上 下
8 / 8

⑧ ★

しおりを挟む
「んっ、ちょっ……拓真苦しい……」
「あ、わりぃ……久しぶりすぎて止まんなくなった。見てこれ。勃ちすぎて痛いんだけど」

 そう言って拓真は硬くなったモノを私に押し付ける。
 それは数年勃たなかったとは思えないほどの大きさで、今にも下着とズボンを突き破りそうだ。

「やっていい? 凛とやりたくてたまんないんだけど」
「もうこの状態で断れるわけないじゃん……」

 モノを押し付けられ、真後ろにはベッドが。
 そして拓真にキスされ続けたおかげで腫れた唇。
 もはやセックスするしかない状況だ。

「それは許可してくれたってことでいい?」
「きょ、許可も何ももう拓真が……あっ」

 拓真は私の首筋をつ……と舌で舐め上げ、そのままそこに吸い付く。
 すると次の瞬間チクリとした痛みが走った。

「や、いたっ……何?」
「キスマーク」
「え、嘘!? やめてよ見えちゃうじゃん」
「俺のものって感じ。一回付けてみたかったんだよね。さすがに高校生の時は付ける勇気なくて」
「……拓真、高校生の時の方がまともだったかも」
「え?」
「いやなんでもないデス……」

 明らかに昔よりも独占欲が強くなってしまったような気がするのは気のせいだろうか。

「仕方なくね? 突然理由の説明もなく振られてさ。そこからフルシカトされたんだぜ? また手放したら逃げられそうだし」
「いや、もう振らないから……逃げないし……」
「今度こそ俺立ち直れる気がしないから、もう絶対離れんなよ」
「ん……」

 拓真は私をベッドに押し倒すと、そのまま服を脱がせて至る所にキスを落としていく。

「あっ、拓真……」
「久しぶりに聞いたけど、やっぱ凛の声エロい。余裕なくなる」
「何言っ……ひゃぁっ……んんっ」

 顕になった胸を揉みしだきながら、乳首を口に含む。
 実を言えば私もセックスは久しぶりであった。
 久しく与えられていなかったそこへの刺激は強すぎるほどで。
 ジンジンと痺れるような快感が全身を走る。

「拓真……」
「そんな目で見るなよ……煽ってんの?」

 知らず知らずのうちに潤んでいた瞳で拓真を見上げれば、彼はゴクリと喉を鳴らした。
 そしてそのまま脚の間に手を差し入れ、敏感なところを撫でる。
 表面を擦るように指を動かされてはたまらない。

