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第5章最弱魔王は悪魔のために頑張るそうです
第142話 圧倒的力の差
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「町に魔物、だと……!?」
その伝えられた情報は戦天使達を一気に不安にさせた。
魔物はかつて、先代の同胞が滅ぼした魔界の存在。魔物と聞けば魔界に存在していた化け物だという連想になることは当然のことだった。戦天使達がどよめき出すまでにそう時間はかからなかった。
かつて、魔界に存在していたという魔物というものをサタンは知らない。フィルの口から話に出てもこなかったしその時存在すらしていなかったからだ。だから、サタンが知っている魔物は人間界に出現した魔力なき化け物だけ。しかし、その事実を戦天使達は知るよしもない。
「いったい、なにをした……!?」
コセルはサタンにより一層強くなった敵意を向けて問いかける。
「さぁな。俺はなにもしていない」
「嘘をつくな! この時――このタイミングで魔物が現れるなど誰かが手を貸しているに違いない!」
コセルはサタンに強襲し槍を一薙ぎ振り払う。だが、サタンはそれを悠々と上へ昇り回避した。しかし、コセルもそれで諦めない。すぐさまサタンを追いかける。再び対峙した二人の間に緊迫が流れる。
「焦っているのか?」
「黙れ!」
「それも、そうだよな。町には魔物……心配になるに違いないよな」
「黙れと言っているだろう!」
コセルの口調は強くなる。怒りに震えるように体を身震いさせながら、振り返った。
「お前は先に戻ってみんなを守れ。我々もコイツを捕らえ次第すぐに戻る!」
「あ、あぁ、分かった」
魔物が出たということを伝えにきた戦天使にそう言う。返事をした戦天使は天界へ急いで戻っていった。その姿を見届けると他の戦天使達もコセルの元へと集いサタンの前に立ちはだかる。
魔王対数人の戦天使。戦力差は歴然としていた。
「俺を捕らえる、か……」
サタンは勝ち目のない状態であるにも関わらず笑みがこぼれてしまう。
「なにが可笑しい……?」
「……いや、ひとつだけ忠告しといてやろう――」
「かかれ!」
コセルは自身を先頭に戦天使を引き連れてサタンへと一斉に襲いかかる。
「――今の俺を捕らえるのは少々難しいぞ」
◇
「――……うぅっ……」
コセルは傷を負った状態で仰向けに倒れていた。コセルの周りには同じ様に傷を受け、意識をなくした状態でうつ伏せに倒れている仲間の姿があった。
(なんだ……なにが起こったんだ――)
体を起こそうとしても起き上がれない。踏ん張る体勢でゆっくりと向かってくる敵を見て、一瞬の出来事を思い返した――。
一斉に襲いかかってくるコセルや戦天使に対してサタンは変身《マキシム》をしなかった。魔柱72柱の悪魔の能力を使用すればこの状況を打破できないことはない。だが、サタンはそれをしなかった。しかし、結果として、サタンは圧倒的力の差で勝利した。
「闇の剣《ダークネス・ブレード》――!」
サタンの手に形成されていく魔力で具現化された闇色の剣。その大きさは巨大であり振るのには莫大な腕の力が必要だと思われた。が、それは、あくまでも魔力。剣の形をしているからといっても擬態しているだけ。だから、振るのに力を要しない。剣を放しても魔力で繋がることが可能。空中でその剣は浮遊した。
そして、サタンは無慈悲にもその巨剣を横から振り払う。コセルと戦天使達は圧巻の果て、避けるという意思に至るまでほんの時間を有した。その僅かな時間が命取りとなり、端にいた戦天使を巻き込みながら剣は振り払われた。
