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最終章
それぞれの未来へ
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一年後。
「カリーナ様、本当にお綺麗ですわ。日に日に美しさに磨きがかかって、私も鼻が高いです」
そう言って泣き笑いの表情を浮かべているのはメアリーだ。
まだ支度の段階だと言うのに、彼女の持つハンカチはグッショリと涙で濡れている。
「ありがとう、メアリー。あなたには本当に感謝しているわ」
薄いレースを何層にも重ねたヴェールを降ろした花嫁、カリーナは微笑む。
今日のカリーナの美しさは格別だ。
その白いドレスは華美ではないが、かえってそれが彼女自身の美しさを引き立てた。
身体のラインに纏わりつくようなデザインは、スタイルの良さを際立たせる。
それ以上に、リンドの愛を一身に受けているという自信からか、より一層の輝きを放つようになっていた。
今日、リンドとカリーナは王都の近くの小さな教会で式を挙げる。
もっと盛大にというローランド辺境伯の勧めもあったが、丁重に断った。
愛する人と永遠の愛を誓うことができるだけで幸せなのだ。
「カリーナ、支度はできたか? ……もう泣いているのか」
メアリーと抱き合い泣き笑いしていたところ、リンドが顔を出して呆れたように言われる。
「だってメアリーが泣かせるんですもの」
施してもらった化粧が落ちないようにそっと涙をハンカチで押さえると、ドレスの皺を伸ばして立ち上がる。
「綺麗だ……いつも美しいが、今日は一段と……とても言葉にできない」
まじまじと花嫁を見つめたリンドは感極まっている。
「ようやく手に入れた、もう何があろうと絶対に離したりはしない」
腰に手を回しヴェールを上げてキスしようとしたところ、パチンと手をはたかれた。
「もうっメアリーのお化粧が取れてしまいます! 」
「……仕方ない、お預けか。今宵が楽しみだな」
耳元で熱く囁かれると、不覚にも下半身が疼きそうになる……が、我慢した。
「あのー、私もいるんですよ、お二人共見えてます? 」
メアリーの存在はすっかり忘れている二人であったが。
ローランド辺境伯にエスコートしてもらいながら、バージンロードを歩く。
まるで父のように二人の事を見守ってくれた辺境伯には感謝しきれない。
カリーナが辺境伯邸を後にしてからもその交流は定期的に続き、屋敷での夕食に招待されたこともあった。
リンドも辺境伯の元で良くしてもらっているようである。
辺境伯は未だに亡くなった妻の事を思い、慎ましく生活している様子。
彼らの様な夫婦になりたいと心から願う。
その時、そっと辺境伯が腕を外した。
物思いにふけっていたカリーナがはっと気付くと、目の前には愛しい人の姿が。
長く伸ばしていた白銀の髪を、再び短く刈ったのはいつであっただろうか。
その髪型が好きだと言ったカリーナの言葉を真に受けて、もう一生髪を伸ばさないと宣言して皆を笑わせた。
今日はその髪を全て後ろに撫で付け、髪色と同じシルバーのモーニングに身を包んでいる。
辺境伯はカリーナの手を取り、リンドの元へ引導した。
リンドがしっかりとその手を受け取り、握り締める。
お互いの目が合い、フッと微笑み合った。
ゆっくりと正面を向き、一歩ずつ祭壇に向かって歩いていく。
初めてリンドに会った日、初めて口付けを交わした日、涙の別れと再会……二度と会えないかもしれないと思った人が今隣にいる。
カリーナはそっとリンドの方を向きたい衝動に駆られたが抑えた。
ふと参列席を見ると、見知った顔が大勢いた事に驚く。
シークベルト公爵家時代にお世話になったトーマス、ミランダ、そしてジルも。
ジルとは変わらず定期的な手紙のやり取りを続けており、家に招いて食事会を催した事もある。
カリーナとリンドの結婚を誰よりも喜んでくれた内の1人だ。
なんと彼女は初恋の人である幼馴染の男性と結婚することになったらしい。
なんでも、ジルの実家が傾いた際に両親に無理矢理新しい結婚話を押し付けられ、断ることができなかったそう。
