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44.オーラリアはわがままを言う
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ここみたちがシークバレーをたったと知らせを受けて6日がたった。
隔離病院の者たちは皆元気になり城下町へと戻って行った。世話になったからと、庭の手入れに来てくれたり落ち葉はきに来てくれたりと患者は少ないが賑やかにやっていた。
あれから下水の設備が治っていないので患者が増えるかと思ったがどうやらユウリが町を浄化して回った様で新しく患うものが少なく、さらに軽症化してきていた。
その異変に最初に気がついたのはやはり教会だったが、ローランドが断固としてこちらとの接触を取らせなかったため、平和な日々を過ごすことができた。
病棟内の清掃がひと段落し、みんなでロビーに腰をかけているとついにその時が来た。
静かだった庭にガラガラと馬車を乗り付ける音が響いた。しばらくすると外から可愛らしい声が響いた。
「シーク様!あたしに会いに来てくれていたなんて!手紙を下されば待っていたのにー!」
ここみはとても弾んだ声でそう叫んだ。それでも病棟の中には入ってこられない…入りたくないのか、そのままそこで立ち止まってあたりをキョロキョロと見回している。
「シーク様!出てきてください!こちらにいることはわかってるんですよ!だから慌てて帰ってきたんです!」
チラと隣のハイドを見ると、眉間に少し皺を寄せて怪訝な顔をしていた。
「ああやって、自分がいつも中心であるかの様に振る舞うのはかわってないのね」
シアがやれやれと言うように立ち上がる。
ユウリがクン、とシアのスカートを引っ張る。
「シアがいく必要は無いんじゃないか?」
「あっ心配してる!ユウリは心配症なんだから!大丈夫。もう遠慮する必要ないからさ、ズバッときれるよ!」
「一緒に行く。シアがまたあの女に傷つけられるのは見たくない。」
「ユウリがいくと、またあの女ヒステリックになって話が通じなくなるじゃん?だからダメだ」
シアはユウリの手をそっとスカートから引き剥がす。
よし!っと頬を両手で軽く叩き気合いを入れる。入り口の扉を開けたところでまた微かに引っ張られ、シアがやれやれという感じで振り返る。
「お…オーラリア様?」
「私も連れて行って…あの人たちに言わないといけないことがたくさんあるの。」
「そ…そんな可愛い顔で言ってもだめです。」
力無くつんとつままれた裾を優しく振ってみるがオーラリアは離すまいとギュッと布を握る。
「もう、何も言わずにあの人に全て譲ることはしない。だから大丈夫!」
「や、あいつもいるし、ダメ…ですよね?お館様」
「お願い!私…怒っているの。ここみに。人の命を何だと思っているのって…」
「オーラリア気持ちはわかるけど少し我慢だ。ここで言っても何も変えられない。しかるべき場所で、キチンと制裁をくださなければ。それまで、君は隠しておいて欲しい。その怒りを。」
ハイドはそっと手を握ってオーラリアをシアから引き離す。シアは少し申し訳なさそうな顔をしてそっと部屋を出ていった。
「オーラリア、ほら。こっちに…え?!っ!ごめん!痛かった?」
入り口をじっと見つめていたオーラリアを自分の方へと向かせたハイドはポロポロと涙を流すオーラリアをみて慌てた。
「いいえ、わがままを言ってしまってごめんなさい。困らせてしまってごめんなさい」
「いや、良いんだよ。オーラリアの怒りは正しい。あちらが間違っているんだから。こんな小さなお願い事を我儘だとは思わない。誰も君を責めたりしない。」
「でも…」
「我儘なのはここみと王だ。それにシアは多分オーラリアに甘えられたと今頃喜んでいるよ。誰も君を嫌いにならないから大丈夫。」
ハイドに抱き締められたオーラリアはしばらくポロポロと静かに涙を流して泣いた。
隔離病院の者たちは皆元気になり城下町へと戻って行った。世話になったからと、庭の手入れに来てくれたり落ち葉はきに来てくれたりと患者は少ないが賑やかにやっていた。
あれから下水の設備が治っていないので患者が増えるかと思ったがどうやらユウリが町を浄化して回った様で新しく患うものが少なく、さらに軽症化してきていた。
その異変に最初に気がついたのはやはり教会だったが、ローランドが断固としてこちらとの接触を取らせなかったため、平和な日々を過ごすことができた。
病棟内の清掃がひと段落し、みんなでロビーに腰をかけているとついにその時が来た。
静かだった庭にガラガラと馬車を乗り付ける音が響いた。しばらくすると外から可愛らしい声が響いた。
「シーク様!あたしに会いに来てくれていたなんて!手紙を下されば待っていたのにー!」
ここみはとても弾んだ声でそう叫んだ。それでも病棟の中には入ってこられない…入りたくないのか、そのままそこで立ち止まってあたりをキョロキョロと見回している。
「シーク様!出てきてください!こちらにいることはわかってるんですよ!だから慌てて帰ってきたんです!」
チラと隣のハイドを見ると、眉間に少し皺を寄せて怪訝な顔をしていた。
「ああやって、自分がいつも中心であるかの様に振る舞うのはかわってないのね」
シアがやれやれと言うように立ち上がる。
ユウリがクン、とシアのスカートを引っ張る。
「シアがいく必要は無いんじゃないか?」
「あっ心配してる!ユウリは心配症なんだから!大丈夫。もう遠慮する必要ないからさ、ズバッときれるよ!」
「一緒に行く。シアがまたあの女に傷つけられるのは見たくない。」
「ユウリがいくと、またあの女ヒステリックになって話が通じなくなるじゃん?だからダメだ」
シアはユウリの手をそっとスカートから引き剥がす。
よし!っと頬を両手で軽く叩き気合いを入れる。入り口の扉を開けたところでまた微かに引っ張られ、シアがやれやれという感じで振り返る。
「お…オーラリア様?」
「私も連れて行って…あの人たちに言わないといけないことがたくさんあるの。」
「そ…そんな可愛い顔で言ってもだめです。」
力無くつんとつままれた裾を優しく振ってみるがオーラリアは離すまいとギュッと布を握る。
「もう、何も言わずにあの人に全て譲ることはしない。だから大丈夫!」
「や、あいつもいるし、ダメ…ですよね?お館様」
「お願い!私…怒っているの。ここみに。人の命を何だと思っているのって…」
「オーラリア気持ちはわかるけど少し我慢だ。ここで言っても何も変えられない。しかるべき場所で、キチンと制裁をくださなければ。それまで、君は隠しておいて欲しい。その怒りを。」
ハイドはそっと手を握ってオーラリアをシアから引き離す。シアは少し申し訳なさそうな顔をしてそっと部屋を出ていった。
「オーラリア、ほら。こっちに…え?!っ!ごめん!痛かった?」
入り口をじっと見つめていたオーラリアを自分の方へと向かせたハイドはポロポロと涙を流すオーラリアをみて慌てた。
「いいえ、わがままを言ってしまってごめんなさい。困らせてしまってごめんなさい」
「いや、良いんだよ。オーラリアの怒りは正しい。あちらが間違っているんだから。こんな小さなお願い事を我儘だとは思わない。誰も君を責めたりしない。」
「でも…」
「我儘なのはここみと王だ。それにシアは多分オーラリアに甘えられたと今頃喜んでいるよ。誰も君を嫌いにならないから大丈夫。」
ハイドに抱き締められたオーラリアはしばらくポロポロと静かに涙を流して泣いた。
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