52 / 61
50.オーラリアは助けない
しおりを挟む
「さて、ここに集まってもらった者たちはなぜ、自分たちが呼ばれたのか、わかっているだろうね。」
メイド20名、文官30名、調理師10名、約60名の王宮勤めのもの達が朝一番に王座の前に集められた。
特に文官達の中には大臣や管理職のものたちも含まれているのもあり、強気でなぜ自分たちが、と不満そうな顔をしていた。
城で共に働いていた期間があったこと、無血開城したこともあり、ハイドのことを甘く見ているもの達が多いようだ。
「シーク様、なぜこんなに朝早くからお呼びになりましたかな?あぁ、王が変わったので我々に手助けをして欲しいんですかな?」
環境や衛生の管理をしていた大臣が偉そうに鼻で笑いながらハイドに話しかける。
「まぁ、国を収めるのは簡単じゃ無いですからね」といやらしく笑いながら周りのもの達に同意を求める。
メイド達はハイド付きのメイドになれるのでは、と喜びの表情を浮かべている。
「あぁ、そうだな。手伝って欲しいんだ」
ハイドが極上の笑顔を向けると、みな「わ!」っと沸き立ち笑顔を見せた。
「まずは、メイド達」
チラッと視線を送っただけなのにみな、顔を赤くして「選ばれた」と自信満々の笑顔をしている
「二度と登城しなくていいよ。もちろん、お茶会や舞踏会の類でも王城への立ち入りを一切禁ずる。」
先程までの喜びの空気が一気に冷め、皆一様に息を飲む。
「次は料理人たち。お前達の調理資格を剥奪する。そして、王城での勤めは今日までで終わりだ。市井に降りるといい。」
料理人達は手をギュッと胸の前でにぎり、何故こうなったのかわからない、と口々に訴える。
「大臣はじめ文官どもは流刑だ。鉱山のある島にて強制労働をしてもらう。ちょうど人手が足りないんだ。」
ついに我慢できなくなった大臣が叫ぶ。
「な!!なにを!!国を潰すつもりか!!愚王!!」
「お前がいたら国は潰れるだろうな。」
強く叫んだ大臣はハイドに睨まれると、ぴたりと動かなく…動けなくなる。息もできないようで顔がみるみるうちに青くなっていく。
元々ハイドは威圧的なオーラを持っていた。自身は望んでいなかったが、兄である前前王よりも、王に相応しいと押す者も多かった。
だからこそ、王位争いをきらい国を去ることを受け入れたのだ。
人を威圧しないようわざと、軽く親しみのある雰囲気を作っていた。その空気を一才捨てて今は全く威圧的な絶対的な圧力を人に対してむけている。
「クランを、好き勝手操ってくれたね。その報いは受けてもらう。人の心はおもちゃにしていいものじゃ無い。文官達は、オーラリアをずいぶん可愛がってくれたようだね。」
文官達はサッと顔色を変えた。
王座の影に隠れていたオーラリアはハイドの合図で前に出る。メイドも料理人も全員あぁ、と落胆の声を漏らした。
自分たちがなぜ罰せられるのか、一斉に理解した。
「メイド達は前王妃虐待の罪、料理人は前王妃の食費の横領と虐待。文官は職務放棄。ここまでいえばわかるよね?さぁ、出ていってくれ。」
「ま…おまちください!シーク様」
大臣が唇を一瞬噛み締め悔しそうに手を握りしめながらハイドを止めようとするが、
「誰が喋っていいと言った。それに名前で俺を呼ぶなんて。罪をさらに重ねるつもりか?」
「へ…陛下…この大人数を一気に罰してしまっては王城が機能しなくなります!!ですからどうか…」
みな、やっと立場を理解したのか床にひれ伏しどうか温情をと懇願する。心のどこかにまだ、オーラリアが助けてくれるだろうという甘えがあるようだ。
「市井から優秀なもの達を見つけてありますから、あなた達はいなくても大丈夫ですよ。」
オーラリアの優しく、凛とした声が響くとメイド達は皆啜り泣きすがりはじめた。
「オーラリアさま!申し訳ありませんでした!どうか!どうか助けてください!一生あなたに尽くすと誓います!」
と、似たようなことを口々に叫ぶ。
「私を助けてくれた者はこの中にいましたか?1度でも、私を惨めに思いかわいそうに思い手を差しのべてくれたものには等しくチャンスを与えています。今ここにいるもの達は、誰も私を助けようとしなかった。だから私ももう許さないのです。どうぞ、大嫌いな私がいないところはお行きなさい。」
ハイドの足元にも及ばないが、オーラリアは長年培った王妃としての威厳を最大限に使い助けを求める人々を初めて、拒んだ。
メイド20名、文官30名、調理師10名、約60名の王宮勤めのもの達が朝一番に王座の前に集められた。
特に文官達の中には大臣や管理職のものたちも含まれているのもあり、強気でなぜ自分たちが、と不満そうな顔をしていた。
