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第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです
第18話 母と娘①
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「メル・・・メル・・・! 会えて嬉しいっ・・・!」
「私も、会えて嬉しい、お母さんっ・・・!」
二人はお互いの顔を見合わせながら話している。サタンは黙ってその光景を見守っていた。
しばらくしてお互いに抱き合うのをやめてサタンの方を振り向いた。
「サターン~!」
サタンはメルに呼ばれて二人の元へと歩いていった。
「サタン、こちら母の――」
「メルの母親のラエルです」
「は、初めまして! サタンと申します。いつも娘さんにはお世話になってます!」
メルの母――ラエルに挨拶をされたサタンは緊張しならが挨拶で返す。
「でも、いきなりどうしたの? 急に会いに来てくれるなんて・・・」
「実は、いろいろあってあそこに帰れなくなって・・・だから、内緒で会いに来たの」
あそこ・・・!?
サタンにはメルが言った場所がどこか分からなかった。
「本当なの!? じゃあ、今どこで寝たり、食べたりしているの!? まさか、野宿・・・?」
「それは・・・そこにいるサタンの城に一緒に住まわしてもらってて――」
メルがサタンの方を見て言ったのと同時にラエルがピクッと反応する。
「ちょ~っと待っててね・・・」
ラエルはメルの頭を撫でてからサタンに向かってつかつかと歩いてくる。
そして俺の前へ立つと笑顔で話かけた。
「ねぇ、君ぃ・・・」
「は、はい!」
笑っているはずなのにラエルにとてつもななく恐怖を感じたサタンは思わず背筋がピンと伸びる。
「私の可愛い、可愛いぃーーーーーメルに変な事なんて、してない・・・よね!?」
「そ、それは・・・」
「どうなの!? 返答しだいでは――」
笑いながらラエルは指をポキポキと鳴らす。
「は、はい! もちろん何もしてないです! 何かするつもりもありません!」
「何かするつもりもありません・・・ですって・・・? メルには興味ない・・・って事・・・?」
えぇ~・・・おかしいな・・・なんか怒っちゃったよ・・・
「そこに正座しなさい!メルの可愛さについて教えてあげるから――」
ラエルは地面を指差してサタンにそこに正座するようにと促す。
「ちょ、ちょっとお母さん!止めて・・・!」
サタンが黙って正座しようとするメルが急いで止めに入る。
「・・・はっ! ご、ごめんね~ついつい、いけない癖が・・・これもメルが可愛いすぎるのが悪いんだけどね!」
「もうっ・・・お母さん・・・」
ラエルに言われてメルは頬を赤く染めた。
あ、これ、分かった・・・多分、俺とアズラみたいな関係のやつだ・・・
サタンはその光景を見て思った。
「君もごめんなさいね~えっと・・・サタン君・・・だっけ?」
「あっ、は、はい! 大丈夫でございます!」
「良かったぁ~・・・あ、そうだ、外で話すのもなんだし家へどうぞ」
サタンとメルはラエルに言われて家の方へと歩いていく。
「あ、そうだ・・・メルの可愛さについて後でじっくりと話して上げるね」
ラエルはメルに聞こえないようにサタンの耳元で呟いた。
「は、はぁ・・・」
ふふふ、と笑いながら家に入っていくラエルの後ろ姿を見てサタンはただならぬ恐怖を感じた。
「お、お邪魔します・・・!」
「は~い、どうぞ~」
サタンはオドオドとしながらラエルの家に足を踏み入れた。家は一階建ての一軒家。あまり大きくはないが綺麗に片付けられていて好印象を持てる。
「今すぐごはん作るから二人はちょっと座って待っててね~」
「あっ、私も手伝うよ」
「いいから、いいから、メルはサタン君と座ってなさい」
「でも・・・」
「いいのいいの。私の料理を食べてもらうのなんて久しぶりなんだから一人で作りたいの。ね・・・?」
「・・・分かった」
メルは頷くとサタンを机へと案内した。
「久しぶりって・・・元々一緒に暮らしていなかったのか・・・?」
サタンは椅子に腰を降ろす小さな声でメルに質問した。
「うん・・・でも、お母さんが元気で本当に良かった~!」
鼻歌を歌いながら軽やかに調理するラエルの姿を見てメルは微笑んだ。
「はい、出来たわよクリームシチュー。どうぞ召し上がれ」
「い、頂きます!」
「頂きま~す」
サタンは出されたクリームシチューを一口、口にした。すると、サタンの体は電流が走ったかのように痺れた。
「っ・・・!」
な、何だ、これ・・・!? う、美味っ・・・! アズラが作ってくれる料理と同じくらい美味い!
