火の玉の如く

しょちぃ

文字の大きさ
上 下
18 / 25
リーグ戦開始

リーグ戦中盤

しおりを挟む
後半も俺たちは何度か猛攻を受けたが、しのいだ。俺たちの勢いに相手も飲まれている!

何度か俺たちもブルドッグスもチャンスがあったがモノにできなかった。

俺は不思議な空間にいた。身体はクタクタだけど、心はやけに躍っていた。そして魂が熱く燃え盛り、このスタジアムと一体になるのを感じていた。

やがてホイッスルが鳴った。

「「「やったあ!!!!」」」

俺たちの勝利だ!みんなが駆け寄る。

「上山!やってくれたな!」

矢野さんが俺に握手を求めて、そう言った。俺は矢野さんと握手を交わすと矢野さんは嬉しそうにうなづいた。

「俺とも握手してくれるかな、上山くん」

声のほうを見るとブルドッグスの真田が握手を求めて近づいてきた。後ろには千葉、酒井、マルコもいる。

「素晴らしいライバルが現れた。次は負けないぜ、"疾風のサムライ"の後継者」

真田はそう言って俺と握手を交わした。その後、千葉、酒井、マルコとも握手を交わす。
お互いに健闘を称え合い、俺たちはベンチに向かい、応援してくれたサポーターに一礼した。

再びベンチに向かうと横にいた村上が俺に握手を求めてきた。

「上山、ずいぶん意地の悪いことをして本当にすまなかった。俺はサッカーに人生を賭けていると自負していたから、お前が遊び半分でクラブに入ったと思い、許せなかったんだ」

村上はそういうと深々と頭を下げた。俺は村上のその姿を見て、俺も村上に変な意地を立てていたことを恥じた。

「村上さん、俺も村上さんに変な意地を立てていました。本当に恥ずかしいです。許してくれますか?」

そう言って俺は村上に深々と頭を下げた。

「これからは良きチームメイトであり、ライバルだな。上山!」

「はい!」

お互いにそういうと俺は村上と握手を交わし、お互いに肩や背中を叩き合った。
その姿をオッサンが嬉しそうに見つめている。

俺と村上の周りをメンバーがみんな囲んでいた。なんだかんだ言ってもやはり村上、いや村上さんもスポーツマン。本当は気持ちのいい奴なんだ。そしてクリムゾンウォリアーズのメンバー全員がスポーツマンであり、素晴らしい戦士。俺はあらためてこんな素晴らしい仲間達と闘えることに喜びを感じた。

静かにオッサンが俺たちに近づいてきた。

「今日の勝利によって我々は優勝に一気に加速がついた!そして俺たちは一丸となった!もう恐れるものはない!このまま突き進むぞ!」

「「「オォォー!!!」」」

オッサンの言葉に俺たちは吠えた。

「上山」

「はい」

オッサンが引き上げるメンバーを見つめてから、俺に言った。

「本当に今までよく頑張った。しかし、まだまだ勝負は続く。今まで以上に引き締めろ!」

「はい!」

そういうとオッサンは俺と肩を組んでそのまま俺と一緒に引き上げた。不思議な縁だな。オッサンとは、俺がボクシングができない身体になり、ヤケになった後、出会い、いつのまにかサッカーにすべてを賭けていた。

だが、まだだ。まだ終わってはいない。俺は頂点を目指してオッサンと仲間たちとこれからも走り続ける。

ロッカールームでは皆が陽気に談笑し、いつも以上に勝利に皆が酔った。俺たちは一つにまとまったことを感じた。このまま優勝まで駆け抜ける!この先の試合はただぶち当たるのみ!俺たちはさらに強くなったことをお互いに感じていた。

その後着替えて、選手専用の出入り口から出ると、ほのかさんが俺を待っていた。

「今日の大活躍おめでとう」

「ありがとう」

ほのかさんの言葉に応えると俺たちは並んで歩き出した。

「もうサッカー選手としての自覚もプレイヤーとしても一人前だね。蓮くん」

「いやー。まだまだ半人前ですよ」

俺は頭をガリガリかきながらほのかさんにニッコリ笑って言った。ほのかさんが嬉しそうに笑みを浮かべている。

「私ね。これからも蓮くんの活躍見ていたい。ずっと側で。いいかな?蓮くん?」

ほのかさんが頬を少し赤らめながらいう。俺はドキドキしてきた。

「もちろん、これからも!」

俺がそういうと、ほのかさんは嬉しそうに微笑んで、俺の手を握ってきた。
それから俺たちは黙ったまま帰って行った。

月がやけに輝いて綺麗だ。静かに俺たちを照らしている。夜の帳が下りる中、手を繋ぐ俺とほのかさんの影が静かに風の中流れて行った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

ラガー・チルドレン

栗金団(くりきんとん)
キャラ文芸
 2019年ラグビー世界大会、15歳の瓜坊直流(うりぼうすぐる)はテレビの向こうにいる屈強なラガーマンに憧れたことがきっかけでラグビーを始める。 しかし、中学のラグビー部は部員数3人の弱小部だった。 さらに翌年先輩たちが卒業をしたことでラグビー部は廃部となってしまう。  ラグビーをするため、そして先輩たちに学んだことを無駄にしないためにも瓜坊はラグビー強豪校に進学することを決意する。 親に学費の相談をしたり勉強をしたりしながら、友人たちに声をかけてラグビーの練習を続ける瓜坊。  そして2年後、瓜坊はやっとの思いで獅子神高校に入学する。ところが、ラグビー部に入部するにはとある条件が必要だった。  ラグビー初心者の男子高校生が好きなスポーツのために奮闘し成長するスポーツ小説、開幕!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

千変万化のアングラーズ

かにサーモン
キャラ文芸
 北国で渓流釣りを嗜む少年、流渓太。高校卒業まで残り半年となったのにも関わらず、未だに進路が決まってない。  日課の釣りを終え、家に戻ると見知らぬ男が……その男の名は、相沢魚影!彼はパンフレットを手渡す。『フィッシングアカデミア』……!なんと、釣り専門学校のものだ!    これは様々な魚種が生息する島で、互いの知識と技術を駆使し、衝突し、高め合い釣り人(アングラー)として成長していく物語だ。

【ショートショート】雨のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...