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お前じゃないと
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「それからのことは、沙良も知っている通りだよ。さすがに強引なことしすぎたなって思った。だけどやっと……やっと見つけたんだ。どうしても諦めることなんてできない」
「……」
告げられたあまりの出来事たちに、うまい言葉が出てこない。
やはり健斗は私を裏切っていた。
それも何度も。
特定の相手ではなかっただけマシ、そこに気持ちがなかっただけマシ、そう言ってくる人もいるだろう。
だが恋愛に不器用で経験のない私には、そんな風に考えることはできなかった。
私たちの間に嫌な沈黙が流れる。
「本当にごめん、沙良……何言ってんだこいつって感じだろ? どの面下げて言ってんだよって思うかもしれない。でも……俺は沙良じゃないとだめだ」
健斗はこれ以上小さくなれないだろうというほどに縮こまり、俯いている。
「……できたってことでしょ?」
「え?」
「私じゃない人とも、セックスできたってことでしょ?」
「え、沙良……」
「私はとてもじゃないけど健斗以外の人なんてそういう対象には見れなかったし、たとえ誘われたとしてもできなかったと思う。でも健斗は私じゃなくても、できるんじゃん」
「いや、だからそれはっ……」
馬鹿らしい。
一か月だけでもと思いかけた先ほどの自分を殴ってやりたいくらいだ。
あれほど健斗との関係に私が悩み、苦しんでいた時。
彼は私以外の女性と関係を持っていたのだ。それも複数。
わかってはいたことだが、本人の口から直接告げられると辛いものがある。
健斗にとって、私などその程度の女に成り下がっていたのだ。
「誰とでもできるならさ、別に私にこだわる必要ないよね? わざわざこんな面倒なことして……ばかみたい。またどうせ飽きて、すぐ違う人のとこに逃げちゃうんでしょ」
「そんなことするわけない! 俺はもうあの時とは違う!」
「そんなのわかるわけないじゃん。付き合ってすぐの健斗だって、一生大事にするって言ってくれた。でも実際はあのざま。私、もう二度と健斗の言うことなんて信じられないよ!」
また大声をあげてしまった。
健斗は私のあまりの剣幕に固まっている。
だが一度爆発した思いはとどまることを知らない。
「気持ち悪い」
「……え?」
「誰とでもやるとか、正気? 汚いし、気持ち悪いよ」
別にこんな言葉が言いたいわけではなかった。
健斗をひどい言葉で罵ったところで、私の中の複雑な思いが消化されることはない。
「こんなんでさ、より戻すとか無理だわ。絶対に嫌」
「嫌だ、沙良……」
健斗の表情はみるみるうちに悲愴感が漂っていく。
顔色は青ざめ、僅かに震えているようにも見えた。
だがそのような彼の様子を見ても、心が揺さぶられることはない。
「私健斗とより戻すとか無理! 絶対に無理!」
「沙良、ごめん、沙良……」
「復縁するつもりないし、もう一か月だけ恋人のふりする必要もなくない? お互い時間の無駄じゃん。一か月の間私とセックスできないなら、どうせまた隠れて他の人とするんでしょ」
「っ……そんなことするわけないだろ!」
「我慢できるわけないじゃん、そんな緩い下半身の人が」
この言葉を話しているのは、本当に私なのだろうか。
これまで私は健斗に対してこのような物言いをしたことは、一度もない。
長年の付き合いであるため喧嘩は幾度なく繰り返してきたが、それでもこんな言葉選びはしなかった。
それなのに、罵倒の言葉は止まってはくれない。
「やだよ、沙良……お願いだ、ほんの少しでいいから俺にチャンスをください……」
縋るようにこちらを見つめる健斗の目には、光るものが。
私は彼が涙する姿を初めて見たかもしれない。
いつも強くて自信たっぷりだった彼の弱い姿など、見たことがなかった。
「チャンスって何? あんなことして、まだ私が許すと思ってるわけ……? おめでたい頭だね。私のことどれだけ馬鹿にすれば気が済むの!?」
