火の玉の如く

しょちぃ

文字の大きさ
上 下
23 / 25
駆け抜ける火の玉

駆け抜ける火の玉

しおりを挟む
相手のカルロスが俺に食い下がる!くそ!負けてなるものか!

カルロスをかわしてボールをボランチの天野さんに渡す。それを今川が奪いにくる!

前を見ると立石さんの横が開いている。俺は手を上げた!
それでも今川はボールに食い下がる!

俺は走り出し、今川とボールの奪いになった!

「今川さん、俺は素人だろうが、根性じゃ負けられないんだよ!特にあんたにはな!」

俺はそういうと無理矢理ボールを奪った!そのまま駆け上がる!さらに!さらに!前に前に!

行くんだ!今この瞬間も燃えろ!俺は見据えたゴールに向かって大きく蹴り出した!

ボールはゴールに向かって一直線に飛んでいく!GK正面に飛ぶ!しまった!捕られる!

次の瞬間ボールはドロップしワンバウンドした!ワンバウンドしたボールはGKの頭を越し、そのままゴールの天井に突き刺さり、次の瞬間ゴールの中に入った!

『ゴォォォール』

「「「やった!」」」

「「「うぉぉー!」」」

ゴールのアナウンスと共に俺たちは歓喜の叫びをあげ、それをかき消す歓声がスタジアムを包んだ!サポーターの旗が嵐のようにスタンドで閃く!

「上山!ナイスゴール!」

天野さんが駆け寄る。続いて谷内さん、岩橋さんも駆け寄る。

今川が呆然とその姿をみている。信じられないような表情で。

その後、試合は前半を終えた。ベンチに戻る俺たちに真由さんとスタッフがボトルを渡した。各自水分補給する中オッサンが俺たちに話す。

「前半はなんとかしのいだ。上山のゴールでなんとかリードしているが、相手はスタリオンズだ!今川を特にマークだ!谷内、天野、上山!3人でマークだ!しのぐだけではダメだ!攻めろ!波は俺たちにきている!よし!いけ!」

「「「おおー!!」」

俺たちはいつも以上に気合いを入れて吠えた!
このまま後半も俺たちがボールを支配する!

後半が始まった!ホイッスルが鳴る!

しかし、俺たちが攻めたと思うとスタリオンズに奪われ、また俺たちが奪う展開のままいたずらに時間だけが過ぎる!

一進一退の攻防で時間が過ぎてゆく!気がつくと終了も近づいている。なんて早く時間が過ぎるんだ!

しかし、次第に相手が押してくる!残り時間は?ロスタイムは?

主審が時計を見た。時間か?

そう思っていた時、一瞬の隙を見逃さず今川が駆け抜ける!

『ゴォォォール』

「「「うぉぉー!」」」

やられた!時間なんか考える暇無いんだ!くそ!今川が不敵な笑みで俺を見据える。

「どうやら延長のようだね」

今川がそう言って俺の横を走り去る。くそー!

ホイッスルが鳴り、試合が再開された。
延長なんて関係ねー!

立石さんは岩橋さんにパスしボールを渡す。同時に俺は走り出した!

「岩橋さん、パスだ!」

俺の声に岩橋さんは驚いたが、そのまま走る俺にパスした!俺はボールを奪うとそのまま二人の間を走り抜けた!

「何!?」

今川がそう言った。俺は構うことなく今川の横をすり抜け、敵陣中盤まで上がった!

そこからシュート!ボールは一直線に真っ直ぐ放たれた!

そのままゴールネットが揺れた!相手GKは唖然と立ち尽くしている!

『ゴォォォール』

「「「ウォォォー!!!」」」

アナウンスと共に歓声がスタジアムを揺らす!
同時に試合終了を告げるホイッスルが鳴る!

「「「やった!!!」」」

「「「優勝だ!!!」」」

俺に向かって皆が走り寄る。

「ナイスゴール、上山!やったな」

皆が俺を祝福する。やった、やったんだ。俺たちは頂点に立った!

今川が俺に向かって走ってきた。

「負けたよ"火の玉"。最後のシュートはボールまで"火の玉"だな。これからはどえらいライバルとの闘いに手こずりそうだな。」

そういうと今川は俺と握手した。続いて東山、小竹、カルロスと言ったスタリオンズの面々と健闘を称え合う握手を交わした。

「本当に何をするかわからない奴だな。だが俺も負けない。また闘おうぜ!"火の玉"」

そういうと今川はとてもさわやかな笑みを浮かべ俺の肩を叩いた。

「ああ。次も負けないぜ!」

俺は今川にそう言うと再び互いに健闘を称え合った。

「せい、のう」

その声と共に村上さんが俺を肩車する。

「「「上山!!上山!!上山!!上山!!」」」

サポーターが立ち上がり上山コールと手拍子を始めた。凄まじい熱気だ。

「おい!ボーっとするな!歓声に応えんかい!」

村上さんのその言葉に俺は両手をあげて応えた。さらに大きな歓声がスタジアムを包む。
スタジアムが壊れんばかりの歓声が俺たちの周りを包み、こだまする。

「やっな!"火の玉"!」

村上さんが俺に嬉しそうにそう言った。俺も心からの感謝と健闘を込めて言った。

「はい!おかげさまで!」

俺はいつまでも村上さんに肩車されていた。サポーターの歓声は止むことなく、表彰式の準備が静かに進む中、熱気に包まれたスタジアムを揺らし続けていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

青空ベンチ ~万年ベンチのサッカー少年が本気で努力した結果こうなりました~

aozora
青春
少年サッカーでいつも試合に出れずずっとベンチからみんなを応援している小学6年生の青井空。 仲間と一緒にフィールドに立つ事を夢見て努力を続けるがなかなか上手くいかずバカにされる日々。 それでも努力は必ず報われると信じ全力で夢を追い続けた結果…。 ベンチで輝く君に

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

処理中です...