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第2章最弱魔王はクラスメートのために頑張るそうです

第50話 放て魔導砲

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 ゴウカは城の中を急いで走る。

(少しでも早くモカとレアル様を見つけてサンタの元へ戻らないと・・・!)

 ゴウカは城の通路を曲がった――。

「ウワッ!」

 何かにおもいきりぶつかってゴウカの体は後ろへよろけ尻もちをついた。よろけながら何にぶつかったのかと思い、うっすらと目を開けた。

(イタタタタ・・・って――)

「メルっ!?」

 ゴウカがぶつかったのはメルだった。メルはふらふらとふらついていたがゴウカの事を見ると顔を輝かせた。

「イッタ~――ってゴウカ!? 良かった! ようやく会えましたね!」
「会えましたねってなんでここに――」
「ゴウカっ!」

 モカがメルの後ろから走ってくる。そして、モカは尻もちをついているゴウカに抱きついた。

「モカ・・・」
「やっと・・・やっと会えた・・・っ!」

 モカはゴウカを抱きしめる力を強めながらゴウカの胸に顔を埋めた。

「やっと会えたって・・・ちょっと前も会ったじゃん・・・」
「うん・・・でも、全然話せなかったし・・・それに――一緒にいたあの子がゴウカの結婚相手なの・・・?」

 顔を上げ、ちょっと拗ねながらモカは聞いた。

「うん・・・」

 ゴウカは苦しい思いをしながら答えた。

「そっか・・・可愛いいし仕方ないよね・・・それに、ゴウカが好きになったんだったら私に止める権利なんてないんだし」
「まっ――」

 ゴウカは違うと返事をしようとした所で口をつぐんだ。

(今、本当に言っていいのかな・・・? 言ったら多分また――モカは無茶をするかもしれない)

「ああ、そうだよ・・・僕はレアル様をのことが好きだ。だから、もう行かなくちゃ・・・」

 モカを退けて立ち上がるゴウカ。

「ゴウカ・・・」

 メルは悲しそうな顔をしているゴウカを見て呟いた。

「ああ、そうそう。サンタなら向こうにいるから早く行ってあげ。じゃ、僕はこれで――」

 ゴウカは来た方向を指差してから行こうとした。

「待ってください! 本当にゴウカはそのレアルって人が好きなんですか?」

 行こうとするゴウカの手を取ってメルが止めた。

「メルには関係ないよ」

 ゴウカはメルの手を振り払った。しかし、

「いいえ、関係あります! モカの顔を見てください! 悲しんでいるんですよ!?」

 メルは一歩踏み出してゴウカの顔を覗きこんで言った。

「モカ・・・」

 メルに言われてゴウカはモカの方を見た。そこで、ゴウカはハッとする。モカの目には光るものがたまっていた。

(僕はモカを――皆を守りたくて、ガドレアルの言いなりになってレアル様と結婚するって決めた。なのに、モカを泣かしたのは僕だ・・・僕はなんて情けないだ・・・! メルの方がよっぽどモカの事を分かってる・・・ずっと一緒にいた僕よりも・・・)