「馬鹿になんてしてないっ……」
「っ……ちょ、やめ、て……」
がたん!と健斗は勢いよく立ち上がると、正面に向かって座っていた私の元へと歩みより、強く抱き締めたのだ。
その力はとても強く、息ができなくなるほどの苦しさをおぼえる。
「やめてよ、汚い……触らないで……いろんな人に触った手で、触らないで……」
いつのまにかあふれ出る涙。
嗚咽交じりに必死に抵抗するが、その体はびくともしない。
「ごめん、沙良……本当にごめん。でも離してやれない……」
久しぶりにこれほどまでに密着した彼の体からは、以前とは異なる香りが漂っていて。
それが私たちの離れていた年月を物語るようで、まるで彼が別人になってしまったかのようで、余計に苦しくなる。
「もう私の好きだった健斗じゃない。違う人。知らない人。だからもうやめよう? お願いだから離して!」
「嫌だ、絶対に離さない! 離したらもう二度と、沙良は俺のところには来てくれないだろ!?」
言い返すことに疲れた私と、言葉選びに迷う健斗の間には、再び静寂が訪れる。
これほど涙を流したのは、いつぶりだろうか。
ぐずぐずと鼻をすすり、嗚咽を漏らしながら大きく息をつく。
「ねえ、どうやったの……?」
「え……?」
腕の中で突然声を出した私に、健斗は思わずびくりと震え、その腕の力が弱まった。
私はその隙に彼の腕から抜け出す。
「私以外の人とやる時。どうやったの?」
「は、お前何言って……」
「健斗って大体キスから始めるよね。こうやって、うなじのとこに手を当てて」
私はそう言って彼のうなじに手をやり、キスをした。
ひんやりと乾いた唇が、今の私たちの関係のようだ。
「さ、沙良、何して……」
突然の私の行為に、健斗は目を見開く。
私はそんな彼の反応などお構いなしに、つ……と指先で首筋をたどる。
「キスして、こうやってだんだん下に降りていく。他の女の人にも、同じことしたの? ……当たり前か、セックスの時の癖なんて、抜けないもんね」
自分で言いながら嘲笑が止まらない。
健斗は何を思いながら他の人と体を重ねていたのだろうか。
その当時のことを思うと吐き気を催しそうになる。
「沙良、違うから……頼むから、やめ……」
健斗はのけ反るようにして私から逃げようとするが、私はそれを許さない。
そのまま体重をかけるようにして、彼のズボンに手を伸ばす。
「ちょ、沙良! 何して……やめっ……」
「……なんだ。全然興奮してないじゃん」
彼のそこは、柔らかいままだった。
その事実に思わず笑ってしまう。
「笑える。体は正直だね。私とじゃ、できないってことでしょ?」
「沙良、違う……」
「付き合ってないどうでもいい女たちには勃つのに、私じゃだめなんだ」
「だから、話を……」
「これ以上、惨めな思いさせないで」
私はスッと健斗の体から手を離す。
そして彼と距離を取るようにして座り直し、視線を逸らした。
今健斗がどんな表情をしているのか、わからないし見たくもない。
「帰って。もう二度ここに来ないで。私のことは忘れてほしいの」
だが健斗から返事はなく、返ってくるのは静寂だけ。
そんな彼の様子にも無性に腹が立つ。
「ねえ聞こえた? 早く立ってよ。帰って!」
そう大声で告げた私の剣幕に、健斗はようやく顔を上げてこちらを見つめる。
その表情は何かに耐えるような、苦しげなものであった。
「あのさ、俺……」
「もう何も聞きたくない。帰って、いいから」
「俺、今セックスできないんだ」
「……は?」
深刻そうな顔をした彼の口から紡ぎ出された意外な言葉に、思わず力の抜けた声が出る。
「なんか勃たなくなっちゃって……EDってやつなのかもしれない」
「……」
「色々調べたけど、治らなかった」
「何それ……いつから?」
セフレがあれほどいたくせに、何をどうしたらEDになるのか、私には皆目見当もつかない。
「……沙良がいなくなってから」
「意味わかんない。私と別れた後も色んな女と寝たって言ってたじゃん」
