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第2章最弱魔王はクラスメートのために頑張るそうです

第47話 サタンVSゴウカ

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「いいですか、サタン。もしもまたゴウカと戦うようなことになったらこの前みたいな戦い方は止めてくださいね。はっきり言ってあれは最低でしたよ。それにゴウカにも全く効いていませんでしたし」

 メルに本当のことを言われてサタンははぐうの音も出なかった。

「うぐ・・・だったら、どうしたら良かったんだよ・・・?」
「そんなの初めから戦わなければ良かったんですよ! だって、サタンがゴウカに勝てる確率なんてほぼ0に近いですからね?」
「そ、そんなにはっきり言わなくてもいいだろ!」

 メルの親切なく伝えられるサタンの弱さ。

 ・・・そのうち泣くぞ、俺・・・!

 サタンは少し悲しむ。

「ま、まぁ次に戦うようなことになった時の為に作戦を伝えて上げますよ」

 サタンが悲しんだのを見たメルは元気を出すように接してきた。

「作戦・・・? そんなのあるのか?」

 サタンは少し拗ねながら聞いた。

「まぁ、作戦というか勝つための僅かな希望みたいな感じですね。まず、ゴウカの弱点ですが当たり前の通り水には多少の効果があります」

 ゴウカが使うのは炎。大抵の事は炎でなんとか出来る。対して水には少し後ずさっただけ弱い、ということだ。

「でも水のある場所で戦うとは限らないだろ?」
「そこは、サタンがなんとかしてください!」

 僅かな希望と言いつつもサタンは全く意味ないと思った。

「・・・・・・で、今のより良い作戦が、当然、まだあるんだよな?」

 サタンは全く意味のない希望に込み上げてくる怒りを抑えながら笑って聞いた。すると、メルは少し残念な胸をはって、「もちろんです!」と答えた。

「それはですね――ゴウカの後ろから攻撃することです。ゴウカは後ろからの攻撃に弱いです。ですので、何とかしてゴウカの背後に回ってとことん攻撃していってください」

 ふふんと自慢気に言うメル。

「・・・結局それって結構ずるくね?」

 サタンに鋭いところを突かれたメルは焦って答えた。

「ずるじゃありませんよ! 立派な作戦です! まぁ、後はサタンが頑張ってどうにかしてください――」


 って、メルは言ってたけど・・・――

「無理じゃね? これ・・・」

 サタンの頬を冷や汗がじわりと伝って流れ落ちた。
 ゴウカは既に右手の掌から燃えさかる炎を出していた。

「かかってきていいよ」

 燃えさかる炎を揺らしながらゴウカが言った。

「ちっ・・・」

 水なんて最初から期待してねぇ! だったら――

 サタンは両手を握りしめて力を込めた。体の中を通って僅かな魔力が両手に集まってくるのを感じる。

 よし!

 サタンの両手を闇色の魔力がおおっていく。

「いくぞっ! ゴウカ」

 サタンはゴウカに向かって走る。

「炎よ燃やせ」

 掌をサタンに向けるゴウカ。次々とサタンに襲いかかる炎。

「もうお前の炎はくらわねぇ!」

 サタンは炎を回避。そのままゴウカに近づいて拳を連続で撃つ。

「オラオラオラオラ!」

 撃つ度に闇色の拳が弧を描く。ゴウカは首だけでサタンの拳をかわす。

「アハハハハ、少しはやるようになったね!」

 ゴウカからはまだまだ余裕が見える。

「かわしてんじゃねーよっ!」
「かわさないとさすがに痛そうだからね!」
「クソっ!」

 パンチを右左って交互に出してもかわさてれるんじゃキリがない。やっぱり、ここは後ろから攻撃するしかない!

 サタンはメルに言われた通りにどうにかしてゴウカの背後に回ろうとした。が、やはりそう簡単にはいかない。

「今度は僕の番だね」
「っ!」

 ゴウカが空中に幾つもの炎の塊を作りサタンに向けて飛ばした。

連続する炎の塊コンフレイマス

 炎の塊がサタンを襲う。

「くそがぁぁぁ!」

 サタンに当たり次々と炎の塊が爆発した――。


 爆発した炎の塊から灰色の煙が込み上げる――

(これはどうかな・・・?)

