10 / 12
幸福な囚われ(アリアsideラスト)
しおりを挟む
それからというもの、私はアンソニーの私室へと連れていかれ一切の外出を禁止された。
朝から晩まで彼の愛を一心に受け続ける日々。
「私たちの関係が公のものとなりアリアが完全に私のものになるまで、他の男たちの面前にさらしたくはないのだ」
そんな独占欲を丸出しにしたアンソニーによって、全ての舞踏会への参加も禁じられている。
私室への立ち入りはたとえ侯爵家の使用人であっても制限され、朝昼晩の食事を持ってくるのはアンソニーの役割となり、私は外の世界から遮断された生活を送っていた。
そんな日々を続けているうちに、私はアンソニー無しでは生きられない体になってしまったらしい。
「お父様が戻られたら、このままではいけませんわ……」
恐らく数日以内に侯爵である父が屋敷へと戻ってくるはずなのだ。
さすがに結婚前の娘がこのような乱れた生活を送るのは、親としても複雑な心境だろう。
「ああ、お義父上が戻られたらすぐに私たちの結婚を認める書類にサインしてもらおう」
「え……」
さすがにそれは早すぎるような気がするのだが。
私たちはまだ正式に婚約も結んでいない関係であり、舞踏会で二人の関係を披露することもしていない。
「誰にも文句は言わせない。アリアが隣にいてくれるなら、俺はなんだって耐えられるし大丈夫だから」
「でも……」
「心配なんだ……早く正式にアリアを俺の妻にしないと、横やりを入れられてしまうかもしれない」
アンソニーが恐ろしいほどに深く歪んだ愛を秘めていたことに、なぜ私は気が付かなかったのだろうか。
「アリア、お前を傷つけるような真似は絶対にしないから」
「お義兄様……」
「アンソニー、だろ」
「んんっ……」
私が少しでも呼び名を間違えると、こうして口づけが降りてくる。
そしてまた食事も忘れるかのように彼に抱き続けられるのだ。
その後の話を少しだけ。
宣言通り、お父様が帰宅された瞬間に書類へのサインを求めたアンソニー。
お父様は呆れながらもサインをしてくれたらしく、これで私たちは正式な夫婦となった。
実はお父様は私たちが互いに思い合っていることに気づいていたらしく。
縁談を決めるよう私にお願いされてからも、しばらく様子を静観していたらしい。
だから一向に縁談の話が進まなかったのかとようやく納得した。
さすがに彼の重すぎるほどの愛にお父様は難色を示していたものの、それを払しょくするほどに次期侯爵としての頭角を現しているらしく。
内心思うところはあるものの、黙って見守ることとしたらしい。
そして晴れてアンソニーの妻となった私。
これでようやく彼の部屋から出してもらえるかと思いきや、今も基本的にはこの部屋の中で生活している。
結婚後に舞踏会に参加したのは一度だけ。
これでいいのだろうかと不安にもなるが、私がそばにいるとアンソニーがとても満たされた、幸せそうな表情を浮かべるのだ。
彼の幸せは私の幸せでもある。
彼の気が済むまで、この部屋で生活するのも悪くはないだろう。
いつしか歪んだ彼の愛に快感を覚えてしまうほど、私の心は彼に囚われてしまったのかもしれない。
朝から晩まで彼の愛を一心に受け続ける日々。
「私たちの関係が公のものとなりアリアが完全に私のものになるまで、他の男たちの面前にさらしたくはないのだ」
そんな独占欲を丸出しにしたアンソニーによって、全ての舞踏会への参加も禁じられている。
私室への立ち入りはたとえ侯爵家の使用人であっても制限され、朝昼晩の食事を持ってくるのはアンソニーの役割となり、私は外の世界から遮断された生活を送っていた。
そんな日々を続けているうちに、私はアンソニー無しでは生きられない体になってしまったらしい。
「お父様が戻られたら、このままではいけませんわ……」
恐らく数日以内に侯爵である父が屋敷へと戻ってくるはずなのだ。
さすがに結婚前の娘がこのような乱れた生活を送るのは、親としても複雑な心境だろう。
「ああ、お義父上が戻られたらすぐに私たちの結婚を認める書類にサインしてもらおう」
「え……」
さすがにそれは早すぎるような気がするのだが。
私たちはまだ正式に婚約も結んでいない関係であり、舞踏会で二人の関係を披露することもしていない。
「誰にも文句は言わせない。アリアが隣にいてくれるなら、俺はなんだって耐えられるし大丈夫だから」
「でも……」
「心配なんだ……早く正式にアリアを俺の妻にしないと、横やりを入れられてしまうかもしれない」
アンソニーが恐ろしいほどに深く歪んだ愛を秘めていたことに、なぜ私は気が付かなかったのだろうか。
「アリア、お前を傷つけるような真似は絶対にしないから」
「お義兄様……」
「アンソニー、だろ」
「んんっ……」
私が少しでも呼び名を間違えると、こうして口づけが降りてくる。
そしてまた食事も忘れるかのように彼に抱き続けられるのだ。
その後の話を少しだけ。
宣言通り、お父様が帰宅された瞬間に書類へのサインを求めたアンソニー。
お父様は呆れながらもサインをしてくれたらしく、これで私たちは正式な夫婦となった。
実はお父様は私たちが互いに思い合っていることに気づいていたらしく。
縁談を決めるよう私にお願いされてからも、しばらく様子を静観していたらしい。
だから一向に縁談の話が進まなかったのかとようやく納得した。
さすがに彼の重すぎるほどの愛にお父様は難色を示していたものの、それを払しょくするほどに次期侯爵としての頭角を現しているらしく。
内心思うところはあるものの、黙って見守ることとしたらしい。
そして晴れてアンソニーの妻となった私。
これでようやく彼の部屋から出してもらえるかと思いきや、今も基本的にはこの部屋の中で生活している。
結婚後に舞踏会に参加したのは一度だけ。
これでいいのだろうかと不安にもなるが、私がそばにいるとアンソニーがとても満たされた、幸せそうな表情を浮かべるのだ。
彼の幸せは私の幸せでもある。
彼の気が済むまで、この部屋で生活するのも悪くはないだろう。
いつしか歪んだ彼の愛に快感を覚えてしまうほど、私の心は彼に囚われてしまったのかもしれない。
535
お気に入りに追加
749
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる