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38・黒幕の正体と出会い
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《ああ~!やっと弱った。星の魔力~僕には輝きが強すぎて近寄れなかった、今なら僕のものにできそうだぁ》
血の通っていないような青白い肌をピンクにそめ、瞳を潤わせ、光悦とした表情で両手を胸の前でパチンとあわせながらグールはクネクネと恥じらっている。
よく見れば、グールの足ものと草たちはグシャグシャと腐っていっている。
アリーナは気にしていないのかグールの右腕にしなだれ掛かって甘い声で話しかける。
「ねぇ、あたしのおかげであの魔力をてにいれられるのよ?ちゃんと約束守ってよね?」
《もちろんだよ、雛鳥ちゃん。また僕の魅了の魔力を分けてあげるからねぇ。でもその前にあの子が欲しいんだ》
あの子、と指を刺されると身体中の血液が全て凍りついたような寒気を感じる。カタカタと体が小刻みに震えているのが自分でもわかる。
『この子は私のよ。アンタには渡さない。』
「オリヴィアが欲しいなんて100年早いぜ!」
私の視界を遮るようにルビィとシュバルツが前に出てくれる。すかさずベティが肩を支えて「そばにいます」と声をかけてくれる。
《きひひ、むだだよ、僕には敵わないでしょ?》
グールがすっと右手を胸の辺りまで持ち上げると、彼の足元の黒い影から無数の手が伸びてくる。
パチンと指をならしたのを合図に一斉に手が伸びてくる。
『イフリートだけではない。ワシもいるからの!』
同じ本数、いや、それ以上の木の根や蔦が黒い手を次々に打ち払って行く。打ち払われた手が一瞬動きを止めた瞬間に赤い炎が焼き尽くして行く。
「わたしも、私も戦うラッフルザーレ!」
強化をかけようと魔法を打ち出すが、手応えがない。その間も次々と黒い手は襲いかかってくる。
「どうして?こんなこと、今まで一度もなかった…」
《ねぇ、その魔法は、誰のために覚えたの?》
グールの声が耳元で響く。涙で霞んだ視界を凝らしてグールがいたであろう場所に目を向けると彼は先ほどよりこちらへ近い場所に歩いてきていた。
無限に湧き出る黒い手にノウンとルビィが押し負けているようだ。
《ずっとそばにいるなんて嘘。でも、僕なら君をずーっと大事にしてあげるよ。かわいそうに、ほらぁ、おいでぇ?》
“この人が幸せになれますように”そんなの嘘。私がそばに居たかった。人のために魔法を使ってた?嘘。あの人に何かあった時に助けられるように魔法を使いまくって訓練してた。
「でももう、私を見てくれない」
コンラッドに視線を送っても、帰ってくることはない。アリーナがこれ見よがしにコンラッドに抱きついてこちらをニヤニヤと笑いながらみてる。
ベティの手を振り払い、フラッと立ち上がりおぼつかない足取りでグールの元へと歩いて行く。
ノウンもルビィも慌てて魔法を止めると、一気に黒い手に絡め取られみんな身動きが取れなくなってしまう。
この世のものと思えない程美しいグールが微笑みながら手を差し出す。そっと手を添えると、その笑みがさらに増した。
《僕と一緒に、行こう》
そう言ってギュッと抱きしめられる。暖かいはずなのに、体の芯から冷える様な、そばにいるのにいないような寂しさを感じた。
「ちょっと!グール?あなたはあたしのものでしょ?!そんな女早く魔力だけ奪って、捨ててよ!」
慌てた様子でアリーナが髪に飾ってあった銀細工の髪飾りを手に取りこちらへ突き出す。
《やだなぁ、僕はイミテーションには興味ないんだぁ。ちょっと都合がいいから使わせてもらったけど、君はいらないヨォ?でもお礼に魅了の魔法は使えるようにしてあげるから、その髪飾りはあげるねぇ》
クスクスと笑いながらグールはアリーナに黒いモヤを送る。髪飾りが輝くような銀色からごげついたような、黒光する色に変わる。
「だ…だめよ!オリヴィアは1人追放されるの!グールはあたしに執着して離さないはずよ?!なぜその女なの?」
《?雛鳥ちゃんはかわいいけどぉ、オリヴィアには敵わないでしょ。ねぇ、イフリート》
『離しなさいよ!!この!!!オリヴィアは私のよ!』
《怪我をした僕たちを助けてくれた、女神様だよ》
抱きしめる力がさらに強くなる。ギシギシと骨が悲鳴を上げるほどの力だ。
