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想いを伝えるために 第三十話
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一瞬目の前がホワイトアウトしたかと思ったら、次の瞬間には目の前に絶世の美女が立っていた。
「リリーちゃん、頑張ったわね!」
にっこりと笑って迎え入れられて、今までの緊張が解けたのか、無意識に涙がポロポロと流れ落ちる。
「じ…時間がかかってしまって、すみません」
「そんなことないわよー!リリーちゃん含めて、戻ってきてるのはまだ半分くらいよ!撃破するだけなのに何やってるのかしら。帰ってきたら特訓ね」
この場所はどうやら、監視室のようだ。15個ほどの絵画の縁が壁一面に並んでおり、それぞれ部隊の映像が流れていた。ブラックアウトしているところは、帰還しているグループのものだろうか。
「これでみてたんですか?!」
情けない戦いも、グズグズ悩んでたのも、あの夜の…あの!!!頭ポンポンもみられてた?!昨日の夜の出来事が一気に頭に流れ込む。顔から火が出ているのかと思うほど熱くなる。
「通信機も、ヴォルフに持たせてたのよー!」
「シルビアがずーーーーーっと叫んでてうるさかった」
「リリーに気安く触れるからだ!愚か者!!」
どうやら、シルビアはこの画面の前に陣取ってずっと様子を見ていてくれたらしい。この映像はどのように撮られているのか分からないが、音声は聞こえないようだ。
その代わりに、各隊のリーダーに通信装置を渡されていたそうだ。
シルビアと言えば、先ほどからリリーを抱えたまま離そうとしない。みじろぎしたりして抵抗してはいるがぴくりとも動かないのだ。
「何で僕を呼んでくれなかったの?ずっと待ってたのに」
悲壮感たっぷりの表情で詰め寄られると、何とも言えない罪悪感が胸に押し寄せてきた。
「シルビア様にばかり頼ってたら、私は強くなれないので…守ってもらうだけはもう嫌なんです」
ポシェットにしまった魔石を取り出して、鬼教官に渡す。綺麗な黒い鉱石で、光によっては透明に見えたりもする。
「6つ、取れました。まだまだコツを掴んだばかりですが頑張ります」
「うん、綺麗に取り出せたわね。5つはこちらで預からせていただくわねぇ。」
そういって、ヴォルフとテラは他の訓練生の見守りを始めた。邪魔にならないよう、退室しテラスのようなところにあるベンチに腰を下ろす。
手のひらに残った1つの魔石は、黒く見えるが少し赤味がかっていて、濃い茶色に見えた。
細長い涙型で細くなっている部分が時々虹色に光って見えた。
チラッと後ろにくっついているシルビアを見る。寝不足なのか、お肌がボロボロになっているが、とても美しい人だ。
「し…シルビア様、顔を見たいので離してください」
照れながらお願いすると、思いもよらぬ言葉だったのか、ポカンとしたまま手を離してくれた。
そのまま向かい合いになり、シルビアの手に魔石を握らせる。
「私も早く会いたいと思いました。これからも、離れる事ばかりだと思いますがこの石が私だと思って、お側に置いてください。」
恥ずかしすぎて顔を見られず、俯いたまましばらくの間ができる。断られるのか、嫌な顔をしているのか…と気になりチラッとシルビアの顔をみると、それは見事に大号泣していた。
「い…嫌でしたか?すみません!!調子に乗って「違う!!嬉しいんだ!僕の支えはリリーだけだったから本当にもらっていいの?!ねぇ、瞳の色を渡すってことの意味はわかっているの?!」
モアラート王国では貴族の間で愛する人の瞳の色のものを身に着けることで、“愛している”と表現する方法が流行っていた。
対して、自分の瞳の色を渡すと言う事は、“私を愛して”と告白する時に使う方法だった。
「田舎者の私でも知っています。そのつもりで私にピアスをくださったんじゃないんですか?」
長い間、モアラートの王宮にいたシルビアだって、その慣習を知っているだろう。
こんな庶民の平凡な女が、この麗人に恐れ多いとは思うが、自分を支えて守ってくれたこの人から離れる事はどうしても想像できなかった。
「あぁ、僕は君の想いを受け入れるよ。もう絶対に離さない」
「私もシルビア様をお慕いしています。はなさ…離さないでください!!!」
照れながらお互いの想いを伝え合い、そのまま口づけをかわす。唇が触れるだけの優しい口付けはシルビアの優しさのようだった。
「大人のキスは夜に…ね」
もちろん、長い間我慢していたシルビアはそれだけで止まる事はなく、
「今夜君に会いにいく。それまでこれで我慢してあげる」
