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本編の本編のその後
4.恨んでないわけじゃない
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「クラン、この建物はあの性悪女が幽閉されていますから、殺したい気持ちがあっても近づいたらだめですよ?」
ものすごく嫌そうな顔をした彼女…ここみと同じ色合いをもった侍女…?なのか?聖女だと聞いていたがいつもメイドたちが着る服を着ている、それに僕の身の回りの世話を甲斐甲斐しく一日中やってくれる。
ここみよりもさらに暗く逆に青いくらいに艶々に輝く髪は肩くらいの長さでバッサリ切られている。ものすごく勿体無いと思った。それほどまでに美しい髪だった。
キリッとした眉に少し吊り上がった目、スッキリと伸びた鼻筋に、少し薄い唇。
絵に描いたような、まるで人形のような美しさだった。
オーラリアを傷つけ、別れなければいけなくなってから彼女はなぜか僕につきっきりだ。
ここみと知り合いだったらしいが、嫌悪感というか…近づきたくもないようだ。
オーラリアに対して未練をいまだに持ち、ウジウジしている僕を庭に連れて行ったり、剣の修行に駆り出したりする。
初めは様をつけられていたが、僕は様をつけられるような人間じゃなくなった。呼び捨てで構わないと伝えた。
だって、この人は聖女だったんだから。
「なぜ、あなたが初めに僕に出会ってくれなかったんだ?」
ここみがいるという建物を見つめながら小さな声で尋ねてみる。そうすれば、オーラリアを手放すことはなかったかもしれない。
ここみと出会ったことを無かったことにしたいと、そう思ってしまっている。
「…聖女が現れなければ、あなたたちは幸せになれるんじゃないかって思ったからです。でも…あの女が一緒にこちらに来てしまっていたなんて…誤算だった」
「そうか。ここみじゃなくて、あなただったなら、オーラリアを尊重していた?」
「もちろん。私はオーラリア様のことを愛していますから。生みの親ですからね。そして、お館様…現国王陛下も、そしてあなたの事も。」
「…はは、聞かなきゃよかった。やっぱりどうしてもあなたをせめたくなるんだ。」
「私のせいで、オーラリア様を失ったと?」
「何故もっと…僕をちゃんとした男にしてくれなかったのかって」
そう言うと答えを聞きたくないかのように、クランはぎゅっと手のひらを握りしめて背を向けてしまった。
そのまま、奥にある庭園は足を運んだ。
オーラリアを失うきっかけを作ってしまったのは、確かに佑里だった。本来ならもっと、辛い別れになるはずだった。だけど、そうならないように、オーラリアやハイドを助けた結果今の状態になってしまった。
「私が描いた世界のクランは…もっと、自分勝手なんだ。オーラリア様を省みる事はしない。オーラリア様ももっと欲に忠実で、クランを奪われる事に対して抵抗をするはずだった。そして、王国を追放され命を落とす。だから、初めから、あなた達は少し違った。自分で考えて自分で動くことができた。」
佑里の声が届いたのか届いてないのか、クランは少しも反応をしないのでわからない。ただ黙って前を向いて歩き続けた。
庭園に着くと、色とりどりの花が綺麗に咲いている。
オーラリアの透き通る美しい赤い瞳のような、赤い薔薇がたくさん咲き誇っていた。
朝比奈佑里は、少し特殊な感性を待っている。
とても頭が良く面倒見の良い彼女は、どうしようもない男が好きだ。物語のクランは、王として病気と向き合いながら聖女に嫉妬するオーラリアの事を嫌いになって行く。
本来は聖女がもっとちゃんと機能して、オーラリアは激務から解放されているはずだから、そこも違っているが…
それでも、クランは自分を甘やかしてくれる誘惑に弱いはずだった。佑里や紫亜が介入したことでまだ、オーラリアを失いたくないと思えるうちに引き離したため彼は未練に苦しむことになってしまった。
(ここみがクソ女だったって点は考えないでおく。佑里はあちらの世界でもこちらの世界でも、自分勝手で自己愛が強く承認欲求だらけのここみが大嫌いだ)
その弱った姿がまた、佑里の母性本能を刺激した。
オーラリアとハイドを救ったら、次は彼を。
