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32・敵襲?
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「わぁぁ。美味しい!ねぇ、ベティこのスープはなんのスープ?美味しい!!」
みんなで丸いテーブルを囲み朝食を食べる。ベティは使用人が一緒に食事をするのはと、初めはすごく抵抗したが、仲良くなりたいから、と半ば強制的に席を用意した。「庶民の家で出る様な朝食ですが…」と自信なさげに準備してくれた食事は暖かくどれもおいしかった。
特に、じゃがいもやにんじん、玉ねぎが刻んで入れられたスープはコクがあって、でも透明でとても美味しかった。
「コンラッドさんがとってきてくださったきのこで出汁をとったんですが、なんのきのこですか?」
「俺はキノコはとってきてないぞ?」
『それは、ノインからもらったきのこよぉ!朝顔を出したらくれたのよ』
ビシ!と木製のスプーンでお椀を指しながら自慢げにルビィがドヤ顔をしている。
朝早くにルビィとコンラッドは食材の調達に出掛けてくれていたようだ。と言ってもウサギの姿ではそんなに荷物を持たないと思うのだが、キッチンにはたくさんの食材が置いてあった。ルビィはイフリータである事がバレてしまったので屋敷には入れないし、どこから手に入れてきたのかと思ったら、薪割りのノインさんが融通してくれたものが多いそうだ。
後でお礼に行こうとぼんやり考えていると、コンラッドがすかさず、「俺もいくからな。いいか、絶対に一人で出歩くんじゃないぞ。」と念を押してきた。
「コンラッドには私の考えが筒抜けなのね」
と笑って耳を撫でると、パタパタと反対の耳を動かしながら恥ずかしがっていた。
「あの婚姻で愛する人と引き裂かれたのは、ヴィクトール様だけじゃ無かったんですね」
とベティが切なそうな表情で私を見つめるものだから、顔が一気に火照る。
「こ…コンラッドとはその…」
「俺からオリヴィアを奪ったアイツを俺は許さない。傑物だか何だか知らないけど、俺に喧嘩を売った事後悔させてやる」
『ほんとよぉ。私との約束守れなくなるところだったわよねぇ』
「約束?ルビィとコンラッドは何か約束してるの?」
『とーっても大切な約束よ!でも今は秘密なの。契約で。ごめんね』
「そうなの?いつか教えてもらえるかしら?コンラッドが約束を破ったことはないから、きっと大丈夫よ!」
ね!っとコンラッドの方を向くと短い両前足で顔を覆い恥ずかしがっている様だった。
「おい!あのお嬢さんがこっちに向かってきてるぜ!」
穏やかな時間は長くは続かず、シュバルツの一言で全員にピリッとした空気が走る。
どうやらアリーナがこちらは出向いているらしい。
しばらくすると扉が勝手に開けられ、夜会にでも出るのだろうかというドレスを着たアリーナが先ほどのメイドを連れて立っていた。
「狭くて汚い小屋ね。貴女にお似合いだわ。」
「奥様、早く用件を済ませて帰りましょう。こんな場所に奥様がいるなんていけません!」
「えぇ、そうね。ちょっと、オリヴィア?聞きたい事があるのよ。あんたの家族に黒髪の青い瞳の男がいない?」
「…それに応える義務はないわ」
「あっそ。まぁいいわ。調べればわかるから。この間の討伐で凄いかっこいい冒険者がいたのよ。彼、欲しいなと思って。私なら手に入れられるからどこにいるか聞きたかったのよ。今日はイフリートに会いにきたの。会いたがっていたでしょ?私に」
「…いいえ、そんな話はされていないけど。」
アリーナの後ろでくすくすとメイド達が笑いを堪えている。簡単なワンピースを着ている私を笑っているのだろう、時々指を刺して私の身なりをバカにした様な目で見てくるのがわかる。
「ぜーんぶ私に返してもらわなくちゃだから。貴女が持っていてはいけない者なのよ。かくさなくていいのよ、イフリートも私を求める様になるから、今のうちに離れておいた方がいいわよ?どうせ捨てられるんだから」
「奥様は美しくて優しいですからね。皆、虜になりますよきっと!」
「私はこの世界のヒロインだから愛されて当然なのよ。あんたは悪役令嬢なの。だから、愛されなくて当然、早くざまぁしたいけど、まだ時期じゃないのよねぇ」
「ヒロイン?ざま…あ?私が悪役ってどういう事?」
「まぁ、わからなくていいの。ありもしない回復魔法をあると言ってヴィクトールの気を引く作戦、失敗して残念だったわねぇ」
アリーナはニヤニヤしながら部屋を見まわし、最後に蔑むような視線を私に向ける。