 やがてそこからくちゅくちゅと水音が響くようになり、恥ずかしくなった私は足を擦り合わせて音をかき消そうとする。

「こら。足開いとけって」
「んっ、だって音恥ずかしい……」
「じゃあ塞いでやる」
「え!? ちょ、そういう意味じゃなっ……あんっ……」

 拓真はそっと脚の間に顔を埋め、舌を差しこんだ。
 ぬるりと生温かい舌が触れた場所は、じゅわりと何かがこぼれ落ちるような感覚を覚える。

「ね、ねえ拓真もういいっ……もういいから」
「だめ、もう少しやらせて」
「ん、これ以上されたら……んっ」

 私は拓真の頭を両手で必死に押さえて引き剥がそうとするが、びくともしない。
 次第に下腹部の奥の方からジクジクとした快感が迫り来る。

「や、拓真止め……あっ……あああっ」

 雷のように快感が全身を走り、ビクンビクンと私は震えた。
 そんな私の様子を見て拓真は満足そうに笑う。

「あー凛マジで可愛い。俺以外のやつにそんな顔見せられない」

 そしてちゅ、と私の頬にキスをすると、ゴソゴソと自らの準備を始めた。

「ゴムあるの?」
「ある。……ちょい古いけど」
「え、大丈夫なのそれ」
「大丈夫だろ。ほら普通にはまったし」
「や、見なくていいっ……」

 そうはいうもののつい目に入ってしまった拓真のそれは、以前見た時と同じように赤黒く勃ち上がっていた。

「なぁ凛すごすぎ。俺こんなんなるの本当何年ぶり……挿れるぞ」

 はぁ……吐息を荒げながら拓真が入ってくる。
 久しぶりの挿入に引き攣れるような鈍い痛みが走ったものの、処女ではないのですぐにそこは以前の感覚を取り戻し始めた。

「凛キツい……もういきそう」

 拓真は奥までモノを押し込めると、しばらくそのまま動かない。
 恐らく動いたら出てしまうので必死に堪えているのだろう。

「拓真動いて……」
「待って、まじでいきそう」

 そのまましばらく拓真は息を落ち着けた後、ようやくゆっくりと腰を動かし始めた。
 彼の膨れ上がったものが、私の良いところを擦り付ける。
 やがて中から溢れ出たとろりとした液体が、挿入をより一層滑らかにしていく。

「あー、もう激しくしていい?」
「あっ……ん……いい、よ……」
「悪い……」

 すると拓真は私の両手を押さえつけ、ガンガンと腰を打ち付け始めた。
 陰茎の先端が奥深くにぶつかり、その度に激しい快感が広がる。
 汗で湿った私たちの肌がぶつかるたびに、それはまるで離れがたいとでもいうように吸い付き合う。

「なあ、凛、俺いく……好きだよ凛っ……」
「ん……あっ……わ、たし……も……」
「……くっ!」

 ビクンビクンと私の中に入ったまま震えた拓真は、はあはあと息を荒げておりその顔は真っ赤だ。
 そしてずるっと自らを引き抜くと、そのまま私の横に倒れ込むようにして横たわる。

「はぁ、はぁ、凛……好き。愛してる」

 私は気付けば拓真の胸の中に収められていた。

「あのさ、凛も約束してほしい」

 セックスを終えた後の気怠い時間。
 拓真は私の至る所にキスを落としながらこう口を開いた。

「何?」
「次、何かあったらちゃんと俺に言って。勝手に決めないで」
「わかった」
「本当、もう急にいなくなるなよ」
「うん、拓真の隣にいる」

 私たちはしっかりと抱き締めあった。




 それから拓真は今まで住んでいた部屋を引き払い、少し広めの部屋に移り住んだ。

「凛と一緒に住めるようにここにした。すぐ荷物持って引っ越してきてもかまわないから」
「気が早くない……?」

 社会人になってすぐに彼氏と同棲なんて……と思ったが、両家の母たちの全力の後押しもあって私は拓真との同棲を始めた。

「俺の母親なんてさ、凛とヨリ戻したの話したら大喜びされたよ。でかしたって。滅多に褒められないのに」
「おばさんにもまた会いたいな」
「会いにいこーぜ。絶対喜ぶ。張り切ってご馳走作るだろうな」

 ちなみにあれから禁煙に成功した拓真は、お陰ですっかり健康的になり。

「元はと言えば凛に振られてどうしようもなく気持ちが落ちたのがきっかけで吸い始めたから、凛と復縁できたらそれだけで余裕で禁煙できるわ」

 なんてことをドヤ顔で告げた拓真に私が呆れ顔を向けたのは言うまでもないだろう。


 そしてその一年後。
 毎日のように繰り返される拓真からのプロポーズに根負けした私は、拓真と結婚した。
 二十三歳で結婚するのは早すぎると思っていたのだけれど、これもやはり両家の後押しがあったおかげだろう。

「なぁ凛、早くお前のドレス姿が見たい」
「結婚式が待てないから籍だけでも早く入れようって言ったの拓真でしょ」
「それは仕方ない。凛を早く俺の奥さんにしとかないと心配だから」
「その心配性はいつになったら直るの?」
「お前に振られてからもう無理だよ。直らないと思う」

 本当に何年経っても困った旦那様であり、幼馴染だ。
 カッコつけの癖に実はナイーブで嫉妬深い彼に飽きる日が来ることはないだろう。

 でもそんな彼のことが何より愛おしい。
 私はきっとこの先も、彼に振り回され続けるのだろう。

——————————————————————

お読みいただきありがとうございました!

