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39・決着
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そうだ、あの時…赤いトカゲと黒いカエルを拾った。
カエルは魔法をかけたらすぐにいなくなってしまった。傷が浅かったのであろう。
《あの時の魔法、美味しかったぁ。僕は忘れられなくてずっと君を狙ってたんだぁ》
ふと、抱きしめられる力が弱まるのを感じた。顔を上げると綺麗な顔がすぐそばまで近づけられる。
《僕をひとりにしないで。》
薄く形の整った唇がゆっくり、そうつぶやく。
「いいよ。一緒に…行こう!私の大切な人たちをこれ以上傷つけないで。!!!ルーチェ!!」
グールの心臓の辺りに手を当て光の魔法を放つ。
《ぐっ!!なんで?!まだ魔法つかえるの?!》
「あなたがいなくなれば、コンラッドが元に戻れる。約束したの。私が助けるって…」
グールの右手を掴んで離れられないようにして魔法の出力を上げる。闇の塊のようなグールに光の魔法は正解だったようだ、苦しみながらも左手を私の首へと伸ばす。
首へとたどり着いた手にグッと力が込められ、少しずつ首が締まってくる。
《ぐぅ…君も死ぬよ?》
「いいよって、いっ、た。いっしょに、いってあげる」
ふっと、首に当てられた手の力が弱まった気がした。一気に吸い込んだ酸素のおかげで霞かけていた視界がクリアに広がる。グールの寂しそうな顔の向こう側に、いつもの暖かな青い瞳がきらりと光った。
「行くのはお前1人だ。オリヴィアは連れて行かせない!!!!!」
振り上げた大剣が振り下ろされグールの胴体に食い込む。同時に私はグイッと後ろは引っ張られお姉様に受け止められる。
『インフェルノ』
「ヘルファイア」
「な!!コンラッド?!何で?!アタシの味方のはずでしょ?!グールを殺したらアタシの魔法が使えなくなるじゃない!!」
「俺は、いつも、いつでもオリヴィアの味方だ!!!すまなかったオリヴィア、こいつを炙り出すにはこうするしかなかった!!!」
《きさまぁ!!!魅了されたふりをしたな?!》
「当たり前だ、オリヴィアがいるのにあんな女に魅了されるわけがないだろう!!」
ギリギリと食い込む刃でできた傷を再生しようとしているが、お姉様とルビィの炎がグールの再生する力を奪って行く。
「やめろおおおお!!!」
アリーナがヴィクトール卿に指示をして雷を放ってきた。こちらに雷が届く寸前に氷の壁が私たちの目の前に現れる。
「お前の相手は私だ!英雄だか何だか知らないけど勝たせてもらうからな!!」
馬に跨ったままのお兄様がヴィクトール卿に向かって氷魔法を打ち込みまくっている。隣にいるアリーナも流れ弾に当たっている。ようだ、「痛い、寒い」と騒いでいる。
《くそ!せっかく!!!せっかく手に入れたのに》
『残念ね、あのこは貴方のものにはならないの。また、カエルからやり直しなさい!!!』
「オリヴィアは俺のものだ!二度と奪わせない!!」
グッと力を入れたコンラッドの一閃がグールを切り裂く。真っ二つになったグールは床にドサっと落ちる。
虚な瞳から涙が一筋溢れる。
『今度はアンタ一人で生まれ変わりよ。またどこかで出会うかもしれないわね。罪を洗い流してきなさい。』
寂しそうに俯いたルビィは青く澄んだ炎をグールに向けて放つ。
「ねえ、今度はちゃんと私のところに会いにきて?いくらでも魔力を分けてあげるから…生まれ変わったら、友達になろう」
先程は攻撃しようと強く握った手を今度は優しく両手で包み、ほんの少しの魔力をながす。
《僕を受け入れてくれるの?気持ち悪い僕を》
「貴方がしたことの罪を償って、生まれ変わったらね。気持ち悪くないよ。大丈夫」
《わかった。会いに行く。傷つけてごめんなさい》
そう一言残してグールはサラサラと崩れていった。
ふう、と一息ついたところで後ろから力強く抱きしめられる。この香り、暖かさは…
「コンラッドのバカ。」
「ごめん。もう離さないから。」
「許さない。絶対許さないから…」
「じゃあ、ずっとそばに居て謝り続けるよ」
手首にヒンヤリと冷たいものが引っかかる。ブレスレットだ。
「?これ…」
「あれに渡したものは偽物。本物を渡すわけないだろ?愛してる。昔からずっと俺は…オリヴィアしか欲しくない」
「あのー…そういうのは、どこか二人きりでやってくれる?」
ポリポリと頭を掻きながら気まずそうにお姉様が近寄ってきた。人がいることを思い出して急に恥ずかしくなってしまった。
「いやー、さすがイブ、よく俺がふりだってわかったな。身を隠してベストタイミングで現れてくれて助かった」
「…わかったわけじゃないわよ。ただ、信じていただけ。ラドはオリヴィアを裏切らないって。それに身を隠したのはルビィの指示よ。アンタがグールを切ったら燃やせって言われたの」
「はは、流石イフリート…」
状況を全く理解できない私を置いてきぼりにして、みんながわいわいと騒ぎ出した時、アリーナの叫び声が氷の壁の向こう側から響く」
慌てて向こう側へ駆けつけると、お父様とお兄様に拘束されてグッタリとしたヴィクトール卿、帝国軍に拘束され暴れているアリーナがいた。
アリーナを拘束していた団員の一人がこちらに向かって敬礼をする。
「皇弟殿下!!!対象人物を拘束しました!!」