妻とはうまくいかず、もちろん子どももできなかった。
離婚はしたものの、自分のような裏切り者が今更連絡をして良いものだろうかと悩み続け、数年が経ってしまったらしい。
「もちろん一番辛かった時にそばにいてくれなかったことは、今でも許せない。でも、それでも私は彼が好きなの」
そう言って微笑んだ顔は、幸せそのものだった。
ミランダにリンドとの結婚を報告すると、あまり驚いた様子は無かった。
「そうなると思ってたんだよ。だって、あんたがいなくなってからの公爵さ……おっと、リンド様の様子ったら……。もぬけの殻になっちまってね。このまま死んじまうんじゃないかとみんな思ってたほどだよ」
カリーナがいなくなってからのリンドの様子を聞くと、嬉しい反面恥ずかしくもなる。
リンドと結婚するにあたって、カリーナ様と呼ぼうとしたミランダに、今まで通りの呼び方をお願いしたのはカリーナである。
ミランダとは、このままの関係でいたかった。
「あんたと出会って、リンド様は変わった。あの表情ったら……! 爵位や財産はリンド様の幸せには関係なかったんだと今ならわかるよ。これからもずっと、幸せに過ごすんだよ」
ポンポンと背中を叩いてそう言った姿は、あの頃のままだった。
今は参列席からこちらを見守ってくれている。
ミランダの顔を見ると何だかホッとした。
ローランド辺境伯が父ならば、ミランダは母であろうか。
ふと視線をずらすと、ミランダの隣にいたトーマスが涙を拭っていた。
シークベルト公爵家の執事であるトーマスは、リンドのカリーナへの想いに一早く気付いていた。
リンドの背中を押してくれたのもトーマスである。
リンドがカリーナへの想いを成就させたと報告した際には、人目を憚らずに大号泣したらしい。
『あの執事が感情をあそこまで露わにするのはこれが最後だろう』
戻ってきたリンドは思い出し笑いをしながらそう言った。
今では新しい当主の元、変わらずにシークベルト公爵家を支えてくれているらしい。
「カリーナ。向こうを見てみろ」
再び物思いに耽っていたカリーナは、隣のリンドの囁く声で呼び戻される。
リンドの言う方に顔を向けたカリーナは、驚きの余り『あっ』と声が出そうになった。
そこにいたのは、懐かしい人。
リンドとカリーナと同じエメラルドの瞳を細めてこちらを見つめる、国王アレックスの姿であった。
「アレックス様……?」
カリーナは自分の目を疑った。
自分達は国王を裏切る様な真似をした。
その結果リンドは公爵の座を降りて騎士となった。
なぜその国王が自分達の式に……
目を白黒させているカリーナの様子を見て、リンドは吹き出しそうになりながらこう告げた。
「アレックスは怒ってないさ。俺たちの結婚を祝福してくれている」
その言葉通り、アレックスの表情に陰りはない。
カリーナとリンドの結婚の数ヶ月前、バルサミア国王アレックスと、シルビア公爵家次女のマリアンヌの婚約が発表された。
なんでも親同士が仕組んだものではなく、本人達の意思らしい。
元々長女のルアナを国王に嫁がせようと目論んでいたシルビア公爵の事だ。
ルアナがかねてよりの想い人と結ばれた事でその望みも絶たれたと思っていたところ、マリアンヌが王妃になる事が決まり、大喜びだそうだ。
公爵家出身で家柄もよく見目麗しいマリアンヌは、アレックスの妻として相応しい人物であろう。
元国王夫妻は今度こそ息子は幸せになれるのかと心配しているが、思いの外二人はしっくりきているらしい。
「アレックスから、城へ戻ってくる様にと誘われた」
唐突に切り出された言葉に驚愕する。
「ええ!?」
「シークベルト公爵の地位に復権し、騎士団を率いてくれないかと」
「……リンドは、どうしたいのですか? 」
「俺はカリーナの望む様にしたい。カリーナが嫌と言うならば、今のままの普通の暮らしで構わない」
……リンドの望む通りの道を選んで欲しい。
彼がどの道を選ぼうと、彼と言う人自身を愛しているのだから。
「私は、あなたの選んだ道について行きますわ」
そう言って微笑むと、リンドも目元を和らげた。
