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あの時(1)健斗サイド
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俺は自分自身がクズに成り下がるまでの過程を、大好きな幼馴染の前で話し始めた。
二年ぶりにあった彼女は少し大人びていて、でも以前と変わらぬところもたくさんあって。
ああ、俺はこんな大切な人を自分の手で切り離したんだという過去の自分の過ちが容赦なく襲い掛かる。
◇
幼馴染だった沙良と付き合い始めてからの二年間、本当に幸せで、世界には俺たち二人しか存在しないのではないかと思うほど、俺は沙良にのめり込んでいた。
元々優等生タイプだった沙良と、おちゃらけたタイプの俺は真逆の性格。
だがそんなギャップも長年の幼馴染という特権が取り払っていてくれたのだと思う。
そんな二人の関係に暗雲が立ち込め始めたのは、大学三年生になる少し前のこと。
俺はその頃から、偶然講義で隣の席になった大谷裕樹という男友達とよく連むようになった。
そいつは良くも悪くも適当な男で、女関係はだらしなく試験の成績もズタボロ。
元々大学の講義や試験もその場の適当な努力で乗り越えてきた俺と、試験前からコツコツと勉強を積み重ねてきた沙良。
俺たちの間に大きな壁があるのは当たり前のこと。
いつも完璧な沙良の隣にいた俺は、裕樹の適当さが妙に心地よかった。
そしてその時に思った。
もしかして、今まで沙良の隣で無理に完璧な彼氏を演じようとして、肩肘を張っていたのかもしれないと。
裕樹と仲良くなってからは、必然と彼の友人たちの輪に入ることも多くなり。
こう言っては何だが裕樹の友人なので、皆同じような価値観の奴らばかりだった。
グループの中で付き合ったり別れたり。
適当に体の関係を持っては気が向いたら解消する。
当然俺にも絡んでくる女たちが増えた。
最初は沙良のことを思い出して断っていた俺も、いつしかその空気に流されてしまい。
一度踏み外してしまった道はそう簡単に戻ることはできず。
いつしか俺は沙良に隠れてセフレと称した女たちと遊ぶようになってしまったのだ。
だがこの時はまだ、沙良に対してどこかで悪いという気持ちもあった。
以前よりは少なくなってしまったもののデートもしていたし、それなりに恋人らしいこともしていたはずだ。
このまま沙良にばれないのなら、まだしばらくはこの生活を続けているのも悪くない。
こんなことを考えていた当時の俺は、下半身の緩い大馬鹿野郎だ。
快楽を優先した生活にはまってしまった俺にとって、いつしか沙良の完璧さが目障りになった。
『ねえ、講義また欠席してるの?』
『それじゃ、健斗のお母さん悲しむよ』
『そんなにお酒飲んだら、明日の試験に響くんじゃない?』
沙良は俺のことを心配して、よくこんなことを言ってきた。
だが当時の俺にとってはうるさい小言でしかなく、心に響くことはなかったのだ。
むしろその小言を聞いていると息が詰まるような気がして、より一層沙良から距離をとる生活を送るようになった。
そんな生活を続けていくうちに、やがて就職活動が本格化し始める。
思うように就職試験の結果が伸びず、不採用通知を繰り返す俺を尻目に、沙良は早々に内定を受け取っていた。
今考えればそんなことは当たり前だ。
真面目に学生生活を送っていた沙良と、自堕落な生活に明け暮れた俺とでは、そもそも立つ土俵が違う。
沙良の前では不採用通知をあっけらかんと見せていたが、内心かなりの焦りがあった。
俺は適当な生活を送ってはいたものの、祐樹のように就職活動を投げ出す器はなかったのだ。
しかし思いとは裏腹に、一向に受け取ることのできない内定通知。
次第にその焦りが大きくなっていき、行き場のない焦りを沙良にぶつけるようになってしまったのである。
そしてちょうどその頃から、セフレ扱いしていた女たちとの関係も面倒なものへと変化していく。
彼女たちは、自分を恋人にしてほしいと言い出してきたのだ。
自分で言うのもなんだが、俺は昔からモテてきた方だとは思う。
だがこれまで沙良一筋で、他の女など見向きもしてこなかったのだ。
彼女たちはセフレとしてだからこそ関係を続けていたのであって、別に特定の誰かにするつもりなどさらさらない。
俺はそんな女たちからの誘いをのらりくらりと躱してきたのだが、あいつらはそれで諦めるつもりはなかったらしい。
女たちが目を付けたのは沙良だった。
元々地元が同じ俺たち。
沙良のことももちろん彼女たちは知っていた。
『ねえ健斗。また彼女から電話? でもあの子、優等生ちゃんだもんね。裏で健斗のこと馬鹿にしてるんじゃない?』
『健斗の彼女が前に付き合ってた彼氏、すごい頭良かったんでしょ? かわいそう、元彼の基準で求めてこられるなんて』
『ねえ、私なら健斗の好きにさせてあげるよ? 指図ばかりする彼女なんて、健斗のこと好きじゃないんだよ』
そんな女たちからの言葉に、当時の馬鹿な俺はまんまと振り回された。
自分の中でも図星だと感じる部分があったからだろう。
思えば沙良が俺と付き合う前に付き合っていた優馬は、確かに成績優秀な優等生であった。
運悪く受験には失敗してしまったようだが、少なくとも俺とは全く違うタイプなのだ。
沙良は、俺と付き合う前に優馬と別れたばかりであった。
俺はその隙間に付け込むような形で彼女を自分のものにしたのだ。
(俺はあいつの存在に勝つことができていないのか……?)