その攻撃による痛みは予想出来ない。並みの戦天使はすぐに気を失いボトボトと落ちていく。コセルでさえもその攻撃を耐えきることが出来ず無様に落ちていった――。
サタンはゆっくりとコセル達に向かって歩いていく。手には巨大から程よい大きさに変わった闇色の剣が握られている。
鋭い瞳でコセルを見下ろしすサタン。その鋭さには冷たさが込められており、コセルは身震いを起こした。
「くっ……殺すなら、殺せ……お前にはその資格がある……!」
コセルは死をとっくに覚悟していた。
この敵には絶対に勝てない、とサタンの一撃を受けて本能が理解したのだ。それに、この名前も知らない敵に今まではたらいた無礼もある。世の中そう甘くはない、と――。
サタンはその言葉を聞いて剣を掲げた。
振り下ろされる一閃。目を閉じるコセル。だが、剣はコセルの髪を数ミリ宙に浮かせただけで体を傷つけることはなかった。
「な、なにを……」
「俺は――」
大きな唾をゴクリと飲み、次に発せられる言葉を待つ。いたぶって殺す、ジリジリと時間をかけて殺す――そうコセルは予想した。
だが――
「俺はお前達を殺す気などない」
サタンから発せられたのは全くの逆の意味。コセルは正直、思ってもいない甘い言葉に拍子抜けした。
「は……? こちらは覚悟しているんだ。情けなんていらん……殺せ!」
コセルが強く言ってもサタンはただ見下ろしただけだった。剣を地面から離し、体勢を戻す。
「お前は俺が敵だから殺せと言っているのかもしれないが、俺は違う。確かに、お前のことは敵として認識している。けど、俺はお前のことをなにも知らない。ただ互いの目的のために衝突しているだけだ」
「……ッ……!」
「かつて、天使と人間は悪魔がただ怖いからという理由だけで滅ぼした……だが、悪魔がなにをした? 滅ぼすまでしなくちゃいけないほど恐ろしいことをされたのか?」
「……そんなこと、幼い頃の俺が知るはずがないだろ……」
「そうだよな。けど、お前ら天使と人間は本当なのかどうか知りもしないで無実の悪魔を滅ぼしたんだ。当然、中には恐ろしいことをする悪魔だっていただろう。俺はソイツを知っている。けど、みんながみんなそうなのか?」
サタンが知っている悪魔はアズラとベルゼブブ。真逆の二人を知っているからこそ悪魔にも人間と同じ色々な種類がいるのだと分かる。
「違うだろ。自分に都合のいいやつしか存在しない世界なんてどこにもありはしない。むしろ、俺には本当か嘘か知りもしないで悪魔を滅ぼしたお前らの方がよっぽど恐ろしく思える。だから、俺はそうなりたくない。ならないようにしたいんだ」
サタンに言われコセルは何かが吹っ切れたかのように自分の心が少し軽くなったような気がした。自分とは違う信念のサタンの強さが理解出来た気がした。
「お前は一体――」
「俺か――」
サタンは人間でありながら魔王という異質な存在。だが、それは不確か。確実にサタンを表す言葉を持ち合わせてはいなかった。
「そうだな……俺は、ただの人間で魔王でサタンだ――!」
「なんだそれ……」
コセルは呆れた。意味が分からない、と。だが、不思議と嫌な気持ちにはなっていなかった。
「……いけ。殺戮の英雄が処刑されるまでそう時間はない――いや、もう遅いかもしれないな」
「そんなこと、俺がさせない。俺が止める」
「……これだけは言っておく。間違った判断はいつか後悔することになる」
「ああ、分かってる」
コセルはサタンの答えを聞くと小さな笑みを浮かべて気を失った。
これまで、散々後悔してきた……だから、今度は後悔しないようにするんだ……!