サタンが隣を見るとメルはクリームシチューをぱくぱく口に運んでいる。
「すっごい美味しいよ、お母さん!」
「そう? 良かった~サタン君はどうかな? お口に合ってるかな・・・?」
「はい、めちゃくちゃ美味しいです!」
「ふふ・・・ありがとう。おかわりもあるからたくさん食べてね」
「ありがとうございます!」
そう言うとサタンもメルと同じようにクリームシチューをぱくぱくと口へ運んだ。
「私も、会えて嬉しい、お母さんっ・・・!」
二人はお互いの顔を見合わせながら話している。サタンは黙ってその光景を見守っていた。
しばらくしてお互いに抱き合うのをやめてサタンの方を振り向いた。
「サターン~!」
サタンはメルに呼ばれて二人の元へと歩いていった。
「サタン、こちら母の――」
「メルの母親のラエルです」
「は、初めまして! サタンと申します。いつも娘さんにはお世話になってます!」
メルの母――ラエルに挨拶をされたサタンは緊張しならが挨拶で返す。
「でも、いきなりどうしたの? 急に会いに来てくれるなんて・・・」
「実は、いろいろあってあそこに帰れなくなって・・・だから、内緒で会いに来たの」
あそこ・・・!?
サタンにはメルが言った場所がどこか分からなかった。
「本当なの!? じゃあ、今どこで寝たり、食べたりしているの!? まさか、野宿・・・?」
「それは・・・そこにいるサタンの城に一緒に住まわしてもらってて――」
メルがサタンの方を見て言ったのと同時にラエルがピクッと反応する。
「ちょ~っと待っててね・・・」
ラエルはメルの頭を撫でてからサタンに向かってつかつかと歩いてくる。
そして俺の前へ立つと笑顔で話かけた。
「ねぇ、君ぃ・・・」
「は、はい!」
笑っているはずなのにラエルにとてつもななく恐怖を感じたサタンは思わず背筋がピンと伸びる。
「私の可愛い、可愛いぃーーーーーメルに変な事なんて、してない・・・よね!?」
「そ、それは・・・」
「どうなの!? 返答しだいでは――」
笑いながらラエルは指をポキポキと鳴らす。
「は、はい! もちろん何もしてないです! 何かするつもりもありません!」
「何かするつもりもありません・・・ですって・・・? メルには興味ない・・・って事・・・?」
えぇ~・・・おかしいな・・・なんか怒っちゃったよ・・・
「そこに正座しなさい!メルの可愛さについて教えてあげるから――」
ラエルは地面を指差してサタンにそこに正座するようにと促す。
「ちょ、ちょっとお母さん!止めて・・・!」
サタンが黙って正座しようとするメルが急いで止めに入る。
「・・・はっ! ご、ごめんね~ついつい、いけない癖が・・・これもメルが可愛いすぎるのが悪いんだけどね!」
「もうっ・・・お母さん・・・」
ラエルに言われてメルは頬を赤く染めた。
あ、これ、分かった・・・多分、俺とアズラみたいな関係のやつだ・・・
サタンはその光景を見て思った。
「君もごめんなさいね~えっと・・・サタン君・・・だっけ?」
「あっ、は、はい! 大丈夫でございます!」
「良かったぁ~・・・あ、そうだ、外で話すのもなんだし家へどうぞ」
サタンとメルはラエルに言われて家の方へと歩いていく。
「あ、そうだ・・・メルの可愛さについて後でじっくりと話して上げるね」
ラエルはメルに聞こえないようにサタンの耳元で呟いた。
「は、はぁ・・・」
ふふふ、と笑いながら家に入っていくラエルの後ろ姿を見てサタンはただならぬ恐怖を感じた。
「お、お邪魔します・・・!」
「は~い、どうぞ~」
サタンはオドオドとしながらラエルの家に足を踏み入れた。家は一階建ての一軒家。あまり大きくはないが綺麗に片付けられていて好印象を持てる。
「今すぐごはん作るから二人はちょっと座って待っててね~」
「あっ、私も手伝うよ」
「いいから、いいから、メルはサタン君と座ってなさい」
「でも・・・」
「いいのいいの。私の料理を食べてもらうのなんて久しぶりなんだから一人で作りたいの。ね・・・?」
「・・・分かった」
メルは頷くとサタンを机へと案内した。
「久しぶりって・・・元々一緒に暮らしていなかったのか・・・?」
サタンは椅子に腰を降ろす小さな声でメルに質問した。
「うん・・・でも、お母さんが元気で本当に良かった~!」
鼻歌を歌いながら軽やかに調理するラエルの姿を見てメルは微笑んだ。
「はい、出来たわよクリームシチュー。どうぞ召し上がれ」
「い、頂きます!」
「頂きま~す」
サタンは出されたクリームシチューを一口、口にした。すると、サタンの体は電流が走ったかのように痺れた。
「っ・・・!」
な、何だ、これ・・・!? う、美味っ・・・! アズラが作ってくれる料理と同じくらい美味い!
サタンが隣を見るとメルはクリームシチューをぱくぱく口に運んでいる。
「すっごい美味しいよ、お母さん!」
「そう? 良かった~サタン君はどうかな? お口に合ってるかな・・・?」
「はい、めちゃくちゃ美味しいです!」
「ふふ・・・ありがとう。おかわりもあるからたくさん食べてね」
「ありがとうございます!」
そう言うとサタンもメルと同じようにクリームシチューをぱくぱくと口へ運んだ。
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