「……喋りすぎたようだな」
気付けば祭壇は目の前にあり、神父が早くしてくれといった顔でこちらを見ている。
慌てて素知らぬ顔で誓いの儀を執り行った。
神父に従い誓いの言葉を交わし、今までの思いが蘇り涙が溢れそうになるのを必死に堪える。
「では、誓いのキスを……」
震える手を伸ばしリンドがそっとヴェールを上げると、そこには涙で潤んだ瞳の輝かんばかりの美しい女性がいた。
余りの美しさに、リンドは息を呑む。
二度と自分の元には戻ってこないと思っていた女性。
その女性が今目の前にいて自分だけを見つめている。
「カリーナ……お前に俺は相応しくないかもしれない。だが必ずこの先お前に悲しい思いはさせないと誓おう。愛している」
愛しい人の瞳が真っ直ぐにこちらを見つめ返してきた。
「あなたの隣にいるだけで私は幸せなのです。二度と離さないでくださいね……私も愛しています」
二人は唇を重ね、溢れんばかりの祝福の拍手に包まれたのであった。
その後、賢王アレックスと王妃マリアンヌの元でバルサミア国は繁栄を続けた。
後に国王はシークベルト公爵を重臣として重宝し、公爵もその生涯を国王に捧げ、バルサミア国の更なる発展に力を注いだという。
またシークベルト公爵は愛妻家でもあり、公爵夫人との間に多くの子をもうけ、幸せに暮らしたと伝えられている。
————————————————————
これにて完結となります。
実はアレックスとマリアンヌが結婚するまでのお話もあるのですが、今回はリンドとカリーナのお話だけにしました。
今読み返すと、確かにアレックス可哀想!となりますね汗
(スピンオフの方でアレックスの恋は成就させております…)
こちらの作品は去年の四月に初めて執筆を始めた際に、書き上げた処女作でした。
文章の流れやストーリー構成など未熟な点が多くお恥ずかしい限りです…
ですがここからスタートしたのだなと記念に残したく、こちらにも掲載させていただきました。
お読みいただいた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです、ありがとうございました!
「カリーナ様、本当にお綺麗ですわ。日に日に美しさに磨きがかかって、私も鼻が高いです」
そう言って泣き笑いの表情を浮かべているのはメアリーだ。
まだ支度の段階だと言うのに、彼女の持つハンカチはグッショリと涙で濡れている。
「ありがとう、メアリー。あなたには本当に感謝しているわ」
薄いレースを何層にも重ねたヴェールを降ろした花嫁、カリーナは微笑む。
今日のカリーナの美しさは格別だ。
その白いドレスは華美ではないが、かえってそれが彼女自身の美しさを引き立てた。
身体のラインに纏わりつくようなデザインは、スタイルの良さを際立たせる。
それ以上に、リンドの愛を一身に受けているという自信からか、より一層の輝きを放つようになっていた。
今日、リンドとカリーナは王都の近くの小さな教会で式を挙げる。
もっと盛大にというローランド辺境伯の勧めもあったが、丁重に断った。
愛する人と永遠の愛を誓うことができるだけで幸せなのだ。
「カリーナ、支度はできたか? ……もう泣いているのか」
メアリーと抱き合い泣き笑いしていたところ、リンドが顔を出して呆れたように言われる。
「だってメアリーが泣かせるんですもの」
施してもらった化粧が落ちないようにそっと涙をハンカチで押さえると、ドレスの皺を伸ばして立ち上がる。
「綺麗だ……いつも美しいが、今日は一段と……とても言葉にできない」
まじまじと花嫁を見つめたリンドは感極まっている。
「ようやく手に入れた、もう何があろうと絶対に離したりはしない」
腰に手を回しヴェールを上げてキスしようとしたところ、パチンと手をはたかれた。
「もうっメアリーのお化粧が取れてしまいます! 」
「……仕方ない、お預けか。今宵が楽しみだな」
耳元で熱く囁かれると、不覚にも下半身が疼きそうになる……が、我慢した。
「あのー、私もいるんですよ、お二人共見えてます? 」
メアリーの存在はすっかり忘れている二人であったが。
