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私が主役!!sideエリン 第二十八話
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私は一生下級メイドで終わるんだと思っていた。
ある時、郊外の孤児院に王太子が視察?に行くための同行者の募集を目にしてから、人生が変わった。
王太子様を拝めるなら行ってみようかな、なんて軽い気持ちで着いて行った。
そこにいたのは薄汚い服を着た、垢抜けない女だった。女は両親、孤児たちに愛されて生き生きとしていた。
どんな役割があるのか知らないが、王太子にも目をかけられていた。正直むかついた。
美人でもない、何でもないただの子どもがみんなにチヤホヤされているのが。
そんな時、その孤児院に通ってきている、そこそこ大きなグリーン商会の嫡男と出会った。髪色も瞳の色もまぁ、ありきたりだが、着ているものは中の上だし顔も磨けば光ると思った。
名前はアイク。うん。響きはいいじゃない。
と思い、ベタベタに褒めて私のありがたみを感じさせてやった。
「アイクの奥さんになれる人が羨ましい」
そう言うと少し照れて笑うところが可愛いと思えた。
そして、あの平凡な女が悔しそうにこちらを眺めているのが何とも気持ちよかった。
少しずつ、あの女の居場所を奪い、みんなにチヤホヤされる事で自分の物語が始まった気がした。
「エリンは可愛いよね、リリーと違って女らしさがある!」
「アイク!リリーさんだって可愛いわよ!」
「いえ、エリンさんみたいにオシャレに詳しくないから、私は…」
「そうだよ!エリンをみならえよ、リリー」
本人を目の前にして、比べてくれるアイクにどんどんのめり込んでいった。
「若い娘さんなのによく働いてくれて、助かるわ」
あの女の両親すらも私を褒め称えた。
魔物が侵入した…まぁ、私が引き入れたんだけど。あの女がちょっと怪我すればいいと思って。
その日に、あの女は王太子に連れられて王城に行ってしまった。
やったと思った。なのに、
「エリンさん、うちは私たちがいればいいですから」
と、あの女の両親はすぐに私を追い出した。
まぁ、あんなボロ家私には相応しくないから。と、アイクの家に転がり込んだ。
未来の商会長夫人なんて言われて気持ちよかったー!
何でもほしいものは買ってもらえたし、彼氏はハンサムだし最高だと思った。
聖ジェントクランはオシャレなものが沢山あるから、ぜひ着いていきたいと志願して、商品を卸すたびに同行した。
そこで、魔物に襲われてしまった。
そんなピンチを救ったのは、あの女の。それと、黒髪の極上の男。
あぁ、また奪ってやろうと思った。
金遣いも最近渋いし、顔だって天と地の差がある。平民のハンサムと騎士を比べるのも烏滸がましい。
上目遣いで見てやればいちころだ。
でもあの女がいるから素直になれなかったみたい。
もう一度会ってあの男とあの女の居場所を奪ってやる。
一回できたんだから、また成り代われるわよね。
後から出てきたあの美人な男も、あんな女に惚れるくらいだから私が言い寄れば、すぐこっちに靡くわよね。
あーぁ、これからどんな素敵な人生が待っているのか…楽しみで仕方ない。
ある時、郊外の孤児院に王太子が視察?に行くための同行者の募集を目にしてから、人生が変わった。
王太子様を拝めるなら行ってみようかな、なんて軽い気持ちで着いて行った。
そこにいたのは薄汚い服を着た、垢抜けない女だった。女は両親、孤児たちに愛されて生き生きとしていた。
どんな役割があるのか知らないが、王太子にも目をかけられていた。正直むかついた。
美人でもない、何でもないただの子どもがみんなにチヤホヤされているのが。
そんな時、その孤児院に通ってきている、そこそこ大きなグリーン商会の嫡男と出会った。髪色も瞳の色もまぁ、ありきたりだが、着ているものは中の上だし顔も磨けば光ると思った。
名前はアイク。うん。響きはいいじゃない。
と思い、ベタベタに褒めて私のありがたみを感じさせてやった。
「アイクの奥さんになれる人が羨ましい」
そう言うと少し照れて笑うところが可愛いと思えた。
そして、あの平凡な女が悔しそうにこちらを眺めているのが何とも気持ちよかった。
少しずつ、あの女の居場所を奪い、みんなにチヤホヤされる事で自分の物語が始まった気がした。
「エリンは可愛いよね、リリーと違って女らしさがある!」
「アイク!リリーさんだって可愛いわよ!」
「いえ、エリンさんみたいにオシャレに詳しくないから、私は…」
「そうだよ!エリンをみならえよ、リリー」
本人を目の前にして、比べてくれるアイクにどんどんのめり込んでいった。
「若い娘さんなのによく働いてくれて、助かるわ」
あの女の両親すらも私を褒め称えた。
魔物が侵入した…まぁ、私が引き入れたんだけど。あの女がちょっと怪我すればいいと思って。
その日に、あの女は王太子に連れられて王城に行ってしまった。
やったと思った。なのに、
「エリンさん、うちは私たちがいればいいですから」
と、あの女の両親はすぐに私を追い出した。
まぁ、あんなボロ家私には相応しくないから。と、アイクの家に転がり込んだ。
未来の商会長夫人なんて言われて気持ちよかったー!
何でもほしいものは買ってもらえたし、彼氏はハンサムだし最高だと思った。
聖ジェントクランはオシャレなものが沢山あるから、ぜひ着いていきたいと志願して、商品を卸すたびに同行した。
そこで、魔物に襲われてしまった。
そんなピンチを救ったのは、あの女の。それと、黒髪の極上の男。
あぁ、また奪ってやろうと思った。
金遣いも最近渋いし、顔だって天と地の差がある。平民のハンサムと騎士を比べるのも烏滸がましい。
上目遣いで見てやればいちころだ。
でもあの女がいるから素直になれなかったみたい。
もう一度会ってあの男とあの女の居場所を奪ってやる。
一回できたんだから、また成り代われるわよね。
後から出てきたあの美人な男も、あんな女に惚れるくらいだから私が言い寄れば、すぐこっちに靡くわよね。
あーぁ、これからどんな素敵な人生が待っているのか…楽しみで仕方ない。
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