沙良の理想は優馬で、その理想とかけ離れた俺のことを恥ずかしく思っているのかもしれない。
優馬に振られていなければ、沙良は今頃俺とは付き合ってはいないだろう。
自分の中の自信が急激に崩れ始めていく。
そして輪をかけるように、沙良の俺を気遣う態度が辛かった。
就職活動がうまくいかない俺を気遣って、あえて何でもないふりをしてくれたのだと、今ならわかる。
だが当時はそんな気遣いすらも癪に障り、沙良のやることなすことにイラついた。
どんどん俺の沙良への態度は冷たくなっていく、比例するように沙良は俺に対して気を遣うようになる。
そのよそよそしい態度がまた俺を腹立たせた。
顔を合わせるだけでイラつき、つい大声をだしてしまう。
もう沙良との接し方がわからない。
(沙良とはもう別れよう)
そんな考えが頭をよぎり始めたのは、いつ頃からだっただろうか。
これ以上一緒にいても、お互い駄目になるだけだと思った。
彼氏彼女という将来を見据えた縛られた関係でなく、昔のような自由な幼馴染の関係に戻りたい。
もうこれ以上考えることは面倒になっていて、全てが投げやりであった。
そしてあの日がやってくる。
沙良との待ち合わせ前にいつものように適当に女と時間を過ごした俺は、待ち合わせ時間より前に女を帰らせた。
ピアスが落ちていたことは知らず、想定外であったのだ。
恐らく意図的に落としていったのだろう。
だがあの時の俺は、ちょうどいいと思ってしまったのだ。
冷静に沙良と別れ話をしたら、こじれるに決まっている。
だが今このピアスを見て激高している彼女なら、怒りに任せて別れ話を終えることができるかもしれない。
俺の目論見は成功した。
沙良は泣きそうな顔を必死にこらえて、部屋を出ていった。
自ら別れを告げて。
これでよかったんだ、本気で俺はそう思っていた。
しばらくは気まずいが、きっとすぐに元の幼馴染に戻れるはず。
だって俺らは長い付き合いなんだから……。
二年ぶりにあった彼女は少し大人びていて、でも以前と変わらぬところもたくさんあって。
ああ、俺はこんな大切な人を自分の手で切り離したんだという過去の自分の過ちが容赦なく襲い掛かる。
◇
幼馴染だった沙良と付き合い始めてからの二年間、本当に幸せで、世界には俺たち二人しか存在しないのではないかと思うほど、俺は沙良にのめり込んでいた。
元々優等生タイプだった沙良と、おちゃらけたタイプの俺は真逆の性格。
だがそんなギャップも長年の幼馴染という特権が取り払っていてくれたのだと思う。
そんな二人の関係に暗雲が立ち込め始めたのは、大学三年生になる少し前のこと。
俺はその頃から、偶然講義で隣の席になった大谷裕樹という男友達とよく連むようになった。
そいつは良くも悪くも適当な男で、女関係はだらしなく試験の成績もズタボロ。
元々大学の講義や試験もその場の適当な努力で乗り越えてきた俺と、試験前からコツコツと勉強を積み重ねてきた沙良。
俺たちの間に大きな壁があるのは当たり前のこと。
いつも完璧な沙良の隣にいた俺は、裕樹の適当さが妙に心地よかった。
そしてその時に思った。
もしかして、今まで沙良の隣で無理に完璧な彼氏を演じようとして、肩肘を張っていたのかもしれないと。
裕樹と仲良くなってからは、必然と彼の友人たちの輪に入ることも多くなり。
こう言っては何だが裕樹の友人なので、皆同じような価値観の奴らばかりだった。
グループの中で付き合ったり別れたり。
適当に体の関係を持っては気が向いたら解消する。
当然俺にも絡んでくる女たちが増えた。
最初は沙良のことを思い出して断っていた俺も、いつしかその空気に流されてしまい。
一度踏み外してしまった道はそう簡単に戻ることはできず。
いつしか俺は沙良に隠れてセフレと称した女たちと遊ぶようになってしまったのだ。
だがこの時はまだ、沙良に対してどこかで悪いという気持ちもあった。
以前よりは少なくなってしまったもののデートもしていたし、それなりに恋人らしいこともしていたはずだ。
このまま沙良にばれないのなら、まだしばらくはこの生活を続けているのも悪くない。
こんなことを考えていた当時の俺は、下半身の緩い大馬鹿野郎だ。
快楽を優先した生活にはまってしまった俺にとって、いつしか沙良の完璧さが目障りになった。
『ねえ、講義また欠席してるの?』
『それじゃ、健斗のお母さん悲しむよ』
『そんなにお酒飲んだら、明日の試験に響くんじゃない?』
沙良は俺のことを心配して、よくこんなことを言ってきた。
だが当時の俺にとってはうるさい小言でしかなく、心に響くことはなかったのだ。
むしろその小言を聞いていると息が詰まるような気がして、より一層沙良から距離をとる生活を送るようになった。
そんな生活を続けていくうちに、やがて就職活動が本格化し始める。
思うように就職試験の結果が伸びず、不採用通知を繰り返す俺を尻目に、沙良は早々に内定を受け取っていた。
今考えればそんなことは当たり前だ。
真面目に学生生活を送っていた沙良と、自堕落な生活に明け暮れた俺とでは、そもそも立つ土俵が違う。
沙良の前では不採用通知をあっけらかんと見せていたが、内心かなりの焦りがあった。
俺は適当な生活を送ってはいたものの、祐樹のように就職活動を投げ出す器はなかったのだ。
しかし思いとは裏腹に、一向に受け取ることのできない内定通知。
次第にその焦りが大きくなっていき、行き場のない焦りを沙良にぶつけるようになってしまったのである。
そしてちょうどその頃から、セフレ扱いしていた女たちとの関係も面倒なものへと変化していく。
彼女たちは、自分を恋人にしてほしいと言い出してきたのだ。
自分で言うのもなんだが、俺は昔からモテてきた方だとは思う。
だがこれまで沙良一筋で、他の女など見向きもしてこなかったのだ。
彼女たちはセフレとしてだからこそ関係を続けていたのであって、別に特定の誰かにするつもりなどさらさらない。
俺はそんな女たちからの誘いをのらりくらりと躱してきたのだが、あいつらはそれで諦めるつもりはなかったらしい。
女たちが目を付けたのは沙良だった。
元々地元が同じ俺たち。
沙良のことももちろん彼女たちは知っていた。
『ねえ健斗。また彼女から電話? でもあの子、優等生ちゃんだもんね。裏で健斗のこと馬鹿にしてるんじゃない?』
『健斗の彼女が前に付き合ってた彼氏、すごい頭良かったんでしょ? かわいそう、元彼の基準で求めてこられるなんて』
『ねえ、私なら健斗の好きにさせてあげるよ? 指図ばかりする彼女なんて、健斗のこと好きじゃないんだよ』
そんな女たちからの言葉に、当時の馬鹿な俺はまんまと振り回された。
自分の中でも図星だと感じる部分があったからだろう。
思えば沙良が俺と付き合う前に付き合っていた優馬は、確かに成績優秀な優等生であった。
運悪く受験には失敗してしまったようだが、少なくとも俺とは全く違うタイプなのだ。
沙良は、俺と付き合う前に優馬と別れたばかりであった。
俺はその隙間に付け込むような形で彼女を自分のものにしたのだ。
(俺はあいつの存在に勝つことができていないのか……?)
沙良の理想は優馬で、その理想とかけ離れた俺のことを恥ずかしく思っているのかもしれない。
優馬に振られていなければ、沙良は今頃俺とは付き合ってはいないだろう。
自分の中の自信が急激に崩れ始めていく。
そして輪をかけるように、沙良の俺を気遣う態度が辛かった。
就職活動がうまくいかない俺を気遣って、あえて何でもないふりをしてくれたのだと、今ならわかる。
だが当時はそんな気遣いすらも癪に障り、沙良のやることなすことにイラついた。
どんどん俺の沙良への態度は冷たくなっていく、比例するように沙良は俺に対して気を遣うようになる。
そのよそよそしい態度がまた俺を腹立たせた。
顔を合わせるだけでイラつき、つい大声をだしてしまう。
もう沙良との接し方がわからない。
(沙良とはもう別れよう)
そんな考えが頭をよぎり始めたのは、いつ頃からだっただろうか。
これ以上一緒にいても、お互い駄目になるだけだと思った。
彼氏彼女という将来を見据えた縛られた関係でなく、昔のような自由な幼馴染の関係に戻りたい。
もうこれ以上考えることは面倒になっていて、全てが投げやりであった。
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沙良との待ち合わせ前にいつものように適当に女と時間を過ごした俺は、待ち合わせ時間より前に女を帰らせた。
ピアスが落ちていたことは知らず、想定外であったのだ。
恐らく意図的に落としていったのだろう。
だがあの時の俺は、ちょうどいいと思ってしまったのだ。
冷静に沙良と別れ話をしたら、こじれるに決まっている。
だが今このピアスを見て激高している彼女なら、怒りに任せて別れ話を終えることができるかもしれない。
俺の目論見は成功した。
沙良は泣きそうな顔を必死にこらえて、部屋を出ていった。
自ら別れを告げて。
これでよかったんだ、本気で俺はそう思っていた。
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