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50.オーラリアは助けない
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「さて、ここに集まってもらった者たちはなぜ、自分たちが呼ばれたのか、わかっているだろうね。」
メイド20名、文官30名、調理師10名、約60名の王宮勤めのもの達が朝一番に王座の前に集められた。
特に文官達の中には大臣や管理職のものたちも含まれているのもあり、強気でなぜ自分たちが、と不満そうな顔をしていた。
城で共に働いていた期間があったこと、無血開城したこともあり、ハイドのことを甘く見ているもの達が多いようだ。
「シーク様、なぜこんなに朝早くからお呼びになりましたかな?あぁ、王が変わったので我々に手助けをして欲しいんですかな?」
環境や衛生の管理をしていた大臣が偉そうに鼻で笑いながらハイドに話しかける。
「まぁ、国を収めるのは簡単じゃ無いですからね」といやらしく笑いながら周りのもの達に同意を求める。
メイド達はハイド付きのメイドになれるのでは、と喜びの表情を浮かべている。
「あぁ、そうだな。手伝って欲しいんだ」
ハイドが極上の笑顔を向けると、みな「わ!」っと沸き立ち笑顔を見せた。
「まずは、メイド達」
チラッと視線を送っただけなのにみな、顔を赤くして「選ばれた」と自信満々の笑顔をしている
「二度と登城しなくていいよ。もちろん、お茶会や舞踏会の類でも王城への立ち入りを一切禁ずる。」
先程までの喜びの空気が一気に冷め、皆一様に息を飲む。
「次は料理人たち。お前達の調理資格を剥奪する。そして、王城での勤めは今日までで終わりだ。市井に降りるといい。」
料理人達は手をギュッと胸の前でにぎり、何故こうなったのかわからない、と口々に訴える。
「大臣はじめ文官どもは流刑だ。鉱山のある島にて強制労働をしてもらう。ちょうど人手が足りないんだ。」
ついに我慢できなくなった大臣が叫ぶ。
「な!!なにを!!国を潰すつもりか!!愚王!!」
「お前がいたら国は潰れるだろうな。」
強く叫んだ大臣はハイドに睨まれると、ぴたりと動かなく…動けなくなる。息もできないようで顔がみるみるうちに青くなっていく。
元々ハイドは威圧的なオーラを持っていた。自身は望んでいなかったが、兄である前前王よりも、王に相応しいと押す者も多かった。
だからこそ、王位争いをきらい国を去ることを受け入れたのだ。
人を威圧しないようわざと、軽く親しみのある雰囲気を作っていた。その空気を一才捨てて今は全く威圧的な絶対的な圧力を人に対してむけている。
「クランを、好き勝手操ってくれたね。その報いは受けてもらう。人の心はおもちゃにしていいものじゃ無い。文官達は、オーラリアをずいぶん可愛がってくれたようだね。」
文官達はサッと顔色を変えた。
王座の影に隠れていたオーラリアはハイドの合図で前に出る。メイドも料理人も全員あぁ、と落胆の声を漏らした。
自分たちがなぜ罰せられるのか、一斉に理解した。
「メイド達は前王妃虐待の罪、料理人は前王妃の食費の横領と虐待。文官は職務放棄。ここまでいえばわかるよね?さぁ、出ていってくれ。」
「ま…おまちください!シーク様」
大臣が唇を一瞬噛み締め悔しそうに手を握りしめながらハイドを止めようとするが、
「誰が喋っていいと言った。それに名前で俺を呼ぶなんて。罪をさらに重ねるつもりか?」
「へ…陛下…この大人数を一気に罰してしまっては王城が機能しなくなります!!ですからどうか…」
みな、やっと立場を理解したのか床にひれ伏しどうか温情をと懇願する。心のどこかにまだ、オーラリアが助けてくれるだろうという甘えがあるようだ。
「市井から優秀なもの達を見つけてありますから、あなた達はいなくても大丈夫ですよ。」
オーラリアの優しく、凛とした声が響くとメイド達は皆啜り泣きすがりはじめた。
「オーラリアさま!申し訳ありませんでした!どうか!どうか助けてください!一生あなたに尽くすと誓います!」
と、似たようなことを口々に叫ぶ。
「私を助けてくれた者はこの中にいましたか?1度でも、私を惨めに思いかわいそうに思い手を差しのべてくれたものには等しくチャンスを与えています。今ここにいるもの達は、誰も私を助けようとしなかった。だから私ももう許さないのです。どうぞ、大嫌いな私がいないところはお行きなさい。」