「そうだよ。でもやってる時に沙良の顔が浮かんで、最後までできなかった。それからはもう性欲なんて全くない」
そう話す彼の表情に嘘はなさそうだ。
だがそれに対してなんと答えるのが正解なのか、私にはわからない。
「……」
告げられたあまりの出来事たちに、うまい言葉が出てこない。
やはり健斗は私を裏切っていた。
それも何度も。
特定の相手ではなかっただけマシ、そこに気持ちがなかっただけマシ、そう言ってくる人もいるだろう。
だが恋愛に不器用で経験のない私には、そんな風に考えることはできなかった。
私たちの間に嫌な沈黙が流れる。
「本当にごめん、沙良……何言ってんだこいつって感じだろ? どの面下げて言ってんだよって思うかもしれない。でも……俺は沙良じゃないとだめだ」
健斗はこれ以上小さくなれないだろうというほどに縮こまり、俯いている。
「……できたってことでしょ?」
「え?」
「私じゃない人とも、セックスできたってことでしょ?」
「え、沙良……」
「私はとてもじゃないけど健斗以外の人なんてそういう対象には見れなかったし、たとえ誘われたとしてもできなかったと思う。でも健斗は私じゃなくても、できるんじゃん」
「いや、だからそれはっ……」
馬鹿らしい。
一か月だけでもと思いかけた先ほどの自分を殴ってやりたいくらいだ。
あれほど健斗との関係に私が悩み、苦しんでいた時。
彼は私以外の女性と関係を持っていたのだ。それも複数。
わかってはいたことだが、本人の口から直接告げられると辛いものがある。
健斗にとって、私などその程度の女に成り下がっていたのだ。
「誰とでもできるならさ、別に私にこだわる必要ないよね? わざわざこんな面倒なことして……ばかみたい。またどうせ飽きて、すぐ違う人のとこに逃げちゃうんでしょ」
「そんなことするわけない! 俺はもうあの時とは違う!」
「そんなのわかるわけないじゃん。付き合ってすぐの健斗だって、一生大事にするって言ってくれた。でも実際はあのざま。私、もう二度と健斗の言うことなんて信じられないよ!」
また大声をあげてしまった。
健斗は私のあまりの剣幕に固まっている。
だが一度爆発した思いはとどまることを知らない。
「気持ち悪い」
「……え?」
「誰とでもやるとか、正気? 汚いし、気持ち悪いよ」
別にこんな言葉が言いたいわけではなかった。
健斗をひどい言葉で罵ったところで、私の中の複雑な思いが消化されることはない。
「こんなんでさ、より戻すとか無理だわ。絶対に嫌」
「嫌だ、沙良……」
健斗の表情はみるみるうちに悲愴感が漂っていく。
顔色は青ざめ、僅かに震えているようにも見えた。
だがそのような彼の様子を見ても、心が揺さぶられることはない。
「私健斗とより戻すとか無理! 絶対に無理!」
「沙良、ごめん、沙良……」
「復縁するつもりないし、もう一か月だけ恋人のふりする必要もなくない? お互い時間の無駄じゃん。一か月の間私とセックスできないなら、どうせまた隠れて他の人とするんでしょ」
「っ……そんなことするわけないだろ!」
「我慢できるわけないじゃん、そんな緩い下半身の人が」
この言葉を話しているのは、本当に私なのだろうか。
これまで私は健斗に対してこのような物言いをしたことは、一度もない。
長年の付き合いであるため喧嘩は幾度なく繰り返してきたが、それでもこんな言葉選びはしなかった。
それなのに、罵倒の言葉は止まってはくれない。
「やだよ、沙良……お願いだ、ほんの少しでいいから俺にチャンスをください……」
縋るようにこちらを見つめる健斗の目には、光るものが。
私は彼が涙する姿を初めて見たかもしれない。
いつも強くて自信たっぷりだった彼の弱い姿など、見たことがなかった。
「チャンスって何? あんなことして、まだ私が許すと思ってるわけ……? おめでたい頭だね。私のことどれだけ馬鹿にすれば気が済むの!?」
「馬鹿になんてしてないっ……」
「っ……ちょ、やめ、て……」
がたん!と健斗は勢いよく立ち上がると、正面に向かって座っていた私の元へと歩みより、強く抱き締めたのだ。
その力はとても強く、息ができなくなるほどの苦しさをおぼえる。
「やめてよ、汚い……触らないで……いろんな人に触った手で、触らないで……」
いつのまにかあふれ出る涙。
嗚咽交じりに必死に抵抗するが、その体はびくともしない。
「ごめん、沙良……本当にごめん。でも離してやれない……」
久しぶりにこれほどまでに密着した彼の体からは、以前とは異なる香りが漂っていて。
それが私たちの離れていた年月を物語るようで、まるで彼が別人になってしまったかのようで、余計に苦しくなる。
「もう私の好きだった健斗じゃない。違う人。知らない人。だからもうやめよう? お願いだから離して!」
「嫌だ、絶対に離さない! 離したらもう二度と、沙良は俺のところには来てくれないだろ!?」
言い返すことに疲れた私と、言葉選びに迷う健斗の間には、再び静寂が訪れる。
これほど涙を流したのは、いつぶりだろうか。
ぐずぐずと鼻をすすり、嗚咽を漏らしながら大きく息をつく。
「ねえ、どうやったの……?」
「え……?」
腕の中で突然声を出した私に、健斗は思わずびくりと震え、その腕の力が弱まった。
私はその隙に彼の腕から抜け出す。
「私以外の人とやる時。どうやったの?」
「は、お前何言って……」
「健斗って大体キスから始めるよね。こうやって、うなじのとこに手を当てて」
私はそう言って彼のうなじに手をやり、キスをした。
ひんやりと乾いた唇が、今の私たちの関係のようだ。
「さ、沙良、何して……」
突然の私の行為に、健斗は目を見開く。
私はそんな彼の反応などお構いなしに、つ……と指先で首筋をたどる。
「キスして、こうやってだんだん下に降りていく。他の女の人にも、同じことしたの? ……当たり前か、セックスの時の癖なんて、抜けないもんね」
自分で言いながら嘲笑が止まらない。
健斗は何を思いながら他の人と体を重ねていたのだろうか。
その当時のことを思うと吐き気を催しそうになる。
「沙良、違うから……頼むから、やめ……」
健斗はのけ反るようにして私から逃げようとするが、私はそれを許さない。
そのまま体重をかけるようにして、彼のズボンに手を伸ばす。
「ちょ、沙良! 何して……やめっ……」
「……なんだ。全然興奮してないじゃん」
彼のそこは、柔らかいままだった。
その事実に思わず笑ってしまう。
「笑える。体は正直だね。私とじゃ、できないってことでしょ?」
「沙良、違う……」
「付き合ってないどうでもいい女たちには勃つのに、私じゃだめなんだ」
「だから、話を……」
「これ以上、惨めな思いさせないで」
私はスッと健斗の体から手を離す。
そして彼と距離を取るようにして座り直し、視線を逸らした。
今健斗がどんな表情をしているのか、わからないし見たくもない。
「帰って。もう二度ここに来ないで。私のことは忘れてほしいの」
だが健斗から返事はなく、返ってくるのは静寂だけ。
そんな彼の様子にも無性に腹が立つ。
「ねえ聞こえた? 早く立ってよ。帰って!」
そう大声で告げた私の剣幕に、健斗はようやく顔を上げてこちらを見つめる。
その表情は何かに耐えるような、苦しげなものであった。
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「……は?」
深刻そうな顔をした彼の口から紡ぎ出された意外な言葉に、思わず力の抜けた声が出る。
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「……」
「色々調べたけど、治らなかった」
「何それ……いつから?」
セフレがあれほどいたくせに、何をどうしたらEDになるのか、私には皆目見当もつかない。
「……沙良がいなくなってから」
「意味わかんない。私と別れた後も色んな女と寝たって言ってたじゃん」
「そうだよ。でもやってる時に沙良の顔が浮かんで、最後までできなかった。それからはもう性欲なんて全くない」
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