サタンは宙へ舞う。しかし、この時、不思議なことが起こった。背中に双翼がないにも関わらず宙へ浮かび上がることが出来たのだ。その不可思議な状況に一瞬戸惑い何が起こっているのか不安になる。
「まぁ、どうでもいい。今はアズラのもとへ」
だが、その不安をすぐに後回しにして、サタンは上昇した。位置が変わった天城へと速度を上げて向かった。
――サタンに起こっている何かが後に起こすことなど知りもせず――。
その伝えられた情報は戦天使達を一気に不安にさせた。
魔物はかつて、先代の同胞が滅ぼした魔界の存在。魔物と聞けば魔界に存在していた化け物だという連想になることは当然のことだった。戦天使達がどよめき出すまでにそう時間はかからなかった。
かつて、魔界に存在していたという魔物というものをサタンは知らない。フィルの口から話に出てもこなかったしその時存在すらしていなかったからだ。だから、サタンが知っている魔物は人間界に出現した魔力なき化け物だけ。しかし、その事実を戦天使達は知るよしもない。
「いったい、なにをした……!?」
コセルはサタンにより一層強くなった敵意を向けて問いかける。
「さぁな。俺はなにもしていない」
「嘘をつくな! この時――このタイミングで魔物が現れるなど誰かが手を貸しているに違いない!」
コセルはサタンに強襲し槍を一薙ぎ振り払う。だが、サタンはそれを悠々と上へ昇り回避した。しかし、コセルもそれで諦めない。すぐさまサタンを追いかける。再び対峙した二人の間に緊迫が流れる。
「焦っているのか?」
「黙れ!」
「それも、そうだよな。町には魔物……心配になるに違いないよな」
「黙れと言っているだろう!」
コセルの口調は強くなる。怒りに震えるように体を身震いさせながら、振り返った。
「お前は先に戻ってみんなを守れ。我々もコイツを捕らえ次第すぐに戻る!」
「あ、あぁ、分かった」
魔物が出たということを伝えにきた戦天使にそう言う。返事をした戦天使は天界へ急いで戻っていった。その姿を見届けると他の戦天使達もコセルの元へと集いサタンの前に立ちはだかる。
魔王対数人の戦天使。戦力差は歴然としていた。
「俺を捕らえる、か……」
サタンは勝ち目のない状態であるにも関わらず笑みがこぼれてしまう。
「なにが可笑しい……?」
「……いや、ひとつだけ忠告しといてやろう――」
「かかれ!」
コセルは自身を先頭に戦天使を引き連れてサタンへと一斉に襲いかかる。
「――今の俺を捕らえるのは少々難しいぞ」
◇
「――……うぅっ……」
コセルは傷を負った状態で仰向けに倒れていた。コセルの周りには同じ様に傷を受け、意識をなくした状態でうつ伏せに倒れている仲間の姿があった。
(なんだ……なにが起こったんだ――)
体を起こそうとしても起き上がれない。踏ん張る体勢でゆっくりと向かってくる敵を見て、一瞬の出来事を思い返した――。
一斉に襲いかかってくるコセルや戦天使に対してサタンは変身《マキシム》をしなかった。魔柱72柱の悪魔の能力を使用すればこの状況を打破できないことはない。だが、サタンはそれをしなかった。しかし、結果として、サタンは圧倒的力の差で勝利した。
「闇の剣《ダークネス・ブレード》――!」
サタンの手に形成されていく魔力で具現化された闇色の剣。その大きさは巨大であり振るのには莫大な腕の力が必要だと思われた。が、それは、あくまでも魔力。剣の形をしているからといっても擬態しているだけ。だから、振るのに力を要しない。剣を放しても魔力で繋がることが可能。空中でその剣は浮遊した。
そして、サタンは無慈悲にもその巨剣を横から振り払う。コセルと戦天使達は圧巻の果て、避けるという意思に至るまでほんの時間を有した。その僅かな時間が命取りとなり、端にいた戦天使を巻き込みながら剣は振り払われた。
その攻撃による痛みは予想出来ない。並みの戦天使はすぐに気を失いボトボトと落ちていく。コセルでさえもその攻撃を耐えきることが出来ず無様に落ちていった――。
サタンはゆっくりとコセル達に向かって歩いていく。手には巨大から程よい大きさに変わった闇色の剣が握られている。
鋭い瞳でコセルを見下ろしすサタン。その鋭さには冷たさが込められており、コセルは身震いを起こした。
「くっ……殺すなら、殺せ……お前にはその資格がある……!」
コセルは死をとっくに覚悟していた。
この敵には絶対に勝てない、とサタンの一撃を受けて本能が理解したのだ。それに、この名前も知らない敵に今まではたらいた無礼もある。世の中そう甘くはない、と――。
サタンはその言葉を聞いて剣を掲げた。
振り下ろされる一閃。目を閉じるコセル。だが、剣はコセルの髪を数ミリ宙に浮かせただけで体を傷つけることはなかった。
「な、なにを……」
「俺は――」
大きな唾をゴクリと飲み、次に発せられる言葉を待つ。いたぶって殺す、ジリジリと時間をかけて殺す――そうコセルは予想した。
だが――
「俺はお前達を殺す気などない」
サタンから発せられたのは全くの逆の意味。コセルは正直、思ってもいない甘い言葉に拍子抜けした。
「は……? こちらは覚悟しているんだ。情けなんていらん……殺せ!」
コセルが強く言ってもサタンはただ見下ろしただけだった。剣を地面から離し、体勢を戻す。
「お前は俺が敵だから殺せと言っているのかもしれないが、俺は違う。確かに、お前のことは敵として認識している。けど、俺はお前のことをなにも知らない。ただ互いの目的のために衝突しているだけだ」
「……ッ……!」
「かつて、天使と人間は悪魔がただ怖いからという理由だけで滅ぼした……だが、悪魔がなにをした? 滅ぼすまでしなくちゃいけないほど恐ろしいことをされたのか?」
「……そんなこと、幼い頃の俺が知るはずがないだろ……」
「そうだよな。けど、お前ら天使と人間は本当なのかどうか知りもしないで無実の悪魔を滅ぼしたんだ。当然、中には恐ろしいことをする悪魔だっていただろう。俺はソイツを知っている。けど、みんながみんなそうなのか?」
サタンが知っている悪魔はアズラとベルゼブブ。真逆の二人を知っているからこそ悪魔にも人間と同じ色々な種類がいるのだと分かる。
「違うだろ。自分に都合のいいやつしか存在しない世界なんてどこにもありはしない。むしろ、俺には本当か嘘か知りもしないで悪魔を滅ぼしたお前らの方がよっぽど恐ろしく思える。だから、俺はそうなりたくない。ならないようにしたいんだ」
サタンに言われコセルは何かが吹っ切れたかのように自分の心が少し軽くなったような気がした。自分とは違う信念のサタンの強さが理解出来た気がした。
「お前は一体――」
「俺か――」
サタンは人間でありながら魔王という異質な存在。だが、それは不確か。確実にサタンを表す言葉を持ち合わせてはいなかった。
「そうだな……俺は、ただの人間で魔王でサタンだ――!」
「なんだそれ……」
コセルは呆れた。意味が分からない、と。だが、不思議と嫌な気持ちにはなっていなかった。
「……いけ。殺戮の英雄が処刑されるまでそう時間はない――いや、もう遅いかもしれないな」
「そんなこと、俺がさせない。俺が止める」
「……これだけは言っておく。間違った判断はいつか後悔することになる」
「ああ、分かってる」
コセルはサタンの答えを聞くと小さな笑みを浮かべて気を失った。
これまで、散々後悔してきた……だから、今度は後悔しないようにするんだ……!
サタンは宙へ舞う。しかし、この時、不思議なことが起こった。背中に双翼がないにも関わらず宙へ浮かび上がることが出来たのだ。その不可思議な状況に一瞬戸惑い何が起こっているのか不安になる。
「まぁ、どうでもいい。今はアズラのもとへ」
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