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決別
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俺のことを嫌いなのかと聞かれ、まさかの質問に一瞬頭がパンクしそうになった。
今までの流れから、どうしてその質問に辿り着いたのだろうか。
(何それ、それを私に聞く?)
「嫌いになったのは健斗の方でしょ」
「俺は別に沙良のこと嫌いになってない」
そう告げる彼の表情に嘘偽りはなかった。
だが付き合っていた時、仮にも彼女の立場であった私にどれほどひどいことをしでかしてきたのか、忘れたのだろうか。
「よく言うよ。あんなに私に対してひどい態度とってたくせに……とりあえず、話したいことはそれだけ? ならもう帰って!」
私は健斗に背を向けて玄関のドアノブに手をかける。
するとその時。
「俺、内定もらえたんだ!」
不意に背後からかけられた大声に、思わずびくりと背中が震えてしまう。
付き合っていた時のように怒鳴られたのだと、体が勝手に勘違いしたのかもしれない。
気持ちを落ち着かせるために大きく息を吸って吐き、ぎゅっと胸元に手を置いて再び彼の方を向く。
「そう、良かったね」
何でもないふりをして、なんとかそのセリフだけを紡ぎ出した。
あんなに彼の就職活動がうまくいくことを願っていたというのに、今となっては不思議と大して喜びは感じられない。
心の中にあった何かを、どこか遠い所へ置いてきてしまったかのような錯覚に陥る。
(……私、声震えてなかったかな)
「……それだけ? もっと喜んでくれねーの……?」
「は……?」
ぽつりとそう呟いた健斗は、苦し気な顔をしている。
こんな表情を浮かべる彼の姿は、初めて見たかもしれない。
「俺、やっと内定もらえたんだぜ!?」
なぜか縋るような表情でこちらを見つめてくるが、そんな様子を見ても私の気持ちが揺れ動くことはなかった。
「内定取れたってわかった瞬間、真っ先にお前に言いたかった。だけど電話もメールも何も繋がらねーし……」
「別に私に一番に報告する必要ないじゃん。もう私たち何の関係もないんだし」
「っだけどさ、俺の就活のこと一番親身になって考えてくれてたのは沙良だろ!? お前に報告して、一緒に喜んで欲しかったんだよ……」
健斗が何か言うたびに、私の中でほぼ萎みかけていた彼への思いがさらに削り落とされていく。
「内定もらえて、気持ちにゆとりが出てきたから私に構う心の余裕ができたってこと?」
「っそういうわけじゃ!」
(健斗って、こんなクズだったっけ……?)
あれほど自分がひどいことをしておきながら、内定のことを一緒に喜んでもらいたいなど、どの口が言っているのか。
自分の都合が悪い時は私を遠ざけておいたくせに、心にゆとりができたから掌を返したように擦り寄ってきたというわけか。
そんなどす黒い、醜い気持ちが私の中で靄を作っていく。
だが彼はそんなこと、微塵も気づいていないらしい。
「ほんとすぐに沙良の顔が浮かんで……会いてーなーって思った。珍しくしばらく会いにこなかっただろ?」
「行くわけないじゃん。私といると息苦しいって言ったのは健斗でしょ」
勘違いも甚だしい。
なぜ振られた男の元へのこのこと遊びに行く必要があるのか。
そしてそんな軽い女だと思われていることにも腹が立った。
「っ……ごめん、俺そんなこと言ったっけ……。本当にごめん沙良、そんなこと思ってないから」
「思ってなきゃあんな言葉、彼女に言えるわけない」
「なあ、許してくれよ……俺、沙良とまた前みたいに仲良く幼馴染やっていきたい」
仲良く幼馴染など、本気でなれるとでも思っているのだろうか。
彼の機嫌に振り回されるのはもうたくさんだ。
それに、私には確認しておきたいことがあった。
「……たの?」
「ん?」
「別れた後に私の携帯に電話した時、誰のスマホから連絡したの?」
「え……友達だけど?」
「友達って? 男? 女?」
「女だけど、それが何だよ」
……ああ、やっぱり健斗は変わってなかった。
あの時別れた時のまま、何も変わっていない。
私たちが別れる原因となった女友達のことを、このタイミングでさらりと話すこと自体おかしい。
普通に気遣いのできる男性なら絶対にしないだろう。
そもそもそれは本当に女友達なのだろうか?