救いたいと思った。全ての人が当たり前に幸せだと思えるように。それが、一つの世界を動かし始めてしまった自分の責任だと思っているからだ。
ものすごく嫌そうな顔をした彼女…ここみと同じ色合いをもった侍女…?なのか?聖女だと聞いていたがいつもメイドたちが着る服を着ている、それに僕の身の回りの世話を甲斐甲斐しく一日中やってくれる。
ここみよりもさらに暗く逆に青いくらいに艶々に輝く髪は肩くらいの長さでバッサリ切られている。ものすごく勿体無いと思った。それほどまでに美しい髪だった。
キリッとした眉に少し吊り上がった目、スッキリと伸びた鼻筋に、少し薄い唇。
絵に描いたような、まるで人形のような美しさだった。
オーラリアを傷つけ、別れなければいけなくなってから彼女はなぜか僕につきっきりだ。
ここみと知り合いだったらしいが、嫌悪感というか…近づきたくもないようだ。
オーラリアに対して未練をいまだに持ち、ウジウジしている僕を庭に連れて行ったり、剣の修行に駆り出したりする。
初めは様をつけられていたが、僕は様をつけられるような人間じゃなくなった。呼び捨てで構わないと伝えた。
だって、この人は聖女だったんだから。
「なぜ、あなたが初めに僕に出会ってくれなかったんだ?」
ここみがいるという建物を見つめながら小さな声で尋ねてみる。そうすれば、オーラリアを手放すことはなかったかもしれない。
ここみと出会ったことを無かったことにしたいと、そう思ってしまっている。
「…聖女が現れなければ、あなたたちは幸せになれるんじゃないかって思ったからです。でも…あの女が一緒にこちらに来てしまっていたなんて…誤算だった」
「そうか。ここみじゃなくて、あなただったなら、オーラリアを尊重していた?」
「もちろん。私はオーラリア様のことを愛していますから。生みの親ですからね。そして、お館様…現国王陛下も、そしてあなたの事も。」
「…はは、聞かなきゃよかった。やっぱりどうしてもあなたをせめたくなるんだ。」
「私のせいで、オーラリア様を失ったと?」
「何故もっと…僕をちゃんとした男にしてくれなかったのかって」
そう言うと答えを聞きたくないかのように、クランはぎゅっと手のひらを握りしめて背を向けてしまった。
そのまま、奥にある庭園は足を運んだ。
オーラリアを失うきっかけを作ってしまったのは、確かに佑里だった。本来ならもっと、辛い別れになるはずだった。だけど、そうならないように、オーラリアやハイドを助けた結果今の状態になってしまった。
「私が描いた世界のクランは…もっと、自分勝手なんだ。オーラリア様を省みる事はしない。オーラリア様ももっと欲に忠実で、クランを奪われる事に対して抵抗をするはずだった。そして、王国を追放され命を落とす。だから、初めから、あなた達は少し違った。自分で考えて自分で動くことができた。」
佑里の声が届いたのか届いてないのか、クランは少しも反応をしないのでわからない。ただ黙って前を向いて歩き続けた。
庭園に着くと、色とりどりの花が綺麗に咲いている。
オーラリアの透き通る美しい赤い瞳のような、赤い薔薇がたくさん咲き誇っていた。
朝比奈佑里は、少し特殊な感性を待っている。
とても頭が良く面倒見の良い彼女は、どうしようもない男が好きだ。物語のクランは、王として病気と向き合いながら聖女に嫉妬するオーラリアの事を嫌いになって行く。
本来は聖女がもっとちゃんと機能して、オーラリアは激務から解放されているはずだから、そこも違っているが…
それでも、クランは自分を甘やかしてくれる誘惑に弱いはずだった。佑里や紫亜が介入したことでまだ、オーラリアを失いたくないと思えるうちに引き離したため彼は未練に苦しむことになってしまった。
(ここみがクソ女だったって点は考えないでおく。佑里はあちらの世界でもこちらの世界でも、自分勝手で自己愛が強く承認欲求だらけのここみが大嫌いだ)
その弱った姿がまた、佑里の母性本能を刺激した。
オーラリアとハイドを救ったら、次は彼を。
救いたいと思った。全ての人が当たり前に幸せだと思えるように。それが、一つの世界を動かし始めてしまった自分の責任だと思っているからだ。
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