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49.後始末
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「さて、クラン。聞きたいことがある。ここみの腹の子は王家の血を引いているのか?」
「…いいえ。」
クランは力無くフッと笑って弱々しく答えた。続けて、頭でも痛むのか、手を額に当てて困ったように細々と話し始める。
「初めての夜の記憶がないが、他の時に子を宿さないように封じられた印を解いたことはない。初めてを捧げたのだと言われて…責任を取らなければと思ったんだ」
ここみは捉えられた両腕を振り解こうと暴れながら叫ぶ。
「なにいってるのよ!あんなに抱いたくせに!避妊なんてしてなかったじゃない!!」
妊娠していると聞いている騎士たちはあまり乱暴に出来ずどう抑えていいかオロオロしはじめた。
オーラリアは二人に体の関係があったと聞いても何とも思わないのは、もう本当にクランに思いが残っていないんだと、少し寂しくも感じた。
振り回される騎士たちを可哀想な思い口を出そうとしたら、ハイドに肩を叩かれ止められた。
「クランには、簡単に子が成せぬよう封印の魔法をかけてある。特別な力のあるものにしか出来ないことだ。今代はそこにいる、ローランドが術者だ。王族がそんなに簡単に子を宿して争いが起こらぬように昔からそう決まっているんだ。オーラリアという正妃がいたのにその印を解いていなかったのは理解し難いが…」
ハイドがローランドをちらっと見やると、ふん、と鼻で笑って小さな声で答えた。
「初めからオーラリア様にふさわしく無いと思いましたので、印を解くのを拒否いたいました」
「オーラリアが嫌がっているんだと、思っていた」
クランが驚くような顔で私を見つめる。
「嫁いできた時はあなたはまだ幼かったですから…それでも、私から拒否したことはありません。結局忙しくて寝台を共にしたことはありませんでしたが…」
「そうか、それもか…」
クランは自傷気味にあはは!!と大きな声で笑った。それがここみの癇に障ったのかバン!と大きな音を立てて騎士をふりはらった。
「笑ってないでよ!!何言ってんの?!あたしを捨てたら許さないから!!!」
「ではなぜ、医師の診察を拒否するのだ」
「そ、それは、医者が嫌いだから精神的におかしくなっちゃうからって…」
クランが冷たい声でここみに投げかけると、ビクッと肩を震わせて弱々しく答える。続いてシアが怖い顔をして前に出てきた。
「あとさ、ここみは処女じゃないよね?あちらの世界で付き合ってた人とよくお泊まりしてたよね。まぁ、俺の親友だったけど。最終的には俺に近づくために付き合った!とか言ってて。吐き気がしたよ」
まだ、美しいメイドの姿のままだがいつもより声が低く口調が乱暴だ。これが本当のシアなのだろう。
シアの言葉を聞いたここみは真っ赤になり、クランは真っ青になった。
「うそ…だったのか?」
ここみは力無くブンブンと首を横に張る。
「ち…がう…ねぇ、違うの。ここみをすてないで!!違うのぉ!!!」
「違う違う違うちがう!!お前は全部うそか?!オーラリアを…返せ!!!僕にオーラリアを返してくれ!何でお前なんかのために…なんで!!!!!!」
なんで!!とクランが悲痛の叫びをあげる。それは私に帰ってきて欲しいとか、もう一度一緒になって欲しいとか伝えたいわけではなく、本当に自分の中で、あの頃に戻してくれとただ叫んでいるように聞こえた。
混乱してしまったクランを騎士が優しく立ち上がらせ退室させる。ユウリがハイドに一言何かを告げると後をついて出て行った。
ハイドは速やかにここみを確保すると騎士に引き渡し、離宮ではなく北の塔へと連れていくように命じた。
現王がハイドに王位を譲ると宣言したこともあり、無事この国を血を流さずに譲り受けることができた。
皆疲れ果てていたためそのまま王城に止まることにした。
辛い思い出の多い場所だ、耳を覚ますとクランの泣き声が聞こえてきそうで胸がキツくなった。
ハイドが優しく手を握ってくれていなければ、私は泣いていたかもしれない。