と耳元で囁かれ、リリーは真っ赤になって倒れてしまった。気がつくと質素な部屋のベッドに寝かされていた。
「リリーちゃん、頑張ったわね!」
にっこりと笑って迎え入れられて、今までの緊張が解けたのか、無意識に涙がポロポロと流れ落ちる。
「じ…時間がかかってしまって、すみません」
「そんなことないわよー!リリーちゃん含めて、戻ってきてるのはまだ半分くらいよ!撃破するだけなのに何やってるのかしら。帰ってきたら特訓ね」
この場所はどうやら、監視室のようだ。15個ほどの絵画の縁が壁一面に並んでおり、それぞれ部隊の映像が流れていた。ブラックアウトしているところは、帰還しているグループのものだろうか。
「これでみてたんですか?!」
情けない戦いも、グズグズ悩んでたのも、あの夜の…あの!!!頭ポンポンもみられてた?!昨日の夜の出来事が一気に頭に流れ込む。顔から火が出ているのかと思うほど熱くなる。
「通信機も、ヴォルフに持たせてたのよー!」
「シルビアがずーーーーーっと叫んでてうるさかった」
「リリーに気安く触れるからだ!愚か者!!」
どうやら、シルビアはこの画面の前に陣取ってずっと様子を見ていてくれたらしい。この映像はどのように撮られているのか分からないが、音声は聞こえないようだ。
その代わりに、各隊のリーダーに通信装置を渡されていたそうだ。
シルビアと言えば、先ほどからリリーを抱えたまま離そうとしない。みじろぎしたりして抵抗してはいるがぴくりとも動かないのだ。
「何で僕を呼んでくれなかったの?ずっと待ってたのに」
悲壮感たっぷりの表情で詰め寄られると、何とも言えない罪悪感が胸に押し寄せてきた。
「シルビア様にばかり頼ってたら、私は強くなれないので…守ってもらうだけはもう嫌なんです」
ポシェットにしまった魔石を取り出して、鬼教官に渡す。綺麗な黒い鉱石で、光によっては透明に見えたりもする。
「6つ、取れました。まだまだコツを掴んだばかりですが頑張ります」
「うん、綺麗に取り出せたわね。5つはこちらで預からせていただくわねぇ。」
そういって、ヴォルフとテラは他の訓練生の見守りを始めた。邪魔にならないよう、退室しテラスのようなところにあるベンチに腰を下ろす。
手のひらに残った1つの魔石は、黒く見えるが少し赤味がかっていて、濃い茶色に見えた。
細長い涙型で細くなっている部分が時々虹色に光って見えた。
チラッと後ろにくっついているシルビアを見る。寝不足なのか、お肌がボロボロになっているが、とても美しい人だ。
「し…シルビア様、顔を見たいので離してください」
照れながらお願いすると、思いもよらぬ言葉だったのか、ポカンとしたまま手を離してくれた。
そのまま向かい合いになり、シルビアの手に魔石を握らせる。
「私も早く会いたいと思いました。これからも、離れる事ばかりだと思いますがこの石が私だと思って、お側に置いてください。」
恥ずかしすぎて顔を見られず、俯いたまましばらくの間ができる。断られるのか、嫌な顔をしているのか…と気になりチラッとシルビアの顔をみると、それは見事に大号泣していた。
「い…嫌でしたか?すみません!!調子に乗って「違う!!嬉しいんだ!僕の支えはリリーだけだったから本当にもらっていいの?!ねぇ、瞳の色を渡すってことの意味はわかっているの?!」
モアラート王国では貴族の間で愛する人の瞳の色のものを身に着けることで、“愛している”と表現する方法が流行っていた。
対して、自分の瞳の色を渡すと言う事は、“私を愛して”と告白する時に使う方法だった。
「田舎者の私でも知っています。そのつもりで私にピアスをくださったんじゃないんですか?」
長い間、モアラートの王宮にいたシルビアだって、その慣習を知っているだろう。
こんな庶民の平凡な女が、この麗人に恐れ多いとは思うが、自分を支えて守ってくれたこの人から離れる事はどうしても想像できなかった。
「あぁ、僕は君の想いを受け入れるよ。もう絶対に離さない」
「私もシルビア様をお慕いしています。はなさ…離さないでください!!!」
照れながらお互いの想いを伝え合い、そのまま口づけをかわす。唇が触れるだけの優しい口付けはシルビアの優しさのようだった。
「大人のキスは夜に…ね」
もちろん、長い間我慢していたシルビアはそれだけで止まる事はなく、
「今夜君に会いにいく。それまでこれで我慢してあげる」
と耳元で囁かれ、リリーは真っ赤になって倒れてしまった。気がつくと質素な部屋のベッドに寝かされていた。
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