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交差する思い
交差する思い
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昼間だというのに暗い部屋の中、宮川が久米さんを殴り続ける音と久米さんの悶絶する声が部屋の中に響き渡る。
「もうやめて!やめてください!久米さんをそれ以上殴るのはやめてください!」
私は思わずそう叫んだ。しかし、宮川はまだ久米さんを殴り続けている。
「申し訳ございませんねぇ、ミセスかの子。久米修を倒すのは、ある意味私の夢。私も武術をかじっているもんで」
そういうとまた宮川は久米さんを残忍なまでに殴り続けている。
すると小田がいきなり宮川の頬にビンタを浴びせた。
「この愚か者が!ミセスかの子がやめてくださいとおっしゃっているのに、まだ続けるとは!やめんか!愚か者!ミセスかの子に楯突くつもりか!」
小田が宮川にそう言って、さらにビンタを2回浴びせた。宮川は久米さんを離した。久米さんはそのまま、ズルズルと宮川の身体に全身を浴びせるような体勢で床に落ちて動かない。
私は久米さんが心配で側に駆け寄った。宮川や小田が近くにいたが、そんなことより久米さんが心配だ。
「久米さん!久米さん!しっかりして下さい!大丈夫ですか!?すみません、私のために……」
久米さんは少しだけ身体を起こした。
「……か、かの子さん、あやまるのは私だ。か、勝手なことをして……」
久米さんがそこまでいうと宮川が久米さんを抱え上げた。
「もういいでしょう、ミセスかの子。久米は然るべき場所に移します」
「待ってください!まさか、久米さんを殺す気じゃ!」
私が宮川に対してそういうと小田がニヤリと笑いながら私に言った。
「ミセスかの子、大丈夫ですよ。殺しはしません。あの方も大切なミセスかの子の人質ですからね。丁重にお世話させていただきます。
ああ、アバラが5本程折れてますし他にもお怪我されてますが、きちんと治療致しますので、ご安心を」
小田はそういうと宮川に合図し、久米さんを連れて行った。久米さんは手で大丈夫と私に合図し、精一杯の笑顔を私に送った。
不気味に静まり返った部屋に小田と私は向かい合い、小田はニヤリと笑い、さっきの壁のスクリーンのスイッチをつけた。
スクリーンには悲惨な光景がたくさん映し出されている。目をふさぎたくなるような映像ばかりが映し出される。
飢えた人達、争いで傷ついた人達、様々な病気で苦しむ人達…その他にも表現できない悲惨な光景が映し出されている。
それを見ながら小田は身体をナワナワと震わせている。
「ミセスかの子!これが現実なのです!このような悲惨な状況を目の当たりにして、あなたは何もお感じになられませんか!我々はこのような人達を救う為に組織を作ったのです!
その為にはあなたの力が必要だ!ミセスかの子!我々に力を!」
小田は怒りに満ちた表情で私にそう言った。私は小田の気持ちもわからないでもないと感じた。そして私の大切な人達の為にも決断しないといけない。
「わかりました。あなたがたに協力しましょう。ただし、殺しだけでなく暴力を振るった時点で私は協力はしません」
私は震える身体を必死におさえながら、そう叫んだ。小田がニヤリとさっきよりも、より不気味に嬉々とした表情で笑った。
「おお!ミセスかの子!やっとわかっていただけましたか!そうです!その通りです!あなたの協力さえあれば、たくさんの人類は救われる!