ローランド辺境伯にエスコートしてもらいながら、バージンロードを歩く。
まるで父のように二人の事を見守ってくれた辺境伯には感謝しきれない。
カリーナが辺境伯邸を後にしてからもその交流は定期的に続き、屋敷での夕食に招待されたこともあった。
リンドも辺境伯の元で良くしてもらっているようである。
辺境伯は未だに亡くなった妻の事を思い、慎ましく生活している様子。
彼らの様な夫婦になりたいと心から願う。
その時、そっと辺境伯が腕を外した。
物思いにふけっていたカリーナがはっと気付くと、目の前には愛しい人の姿が。
長く伸ばしていた白銀の髪を、再び短く刈ったのはいつであっただろうか。
その髪型が好きだと言ったカリーナの言葉を真に受けて、もう一生髪を伸ばさないと宣言して皆を笑わせた。
今日はその髪を全て後ろに撫で付け、髪色と同じシルバーのモーニングに身を包んでいる。
辺境伯はカリーナの手を取り、リンドの元へ引導した。
リンドがしっかりとその手を受け取り、握り締める。
お互いの目が合い、フッと微笑み合った。
ゆっくりと正面を向き、一歩ずつ祭壇に向かって歩いていく。
初めてリンドに会った日、初めて口付けを交わした日、涙の別れと再会……二度と会えないかもしれないと思った人が今隣にいる。
カリーナはそっとリンドの方を向きたい衝動に駆られたが抑えた。
ふと参列席を見ると、見知った顔が大勢いた事に驚く。
シークベルト公爵家時代にお世話になったトーマス、ミランダ、そしてジルも。
ジルとは変わらず定期的な手紙のやり取りを続けており、家に招いて食事会を催した事もある。
カリーナとリンドの結婚を誰よりも喜んでくれた内の1人だ。
なんと彼女は初恋の人である幼馴染の男性と結婚することになったらしい。
なんでも、ジルの実家が傾いた際に両親に無理矢理新しい結婚話を押し付けられ、断ることができなかったそう。
妻とはうまくいかず、もちろん子どももできなかった。
離婚はしたものの、自分のような裏切り者が今更連絡をして良いものだろうかと悩み続け、数年が経ってしまったらしい。
「もちろん一番辛かった時にそばにいてくれなかったことは、今でも許せない。でも、それでも私は彼が好きなの」
そう言って微笑んだ顔は、幸せそのものだった。
ミランダにリンドとの結婚を報告すると、あまり驚いた様子は無かった。
「そうなると思ってたんだよ。だって、あんたがいなくなってからの公爵さ……おっと、リンド様の様子ったら……。もぬけの殻になっちまってね。このまま死んじまうんじゃないかとみんな思ってたほどだよ」
カリーナがいなくなってからのリンドの様子を聞くと、嬉しい反面恥ずかしくもなる。
リンドと結婚するにあたって、カリーナ様と呼ぼうとしたミランダに、今まで通りの呼び方をお願いしたのはカリーナである。
ミランダとは、このままの関係でいたかった。
「あんたと出会って、リンド様は変わった。あの表情ったら……! 爵位や財産はリンド様の幸せには関係なかったんだと今ならわかるよ。これからもずっと、幸せに過ごすんだよ」
ポンポンと背中を叩いてそう言った姿は、あの頃のままだった。
今は参列席からこちらを見守ってくれている。
ミランダの顔を見ると何だかホッとした。
ローランド辺境伯が父ならば、ミランダは母であろうか。
ふと視線をずらすと、ミランダの隣にいたトーマスが涙を拭っていた。
シークベルト公爵家の執事であるトーマスは、リンドのカリーナへの想いに一早く気付いていた。
リンドの背中を押してくれたのもトーマスである。
リンドがカリーナへの想いを成就させたと報告した際には、人目を憚らずに大号泣したらしい。
『あの執事が感情をあそこまで露わにするのはこれが最後だろう』
戻ってきたリンドは思い出し笑いをしながらそう言った。
今では新しい当主の元、変わらずにシークベルト公爵家を支えてくれているらしい。
「カリーナ。向こうを見てみろ」
再び物思いに耽っていたカリーナは、隣のリンドの囁く声で呼び戻される。
リンドの言う方に顔を向けたカリーナは、驚きの余り『あっ』と声が出そうになった。
そこにいたのは、懐かしい人。