 ゴウカは手を強く握りしめ、歯をくいしばる。

「それにモカはゴウカに会いたくてここまで来たんです! それなのに本当にこれでもう終わりにするつもりですか?」

 メルに本当の事を言われてゴウカの中で何かがはち切れた。

「うるっさいな! 僕だって本当は――」

 ゴウカは珍しく大声を上げた。

「本当はこんなことしたくなかったよ! でも、一緒にいることでレアル様の事もどうにかしてあげたいって思っちゃったんだから仕方ないだろ!」
「ゴウカ・・・」

 メルは今までに見たことがないゴウカの姿にたじろう。

「それに、僕がレアル様の婚約相手にならないと皆が危険な目に合わされるんだ! 僕に一体どうしたらいいって言うんだ!」

 ゴウカは全ての思いを吐き出した。ゴウカの心は少しだけスッとした気がした。

「だったら――だったら、私達を少しは頼ってくださいよ! 何でも一人で抱えないで下さい・・・それにゴウカがいなくなったら私達は悲しむんですよ」

 メルはモカの手をとって言った。

「さ、モカもいつまでも座ってないで立ってください! とっとと終わらせてゴウカと一緒に帰るんでしょう」

 モカはうん、と小さく言ってメルの手をとり立った。

「ゴウカも! このクソみたいな結婚式なんて今すぐに壊して一緒に帰りますよ!」

 メルはゴウカを指差して言った。

「メル・・・どうして――」

 ゴウカは自分にそこまでしてくれるメルの姿にたじろう。

「だって――人を助けることが勇者の役目、ですから」

 メルの笑って言った。

「メルには負けたよ・・・分かった、メルに頼みがある・・・僕の事を助けてくれ!」

 ゴウカは素直に頷き、メルに頼んだ。すると、メルは――、

「任せください!」

 胸に手を当てて返事した。

「モカもごめん・・・わがままだって事は分かってるけどもう少しだけ僕の事を助けてくれる? 次からは僕がモカの事を守るから」

 ゴウカはモカの目を見て手を差し伸ばした。

「うん・・・任せて! でも、これが終わったらちゃんと一緒に帰ろうね」

 モカはゴウカの手を取った。

「うん!」

 ゴウカは笑って力強く返事した。

「グスグス・・・ウゥ~~いい話ですね~これが青春です」

 アズラは一人その光景を見て号泣していた。自分には決して出来ない事。だからこそ、アズラは感動した。

「アズラ」

 メルは横目でゴウカとモカを見張りながら泣いているアズラに寄ってきた。

「アズラはサタンの所へ向かいますか? 多分怒るだろうと思いますけど・・・」

 メルはサタンの怒る姿を想像して身震いした。

「私は例え怒られるだろうとサタンさんの所へ向かいます!」
「そうですか。では、ここで一旦離ればなれですね。私はゴウカとモカについて行きます」
「全員無事で会いましょうね」
「ええ、では後ほど」

 アズラはゴウカとモカに気づかれないうちにサタンの元へと向かっていった。


「あれ? ねぇ、メル、あの人はどこに・・・?」

 モカが黒いローブを被った人――アズラがいなくなった事に気づいて聞いた。

「サンタの所へ向かいました」
「そんな・・・まだお礼も言ってないのに」
「大丈夫ですよ! あの二人ならきっと無事に会えます! 私は信じています!」
「そうだね!」

 メルが言うとモカもサタンとアズラの事を信じるように頷いた。

「じゃあ、私達も行きますか。ゴウカはしっかりとモカの事を守ってくださいよ」
「分かってるよ! モカの事をちゃんと守ってみせる!」
「ゴウカ・・・」

 ゴウカの姿にモカは少し顔を赤くした。

「じゃ、レアル様ってのがいる所へ向かいましょうか!」

 元気に言ったメル。しかし、一向に動く気配がない。ゴウカとモカは顔を見合わせて首を傾げた。

「どうしたのメル?」

 ゴウカが聞いた。すると、メルは

「よくよく考えたらここから先はゴウカが考える所に行った方がいいのでゴウカが先頭に立ってください」

 ゴウカを先頭に押しやった。ゴウカとモカは無言でメルを見ていた。

「な、なんです? そんなに見つめないでください」
「いや・・・」

 ゴウカとモカは思った。

(あ~本当に抜けてる勇者だよ)
(メルは本当にポンコツ勇者だね~)

 メルは本当に三流勇者だ、と。

「多分僕が結婚式をしていた部屋にレアル様はいると思う。だから、そこまで行こう」

 ゴウカはため息をつきながら結婚式をしていた部屋を思い返す。

「じゃ、案内お願いします」

 ゴウカとメルとモカは結婚式をしていた部屋を目指して走り出した――。


 ◇


 二機の巨大なロボットの腕が交互にサタンに襲いかかる。サタンは襲いくるロボットの腕を飛びながらかわしていた。

「排除・・・排除・・・排除・・・排除・・・」

 少しの乱れもなく排除を続ける巨大ロボット。

「排除排除・・・ウルセェんだよっ!」

 サタンは一機のロボットの顔へ回し蹴りをした。回し蹴りが見事にロボットの顔に当り鈍い音が響く。

「・・・イッテーー!!」

 しかし、痛かったのはサタンの方だった。びりびりと足が痺れる。

「クソ・・・! だったら、今度は――」

 サタンは右手を握りしめ、力を込める――闇色の魔力を纏わせ――、

「魔王パンチ!!」

 全力でロボットのお腹を殴った。

「やっぱ、めちゃくちゃいてぇ・・・!」

 サタンの魔王パンチでさえロボットは全くびくともしなかった。

 今度はロボットがサタンに向かって巨大な腕を振り下ろしてくる。サタンはそれを後ろへジャンプし交わす。

 巨大な腕が地面を叩き、砂ぼこりが舞い上がる。

「おっと・・・」

 巨大な腕に叩かれグラグラと床が揺れる。

 やっぱ、物理攻撃は効かないか・・・だったら――

「頼むぜ――ストラス! 俺に力を貸してくれ!」

 サタンは自分の中にいる梟の悪魔“ストラス”に声をかけた。

 ――ホーホホー!

 自分の中で梟が返事をする――サタンの手と足が梟のように鋭く伸びていく。

 魔書に書いてあった通りならストラスの能力《チカラ》は星を召喚出来るということだ・・・修行はしたけど今の俺がどこまでやれるか分からねー・・・けど、やれるだけの事はやってやる!

 サタンは右手で素早く空を薙いだ。
 すると、理屈では説明出来ない――どこからか丸いオレンジ色の小さな星が現れた。

 やっぱ、魔書に書いてあった事は本当だったんだ・・・!

「よしっ! いけぇーー!」

 サタンはオレンジ色の小さな星に命令する。星はサタンの声と共にロボットへと向かって飛んでいく。

「ギ、ギギ・・・」

 オレンジ色の小さな星を受け止めるロボット。そこへ、サタンはもう一回。

「【宝石の星スタージュエル】!!!」

 無数の宝石の星をとばした。無数の宝石の星が次々とロボットへ直撃する。星の勢いがロボットを押していく。

 これならいける・・・っ!

 しかし、サタンが思ったのもつかの間――、

「そんなのありかよ・・・!」

 もう一機のロボットが星の攻撃を受けているロボットを持ち上げた。そして、そのままサタンへとロボットをぶん投げた。

 王城の天井を突き破りながらサタンの上へと落ちていくロボット。

「ウワァァァーー!」

 サタンはロボットの下敷きになっていた。

「グ・・・動、けねぇ・・・」

 サタンはロボットをどかそうとするが重すぎてビクともしない。そこへロボットを投げた方のロボットが歩いてくる。

 そして、巨大な腕を振り上げ――、

「お、おい、何してる・・・? やめろ・・・」
「排除!」

 無慈悲にもサタンとサタンの上に乗っているロボットを叩きつけた。

「ガハァ・・・!」

 サタンは口から真っ赤な血を吹き出した。体全体の感覚が無くなっていく――。
 叩きつけられたロボットは壊れて大爆発を起こした。サタンはその大爆発に巻き込まれ――死んだ――。


 目を開けたサタン。そこは、いつも通りむしろ安心できる場所だった。

「あ~はいはい、また死んだのね、俺・・・もう、この展開も慣れたわ」

 一人でもう、いいや、という風に笑っているサタンに近づいてくる一つの影。

「次は・・・お前か・・・よろしくな、ダンタリオン!」

 サタンは一つの影――悪魔“ダンタリオン”に向かって手を伸ばした。ダンタリオンの表情は分からなかったサタン。ダンタリオンの表情にはモヤがかかっていた。しかし、ダンタリオンはしっかりと頷きサタンの手を握った――。


「排除・・・完了・・・」

 大爆発の後の煙が消えて、粉々になったロボットとボロボロとなって死んだサタンの姿を確認したもう一機のロボット。しばらく見つめ、サタンが本当に死んだ事を確信したロボットは振り返り立ち去ろうと歩き出した――。

「おい・・・何が排除完了、なんだ?」

 いや、歩き出したはずのロボットは立ち止まった。聞こえるはずのない声によって。

「ギギッ!?」

 サタンは粉々に潰れたロボットの残骸を退けて立ち上がった。

 そして、パッパッと手で服についていた小さな残骸を振り払うと――、

「さぁ、かかってこいよ」

 ロボットに手をクイクイとやって挑発した。

「排除・・・!」

 ロボットはまんまと挑発にのりサタンに向かってドシドシと走る。

 サタンはニヤリと口を笑わせると――、

「変身《マキシム》ッ!!」

 大きく叫んだ。

 ロボットは大きな腕で叫んでいるサタンを弾いた。ホコリが中を舞うように飛んでいくサタン。すかさずロボットは両目から黄色のビームをサタンに向けて撃つ。

 しかし――サタンに向けて撃ったビームはサタンを通り越し、王城の壁を突き破った。

「ギギッ!?」

 そこに、サタンの姿はなかった。いや、なかったのではない。確かにあったのだサタンの姿は。しかし、サタンにビームは当たらなかった。それは、何故か。それは――、

「おいおい・・・なに驚いてるんだ」

 空中を舞っていたしますサタンがそう行ってらっしゃい霧のように消えた。その瞬間、至るところにサタンが現れ出した。

 ロボットの周りや空中、床、等サタンはどんな所にも現れる。

 次々と姿を増やして現れるサタンにロボットは困惑する。キョロキョロと辺りを見回してはサタンをきょだいな腕でかき消していく。しかし、全て空を薙ぐに過ぎなかった。

「おいおい、俺はこっちだぜ? どこを狙っているんだ?」

 サタンの分身が一斉に言った。

「さぁ、もう終わりにしようぜ!」

 本物のサタンがロボットの前方から言った。

 サタンは両手をパーにして前に構えた。そして全力で力を込める。

「ハァァァアアアア!」

 両手の前に闇色をした魔力が集り塊になっていく。

 これが・・・――、

『こ、これは――』

 あの日見た、魔書の最後に書いてあった代々魔王に伝わる奥義・・・そして、今は――

「――俺の奥義だ! 吹き飛べ――魔導砲!!」

 サタンは闇色の魔力をレーザーのように解き放った。
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