ハイドの足元にも及ばないが、オーラリアは長年培った王妃としての威厳を最大限に使い助けを求める人々を初めて、拒んだ。
メイド20名、文官30名、調理師10名、約60名の王宮勤めのもの達が朝一番に王座の前に集められた。
特に文官達の中には大臣や管理職のものたちも含まれているのもあり、強気でなぜ自分たちが、と不満そうな顔をしていた。
城で共に働いていた期間があったこと、無血開城したこともあり、ハイドのことを甘く見ているもの達が多いようだ。
「シーク様、なぜこんなに朝早くからお呼びになりましたかな?あぁ、王が変わったので我々に手助けをして欲しいんですかな?」
環境や衛生の管理をしていた大臣が偉そうに鼻で笑いながらハイドに話しかける。
「まぁ、国を収めるのは簡単じゃ無いですからね」といやらしく笑いながら周りのもの達に同意を求める。
メイド達はハイド付きのメイドになれるのでは、と喜びの表情を浮かべている。
「あぁ、そうだな。手伝って欲しいんだ」
ハイドが極上の笑顔を向けると、みな「わ!」っと沸き立ち笑顔を見せた。
「まずは、メイド達」
チラッと視線を送っただけなのにみな、顔を赤くして「選ばれた」と自信満々の笑顔をしている
「二度と登城しなくていいよ。もちろん、お茶会や舞踏会の類でも王城への立ち入りを一切禁ずる。」
先程までの喜びの空気が一気に冷め、皆一様に息を飲む。
「次は料理人たち。お前達の調理資格を剥奪する。そして、王城での勤めは今日までで終わりだ。市井に降りるといい。」
料理人達は手をギュッと胸の前でにぎり、何故こうなったのかわからない、と口々に訴える。
「大臣はじめ文官どもは流刑だ。鉱山のある島にて強制労働をしてもらう。ちょうど人手が足りないんだ。」
ついに我慢できなくなった大臣が叫ぶ。
「な!!なにを!!国を潰すつもりか!!愚王!!」
「お前がいたら国は潰れるだろうな。」
強く叫んだ大臣はハイドに睨まれると、ぴたりと動かなく…動けなくなる。息もできないようで顔がみるみるうちに青くなっていく。
元々ハイドは威圧的なオーラを持っていた。自身は望んでいなかったが、兄である前前王よりも、王に相応しいと押す者も多かった。
だからこそ、王位争いをきらい国を去ることを受け入れたのだ。
人を威圧しないようわざと、軽く親しみのある雰囲気を作っていた。その空気を一才捨てて今は全く威圧的な絶対的な圧力を人に対してむけている。
「クランを、好き勝手操ってくれたね。その報いは受けてもらう。人の心はおもちゃにしていいものじゃ無い。文官達は、オーラリアをずいぶん可愛がってくれたようだね。」
文官達はサッと顔色を変えた。
王座の影に隠れていたオーラリアはハイドの合図で前に出る。メイドも料理人も全員あぁ、と落胆の声を漏らした。
自分たちがなぜ罰せられるのか、一斉に理解した。
「メイド達は前王妃虐待の罪、料理人は前王妃の食費の横領と虐待。文官は職務放棄。ここまでいえばわかるよね?さぁ、出ていってくれ。」
「ま…おまちください!シーク様」
大臣が唇を一瞬噛み締め悔しそうに手を握りしめながらハイドを止めようとするが、
「誰が喋っていいと言った。それに名前で俺を呼ぶなんて。罪をさらに重ねるつもりか?」
「へ…陛下…この大人数を一気に罰してしまっては王城が機能しなくなります!!ですからどうか…」
みな、やっと立場を理解したのか床にひれ伏しどうか温情をと懇願する。心のどこかにまだ、オーラリアが助けてくれるだろうという甘えがあるようだ。
「市井から優秀なもの達を見つけてありますから、あなた達はいなくても大丈夫ですよ。」
オーラリアの優しく、凛とした声が響くとメイド達は皆啜り泣きすがりはじめた。
「オーラリアさま!申し訳ありませんでした!どうか!どうか助けてください!一生あなたに尽くすと誓います!」
と、似たようなことを口々に叫ぶ。
「私を助けてくれた者はこの中にいましたか?1度でも、私を惨めに思いかわいそうに思い手を差しのべてくれたものには等しくチャンスを与えています。今ここにいるもの達は、誰も私を助けようとしなかった。だから私ももう許さないのです。どうぞ、大嫌いな私がいないところはお行きなさい。」
ハイドの足元にも及ばないが、オーラリアは長年培った王妃としての威厳を最大限に使い助けを求める人々を初めて、拒んだ。
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