現在必死にスピンオフ執筆中です……
12月あたりには公開できるかも…?
その際はまたお読みいただけたら嬉しいです♡

桜百合
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

ちゃんみんママ

久しぶりに読み返しました✨
拓真君と凛ちゃんほんとに可愛い😂
じれったくてキュンキュンして大好きなストーリーです😆
スピンオフお願いします😭✨

桜百合
2024.05.11 桜百合

わあ、読み返していただけたなんて😭💕
ありがとうございます、嬉しいです!
学生ならではの甘酸っぱいもどかしい恋愛ですよね…♡♡

実は最終話の最後の後書きで書いてあるスピンオフは、別作品のスピンオフなんです😭
(しかも本編が書籍化したので、先日そのスピンオフも削除になってしまいました泣)

でもこちらの作品のスピンオフもありですね!!
拓真視点で書いてみるのもいいなぁと今閃きました🫶🏻

隙間時間で考えて書いてみますね💪❤️
ありがとうございます🥰

解除
ちゃんみんママ
ネタバレ含む
桜百合
2023.12.07 桜百合

感想ありがとうございます!

本当に高校生男子はカッコつける癖に変なところが不器用で…
ある意味素直で可愛いのかもしれませんが。笑

二人はどんな家庭を築くのか、見てみたいですね…!

最後までお読みいただきありがとうございました!

解除
yuri
2023.11.29 yuri
ネタバレ含む
桜百合
2023.12.04 桜百合

感想ありがとうございます!

そうなんですよね、若さゆえの勢いとか間違いとか、たくさんありますよね泣

結婚式編や妊娠発覚編!
確かにそれは面白そうですね…♡
意外と子煩悩パパになりそうです笑

最後までお読みいただきありがとうございました!

解除

あなたにおすすめの小説

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

勘違いで別れを告げた日から豹変した婚約者が毎晩迫ってきて困っています

Adria
恋愛
詩音は怪我をして実家の病院に診察に行った時に、婚約者のある噂を耳にした。その噂を聞いて、今まで彼が自分に触れなかった理由に気づく。 意を決して彼を解放してあげるつもりで別れを告げると、その日から穏やかだった彼はいなくなり、執着を剥き出しにしたSな彼になってしまった。 戸惑う反面、毎日激愛を注がれ次第に溺れていく―― イラスト:らぎ様

凄腕ドクターは私との子供をご所望です

鳴宮鶉子
恋愛
凄腕ドクターは私との子供をご所望です

Catch hold of your Love

天野斜己
恋愛
入社してからずっと片思いしていた男性(ひと)には、彼にお似合いの婚約者がいらっしゃる。あたしもそろそろ不毛な片思いから卒業して、親戚のオバサマの勧めるお見合いなんぞしてみようかな、うん、そうしよう。 決心して、お見合いに臨もうとしていた矢先。 当の上司から、よりにもよって職場で押し倒された。 なぜだ!? あの美しいオジョーサマは、どーするの!? ※2016年01月08日 完結済。

社長はお隣の幼馴染を溺愛している

椿蛍
恋愛
【改稿】2023.5.13 【初出】2020.9.17 倉地志茉(くらちしま)は両親を交通事故で亡くし、天涯孤独の身の上だった。 そのせいか、厭世的で静かな田舎暮らしに憧れている。 大企業沖重グループの経理課に務め、平和な日々を送っていたのだが、4月から新しい社長が来ると言う。 その社長というのはお隣のお屋敷に住む仁礼木要人(にれきかなめ)だった。 要人の家は大病院を経営しており、要人の両親は貧乏で身寄りのない志茉のことをよく思っていない。 志茉も気づいており、距離を置かなくてはならないと考え、何度か要人の申し出を断っている。 けれど、要人はそう思っておらず、志茉に冷たくされても離れる気はない。 社長となった要人は親会社の宮ノ入グループ会長から、婚約者の女性、扇田愛弓(おおぎだあゆみ)を紹介され――― ★宮ノ入シリーズ第4弾

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

長い片思い

詩織
恋愛
大好きな上司が結婚。 もう私の想いは届かない。 だから私は…

夜這いを仕掛けてみたら

よしゆき
恋愛
付き合って二年以上経つのにキスしかしてくれない紳士な彼氏に夜這いを仕掛けてみたら物凄く性欲をぶつけられた話。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。