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私と彼の八年間18 ※

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 二人きりで過ごす久しぶりの誕生日。
 用意したロールキャベツとチョコレートケーキはしっかりと俊のお腹の中へと収められた。
 お洒落なペアのグラスにシャンパンを入れて乾杯し、食後はルームキャンドルを照らした室内で映画を観た。

 二人並んでソファに座り、一つのブランケットに包まれる。
 食後の満腹感と暖かさも相まって私は少し眠くなり、俊の肩にもたれかかった。
 俊はそんな私をチラと見て、安心したように微笑みながら頭を撫でる。

 こんな日が、再び訪れるなんて。
 若い頃のような刺激に溢れた恋もいい思い出だった。
 だけど今のこの落ち着いた関係も悪くはないだろう。


「な、なあ葵……」
「ん?」
「悪いんだけど、少し離れてくれ……」
「なんで? 重たい?」
「いや、そういうわけじゃ……」

 俊は珍しくゴニョゴニョと歯切れの悪い様子。

「何? 言ってくれないとわかんない」
「……そんなにくっつかれると、俺の理性が限界になる」
「え……」

 思いもよらぬ彼の返答に、私は一瞬言葉を失った。
 
「いや、今のは忘れろ。忘れてくれっ……」
「俊はしたいの?」
「……そりゃ、したいよ。好きな女が隣にいてそう思わない方がおかしいだろ。でも葵とは色々あったし、葵の気持ちに踏ん切りがついた時でいいから……って葵!?」

 気付けば私は俊の頬に両手をやるようにして、自らキスをしていた。

「……葵、それどういう意味かわかってんの?」
「わかってる。私も俊としたい」
「まじかよ……もうやめられないからな……」

 そのまま私たちは何度もキスを繰り返した。

「んっ……俊……」
「葵……好き、好きだ……」

 最初は恐る恐る重ね合わせるだけのキスから始まり、やがては互いの舌を絡め取るような深いものへ。

「葵、ベッド行く?」

 薄らと顔を赤らめた俊に尋ねられた私は、同じように顔を赤くして頷く。
 すると俊は私をブランケットごと横抱きにして、寝室へと足を進めた。

「いや、恥ずかしい。自分で歩けるのに」
「いいから、黙ってろって」

 俊は寝室へ入ると私をベッドにゆっくりと降ろした。
 そして私の髪を愛おしそうに触ると耳にかけ、そのままベッドに押し倒すようにしてそっと自らの体重をかける。
 ギシ……と音を立てたベッドがこれから始まる行為を連想させて、私は恥ずかしくなった。

「葵、いい?」

 熱を帯びた俊の瞳に、彼も一人の男なのだということを実感させられる。

「うん」

 了承を得たことを確認すると、俊は私の首元に顔を埋めた。
 そしてちゅ、ちゅ、と首筋を吸い上げるようにして愛撫する。
 久しぶりのその感覚に私は早くもおかしくなりそうだ。

「あっ……んっ……」
「葵、もっと声聞かせて」

 俊も既に息が荒くなっており、この行為に興奮してくれていることがわかる。
 そのまま彼の唇は鎖骨を通りながら下へと向かっていき、胸に到達した。
 乳首を口に含むと執拗なほどに舌で転がし、吸い上げる。
 やはり久しぶりの刺激は強すぎるほどで、あっというまにそこはピンと勃ち上がり、ヒリヒリとした痛みすら感じるほどだ。

「俊、そこそんなに……」
「可愛い葵……」

 俊は惚けたような顔で私に何度もキスをする。
 食らいつくようなキスは、私の全てを飲み込んでしまいそうなほど。
 飲み込めなかった唾液は唇の隙間からこぼれ落ちていく。

「こっちも触るよ」

 その言葉と共に俊の手がするりと私の下着の中に入っていく。
 表面を優しく擦るように指の腹を動かしていくうちに、私のそこからは恥ずかしい水音が聞こえるようになってきた。

「俊っ……」
「指挿れるから、痛かったらすぐ言えよ」

 くちくちと音を立てながらゆっくりと中へ入ってきた指は、久しぶりの感覚を私にもたらす。

「濡れてる、良かった……」
「あっ……何言って……」
「最後にしたときは、あんま濡れてなかったから……あのときは無理矢理してごめんな」
「もう、いいからっ……んっ……」

 あの日俊とセックスをして以来、私の体は誰一人として受け入れてはいない。
 初めてを俊に捧げてから今までずっと、私の体はずっと俊一人のものなのだ。

 膣の奥深くに挿入された指をバラバラと動かすようにして敏感なところを刺激されるうちに、私の体の奥からザワザワとした波のようなものが迫り来る。

「俊、だめっ……だめっ……」
「このまま葵は気持ち良くなって」

 俊は止めるどころか顔をそこに近づけると、はあっと吐息をかけて舐め始めたのだ。

「あっやあっ……」
「葵のここ、甘い」
「っそんなわけ……」

 俊が何かを喋るたびに吐息がかかる。
 そんな些細な刺激すらも敏感に感じ取ってしまうほどに私は彼に体を許しているようだ。

「俊、私もうっ……それ以上されたらっ……」
「いいよ、いって」

 そう言いながらさらに執拗に指の腹を中の壁に擦り付け、クリトリスを吸い上げる。
 その瞬間、私の中で何かか弾け飛ぶような衝撃と快感に襲われた。
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