城で共に働いていた期間があったこと、無血開城したこともあり、ハイドのことを甘く見ているもの達が多いようだ。
「シーク様、なぜこんなに朝早くからお呼びになりましたかな?あぁ、王が変わったので我々に手助けをして欲しいんですかな?」
環境や衛生の管理をしていた大臣が偉そうに鼻で笑いながらハイドに話しかける。
「まぁ、国を収めるのは簡単じゃ無いですからね」といやらしく笑いながら周りのもの達に同意を求める。
メイド達はハイド付きのメイドになれるのでは、と喜びの表情を浮かべている。
「あぁ、そうだな。手伝って欲しいんだ」
ハイドが極上の笑顔を向けると、みな「わ!」っと沸き立ち笑顔を見せた。
「まずは、メイド達」
チラッと視線を送っただけなのにみな、顔を赤くして「選ばれた」と自信満々の笑顔をしている
「二度と登城しなくていいよ。もちろん、お茶会や舞踏会の類でも王城への立ち入りを一切禁ずる。」
先程までの喜びの空気が一気に冷め、皆一様に息を飲む。
「次は料理人たち。お前達の調理資格を剥奪する。そして、王城での勤めは今日までで終わりだ。市井に降りるといい。」
料理人達は手をギュッと胸の前でにぎり、何故こうなったのかわからない、と口々に訴える。
「大臣はじめ文官どもは流刑だ。鉱山のある島にて強制労働をしてもらう。ちょうど人手が足りないんだ。」
ついに我慢できなくなった大臣が叫ぶ。
「な!!なにを!!国を潰すつもりか!!愚王!!」
「お前がいたら国は潰れるだろうな。」
強く叫んだ大臣はハイドに睨まれると、ぴたりと動かなく…動けなくなる。息もできないようで顔がみるみるうちに青くなっていく。
元々ハイドは威圧的なオーラを持っていた。自身は望んでいなかったが、兄である前前王よりも、王に相応しいと押す者も多かった。
だからこそ、王位争いをきらい国を去ることを受け入れたのだ。
人を威圧しないようわざと、軽く親しみのある雰囲気を作っていた。その空気を一才捨てて今は全く威圧的な絶対的な圧力を人に対してむけている。
「クランを、好き勝手操ってくれたね。その報いは受けてもらう。人の心はおもちゃにしていいものじゃ無い。文官達は、オーラリアをずいぶん可愛がってくれたようだね。」
文官達はサッと顔色を変えた。
王座の影に隠れていたオーラリアはハイドの合図で前に出る。メイドも料理人も全員あぁ、と落胆の声を漏らした。
自分たちがなぜ罰せられるのか、一斉に理解した。
「メイド達は前王妃虐待の罪、料理人は前王妃の食費の横領と虐待。文官は職務放棄。ここまでいえばわかるよね?さぁ、出ていってくれ。」
「ま…おまちください!シーク様」
大臣が唇を一瞬噛み締め悔しそうに手を握りしめながらハイドを止めようとするが、
「誰が喋っていいと言った。それに名前で俺を呼ぶなんて。罪をさらに重ねるつもりか?」
「へ…陛下…この大人数を一気に罰してしまっては王城が機能しなくなります!!ですからどうか…」
みな、やっと立場を理解したのか床にひれ伏しどうか温情をと懇願する。心のどこかにまだ、オーラリアが助けてくれるだろうという甘えがあるようだ。
「市井から優秀なもの達を見つけてありますから、あなた達はいなくても大丈夫ですよ。」
オーラリアの優しく、凛とした声が響くとメイド達は皆啜り泣きすがりはじめた。
「オーラリアさま!申し訳ありませんでした!どうか!どうか助けてください!一生あなたに尽くすと誓います!」
と、似たようなことを口々に叫ぶ。
「私を助けてくれた者はこの中にいましたか?1度でも、私を惨めに思いかわいそうに思い手を差しのべてくれたものには等しくチャンスを与えています。今ここにいるもの達は、誰も私を助けようとしなかった。だから私ももう許さないのです。どうぞ、大嫌いな私がいないところはお行きなさい。」
ハイドの足元にも及ばないが、オーラリアは長年培った王妃としての威厳を最大限に使い助けを求める人々を初めて、拒んだ。
167
お気に入りに追加
411
あなたにおすすめの小説

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…

影の王宮
朱里 麗華(reika2854)
恋愛
王立学園の卒業式で公爵令嬢のシェリルは、王太子であり婚約者であるギデオンに婚約破棄を言い渡される。
ギデオンには学園で知り合った恋人の男爵令嬢ミーシャがいるのだ。
幼い頃からギデオンを想っていたシェリルだったが、ギデオンの覚悟を知って身を引こうと考える。
両親の愛情を受けられずに育ったギデオンは、人一倍愛情を求めているのだ。
だけどミーシャはシェリルが思っていたような人物ではないようで……。
