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さん
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「桜子。故郷へ帰ろうか。海の向こうだ。」
お父様は突然、私にそう告げた。
「お前は海の向こうの大陸で産まれたんだ。私は、医学をこの国に広めたかったんだ。でも、こんな…恩知らずな国に未練はないみんなで移り住もう。」
お父様と私は、この国の人たちと色が違う。それも、こんなに貶される理由の一つだった。
それに、治療院ではこの国の言葉ではない言葉で話していた。産まれた国の言葉だったんだ。私が3歳の頃、お母様が亡くなったと同時にこちらに渡ってきたらしい。
金色の髪に青い目、お父様は私から見てもとても美しい。
「でも、みんなは嫌じゃないの?」
治療院で暮らす5人の孤児たちは首をブンブン縦に振って抱きついてきてくれた。
「お姉ちゃんとお父さんと一緒がいい!!」
子どもたちの一言で私たちは早急に荷造りをする事にした。3日かけて荷物をまとめた。
その間に患者は来たが皆追い返した。初めは無責任だと罵られたが、日を追うごとに助けてくれと、縋るものばかりになった。
4日目の朝、荷物を抱えて治療院を出たところに堂ヶ島右京が経っていた。
いつものように整えられた髪も、清潔感のある服もない。正気の無い、人形のような姿だった。
子供達は怯えて、歩みを止めてしまう。
「お父様、中へ。」
一旦みんなを下がらせることにした。もちろん、私も。
ところが、先日の力よりも何倍も弱く、驚くほど冷たい力で腕を引っ張られた。
「何か?」
振り向かなくても、それは彼の手であることは明らかだった。大きな手はあの日と変わらず、固く、冷たかった。
「その荷物は」
「出て行きます。貴方達の目の前から消えて差し上げるのです。」
「…な…ぜ?」
「なぜ?それは貴方のセリフでは無いでしょう?」
「傷者だから?」
「まだそれを言うの?!」
一発殴ってやろうかと思って、と言うか、一発殴ったわ。顔面をバチンと平手で。勢いよく振り返ると、野生的な、逞しく、美しいその見た目に合わない大量の涙をボロボロと流す瞳と視線が合った。
「やっぱり俺が傷モノだから嫌なのか?」
「はぁ?」
はぁ?以外の言葉が思いつかなかったわ。つい、はぁ?って強めに言ってしまった。いつも淡々と犯罪者をしばき倒して飄々としている彼からは想像もつかないほど衰弱している。グジグジと溢れる涙も拭わず私の腕を掴んだまま男泣きをしている。
「離してくださらない?」
「嫌だ」
「ちょっ…え?」
「離したら行ってしまう」
「は?何なの?貴方」
「確かに…俺は傷者だ、でも過去は変えられない。だから罪を償って、君に…誇れるように隊長になって、やっと話しかけられたのに。それでもまだ、ダメなのか?」
「え?まっ…き?傷者は私でしょう?」
「君は傷者なんかじゃ無い!!!天使だ!!!」
天使だ!!!急にベラベラと喋り出したと思ったら何だか意味のわからない言葉を叫んでいるわ。
お…お父様がニヤニヤしながらこちらを見ているわ!!!どう言うことなの?????
「右京くん、うちの娘は頑固だし、思い込みが激しい。今まで何十人の男達が完膚なきまでに切り捨てられて(比喩で)いる。ちゃんと言わんと伝わらないよ。ちゃんと言っても伝わらないけど」
お父様が何か発破をかけたわ。右京くんってなに?
