【R-18】敗戦国の元侯爵令嬢は、公爵と国王に溺愛される

桜百合

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第1章

始まり ★

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「あっ、リンド様……いけませんわ……」

「……すまない。ずっと恋焦がれていた。お前が以前のように俺のことを好きではないのはわかっている。だが受け入れてくれ……」

 男は薄桃色の蕾を口に含み、激しく吸い上げた。もう片方の膨らみを手で揉みしだく。

「あっ! そんな激しくされては……あん」

 女は最初こそ抵抗する素振りを見せたが、男の勢いにすっかり呑まれてしまった。

 蕾を刺激され、女の秘部からクチュリと湿った音がする。

「ここが苦しそうだ。楽にしてあげよう。」

 男はそう言って秘部に指を1本ずつ挿入する。
  湿り気を帯びたそこは、ヌルヌルと指を受け入れ更に蜜をこぼしている。

「あっやめてくださいませ、おかしくなってしまう……」

 女は足を閉じようと身をよじるが、男はそれを許さず指を2本に増やした。

 女の下腹部の裏側を擦るように指を動かすと、ヌチャヌチャとした音からグチュグチュとした音に変わっていく。

「あ、だめですリンド様……! これ以上しては何かが出てしまいそう……ああ!」

 女の叫び声をかき消すかのように、男はその唇に自らの唇を押しつけた。


 ——六年前、バルサミア国。

「もたもたしてないで、さっさと歩け!」

 十三歳のカリーナは両手首を縄で縛られ、薄汚れた白布を体に巻きつけただけの状態で、屈強な男に引きずられるように歩いていた。

  同じような娘が何人もカリーナの後を続く。
 みな表情は死んだ様に固く、俯きながら歩いている。

 カリーナも、かつては美しかったであろう黒髪はきしみ、エメラルド色の瞳はくすんで見えた。
 唇は血色が悪く、ひび割れも目立つ。

 カリーナの祖国であるアルハンブラ共和国は、元は非常に豊かな国であったが、先日のバルサミア国との戦に敗れた。

 そしてアルハンブラ共和国の侯爵令嬢であったカリーナも、その影響を大いに受けた。
 侯爵夫妻であった父母はみな命を失い、カリーナは天涯孤独の身だ。
 街は全て焼き払われ、逃げ惑っていたところを敵方の兵士に捕まってしまい、今に至る。

 その場で命を奪われなかっただけ、ましかもしれないが。

 (私はこのまま奴隷として敵方に売られるんだわ)

 かつてアルハンブラが別国との戦に勝利した際に、カリーナと同じ年頃の娘が何人も奴隷として連れてこられた。
 以前は他人事として眺めていた光景も、今や自分がその立場にある。

 少女たちのその後は詳しく知らないが、奴隷として息を引き取ったもの、踊り子になったもの、貴族に見染められて後妻となったものなどがいると聞く。
 大方カリーナの運命も同じような道を辿るのだろう。

 命があるだけ感謝しろと、そう言われたこともある。
 だがカリーナはそうは思わない。

「辱めを受けるくらいならば、私もお父様やお母様と共にこの世を去りたかった……」

 捕虜を連れて歩く兵士に聞こえぬよう、小さな声で呟くカリーナであった。

「着いたぞ。公爵が現れるまでそのまま待つのだ」

 どのくらい歩いただろうか。
 街中で一際大きなお屋敷の前で行列は足を止めた。
 入り口がどこにあるのかもわからない、荘厳な雰囲気に包まれた屋敷である。
 カリーナ達はそのまま大広間に連れて行かれ、数人の娘とともに待たされた。

 カリーナは辺りをぐるりと見回す。

(素敵な装飾品ね……)

 部屋の隅に控えている使用人たちの身なりは小綺麗で、部屋中に洗練された調度品が並ぶ。
 この屋敷の主人がバルサミアで有数の権力者だということがわかる。

 侯爵令嬢であったカリーナの屋敷もそれ相応のものであったが、到底敵うものではない。
 屋敷で働く使用人の数も多そうだ。

 一体どのような者がこの屋敷の主人なのだろうか。
 そんなことをぼうっとして考えていると、大広間の扉が勢いよく開いた。

「公爵様のお出ましである」

 使用人たちが一斉に頭を下げる。
 カリーナは声と共に悠然と歩いてくる男に目を向けた。

 白銀の短髪を後ろに撫で付け、ゆったりとしたワイシャツにパンツと言ったスタイルがよく似合っている。
 切長のエメラルドグリーンの目はカリーナと同じ色。
 鼻筋のよく通った美男子で、歳は20歳くらいであろうか。

 ただその表情は冷酷さに満ちており、見た目の美しさと相まって非常に恐ろしい。

「公爵様、これが今回の戦でシークベルト家にあてがわれた奴隷にございます。娘達の采配をよろしくお願いいたします」

 どうやらこの男はこの若さでバルサミア国の公爵らしい。
 そしてここでカリーナ達の配属が決定するようだ。

「ご苦労であった。下がるが良い。では1人ずつ呼ばれたものは前に出ろ」

 慈悲のかけらもないような声が響く。

「1番右の娘、前に出ろ。お前は大柄だから洗濯小屋へ回す。おい! この娘を洗濯小屋へ連れて行け! 」

 カリーナの二つ隣にいた娘が、兵士に連れられて大広間を退出していく。

「次の娘、前へ出ろ。お前は商人の娘だったらしいな。屋敷の者達が着用する衣服や小物品を管理する役目を与えよう。ああ、間違っても横領などはするなよ? 」

 一言一言に一切感情がこもっていない。
 何一つ表情を変えずに采配を決めて行く姿に、カリーナは躊躇する。

「おい。聞いているのか。そこの娘! 次はお前だと言っているだろう! 」

 ハッとすると公爵が鋭い目付きでカリーナを睨んでいる。
 せめてもの反抗で、謝罪はしたくなかった。
 カリーナは無言で前に出る。

「カリーナ・アルシェ。アルシェ侯爵令嬢だな。これは……どうした、貴族令嬢のかけらもないような見た目であるが。まあ良い、お前は今回の戦の戦利品だな。アルハンブラの貴族の生き残りは少ない。身分は申し分無い。教養を身につけさせて、我が公爵家にとって有益な貴族の後妻や愛人として送り込む。幼いうちは屋敷の掃除でもさせれば良い。おい、とりあえずこの娘の身なりを整えろ。見られたもんじゃない。 」

 カリーナに一言も発言する隙を与えぬまま、側近に命令を出してもう次の娘の采配を行っている。

 カリーナがアルハンブラの元侯爵令嬢だということを知っていたなんて。
 下手に知られていない方が良かったのかもしれない。
 後妻はまだしも愛人だとは。
 元侯爵令嬢のカリーナにとって恥でしかない。
 いっそのこと命を絶ってしまいたいと思った。

 だがせっかく父母から授けてもらった命。
 先に逝ってしまった人々の分まで生きるのが供養なのだろうか。
 悔しさと悲しさで込み上げる涙を堪えて、ボロ布のような服を握り締めながらカリーナは誓った。

 亡き両親の復讐を遂げ、必ずこの国で幸せになってみせると。
 こうしてカリーナはバルサミア国の公爵の元で奴隷として働くことになった。
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