暴力?ハハハ。ご安心ください。我々はそのような野蛮な真似は致しません!」
小田はさらに嬉々とした笑みを浮かべて私を見つめる。私はぞっとして吐き気がしてきた。
「さて、ではこれからのことをご説明させていただきましょうか!ミセスかの子!ハハハ。愉快ですね!たくさんの人類が救われる!ハハハ。
ではご説明といきましょう!」
小田はそういうと私の前にさらに近づく。私は震える全身を必死でおさえながら小田を見つめていた。
説明ってなんなんだろう?私の不安はさらに深まった。
「もうやめて!やめてください!久米さんをそれ以上殴るのはやめてください!」
私は思わずそう叫んだ。しかし、宮川はまだ久米さんを殴り続けている。
「申し訳ございませんねぇ、ミセスかの子。久米修を倒すのは、ある意味私の夢。私も武術をかじっているもんで」
そういうとまた宮川は久米さんを残忍なまでに殴り続けている。
すると小田がいきなり宮川の頬にビンタを浴びせた。
「この愚か者が!ミセスかの子がやめてくださいとおっしゃっているのに、まだ続けるとは!やめんか!愚か者!ミセスかの子に楯突くつもりか!」
小田が宮川にそう言って、さらにビンタを2回浴びせた。宮川は久米さんを離した。久米さんはそのまま、ズルズルと宮川の身体に全身を浴びせるような体勢で床に落ちて動かない。
私は久米さんが心配で側に駆け寄った。宮川や小田が近くにいたが、そんなことより久米さんが心配だ。
「久米さん!久米さん!しっかりして下さい!大丈夫ですか!?すみません、私のために……」
久米さんは少しだけ身体を起こした。
「……か、かの子さん、あやまるのは私だ。か、勝手なことをして……」
久米さんがそこまでいうと宮川が久米さんを抱え上げた。
「もういいでしょう、ミセスかの子。久米は然るべき場所に移します」
「待ってください!まさか、久米さんを殺す気じゃ!」
私が宮川に対してそういうと小田がニヤリと笑いながら私に言った。
「ミセスかの子、大丈夫ですよ。殺しはしません。あの方も大切なミセスかの子の人質ですからね。丁重にお世話させていただきます。
ああ、アバラが5本程折れてますし他にもお怪我されてますが、きちんと治療致しますので、ご安心を」
小田はそういうと宮川に合図し、久米さんを連れて行った。久米さんは手で大丈夫と私に合図し、精一杯の笑顔を私に送った。
不気味に静まり返った部屋に小田と私は向かい合い、小田はニヤリと笑い、さっきの壁のスクリーンのスイッチをつけた。
スクリーンには悲惨な光景がたくさん映し出されている。目をふさぎたくなるような映像ばかりが映し出される。
飢えた人達、争いで傷ついた人達、様々な病気で苦しむ人達…その他にも表現できない悲惨な光景が映し出されている。
それを見ながら小田は身体をナワナワと震わせている。
「ミセスかの子!これが現実なのです!このような悲惨な状況を目の当たりにして、あなたは何もお感じになられませんか!我々はこのような人達を救う為に組織を作ったのです!
その為にはあなたの力が必要だ!ミセスかの子!我々に力を!」
小田は怒りに満ちた表情で私にそう言った。私は小田の気持ちもわからないでもないと感じた。そして私の大切な人達の為にも決断しないといけない。
「わかりました。あなたがたに協力しましょう。ただし、殺しだけでなく暴力を振るった時点で私は協力はしません」
私は震える身体を必死におさえながら、そう叫んだ。小田がニヤリとさっきよりも、より不気味に嬉々とした表情で笑った。
「おお!ミセスかの子!やっとわかっていただけましたか!そうです!その通りです!あなたの協力さえあれば、たくさんの人類は救われる!
暴力?ハハハ。ご安心ください。我々はそのような野蛮な真似は致しません!」
小田はさらに嬉々とした笑みを浮かべて私を見つめる。私はぞっとして吐き気がしてきた。
「さて、ではこれからのことをご説明させていただきましょうか!ミセスかの子!ハハハ。愉快ですね!たくさんの人類が救われる!ハハハ。
ではご説明といきましょう!」
小田はそういうと私の前にさらに近づく。私は震える全身を必死でおさえながら小田を見つめていた。
説明ってなんなんだろう?私の不安はさらに深まった。
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