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直接対決 第四十八話
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「さぁ、僕たちの未来を取り戻そう」
掴まれた顎をグイッとさらに上に上げられ、あと少しで唇が触れ合う距離まで近づく。
「私の未来に、あなたはいません」
そう呟くと、一気に怒りを高め拳の熱をあげる。逃げられない様にも片手を握っていたクレイは急な温度変化に驚いてパッと体を離す。
「本当に魅了魔法は効かないんだね。」
「今度近づいたら、殴ります。」
「王太子を殴ったりしたら国交問題になるんじゃない?いいのかな?」
「正当防衛です。」
その言葉を聞いてクレイは額に手を当てて「ふふ!」と鼻で笑う。しばらく笑いが収まらない様でお腹を抱えて笑っている。
「君の言葉を信じた人がこの城にいた?」
ヅキンと胸がいたむ。一度痛みを感じた心はそこからジクジクと腐っていく様に痛みが広がっていく。
「あんなに何もしてないと言ったのに誰も信じなかった。いまだに君は呪いをかけた愚かな少女だとこの国では思われているよ?」
心の痛みと共に手の呪いも今までにないほどに熱を持っている。怒りあまり足がふらつき壁に手をつくと、ジュッと木の柱が焦げる音がする。
「さあ、僕が君の汚名を晴らしてあげるから、こちらにおいで。僕は君を信じるよ」
「…信じなかった…でしょ。」
掴まれた肩を後ろに引くとクレイは嫌そうな表情でチッと舌打ちをする。
「私は何もしていないのに、あの女の嘘を鵜呑みにして呪いを押し付けただけじゃなく、暴行までして家族に向かって刺客と魔物まで差し向けた!」
「はぁ。だから、あの時はそれが真実だと思ってたんだから仕方ないだろ。僕はアクアに騙された。むしろ被害者さ。罪滅ぼしにちゃんとあの後調べた。君が本当はシルを助けていたこともわかった。あとね、家族に刺客を送ったのはアクアだよ。僕じゃない。」
「彼の事だって、あの女が全て悪いんじゃない!」
チラッと窓の外へ視線をやる。ここからでは東屋が見えないが、特に騒ぎが起きている様子はない。
視線を室内に戻すと再びクレイがすぐそばに来ていた。
「ああ、ナイフで刺した事?」
トン、と心臓のあたりを指で軽く押される。
周囲の温度はかなり上がっているはずだが、さすが王太子、魔法を防ぐ様な術を観に纏っているのか涼しい顔をして立っていた。
「それだけじゃない、魅了魔法で従わせて弱らせた」
「幼い子供のしたことだ。きっとシルも許してくれる。それに僕はアクアに騙された被害者だから。仕方ないんだよ。」
「認めるんですね。私に免罪をかけた事。彼を傷つけた事」
ぐっと睨みつける様に見上げると金の瞳がすぐそばまで落ちてきた。そのまま、額に口付けをされる。
ぎゅっと目をつむり顔を背けると、そのまま首筋を生温かい舌が張っていく。
「ああ、謝るよ。だからもう、喧嘩は終わ…バチーン!
突然胸ぐらを掴まれ、顔を上げさせられたクレイの頬は、硬い鉄の様な塊に打たれる。口の中が鉄の味で充満し自分がビンタをされたことに気がついた時にはもう遅かった。
「シルビア様!!!」
ブワッとリリーの周りを氷の壁が囲む。地面から突然生えてきた氷の塊に驚き、クレイが慌てて後退する。
バキン、と割れた氷の壁の向こうには恐ろしいほど冷たい目をしたシルビアとリリーが立っていた。
「訴えるなら訴えてください。今の会話は映像と音声、両方が記録されています。」
「あと君の婚約者の淫行も録画させてもらったよ。今頃人形とよろしくやってるんじゃない?」
ちょうどその時、部屋の扉が蹴破られ、ヴォルフが国王を連れて入ってくる。
「この愚か者が!!」
国王は顔を真っ赤にしてクレイを睨みつける。
バタバタと後に続いて入ってきた騎士達に無理やり引き摺られ、クレイはどこかへ連れていかれる。
「なぜ?!なぜですか!どこへ連れていくのです!」
扱いに納得いかない様で、バタバタと暴れるが流石に騎士の腕っぷしには勝てない様でそのまま廊下の奥へと消えていった。
「お客人、申し訳ない。どうかもう少しお付き合いを。玉座の間でおまちしている。」