その言葉をきいて、隣に立っていたコンラッドがスッと手をあげ、「よし、そのまま連行せよ」と指示を出す。
これには流石にビックリしてしまい、繋いでいた手を離してしまった。
カエルは魔法をかけたらすぐにいなくなってしまった。傷が浅かったのであろう。
《あの時の魔法、美味しかったぁ。僕は忘れられなくてずっと君を狙ってたんだぁ》
ふと、抱きしめられる力が弱まるのを感じた。顔を上げると綺麗な顔がすぐそばまで近づけられる。
《僕をひとりにしないで。》
薄く形の整った唇がゆっくり、そうつぶやく。
「いいよ。一緒に…行こう!私の大切な人たちをこれ以上傷つけないで。!!!ルーチェ!!」
グールの心臓の辺りに手を当て光の魔法を放つ。
《ぐっ!!なんで?!まだ魔法つかえるの?!》
「あなたがいなくなれば、コンラッドが元に戻れる。約束したの。私が助けるって…」
グールの右手を掴んで離れられないようにして魔法の出力を上げる。闇の塊のようなグールに光の魔法は正解だったようだ、苦しみながらも左手を私の首へと伸ばす。
首へとたどり着いた手にグッと力が込められ、少しずつ首が締まってくる。
《ぐぅ…君も死ぬよ?》
「いいよって、いっ、た。いっしょに、いってあげる」
ふっと、首に当てられた手の力が弱まった気がした。一気に吸い込んだ酸素のおかげで霞かけていた視界がクリアに広がる。グールの寂しそうな顔の向こう側に、いつもの暖かな青い瞳がきらりと光った。
「行くのはお前1人だ。オリヴィアは連れて行かせない!!!!!」
振り上げた大剣が振り下ろされグールの胴体に食い込む。同時に私はグイッと後ろは引っ張られお姉様に受け止められる。
『インフェルノ』
「ヘルファイア」
「な!!コンラッド?!何で?!アタシの味方のはずでしょ?!グールを殺したらアタシの魔法が使えなくなるじゃない!!」
「俺は、いつも、いつでもオリヴィアの味方だ!!!すまなかったオリヴィア、こいつを炙り出すにはこうするしかなかった!!!」
《きさまぁ!!!魅了されたふりをしたな?!》
「当たり前だ、オリヴィアがいるのにあんな女に魅了されるわけがないだろう!!」
ギリギリと食い込む刃でできた傷を再生しようとしているが、お姉様とルビィの炎がグールの再生する力を奪って行く。
「やめろおおおお!!!」
アリーナがヴィクトール卿に指示をして雷を放ってきた。こちらに雷が届く寸前に氷の壁が私たちの目の前に現れる。
「お前の相手は私だ!英雄だか何だか知らないけど勝たせてもらうからな!!」
馬に跨ったままのお兄様がヴィクトール卿に向かって氷魔法を打ち込みまくっている。隣にいるアリーナも流れ弾に当たっている。ようだ、「痛い、寒い」と騒いでいる。
《くそ!せっかく!!!せっかく手に入れたのに》
『残念ね、あのこは貴方のものにはならないの。また、カエルからやり直しなさい!!!』
「オリヴィアは俺のものだ!二度と奪わせない!!」
グッと力を入れたコンラッドの一閃がグールを切り裂く。真っ二つになったグールは床にドサっと落ちる。
虚な瞳から涙が一筋溢れる。
『今度はアンタ一人で生まれ変わりよ。またどこかで出会うかもしれないわね。罪を洗い流してきなさい。』
寂しそうに俯いたルビィは青く澄んだ炎をグールに向けて放つ。
「ねえ、今度はちゃんと私のところに会いにきて?いくらでも魔力を分けてあげるから…生まれ変わったら、友達になろう」
先程は攻撃しようと強く握った手を今度は優しく両手で包み、ほんの少しの魔力をながす。
《僕を受け入れてくれるの?気持ち悪い僕を》
「貴方がしたことの罪を償って、生まれ変わったらね。気持ち悪くないよ。大丈夫」
《わかった。会いに行く。傷つけてごめんなさい》
そう一言残してグールはサラサラと崩れていった。
ふう、と一息ついたところで後ろから力強く抱きしめられる。この香り、暖かさは…
「コンラッドのバカ。」
「ごめん。もう離さないから。」
「許さない。絶対許さないから…」
「じゃあ、ずっとそばに居て謝り続けるよ」
手首にヒンヤリと冷たいものが引っかかる。ブレスレットだ。
「?これ…」
「あれに渡したものは偽物。本物を渡すわけないだろ?愛してる。昔からずっと俺は…オリヴィアしか欲しくない」
「あのー…そういうのは、どこか二人きりでやってくれる?」
ポリポリと頭を掻きながら気まずそうにお姉様が近寄ってきた。人がいることを思い出して急に恥ずかしくなってしまった。
「いやー、さすがイブ、よく俺がふりだってわかったな。身を隠してベストタイミングで現れてくれて助かった」
「…わかったわけじゃないわよ。ただ、信じていただけ。ラドはオリヴィアを裏切らないって。それに身を隠したのはルビィの指示よ。アンタがグールを切ったら燃やせって言われたの」
「はは、流石イフリート…」
状況を全く理解できない私を置いてきぼりにして、みんながわいわいと騒ぎ出した時、アリーナの叫び声が氷の壁の向こう側から響く」
慌てて向こう側へ駆けつけると、お父様とお兄様に拘束されてグッタリとしたヴィクトール卿、帝国軍に拘束され暴れているアリーナがいた。
アリーナを拘束していた団員の一人がこちらに向かって敬礼をする。
「皇弟殿下!!!対象人物を拘束しました!!」
その言葉をきいて、隣に立っていたコンラッドがスッと手をあげ、「よし、そのまま連行せよ」と指示を出す。
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