまり見るなよ……恥ずかしい」

 健斗は気まずそうにそう言うと、ゆっくりとゴムを外し、ゴミ箱へと捨てた。
 
 そして健斗はグッタリとソファに横たわる私を軽々と持ち上げると、こう尋ねる。

「ごめんな、こんなとこでがっついて。ベッド行っていい? 久しぶりで疲れただろ」
「ん……」

 健斗はそっと私をベッドに下ろして、布団を掛ける。
 だが自分はベッドの端に腰掛けたままだ。
 これまで信じられないほど体を密着させていたせいか、この距離がどうしようもなく遠く感じる。

「健斗は来てくれないの?」
「……そんなに沙良に甘えていいのかなって」
「じゃあ私からお願いする……隣にきて」

 そう言って手を伸ばせば、一瞬だけ戸惑うような表情を見せた彼もその誘いに応じた。
 二人並んで横になり、同じ毛布に包まる。
 温かい肌が触れ合って、外は寒い冬だというのに心まで温かくなる。

「すげー幸せ。幸せすぎて怖くなる。俺こんなに幸せになっていいのかな……」

 いつのまにか両腕を伸ばして私を抱き締めるような体勢になりながら、健斗が呟く。

「私も、また健斗に振られたらどうしようって思う時があるよ」

 少し冗談めかして明るくそう言ったが、実はこれは本心だ。
 また年月が経つにつれて、彼の態度が変わっていってしまったら。
 その思いが違う人に向けられてしまったら。

 私は二度目の別れを受け入れることはできるのだろうか。
 幸せの絶頂にいるはずなのに、そんなことを考えてしまう自分が嫌になる。

「……この前もう会わないって俺が言った時に渡したプレゼントの中身、見た……?」
「見た……」

 某有名ブランドの指輪。
 結局その存在が目に入ると健斗のことを思い出してしまうのが辛くて、クローゼットの奥深くに仕舞い込んでしまっていた。

「あれさ……あの時は餞別に、なんて言ったけど、本当はプロポーズのために用意してたやつなんだ」
「え……」
「一ヶ月猶予もらえて、舞い上がって、即行でプロポーズしようと思って買ってたんだ。俺、本当に馬鹿だよな」

 健斗はそう言いながら私の左手を取り、薬指を撫でた。

「必ずここに指輪をはめさせてくれ。もう一度、きちんとやり直すから」
「ずっと私だけ見ててくれるの……?」
「当たり前だろ……あれだけのことをしてきたから、信じてもらえなくて当然だと思ってる。それでもいいから。いつか信じてもらえるように、俺ずっと頑張るから」

 その言葉がすっと心の中に入っていく。
 辛かった気持ちたちが、ようやく消化されていくような気がした。
 
「だから……その時は俺と結婚してください」

 私は返事の代わりに彼の胸元に擦り寄った。
 先程と同じように、その鼓動はとても速い。

「沙良、返事……」
「ずっとそばにいてね」

 健斗は愛おしそうに私の額にキスをして、ギュッと抱きしめてくれたのであった。



 あれからコンビニで必要なものを買い足し、彼は私のアパートで一泊してから仕事に向かった。

 夜中に目が覚めても彼の姿がそこにある。
 それだけで心が満たされて、安心した。

 ありあわせのもので健斗が作ってくれた朝食を、出勤前に二人で向かい合いながら食べる。

「なんだか同棲してるみたい」

 長年付き合ってはいたものの、当時は学生ということもあって同棲はしていなかった私たち。
 久しぶりのこの感じがなんだか新鮮で、照れ臭くなってしまう。

「あのさ」

 すると突然健斗は箸を置く。
 そして私の方を真っ直ぐ見つめて口を開いた。

「俺たち、一緒に住まないか?」

 唐突な提案に、思わず言葉を失う。
 この一ヶ月と少しの間の急展開に、頭がついていくのがやっとだ。

「より戻したばっかで何言ってんだよって思われるかもしれないけど……。お互い仕事もあって、あんまり会う時間取れないだろ? 正直に言えば、俺もう沙良から離れたくない。沙良はどんどん綺麗になってるし、不安で仕方ない」
「どこに住むの?」
「俺の家は引き払う。そしたらもう二度と変な奴も来ないはずだし。お互いの会社に近いところで少し広めのところ、探さないか?」

 確かに以前とは違い、私たちは互いに社会人だ。
 それぞれの仕事の繁忙期は、会うこともままならなくなるだろう。

 健斗が会えない時間を不安に思うのと同じように、私も彼と会えない時間が増えることを恐れていた。

「俺、ちゃんと家事するから。前とは違うから。沙良の負担にはならないようにする」
「それはわかってる。ちゃんと色々頑張ったんだなって思うよ」
「だから……一緒に住んでくれないか?」

 そう言って頭を下げられる。
 私の中で、答えは決まっていた。

「いいよ。私も健斗と一緒に住みたい」
「っ! ありがとう、沙良!」
「でも、その前にお母さんたちに報告に行きたいの。散々これまで心配かけて、迷惑もかけちゃったから」

 特に私の母親には、散々迷惑をかけてしまった。
 かけなくていい心配もたくさんかけてしまっただろう。
 そんな相手とヨリを戻したとなると、きっと反対されてしまうだろう。

 きっと私たちのことを認めてもらうのは、一筋縄ではいかないかもしれない。

「……わかってる。沙良のお母さんにはたくさん迷惑かけたから、きちんと挨拶に行かせてほしい」
「健斗のお母さんにもね」
「ん。俺認めてもらえるように、頑張るよ」

 健斗はしっかりと頷くと、再び箸に手を伸ばしたのであった。
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