幼きクラン王子が抱えた悲しみを想って、そして、辛かった日々を認識して。
「…いいえ。」
クランは力無くフッと笑って弱々しく答えた。続けて、頭でも痛むのか、手を額に当てて困ったように細々と話し始める。
「初めての夜の記憶がないが、他の時に子を宿さないように封じられた印を解いたことはない。初めてを捧げたのだと言われて…責任を取らなければと思ったんだ」
ここみは捉えられた両腕を振り解こうと暴れながら叫ぶ。
「なにいってるのよ!あんなに抱いたくせに!避妊なんてしてなかったじゃない!!」
妊娠していると聞いている騎士たちはあまり乱暴に出来ずどう抑えていいかオロオロしはじめた。
オーラリアは二人に体の関係があったと聞いても何とも思わないのは、もう本当にクランに思いが残っていないんだと、少し寂しくも感じた。
振り回される騎士たちを可哀想な思い口を出そうとしたら、ハイドに肩を叩かれ止められた。
「クランには、簡単に子が成せぬよう封印の魔法をかけてある。特別な力のあるものにしか出来ないことだ。今代はそこにいる、ローランドが術者だ。王族がそんなに簡単に子を宿して争いが起こらぬように昔からそう決まっているんだ。オーラリアという正妃がいたのにその印を解いていなかったのは理解し難いが…」
ハイドがローランドをちらっと見やると、ふん、と鼻で笑って小さな声で答えた。
「初めからオーラリア様にふさわしく無いと思いましたので、印を解くのを拒否いたいました」
「オーラリアが嫌がっているんだと、思っていた」
クランが驚くような顔で私を見つめる。
「嫁いできた時はあなたはまだ幼かったですから…それでも、私から拒否したことはありません。結局忙しくて寝台を共にしたことはありませんでしたが…」
「そうか、それもか…」
クランは自傷気味にあはは!!と大きな声で笑った。それがここみの癇に障ったのかバン!と大きな音を立てて騎士をふりはらった。
「笑ってないでよ!!何言ってんの?!あたしを捨てたら許さないから!!!」
「ではなぜ、医師の診察を拒否するのだ」
「そ、それは、医者が嫌いだから精神的におかしくなっちゃうからって…」
クランが冷たい声でここみに投げかけると、ビクッと肩を震わせて弱々しく答える。続いてシアが怖い顔をして前に出てきた。
「あとさ、ここみは処女じゃないよね?あちらの世界で付き合ってた人とよくお泊まりしてたよね。まぁ、俺の親友だったけど。最終的には俺に近づくために付き合った!とか言ってて。吐き気がしたよ」
まだ、美しいメイドの姿のままだがいつもより声が低く口調が乱暴だ。これが本当のシアなのだろう。
シアの言葉を聞いたここみは真っ赤になり、クランは真っ青になった。
「うそ…だったのか?」
ここみは力無くブンブンと首を横に張る。
「ち…がう…ねぇ、違うの。ここみをすてないで!!違うのぉ!!!」
「違う違う違うちがう!!お前は全部うそか?!オーラリアを…返せ!!!僕にオーラリアを返してくれ!何でお前なんかのために…なんで!!!!!!」
なんで!!とクランが悲痛の叫びをあげる。それは私に帰ってきて欲しいとか、もう一度一緒になって欲しいとか伝えたいわけではなく、本当に自分の中で、あの頃に戻してくれとただ叫んでいるように聞こえた。
混乱してしまったクランを騎士が優しく立ち上がらせ退室させる。ユウリがハイドに一言何かを告げると後をついて出て行った。
ハイドは速やかにここみを確保すると騎士に引き渡し、離宮ではなく北の塔へと連れていくように命じた。
現王がハイドに王位を譲ると宣言したこともあり、無事この国を血を流さずに譲り受けることができた。
皆疲れ果てていたためそのまま王城に止まることにした。
辛い思い出の多い場所だ、耳を覚ますとクランの泣き声が聞こえてきそうで胸がキツくなった。
ハイドが優しく手を握ってくれていなければ、私は泣いていたかもしれない。
幼きクラン王子が抱えた悲しみを想って、そして、辛かった日々を認識して。
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