きっと体の関係はあるのかもしれない。
健斗はそれを女友達だと思っていても、相手の女性はきっと違うだろう。
かつて何度もかかってきた電話のことを思い出すと、反吐が出る。
もう二度とあんな面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだ。
「それ、本当に友達なの? 彼女じゃなくて?」
「は? 当たり前だろ。お前と付き合ってたんだから、彼女なんているわけねーじゃん」
「じゃあセフレか」
「っ……」
健斗はぐっと言葉に詰まったように黙り込んでしまう。
友達という言葉も随分都合良く使われたものだ。
考えただけで吐き気がする。
あれほど大好きだった健斗の顔が、今では醜く見えてしまう。
「そういうところだよ。そういうところがもう生理的に無理なの。健斗の顔見るだけで、気分が悪くなる。今もこうしてここに立ってるのがいっぱいいっぱいで、無理して健斗と話してる。でもそうでもしないとわかってもらえなそうだから……だから……」
「なんでだよ、沙良……っ……」
健斗は一歩私に近づくと、腕を掴もうと手を伸ばした。
思わずびくっと震え、その手から逃れるために後ずさりをする。
彼は予想外の私の反応に驚き、ショックを受けたような顔をして立ちすくんだ。
「沙良……俺のこと怖いのか……?」
健斗に暴力を振るわれたことはない。
さすがにそういうことをする人ではないはずだ。
だが付き合っていた時のきつい物言いがトラウマとなってしまった私にとっては、もはや健斗の存在自体が恐怖の対象で。
「怖い……怖いよ……これ以上こっちに来ないで」
「なんでだよ、俺らずっと一緒にいたじゃんかっ……」
「これ以上近くに来たら、大声出して警察呼んでもらうから」
「はあ!? 何言ってんだよ、沙良……」
みるみるうちに顔面蒼白となっていく健斗は、私の方へと伸ばしかけたままであったその腕を、力なく下ろした。
「いい? もう二度とうちに来ないで。連絡もしてこないで。わかったら、さっさと帰って!」
ありったけの大声で叫んだ後に、ふと今私は玄関先にいることを思い出し、慌てて口を閉じる。
そっと周りを見渡すが、幸いなことに周囲には誰もいないようであった。
「沙良……そんな、俺……何が間違って……」
健斗は私の剣幕に圧倒された後しばらく何かを呟いていたが、やがて背を向けてとぼとぼと帰っていった。
その背中が悲しく見えるのはきっと気のせいだろう。
私は震えそうになる両手を必死に抑えながら、家の中へと入った。
するとすぐそこには心配そうな顔でこちらを見つめる母の姿が。
「聞こえちゃった?」
「あなたが大声を出したところは聞こえたわ。ちゃんと綺麗に終わりにできたの?」
先ほどのあれが綺麗な終わり方なのかはわからない。
だが自分の想いははっきりと健斗に伝えることができた。
もう少しで私はこの地元を出て新しい場所での新生活が始まるため、それまでの辛抱だ。
話の通じない健斗ではあったが、最後の私の思いはしっかりと伝わったはず。
「うん。きっともう大丈夫。今度こそ、終わりだよ」
その言葉通り、それ以来健斗が私の家の前に現れることはなくなった。
もちろん新しい番号への着信もない。
月に数回ある大学の行き来で顔を合わせるかもしれないという心配も、杞憂に終わった。
そして日は過ぎていき、私は大学を卒業して晴れて社会人となったのだ。
事前に引っ越しを終えていたアパートで独り暮らしを始め、心機一転新しい生活が待っていたが、不安よりも期待の方が大きかった。
就職した出版の会社は不規則な勤務時間が多く、身体がついていかないと感じることも多いが、その分やりがいもある。
何よりも、かねてより自分が就きたかった職業ということもあって、毎日が充実していた。
(ああ、私ちゃんと健斗のこと吹っ切れたんだな……)
あれからしばらくは、時折彼のことを思い出して気が沈み、気持ちがざわつくということを繰り返していたが、今ではすっかりそんなこともなくなった。
私はやっと重い苦しい呪縛から解き放たれたのだ。
そうしているうちにさらに月日は流れ、健斗と別れてから二年の月日が経とうとしていた。
今までの流れから、どうしてその質問に辿り着いたのだろうか。
(何それ、それを私に聞く?)
「嫌いになったのは健斗の方でしょ」
「俺は別に沙良のこと嫌いになってない」
そう告げる彼の表情に嘘偽りはなかった。
だが付き合っていた時、仮にも彼女の立場であった私にどれほどひどいことをしでかしてきたのか、忘れたのだろうか。
「よく言うよ。あんなに私に対してひどい態度とってたくせに……とりあえず、話したいことはそれだけ? ならもう帰って!」
私は健斗に背を向けて玄関のドアノブに手をかける。
するとその時。
「俺、内定もらえたんだ!」
不意に背後からかけられた大声に、思わずびくりと背中が震えてしまう。
付き合っていた時のように怒鳴られたのだと、体が勝手に勘違いしたのかもしれない。
気持ちを落ち着かせるために大きく息を吸って吐き、ぎゅっと胸元に手を置いて再び彼の方を向く。
「そう、良かったね」
何でもないふりをして、なんとかそのセリフだけを紡ぎ出した。
あんなに彼の就職活動がうまくいくことを願っていたというのに、今となっては不思議と大して喜びは感じられない。
心の中にあった何かを、どこか遠い所へ置いてきてしまったかのような錯覚に陥る。
(……私、声震えてなかったかな)
「……それだけ? もっと喜んでくれねーの……?」
「は……?」
ぽつりとそう呟いた健斗は、苦し気な顔をしている。
こんな表情を浮かべる彼の姿は、初めて見たかもしれない。
「俺、やっと内定もらえたんだぜ!?」
なぜか縋るような表情でこちらを見つめてくるが、そんな様子を見ても私の気持ちが揺れ動くことはなかった。
「内定取れたってわかった瞬間、真っ先にお前に言いたかった。だけど電話もメールも何も繋がらねーし……」
「別に私に一番に報告する必要ないじゃん。もう私たち何の関係もないんだし」
「っだけどさ、俺の就活のこと一番親身になって考えてくれてたのは沙良だろ!? お前に報告して、一緒に喜んで欲しかったんだよ……」
健斗が何か言うたびに、私の中でほぼ萎みかけていた彼への思いがさらに削り落とされていく。
「内定もらえて、気持ちにゆとりが出てきたから私に構う心の余裕ができたってこと?」
「っそういうわけじゃ!」
(健斗って、こんなクズだったっけ……?)
あれほど自分がひどいことをしておきながら、内定のことを一緒に喜んでもらいたいなど、どの口が言っているのか。
自分の都合が悪い時は私を遠ざけておいたくせに、心にゆとりができたから掌を返したように擦り寄ってきたというわけか。
そんなどす黒い、醜い気持ちが私の中で靄を作っていく。
だが彼はそんなこと、微塵も気づいていないらしい。
「ほんとすぐに沙良の顔が浮かんで……会いてーなーって思った。珍しくしばらく会いにこなかっただろ?」
「行くわけないじゃん。私といると息苦しいって言ったのは健斗でしょ」
勘違いも甚だしい。
なぜ振られた男の元へのこのこと遊びに行く必要があるのか。
そしてそんな軽い女だと思われていることにも腹が立った。
「っ……ごめん、俺そんなこと言ったっけ……。本当にごめん沙良、そんなこと思ってないから」
「思ってなきゃあんな言葉、彼女に言えるわけない」
「なあ、許してくれよ……俺、沙良とまた前みたいに仲良く幼馴染やっていきたい」
仲良く幼馴染など、本気でなれるとでも思っているのだろうか。
彼の機嫌に振り回されるのはもうたくさんだ。
それに、私には確認しておきたいことがあった。
「……たの?」
「ん?」
「別れた後に私の携帯に電話した時、誰のスマホから連絡したの?」
「え……友達だけど?」
「友達って? 男? 女?」
「女だけど、それが何だよ」
……ああ、やっぱり健斗は変わってなかった。
あの時別れた時のまま、何も変わっていない。
私たちが別れる原因となった女友達のことを、このタイミングでさらりと話すこと自体おかしい。
普通に気遣いのできる男性なら絶対にしないだろう。
そもそもそれは本当に女友達なのだろうか?
きっと体の関係はあるのかもしれない。
健斗はそれを女友達だと思っていても、相手の女性はきっと違うだろう。
かつて何度もかかってきた電話のことを思い出すと、反吐が出る。
もう二度とあんな面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだ。
「それ、本当に友達なの? 彼女じゃなくて?」
「は? 当たり前だろ。お前と付き合ってたんだから、彼女なんているわけねーじゃん」
「じゃあセフレか」
「っ……」
健斗はぐっと言葉に詰まったように黙り込んでしまう。
友達という言葉も随分都合良く使われたものだ。
考えただけで吐き気がする。
あれほど大好きだった健斗の顔が、今では醜く見えてしまう。
「そういうところだよ。そういうところがもう生理的に無理なの。健斗の顔見るだけで、気分が悪くなる。今もこうしてここに立ってるのがいっぱいいっぱいで、無理して健斗と話してる。でもそうでもしないとわかってもらえなそうだから……だから……」
「なんでだよ、沙良……っ……」
健斗は一歩私に近づくと、腕を掴もうと手を伸ばした。
思わずびくっと震え、その手から逃れるために後ずさりをする。
彼は予想外の私の反応に驚き、ショックを受けたような顔をして立ちすくんだ。
「沙良……俺のこと怖いのか……?」
健斗に暴力を振るわれたことはない。
さすがにそういうことをする人ではないはずだ。
だが付き合っていた時のきつい物言いがトラウマとなってしまった私にとっては、もはや健斗の存在自体が恐怖の対象で。
「怖い……怖いよ……これ以上こっちに来ないで」
「なんでだよ、俺らずっと一緒にいたじゃんかっ……」
「これ以上近くに来たら、大声出して警察呼んでもらうから」
「はあ!? 何言ってんだよ、沙良……」
みるみるうちに顔面蒼白となっていく健斗は、私の方へと伸ばしかけたままであったその腕を、力なく下ろした。
「いい? もう二度とうちに来ないで。連絡もしてこないで。わかったら、さっさと帰って!」
ありったけの大声で叫んだ後に、ふと今私は玄関先にいることを思い出し、慌てて口を閉じる。
そっと周りを見渡すが、幸いなことに周囲には誰もいないようであった。
「沙良……そんな、俺……何が間違って……」
健斗は私の剣幕に圧倒された後しばらく何かを呟いていたが、やがて背を向けてとぼとぼと帰っていった。
その背中が悲しく見えるのはきっと気のせいだろう。
私は震えそうになる両手を必死に抑えながら、家の中へと入った。
するとすぐそこには心配そうな顔でこちらを見つめる母の姿が。
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先ほどのあれが綺麗な終わり方なのかはわからない。
だが自分の想いははっきりと健斗に伝えることができた。
もう少しで私はこの地元を出て新しい場所での新生活が始まるため、それまでの辛抱だ。
話の通じない健斗ではあったが、最後の私の思いはしっかりと伝わったはず。
「うん。きっともう大丈夫。今度こそ、終わりだよ」
その言葉通り、それ以来健斗が私の家の前に現れることはなくなった。
もちろん新しい番号への着信もない。
月に数回ある大学の行き来で顔を合わせるかもしれないという心配も、杞憂に終わった。
そして日は過ぎていき、私は大学を卒業して晴れて社会人となったのだ。
事前に引っ越しを終えていたアパートで独り暮らしを始め、心機一転新しい生活が待っていたが、不安よりも期待の方が大きかった。
就職した出版の会社は不規則な勤務時間が多く、身体がついていかないと感じることも多いが、その分やりがいもある。
何よりも、かねてより自分が就きたかった職業ということもあって、毎日が充実していた。
(ああ、私ちゃんと健斗のこと吹っ切れたんだな……)
あれからしばらくは、時折彼のことを思い出して気が沈み、気持ちがざわつくということを繰り返していたが、今ではすっかりそんなこともなくなった。
私はやっと重い苦しい呪縛から解き放たれたのだ。
そうしているうちにさらに月日は流れ、健斗と別れてから二年の月日が経とうとしていた。
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