「一目惚れだ。」
「え?」
発破をかけられた堂ヶ島右京は喋り出した。
「君を助けた日に。君に一目惚れを。愛しくて、会いたくて君が寝込んでいる間ずっと通った。でも俺は…その…君に相応しく無いと思って、せめて誇れる男になってから、君に想いを伝えようとしたんだ。まさか君から会いに来てくれるなんて…あの時は失神するかと思った。」
「傷者と?冗談だろ?哀れだって…」
「こんな半端者の俺と一緒にいたら、君が汚れる。皆に変な目で見られては哀れだと…知らないのか?俺は、生きる為に盗みをした事がある。魂に傷がついてる。だから傷者なんだ」
「えっと…全然喋らなかったし」
「この通り、喋り出すと君を褒め称えたくなるから黙っていた。他に何を言えばいいかわからなかった。急に褒め称えられたら気持ち悪いだろ?」
「えっと…」
「ちなみに桜子の当時の婚約者と話をつけて婚約解消させたのは右京くん。あと、桜子当てに求婚の手紙来てたけどそれも全部右京くんが本人に直接返しに行ったんだよ。2年間で40通は来てたかな?後半はもう、怒り狂った堂ヶ島右京が来るからって求婚の手紙は来なくなったけど」
「お父さん!その節は自分に知らせてくれてありがとうございました。おかげで全ての虫を排除できました」
「おにいちゃん、おねえちゃんを泣かせないって言ったのに嘘ついたね」
「あぁ、子供たち。すまない。本当に…俺は…」
「か…帰って!!…かえって!!帰って帰って!」
どん!!とその厚い胸板を押せば、こんな細腕の力ではびくともしないはずなのに、地面にどさっと尻餅をついた。とてもビックリした様で先程まで光の灯っていなかった瞳が極限まで開かれている。
「桜子…さん…」
「いや!名前を呼ばないで!!嫌い!!嫌いです!大っ嫌い!」
私はたまらなくなり、そのまま治療院へと駆け込む。一番奥の自分の部屋に閉じ籠った。
後から心配した子どもたちがついてきてくれていたが、扉を閉めてしまったので部屋には私一人になった。
どう言う事なの?あの、堂ヶ島右京が私を…す…好きだったと言う事?求婚の手紙って何?婚約解消ってなんなの?????
突然の出来事に頭を混乱させていると、コンコンと、扉がノックされた。私がここに駆け込んだことはみんなが知っている事だが、取り敢えず居ないふりをした。
「桜子。」
お父様だった。
「いやよ。お父様も共犯だったんだわ。どうして?女なのにでしゃばりな私を嫌いになったの?」
「そんな事はないよ。」
お父様の声が少し低くなる。怒ったんだわ。
「僕は桜子を愛してる。世界で一番大切なファーストレディーだ。あの馬の事故があった日、彼は腕を君と自分の血で真っ赤に染めた。商売道具である己の体を差し出してまで私の宝物を守ってくれた。」
「あの日のことですか。やはり彼の怪我も酷かったのですね」
「酷いどころじゃないよ。桜子の傷は真っ直ぐだろ?彼は蹄の残りの4分の3引き受けた。腕にはくっきり跡が残るほどだ。リハビリも地獄の痛さだっただろう。それでも、自分は頂点に立つ、だから…」
「聞きたくないです。私は2年間苦しかった。人に悪口を言われて本当は辛かった。それが、その発端が彼である事は言い逃れようのない事実です。」
「全てが?」
「え?」
「治療院に来てくれてた人たちは、桜子を好いていた。軍の人たちも僕たちの訪問を心待ちにして歓迎してくれた。桜子を傷つけたの…だれ?」
私を誹謗中傷していたのは、堂ヶ島右京の周りにいる…見ず知らずの女性たちだ。その女性達の家族や…親しい男友達たち。
「間違えちゃいけない。よく考えるんだよ。君の味方まで敵にしてはいけないよ。もちろん右京くんが1番に悪いけどね」
「それに、十六原蘭の愛人になる為に私を利用するって…」
「そんな話をしていたのは誰だ?今すぐ、俺が正しい話をしにいってくる。劇場であった者か?チケットの購入者全員に当たってみよう。」
突然唸る様な低い声が響いた。その後ろで「ちょっと、今僕が決めてるとこなのに!」とお父様が小言を言っている。
「ワンピースだって一緒に購入されたって…」
「軍の方に行商人がはいるんだ。その取りまとめを蘭様がしてくださっている。一緒に買ったと言うなら、俺の部隊総勢20名も空色のワンピースがいいと…その、一緒に選んでくれた。みんなその場にいたからな。」
「…」
「ほかには?嫌だった事は?」
「全部嫌よ。」
「すまない。今から生まれ変わったのでは君は誰かに取られてしまうから新しい人間にはなれない」
「そう言う意味じゃないわ。」
「顔か?背か?喋り方?」
「…全部嫌」
「わか…た。」
先程までの優しいけど低い小さな声が急に掠れて聴き取りにくくなった。かと思ったらコツン、と扉に何か当たる音がした。
「すまなかった。俺のせいで、傷つけてしまった。もう二度と君の前に姿を現さないと誓う。」
ひゅっと息を呑む。つま先から順に冷たくなっていく。
コツコツと廊下を歩く足音が遠くなっていくのがわかる。それと一緒に意識も遠くなっていった。
お父様は突然、私にそう告げた。
「お前は海の向こうの大陸で産まれたんだ。私は、医学をこの国に広めたかったんだ。でも、こんな…恩知らずな国に未練はないみんなで移り住もう。」
お父様と私は、この国の人たちと色が違う。それも、こんなに貶される理由の一つだった。
それに、治療院ではこの国の言葉ではない言葉で話していた。産まれた国の言葉だったんだ。私が3歳の頃、お母様が亡くなったと同時にこちらに渡ってきたらしい。
金色の髪に青い目、お父様は私から見てもとても美しい。
「でも、みんなは嫌じゃないの?」
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「お姉ちゃんとお父さんと一緒がいい!!」
子どもたちの一言で私たちは早急に荷造りをする事にした。3日かけて荷物をまとめた。
その間に患者は来たが皆追い返した。初めは無責任だと罵られたが、日を追うごとに助けてくれと、縋るものばかりになった。
4日目の朝、荷物を抱えて治療院を出たところに堂ヶ島右京が経っていた。
いつものように整えられた髪も、清潔感のある服もない。正気の無い、人形のような姿だった。
子供達は怯えて、歩みを止めてしまう。
「お父様、中へ。」
一旦みんなを下がらせることにした。もちろん、私も。
ところが、先日の力よりも何倍も弱く、驚くほど冷たい力で腕を引っ張られた。
「何か?」
振り向かなくても、それは彼の手であることは明らかだった。大きな手はあの日と変わらず、固く、冷たかった。
「その荷物は」
「出て行きます。貴方達の目の前から消えて差し上げるのです。」
「…な…ぜ?」
「なぜ?それは貴方のセリフでは無いでしょう?」
「傷者だから?」
「まだそれを言うの?!」
一発殴ってやろうかと思って、と言うか、一発殴ったわ。顔面をバチンと平手で。勢いよく振り返ると、野生的な、逞しく、美しいその見た目に合わない大量の涙をボロボロと流す瞳と視線が合った。
「やっぱり俺が傷モノだから嫌なのか?」
「はぁ?」
はぁ?以外の言葉が思いつかなかったわ。つい、はぁ?って強めに言ってしまった。いつも淡々と犯罪者をしばき倒して飄々としている彼からは想像もつかないほど衰弱している。グジグジと溢れる涙も拭わず私の腕を掴んだまま男泣きをしている。
「離してくださらない?」
「嫌だ」
「ちょっ…え?」
「離したら行ってしまう」
「は?何なの?貴方」
「確かに…俺は傷者だ、でも過去は変えられない。だから罪を償って、君に…誇れるように隊長になって、やっと話しかけられたのに。それでもまだ、ダメなのか?」
「え?まっ…き?傷者は私でしょう?」
「君は傷者なんかじゃ無い!!!天使だ!!!」
天使だ!!!急にベラベラと喋り出したと思ったら何だか意味のわからない言葉を叫んでいるわ。
お…お父様がニヤニヤしながらこちらを見ているわ!!!どう言うことなの?????
「右京くん、うちの娘は頑固だし、思い込みが激しい。今まで何十人の男達が完膚なきまでに切り捨てられて(比喩で)いる。ちゃんと言わんと伝わらないよ。ちゃんと言っても伝わらないけど」
お父様が何か発破をかけたわ。右京くんってなに?
「一目惚れだ。」
「え?」
発破をかけられた堂ヶ島右京は喋り出した。
「君を助けた日に。君に一目惚れを。愛しくて、会いたくて君が寝込んでいる間ずっと通った。でも俺は…その…君に相応しく無いと思って、せめて誇れる男になってから、君に想いを伝えようとしたんだ。まさか君から会いに来てくれるなんて…あの時は失神するかと思った。」
「傷者と?冗談だろ?哀れだって…」
「こんな半端者の俺と一緒にいたら、君が汚れる。皆に変な目で見られては哀れだと…知らないのか?俺は、生きる為に盗みをした事がある。魂に傷がついてる。だから傷者なんだ」
「えっと…全然喋らなかったし」
「この通り、喋り出すと君を褒め称えたくなるから黙っていた。他に何を言えばいいかわからなかった。急に褒め称えられたら気持ち悪いだろ?」
「えっと…」
「ちなみに桜子の当時の婚約者と話をつけて婚約解消させたのは右京くん。あと、桜子当てに求婚の手紙来てたけどそれも全部右京くんが本人に直接返しに行ったんだよ。2年間で40通は来てたかな?後半はもう、怒り狂った堂ヶ島右京が来るからって求婚の手紙は来なくなったけど」
「お父さん!その節は自分に知らせてくれてありがとうございました。おかげで全ての虫を排除できました」
「おにいちゃん、おねえちゃんを泣かせないって言ったのに嘘ついたね」
「あぁ、子供たち。すまない。本当に…俺は…」
「か…帰って!!…かえって!!帰って帰って!」
どん!!とその厚い胸板を押せば、こんな細腕の力ではびくともしないはずなのに、地面にどさっと尻餅をついた。とてもビックリした様で先程まで光の灯っていなかった瞳が極限まで開かれている。
「桜子…さん…」
「いや!名前を呼ばないで!!嫌い!!嫌いです!大っ嫌い!」
私はたまらなくなり、そのまま治療院へと駆け込む。一番奥の自分の部屋に閉じ籠った。
後から心配した子どもたちがついてきてくれていたが、扉を閉めてしまったので部屋には私一人になった。
どう言う事なの?あの、堂ヶ島右京が私を…す…好きだったと言う事?求婚の手紙って何?婚約解消ってなんなの?????
突然の出来事に頭を混乱させていると、コンコンと、扉がノックされた。私がここに駆け込んだことはみんなが知っている事だが、取り敢えず居ないふりをした。
「桜子。」
お父様だった。
「いやよ。お父様も共犯だったんだわ。どうして?女なのにでしゃばりな私を嫌いになったの?」
「そんな事はないよ。」
お父様の声が少し低くなる。怒ったんだわ。
「僕は桜子を愛してる。世界で一番大切なファーストレディーだ。あの馬の事故があった日、彼は腕を君と自分の血で真っ赤に染めた。商売道具である己の体を差し出してまで私の宝物を守ってくれた。」
「あの日のことですか。やはり彼の怪我も酷かったのですね」
「酷いどころじゃないよ。桜子の傷は真っ直ぐだろ?彼は蹄の残りの4分の3引き受けた。腕にはくっきり跡が残るほどだ。リハビリも地獄の痛さだっただろう。それでも、自分は頂点に立つ、だから…」
「聞きたくないです。私は2年間苦しかった。人に悪口を言われて本当は辛かった。それが、その発端が彼である事は言い逃れようのない事実です。」
「全てが?」
「え?」
「治療院に来てくれてた人たちは、桜子を好いていた。軍の人たちも僕たちの訪問を心待ちにして歓迎してくれた。桜子を傷つけたの…だれ?」
私を誹謗中傷していたのは、堂ヶ島右京の周りにいる…見ず知らずの女性たちだ。その女性達の家族や…親しい男友達たち。
「間違えちゃいけない。よく考えるんだよ。君の味方まで敵にしてはいけないよ。もちろん右京くんが1番に悪いけどね」
「それに、十六原蘭の愛人になる為に私を利用するって…」
「そんな話をしていたのは誰だ?今すぐ、俺が正しい話をしにいってくる。劇場であった者か?チケットの購入者全員に当たってみよう。」
突然唸る様な低い声が響いた。その後ろで「ちょっと、今僕が決めてるとこなのに!」とお父様が小言を言っている。
「ワンピースだって一緒に購入されたって…」
「軍の方に行商人がはいるんだ。その取りまとめを蘭様がしてくださっている。一緒に買ったと言うなら、俺の部隊総勢20名も空色のワンピースがいいと…その、一緒に選んでくれた。みんなその場にいたからな。」
「…」
「ほかには?嫌だった事は?」
「全部嫌よ。」
「すまない。今から生まれ変わったのでは君は誰かに取られてしまうから新しい人間にはなれない」
「そう言う意味じゃないわ。」
「顔か?背か?喋り方?」
「…全部嫌」
「わか…た。」
先程までの優しいけど低い小さな声が急に掠れて聴き取りにくくなった。かと思ったらコツン、と扉に何か当たる音がした。
「すまなかった。俺のせいで、傷つけてしまった。もう二度と君の前に姿を現さないと誓う。」
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