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本編2
悪役令嬢は気が付かない
しおりを挟む『王様、王様~!たいへん!たいへん!』
風の精霊が、玉座へと慌ただしくやって来た。
周囲にいた水の精霊や、火の精霊がため息を吐く。
『また、アエラスの大変が始まったわ』
『落ち着きのない』
アクアとイグニスが呆れの混じった声で、アエラスを迎えた。
「どうした?」
『僕を見て、僕の声を聞いて、僕に触れる人間がいた!』
『「!」』
驚きで、僕も精霊たちも固まる。
精霊である彼らの姿を見ることができる人間はいる。サザンスィート王国のジュリアンのように、先祖に精霊の血が混じっている人間だ。
それでも、全ての子孫が精霊を見れるわけではない。
ジュリアンがたまたま相性が良かったというだけだ。
その声を聞くことができる人間も、ごく稀にだがいる。
だが、その身に触れることの出来る人間はいない。
それが出来るのは、精霊の王である僕の番になることができる人間だけだ。
数百年前、サザンスィート王国の王太子がそうだった。
当時の精霊女王は、番である王太子に嫁ぎ、それ以来、サザンスィート王国には精霊の加護が与えられることとなった。
精霊の王を継ぐ存在は、一人しか生まれない。
正確にいうならば、精霊王が亡くなる時に次代の精霊王が生まれるのだ。
番は人間にしか生まれない。
だから、出会えない精霊王がほとんどだ。
子を成す必要性がない精霊に何故、番が存在するのか。
それは、番が精霊にとって半身だからだ。
満たされぬ渇きを、満たしてくれる存在。
番を得ずとも、死ぬことはない。
だが、番を得た精霊王は、その力が桁違いに増すという。
『ちょっと、本当なの?アエラス』
『もちろんだよ。大事な大事な王様の番だよ。ちゃんと触れるか確認済み~』
『それで、どこの誰なんだ?』
『えっとね、サザンスィートの王宮にいたよ。でも、初めて見る顔だった。ピンク色の髪の可愛い女の子だったよ』
アエラスの言葉に、胸が高鳴るのを感じる。
「サザンスィートか。ジュリアンに聞けばわかるだろう」
王宮にいたのなら、サザンスィート王国の王太子であるジュリアンなら誰かわかるだろう。
何度か王宮を訪れたことがあるが、番に会ったことはない。
となると、他国の者か、新しい使用人か。
「アエラス。まさか、幼い子供ではないな?」
『子供かどうかはわかんないけど、王様の肩くらいの背だったよ~』
なら、幼子ではなさそうだが。
いや。幼子だとしても、精霊の生は長い。番が育つのを待つくらい何でもない。
番に出会えることは、奇跡のようなものだ。
風の精霊が、玉座へと慌ただしくやって来た。
周囲にいた水の精霊や、火の精霊がため息を吐く。
『また、アエラスの大変が始まったわ』
『落ち着きのない』
アクアとイグニスが呆れの混じった声で、アエラスを迎えた。
「どうした?」
『僕を見て、僕の声を聞いて、僕に触れる人間がいた!』
『「!」』
驚きで、僕も精霊たちも固まる。
精霊である彼らの姿を見ることができる人間はいる。サザンスィート王国のジュリアンのように、先祖に精霊の血が混じっている人間だ。
それでも、全ての子孫が精霊を見れるわけではない。
ジュリアンがたまたま相性が良かったというだけだ。
その声を聞くことができる人間も、ごく稀にだがいる。
だが、その身に触れることの出来る人間はいない。
それが出来るのは、精霊の王である僕の番になることができる人間だけだ。
数百年前、サザンスィート王国の王太子がそうだった。
当時の精霊女王は、番である王太子に嫁ぎ、それ以来、サザンスィート王国には精霊の加護が与えられることとなった。
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正確にいうならば、精霊王が亡くなる時に次代の精霊王が生まれるのだ。
番は人間にしか生まれない。
だから、出会えない精霊王がほとんどだ。
子を成す必要性がない精霊に何故、番が存在するのか。
それは、番が精霊にとって半身だからだ。
満たされぬ渇きを、満たしてくれる存在。
番を得ずとも、死ぬことはない。
だが、番を得た精霊王は、その力が桁違いに増すという。
『ちょっと、本当なの?アエラス』
『もちろんだよ。大事な大事な王様の番だよ。ちゃんと触れるか確認済み~』
『それで、どこの誰なんだ?』
『えっとね、サザンスィートの王宮にいたよ。でも、初めて見る顔だった。ピンク色の髪の可愛い女の子だったよ』
アエラスの言葉に、胸が高鳴るのを感じる。
「サザンスィートか。ジュリアンに聞けばわかるだろう」
王宮にいたのなら、サザンスィート王国の王太子であるジュリアンなら誰かわかるだろう。
何度か王宮を訪れたことがあるが、番に会ったことはない。
となると、他国の者か、新しい使用人か。
「アエラス。まさか、幼い子供ではないな?」
『子供かどうかはわかんないけど、王様の肩くらいの背だったよ~』
なら、幼子ではなさそうだが。
いや。幼子だとしても、精霊の生は長い。番が育つのを待つくらい何でもない。
番に出会えることは、奇跡のようなものだ。
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