 灰色の煙が消えていく――

「ふ、さすがだね・・・」

(この前、僕の炎をくらって立ち上がっただけのことはある)

 サタンは灰色の煙の中咳き込みながら立っていた。

「ゲホッゲホッ!」

 あ、危ねぇ・・・! 一瞬でも反応が遅かったらやられてた・・・

 サタンは両手に目を落とした。闇色の魔力が剥がれ、サタンの両手は赤く腫れていた。

 ・・・~っ、今ので多分魔力はほとんど使いきった・・・この通り力を入れても何も感じない・・・

 サタンは手にグッと力を込めてみるが、魔力を感じず、ただ手が痛いだけだった。

 やっぱ、ゴウカは強い・・・! こうなったらもうこの手しか・・・

 サタンは頭に中に蛇の悪魔“アンドロ”を思い浮かべる。

「おい、ゴウカ! お前やっぱ強いな!」
「そう? 君もなかなかやるね」
「ウルセェよ・・・今のも全部叩き潰すのにどれだけかかったと思ってるんだよ・・・!」

 サタンは炎の塊が当たる直前に拳で炎の塊を叩いていたのだ。

「あはははは~だよね~・・・じゃ、続けよっか」

 ゴウカは再度掌から炎を燃やす。熱気がサタンにジリジリと伝わる。

「くっ・・・今まで以上の熱さだ・・・! けど――」
「炎よ燃やせ!」

 炎がサタンに襲いかかる。

「ここで負けることなんか出来ねぇ!」

 サタンは炎に向かって走った。

「な・・・!?」

 サタンの予想にもない行動にゴウカは目を丸くする。

「変身《マキシーーム》!!」

 サタンは叫んだ。そして、蛇のウロコを右腕に纏わせ、炎の中に飛び込んだ。 

 熱い・・・! けど――

 炎の中は燃えるように熱かった。しかし、

「ぜっったい、俺が勝あぁつ!」

 サタンは右腕を盾にした炎の中から飛び出した。

「嘘!?」

 そして――、

「く・ら・えー!」

 サタンはゴウカに飛びつきながら拳を振りかぶった。

「やっぱり、あの時とは比べものにならないくらい強くなったね・・・」

 ゴウカは飛びついてくるサタンを交わした。そして、そのまま右手の掌をサタンのお腹にぴったりと密着させた。

「僕の勝ちだ! 燃えろーーーっ!!」

 サタンのお腹で爆発する炎。

「やっぱ、つえぇ・・・」

 炎を交わすことが出来なかったサタンは地面に倒れた――。


「はぁはぁ・・・終わった・・・僕の勝ちだ」

 ゴウカはピクリとも動かないサタンを見て流れてくる汗を拭った。

「レアル様、エフノールさん終わりましたよ――」

 ゴウカはレアルとエフノールに向かって歩き出す。その瞬間、

「まだだぁ!」

 勢いよく立ち上がったサタン。

「な!?」

 そのまま驚いているゴウカに向かってジャンプして、

「オラァァァ!」

 おもいきり右手を突き出した。ゴウカの頬にサタンの重い拳がめり込んだ。

「なん、で・・・?」

 倒れる前にゴウカはサタンのお腹に何かキラキラとしたものがあるのを見た。

 キラキラとしたものの正体――それは蛇のウロコだった。サタンは蛇のウロコで炎の爆発から自身を守ったのだ。

「君は、一体・・・?」

 ゴウカはサタンに殴られ気を失った――。


 はぁはぁ・・・本当だった・・・メルに言われた通り後ろからだと効いた・・・!

 サタンは膝に手をついて息を整える。そして、落ち着くとレアルとエフノールに近づいた。

「おい! こいつの居場所はここじゃない。だから、こいつを返してもらうぞ」

 サタンに驚きながらオドオドと答えるレアル。

「あなたは・・・一体?」
「レアル様危険です! 下がって下さい!」

 エフノールが片手でレアルを押して、もう片方の手でレイピアを構える。

「俺か? 俺は――こいつのクラスメートだよ」

 サタンはレアルへと言い放った。

 よし! 言うことは言ったし急いで今すぐ帰ろう! 長いは無用だ!

 サタンはゴウカとモカを背負い急いで立ち去ろうとした。

「じゃーな!」
「ま、待って――」

 別れを告げるサタンに手を伸ばそうとするレア――

「そうですよぉ~・・・待って下さいよ」

 ――突然サタンの真後ろで声が聞こえた。

「!? おまっ――ゴハァっ!」

 サタンが驚き後ろを振り返った瞬間――サタンの体は勢いよく蹴り飛ばされた。飛ばされた瞬間にゴウカとモカを落としてしまったサタン。

「クソ・・・」

 飛ばされながらサタンは自分を蹴ったやつの姿を見ようと顔を向けた。しかし、蹴ったやつの姿は既になく、いたのは気を失ったゴウカとモカだけだった。

「どこ行った!?」

 空中を飛ばされているサタンの上から影がおおい被さった。サタンは上を見た。

 サタンを蹴飛ばしたやつは空中を飛ばされているサタンの上へ一瞬で移動し、

 避けられ――

 サタンを地面に蹴りつけた。

 ク・・・ソ・・・

 そのままサタンは意識が遠のき気絶した。

「さぁ、皆さんこの人達を拘束してください」

 サタンを蹴飛ばしたやつは地面に降り立つとそう言った。
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