そう言って背中を向ける王は、先ほどよりもさらに小さく見えた。
掴まれた顎をグイッとさらに上に上げられ、あと少しで唇が触れ合う距離まで近づく。
「私の未来に、あなたはいません」
そう呟くと、一気に怒りを高め拳の熱をあげる。逃げられない様にも片手を握っていたクレイは急な温度変化に驚いてパッと体を離す。
「本当に魅了魔法は効かないんだね。」
「今度近づいたら、殴ります。」
「王太子を殴ったりしたら国交問題になるんじゃない?いいのかな?」
「正当防衛です。」
その言葉を聞いてクレイは額に手を当てて「ふふ!」と鼻で笑う。しばらく笑いが収まらない様でお腹を抱えて笑っている。
「君の言葉を信じた人がこの城にいた?」
ヅキンと胸がいたむ。一度痛みを感じた心はそこからジクジクと腐っていく様に痛みが広がっていく。
「あんなに何もしてないと言ったのに誰も信じなかった。いまだに君は呪いをかけた愚かな少女だとこの国では思われているよ?」
心の痛みと共に手の呪いも今までにないほどに熱を持っている。怒りあまり足がふらつき壁に手をつくと、ジュッと木の柱が焦げる音がする。
「さあ、僕が君の汚名を晴らしてあげるから、こちらにおいで。僕は君を信じるよ」
「…信じなかった…でしょ。」
掴まれた肩を後ろに引くとクレイは嫌そうな表情でチッと舌打ちをする。
「私は何もしていないのに、あの女の嘘を鵜呑みにして呪いを押し付けただけじゃなく、暴行までして家族に向かって刺客と魔物まで差し向けた!」
「はぁ。だから、あの時はそれが真実だと思ってたんだから仕方ないだろ。僕はアクアに騙された。むしろ被害者さ。罪滅ぼしにちゃんとあの後調べた。君が本当はシルを助けていたこともわかった。あとね、家族に刺客を送ったのはアクアだよ。僕じゃない。」
「彼の事だって、あの女が全て悪いんじゃない!」
チラッと窓の外へ視線をやる。ここからでは東屋が見えないが、特に騒ぎが起きている様子はない。
視線を室内に戻すと再びクレイがすぐそばに来ていた。
「ああ、ナイフで刺した事?」
トン、と心臓のあたりを指で軽く押される。
周囲の温度はかなり上がっているはずだが、さすが王太子、魔法を防ぐ様な術を観に纏っているのか涼しい顔をして立っていた。
「それだけじゃない、魅了魔法で従わせて弱らせた」
「幼い子供のしたことだ。きっとシルも許してくれる。それに僕はアクアに騙された被害者だから。仕方ないんだよ。」
「認めるんですね。私に免罪をかけた事。彼を傷つけた事」
ぐっと睨みつける様に見上げると金の瞳がすぐそばまで落ちてきた。そのまま、額に口付けをされる。
ぎゅっと目をつむり顔を背けると、そのまま首筋を生温かい舌が張っていく。
「ああ、謝るよ。だからもう、喧嘩は終わ…バチーン!
突然胸ぐらを掴まれ、顔を上げさせられたクレイの頬は、硬い鉄の様な塊に打たれる。口の中が鉄の味で充満し自分がビンタをされたことに気がついた時にはもう遅かった。
「シルビア様!!!」
ブワッとリリーの周りを氷の壁が囲む。地面から突然生えてきた氷の塊に驚き、クレイが慌てて後退する。
バキン、と割れた氷の壁の向こうには恐ろしいほど冷たい目をしたシルビアとリリーが立っていた。
「訴えるなら訴えてください。今の会話は映像と音声、両方が記録されています。」
「あと君の婚約者の淫行も録画させてもらったよ。今頃人形とよろしくやってるんじゃない?」
ちょうどその時、部屋の扉が蹴破られ、ヴォルフが国王を連れて入ってくる。
「この愚か者が!!」
国王は顔を真っ赤にしてクレイを睨みつける。
バタバタと後に続いて入ってきた騎士達に無理やり引き摺られ、クレイはどこかへ連れていかれる。
「なぜ?!なぜですか!どこへ連れていくのです!」
扱いに納得いかない様で、バタバタと暴れるが流石に騎士の腕っぷしには勝てない様でそのまま廊下の奥へと消えていった。
「お客人、申し訳ない。どうかもう少しお付き合いを。玉座の間でおまちしている。」
そう言って背中を向ける王は、先ほどよりもさらに小さく見えた。
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