「た…たすけ?」
《きひひ、覚えてないの?トカゲは2匹いたでしょぉ?1人は僕。1人はイフリートあの時に君に恋をしたんだぁ》
抱きしめたまま耳元でグールが囁く。その声を聞いた途端にあの時の映像が頭の中に流れ込んでくる。
血の通っていないような青白い肌をピンクにそめ、瞳を潤わせ、光悦とした表情で両手を胸の前でパチンとあわせながらグールはクネクネと恥じらっている。
よく見れば、グールの足ものと草たちはグシャグシャと腐っていっている。
アリーナは気にしていないのかグールの右腕にしなだれ掛かって甘い声で話しかける。
「ねぇ、あたしのおかげであの魔力をてにいれられるのよ?ちゃんと約束守ってよね?」
《もちろんだよ、雛鳥ちゃん。また僕の魅了の魔力を分けてあげるからねぇ。でもその前にあの子が欲しいんだ》
あの子、と指を刺されると身体中の血液が全て凍りついたような寒気を感じる。カタカタと体が小刻みに震えているのが自分でもわかる。
『この子は私のよ。アンタには渡さない。』
「オリヴィアが欲しいなんて100年早いぜ!」
私の視界を遮るようにルビィとシュバルツが前に出てくれる。すかさずベティが肩を支えて「そばにいます」と声をかけてくれる。
《きひひ、むだだよ、僕には敵わないでしょ?》
グールがすっと右手を胸の辺りまで持ち上げると、彼の足元の黒い影から無数の手が伸びてくる。
パチンと指をならしたのを合図に一斉に手が伸びてくる。
『イフリートだけではない。ワシもいるからの!』
同じ本数、いや、それ以上の木の根や蔦が黒い手を次々に打ち払って行く。打ち払われた手が一瞬動きを止めた瞬間に赤い炎が焼き尽くして行く。
「わたしも、私も戦うラッフルザーレ!」
強化をかけようと魔法を打ち出すが、手応えがない。その間も次々と黒い手は襲いかかってくる。
「どうして?こんなこと、今まで一度もなかった…」
《ねぇ、その魔法は、誰のために覚えたの?》
グールの声が耳元で響く。涙で霞んだ視界を凝らしてグールがいたであろう場所に目を向けると彼は先ほどよりこちらへ近い場所に歩いてきていた。
無限に湧き出る黒い手にノウンとルビィが押し負けているようだ。
《ずっとそばにいるなんて嘘。でも、僕なら君をずーっと大事にしてあげるよ。かわいそうに、ほらぁ、おいでぇ?》
“この人が幸せになれますように”そんなの嘘。私がそばに居たかった。人のために魔法を使ってた?嘘。あの人に何かあった時に助けられるように魔法を使いまくって訓練してた。
「でももう、私を見てくれない」
コンラッドに視線を送っても、帰ってくることはない。アリーナがこれ見よがしにコンラッドに抱きついてこちらをニヤニヤと笑いながらみてる。
ベティの手を振り払い、フラッと立ち上がりおぼつかない足取りでグールの元へと歩いて行く。
ノウンもルビィも慌てて魔法を止めると、一気に黒い手に絡め取られみんな身動きが取れなくなってしまう。
この世のものと思えない程美しいグールが微笑みながら手を差し出す。そっと手を添えると、その笑みがさらに増した。
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そう言ってギュッと抱きしめられる。暖かいはずなのに、体の芯から冷える様な、そばにいるのにいないような寂しさを感じた。
「ちょっと!グール?あなたはあたしのものでしょ?!そんな女早く魔力だけ奪って、捨ててよ!」
慌てた様子でアリーナが髪に飾ってあった銀細工の髪飾りを手に取りこちらへ突き出す。
《やだなぁ、僕はイミテーションには興味ないんだぁ。ちょっと都合がいいから使わせてもらったけど、君はいらないヨォ?でもお礼に魅了の魔法は使えるようにしてあげるから、その髪飾りはあげるねぇ》
クスクスと笑いながらグールはアリーナに黒いモヤを送る。髪飾りが輝くような銀色からごげついたような、黒光する色に変わる。
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抱きしめる力がさらに強くなる。ギシギシと骨が悲鳴を上げるほどの力だ。
「た…たすけ?」
《きひひ、覚えてないの?トカゲは2匹いたでしょぉ?1人は僕。1人はイフリートあの時に君に恋をしたんだぁ》
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