リンドとカリーナと同じエメラルドの瞳を細めてこちらを見つめる、国王アレックスの姿であった。
「アレックス様……?」
カリーナは自分の目を疑った。
自分達は国王を裏切る様な真似をした。
その結果リンドは公爵の座を降りて騎士となった。
なぜその国王が自分達の式に……
目を白黒させているカリーナの様子を見て、リンドは吹き出しそうになりながらこう告げた。
「アレックスは怒ってないさ。俺たちの結婚を祝福してくれている」
その言葉通り、アレックスの表情に陰りはない。
カリーナとリンドの結婚の数ヶ月前、バルサミア国王アレックスと、シルビア公爵家次女のマリアンヌの婚約が発表された。
なんでも親同士が仕組んだものではなく、本人達の意思らしい。
元々長女のルアナを国王に嫁がせようと目論んでいたシルビア公爵の事だ。
ルアナがかねてよりの想い人と結ばれた事でその望みも絶たれたと思っていたところ、マリアンヌが王妃になる事が決まり、大喜びだそうだ。
公爵家出身で家柄もよく見目麗しいマリアンヌは、アレックスの妻として相応しい人物であろう。
元国王夫妻は今度こそ息子は幸せになれるのかと心配しているが、思いの外二人はしっくりきているらしい。
「アレックスから、城へ戻ってくる様にと誘われた」
唐突に切り出された言葉に驚愕する。
「ええ!?」
「シークベルト公爵の地位に復権し、騎士団を率いてくれないかと」
「……リンドは、どうしたいのですか? 」
「俺はカリーナの望む様にしたい。カリーナが嫌と言うならば、今のままの普通の暮らしで構わない」
……リンドの望む通りの道を選んで欲しい。
彼がどの道を選ぼうと、彼と言う人自身を愛しているのだから。
「私は、あなたの選んだ道について行きますわ」
そう言って微笑むと、リンドも目元を和らげた。
「……喋りすぎたようだな」
気付けば祭壇は目の前にあり、神父が早くしてくれといった顔でこちらを見ている。
慌てて素知らぬ顔で誓いの儀を執り行った。
神父に従い誓いの言葉を交わし、今までの思いが蘇り涙が溢れそうになるのを必死に堪える。
「では、誓いのキスを……」
震える手を伸ばしリンドがそっとヴェールを上げると、そこには涙で潤んだ瞳の輝かんばかりの美しい女性がいた。
余りの美しさに、リンドは息を呑む。
二度と自分の元には戻ってこないと思っていた女性。
その女性が今目の前にいて自分だけを見つめている。
「カリーナ……お前に俺は相応しくないかもしれない。だが必ずこの先お前に悲しい思いはさせないと誓おう。愛している」
愛しい人の瞳が真っ直ぐにこちらを見つめ返してきた。
「あなたの隣にいるだけで私は幸せなのです。二度と離さないでくださいね……私も愛しています」
二人は唇を重ね、溢れんばかりの祝福の拍手に包まれたのであった。
その後、賢王アレックスと王妃マリアンヌの元でバルサミア国は繁栄を続けた。
後に国王はシークベルト公爵を重臣として重宝し、公爵もその生涯を国王に捧げ、バルサミア国の更なる発展に力を注いだという。
またシークベルト公爵は愛妻家でもあり、公爵夫人との間に多くの子をもうけ、幸せに暮らしたと伝えられている。
————————————————————
これにて完結となります。
実はアレックスとマリアンヌが結婚するまでのお話もあるのですが、今回はリンドとカリーナのお話だけにしました。
今読み返すと、確かにアレックス可哀想!となりますね汗
(スピンオフの方でアレックスの恋は成就させております…)
こちらの作品は去年の四月に初めて執筆を始めた際に、書き上げた処女作でした。
文章の流れやストーリー構成など未熟な点が多くお恥ずかしい限りです…
ですがここからスタートしたのだなと記念に残したく、こちらにも掲載させていただきました。
お読みいただいた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです、ありがとうございました!
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