タグにも入れましたが、主人公カップル(本当に主人公かも怪しい)は元サヤです。
すっごく暗い話になりそうなので、プロローグに救いを入れました。
一章からの話でなぜそうなったのか過程を書いていきます。
メインになるのは親世代かと。
※子どもに関するセンシティブな内容が含まれます。
苦手な方はご自衛ください。
※タイトルが途中で変わる可能性があります<(_ _)>
公爵家の家族ができました。〜記憶を失くした少女は新たな場所で幸せに過ごす〜
月
ファンタジー
記憶を失くしたフィーは、怪我をして国境沿いの森で倒れていたところをウィスタリア公爵に助けてもらい保護される。
けれど、公爵家の次女フィーリアの大切なワンピースを意図せず着てしまい、双子のアルヴァートとリティシアを傷付けてしまう。
ウィスタリア公爵夫妻には五人の子どもがいたが、次女のフィーリアは病気で亡くなってしまっていたのだ。
大切なワンピースを着てしまったこと、フィーリアの愛称フィーと公爵夫妻から呼ばれたことなどから双子との確執ができてしまった。
子どもたちに受け入れられないまま王都にある本邸へと戻ることになってしまったフィーに、そのこじれた関係のせいでとある出来事が起きてしまう。
素性もわからないフィーに優しくしてくれるウィスタリア公爵夫妻と、心を開き始めた子どもたちにどこか後ろめたい気持ちを抱いてしまう。
それは夢の中で見た、フィーと同じ輝くような金色の髪をした男の子のことが気になっていたからだった。
夢の中で見た、金色の花びらが舞う花畑。
ペンダントの金に彫刻された花と水色の魔石。
自分のことをフィーと呼んだ、夢の中の男の子。
フィーにとって、それらは記憶を取り戻す唯一の手がかりだった。
夢で会った、金色の髪をした男の子との関係。
新たに出会う、友人たち。
再会した、大切な人。
そして成長するにつれ周りで起き始めた不可解なこと。
フィーはどのように公爵家で過ごしていくのか。
★記憶を失くした代わりに前世を思い出した、ちょっとだけ感情豊かな少女が新たな家族の優しさに触れ、信頼できる友人に出会い、助け合い、そして忘れていた大切なものを取り戻そうとするお話です。
※前世の記憶がありますが、転生のお話ではありません。
※一話あたり二千文字前後となります。

大公閣下!こちらの双子様、耳と尾がはえておりますが!?
まめまめ
恋愛
魔法が使えない無能ハズレ令嬢オリヴィアは、実父にも見限られ、皇子との縁談も破談になり、仕方なく北の大公家へ家庭教師として働きに出る。
大公邸で会ったのは、可愛すぎる4歳の双子の兄妹!
「オリヴィアさまっ、いっしょにねよ?」
(可愛すぎるけど…なぜ椅子がシャンデリアに引っかかってるんですか!?カーテンもクロスもぼろぼろ…ああ!スープのお皿は投げないでください!!)
双子様の父親、大公閣下に相談しても
「子どもたちのことは貴女に任せます。」
と冷たい瞳で吐き捨てられるだけ。
しかもこちらの双子様、頭とおしりに、もふもふが…!?
どん底だけどめげないオリヴィアが、心を閉ざした大公閣下と可愛い謎の双子とどうにかこうにか家族になっていく恋愛要素多めのホームドラマ(?)です。

本日より他人として生きさせていただきます
ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話
彩伊
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。
しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。
彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。
............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。
招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。
送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。
そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。
『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』
一日一話
14話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる