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44・星に願いを
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あれから1年。今日は私とコンラッドの結婚式だ。
皇宮の隣にある大聖堂で家族やギルドの仲間たちが集まってお祝いしてくれるそうだ。
大聖堂の中の一部屋で、支度を済ませてコンラッドの迎えを待っているとコンコンと扉を叩く音がした。
「はい!」
と緊張から少し強張った返事をすると、「入るよ。」と優しい声が響いた。嬉しくなり椅子から立ち上がると同時に扉が開き、コンラッドが入ってきた。
その奥にはルビィが少し寂しそうな顔をして立っていた。
『綺麗よ、オリヴィア。』
「ありがとう、ルビィ。?ルビィはドレスは着ないの?もうすぐ式が始まるわよ?」
ルビィはいつものメイド服を着たままだった。そこに違和感を感じて聞いてみると、眉を垂らしてこたえてくれた。
『本当は、みてあげたいけど。だめね。間に合わなくなっちゃうから。ここでお別れよ。』
「どうして?何か問題がおきたの?助けは必要?」
「相変わらず、すぐに助けようとするんだな。オリヴィア。ルビィと俺は一つ契約を交わしてる。その契約を守るためにルビィは準備をしなくちゃいけない。」
コンラッドが私の手を取ると優しく話し始める。
ルビィの綺麗な赤い瞳が燃えるように光っている。
お別れ、の言葉ばかりが頭の中で繰り返される。
「契約が切れてしまうの?私とも契約をしているよね?ルビィ、私の事、もういらないの?」
うるっと瞳に涙がたまる。化粧が落ちないように、こぼれ落ちる前にベティがハンカチで拭ってくれる。
『ふふ、違うわよぉ。逆よ、逆』
ルビィが悲しげな顔を少し綻ばせる。するとルビィの足元に白く淡い魔法陣が展開された。
「オリヴィアが幼い時ルビィを助けただろ?ルビィは今回の生まれ変わりでうまく生まれ変わらなかったそうだ。それで、力を出せず、傷つきワンフルールの庭にたどり着いた。そこをオリヴィアが救った。」
『もう少し待つかと思ったけど、あなたたちが結婚するし、いい機会かなって。怪我が治った時に、このお兄ちゃんが力が欲しいって言ってきたのよ。あなたを守れる力が。だから、ワタシの未来と引き換えに力を分けてあげたの。』
「ルビィの未来?」
「『生まれ変わるときに、オリヴィアと僕の子供として生まれ変わるように』」
『貴方たちの子供ならきっと魔力も体も強くなるだろうからねぇ』
「そんな!!結婚するかもわからなかったのに?!」
子供、ときいて顔が真っ赤になる。それに、そんなに幼い頃から私を好いてくれていたのか。
「俺はオリヴィアとしか結婚するつもりはなかったし、絶対に手に入れるつもりだったから問題はないよ」
『って言うから信じたのヨォ。まぁ、ダメだった時は魂をもらうことにしてたからいいんだけどぉ。って事で、初夜の前には準備始めたいから、一回お別れよ❤︎』
淡い光だった魔法陣が強く光ルビィが少しずつ薄くなっていく。手を伸ばすとそっと手を合わせてくれた。
『たくさん愛して育ててね。ワタシが大きくなったら、今日のことを思い出すわ。さよなら。』
「ルビィ。ありがとう。まっててね!!」
手のひらの暖かさがスッと消え、目の前のルビィも消えていた。コンラッドが行き場を失った私の手を取り、そっと口付けをしてくれる。
「ルビィの為にも初夜は頑張らなきゃな」
とイタズラに微笑んだ。
そのまま、手を取られ大聖堂へと導かれる。
聖堂の前で父に引き渡され、コンラッドは先に入場する。そこで父にコッソリと、コンラッドがいつから結婚の打診をしてきたのか聞いたところ、私が5歳の頃からだと聞いた。
「オリヴィアを守れるくらいの力と、地位と能力を手に入れたらいいよって答えたよ」
と教えてくれた。
星に願った事が叶わなくてよかった。この人を幸せにするのは…私でありたい。
終
皇宮の隣にある大聖堂で家族やギルドの仲間たちが集まってお祝いしてくれるそうだ。
大聖堂の中の一部屋で、支度を済ませてコンラッドの迎えを待っているとコンコンと扉を叩く音がした。
「はい!」
と緊張から少し強張った返事をすると、「入るよ。」と優しい声が響いた。嬉しくなり椅子から立ち上がると同時に扉が開き、コンラッドが入ってきた。
その奥にはルビィが少し寂しそうな顔をして立っていた。
『綺麗よ、オリヴィア。』
「ありがとう、ルビィ。?ルビィはドレスは着ないの?もうすぐ式が始まるわよ?」
ルビィはいつものメイド服を着たままだった。そこに違和感を感じて聞いてみると、眉を垂らしてこたえてくれた。
『本当は、みてあげたいけど。だめね。間に合わなくなっちゃうから。ここでお別れよ。』
「どうして?何か問題がおきたの?助けは必要?」
「相変わらず、すぐに助けようとするんだな。オリヴィア。ルビィと俺は一つ契約を交わしてる。その契約を守るためにルビィは準備をしなくちゃいけない。」
コンラッドが私の手を取ると優しく話し始める。
ルビィの綺麗な赤い瞳が燃えるように光っている。
お別れ、の言葉ばかりが頭の中で繰り返される。
「契約が切れてしまうの?私とも契約をしているよね?ルビィ、私の事、もういらないの?」
うるっと瞳に涙がたまる。化粧が落ちないように、こぼれ落ちる前にベティがハンカチで拭ってくれる。
『ふふ、違うわよぉ。逆よ、逆』
ルビィが悲しげな顔を少し綻ばせる。するとルビィの足元に白く淡い魔法陣が展開された。
「オリヴィアが幼い時ルビィを助けただろ?ルビィは今回の生まれ変わりでうまく生まれ変わらなかったそうだ。それで、力を出せず、傷つきワンフルールの庭にたどり着いた。そこをオリヴィアが救った。」
『もう少し待つかと思ったけど、あなたたちが結婚するし、いい機会かなって。怪我が治った時に、このお兄ちゃんが力が欲しいって言ってきたのよ。あなたを守れる力が。だから、ワタシの未来と引き換えに力を分けてあげたの。』
「ルビィの未来?」
「『生まれ変わるときに、オリヴィアと僕の子供として生まれ変わるように』」
『貴方たちの子供ならきっと魔力も体も強くなるだろうからねぇ』
「そんな!!結婚するかもわからなかったのに?!」
子供、ときいて顔が真っ赤になる。それに、そんなに幼い頃から私を好いてくれていたのか。
「俺はオリヴィアとしか結婚するつもりはなかったし、絶対に手に入れるつもりだったから問題はないよ」
『って言うから信じたのヨォ。まぁ、ダメだった時は魂をもらうことにしてたからいいんだけどぉ。って事で、初夜の前には準備始めたいから、一回お別れよ❤︎』
淡い光だった魔法陣が強く光ルビィが少しずつ薄くなっていく。手を伸ばすとそっと手を合わせてくれた。
『たくさん愛して育ててね。ワタシが大きくなったら、今日のことを思い出すわ。さよなら。』
「ルビィ。ありがとう。まっててね!!」
手のひらの暖かさがスッと消え、目の前のルビィも消えていた。コンラッドが行き場を失った私の手を取り、そっと口付けをしてくれる。
「ルビィの為にも初夜は頑張らなきゃな」
とイタズラに微笑んだ。
そのまま、手を取られ大聖堂へと導かれる。
聖堂の前で父に引き渡され、コンラッドは先に入場する。そこで父にコッソリと、コンラッドがいつから結婚の打診をしてきたのか聞いたところ、私が5歳の頃からだと聞いた。
「オリヴィアを守れるくらいの力と、地位と能力を手に入れたらいいよって答えたよ」
と教えてくれた。
星に願った事が叶わなくてよかった。この人を幸せにするのは…私でありたい。
終
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