「くすくす。ここに追いやられるのは私のはずだったのよ。まぁ、ヒロインの私はここでも平気だったけど、悪役令嬢では無理よね。イフリートが帰ってきたら私が会いたがってるって教えてあげて。喜んで会いにくるはずだから。じゃ」
アリーナのは最初から最後まで意味のわからない言葉を羅列して、自分の言いたいことだけを言って帰っていった。
いったい、何が言いたかったんだろう。帰り際に「コンラッドはどこにいるのかなぁ?」と呟いた言葉が妙に大きく聞こえた。
みんなで丸いテーブルを囲み朝食を食べる。ベティは使用人が一緒に食事をするのはと、初めはすごく抵抗したが、仲良くなりたいから、と半ば強制的に席を用意した。「庶民の家で出る様な朝食ですが…」と自信なさげに準備してくれた食事は暖かくどれもおいしかった。
特に、じゃがいもやにんじん、玉ねぎが刻んで入れられたスープはコクがあって、でも透明でとても美味しかった。
「コンラッドさんがとってきてくださったきのこで出汁をとったんですが、なんのきのこですか?」
「俺はキノコはとってきてないぞ?」
『それは、ノインからもらったきのこよぉ!朝顔を出したらくれたのよ』
ビシ!と木製のスプーンでお椀を指しながら自慢げにルビィがドヤ顔をしている。
朝早くにルビィとコンラッドは食材の調達に出掛けてくれていたようだ。と言ってもウサギの姿ではそんなに荷物を持たないと思うのだが、キッチンにはたくさんの食材が置いてあった。ルビィはイフリータである事がバレてしまったので屋敷には入れないし、どこから手に入れてきたのかと思ったら、薪割りのノインさんが融通してくれたものが多いそうだ。
後でお礼に行こうとぼんやり考えていると、コンラッドがすかさず、「俺もいくからな。いいか、絶対に一人で出歩くんじゃないぞ。」と念を押してきた。
「コンラッドには私の考えが筒抜けなのね」
と笑って耳を撫でると、パタパタと反対の耳を動かしながら恥ずかしがっていた。
「あの婚姻で愛する人と引き裂かれたのは、ヴィクトール様だけじゃ無かったんですね」
とベティが切なそうな表情で私を見つめるものだから、顔が一気に火照る。
「こ…コンラッドとはその…」
「俺からオリヴィアを奪ったアイツを俺は許さない。傑物だか何だか知らないけど、俺に喧嘩を売った事後悔させてやる」
『ほんとよぉ。私との約束守れなくなるところだったわよねぇ』
「約束?ルビィとコンラッドは何か約束してるの?」
『とーっても大切な約束よ!でも今は秘密なの。契約で。ごめんね』
「そうなの?いつか教えてもらえるかしら?コンラッドが約束を破ったことはないから、きっと大丈夫よ!」
ね!っとコンラッドの方を向くと短い両前足で顔を覆い恥ずかしがっている様だった。
「おい!あのお嬢さんがこっちに向かってきてるぜ!」
穏やかな時間は長くは続かず、シュバルツの一言で全員にピリッとした空気が走る。
どうやらアリーナがこちらは出向いているらしい。
しばらくすると扉が勝手に開けられ、夜会にでも出るのだろうかというドレスを着たアリーナが先ほどのメイドを連れて立っていた。
「狭くて汚い小屋ね。貴女にお似合いだわ。」
「奥様、早く用件を済ませて帰りましょう。こんな場所に奥様がいるなんていけません!」
「えぇ、そうね。ちょっと、オリヴィア?聞きたい事があるのよ。あんたの家族に黒髪の青い瞳の男がいない?」
「…それに応える義務はないわ」
「あっそ。まぁいいわ。調べればわかるから。この間の討伐で凄いかっこいい冒険者がいたのよ。彼、欲しいなと思って。私なら手に入れられるからどこにいるか聞きたかったのよ。今日はイフリートに会いにきたの。会いたがっていたでしょ?私に」
「…いいえ、そんな話はされていないけど。」
アリーナの後ろでくすくすとメイド達が笑いを堪えている。簡単なワンピースを着ている私を笑っているのだろう、時々指を刺して私の身なりをバカにした様な目で見てくるのがわかる。
「ぜーんぶ私に返してもらわなくちゃだから。貴女が持っていてはいけない者なのよ。かくさなくていいのよ、イフリートも私を求める様になるから、今のうちに離れておいた方がいいわよ?どうせ捨てられるんだから」
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アリーナのは最初から最後まで意味のわからない言葉を羅列して、自分の言いたいことだけを言って帰っていった。
いったい、何が言いたかったんだろう。帰り際に「コンラッドはどこにいるのかなぁ?」と呟いた言葉が妙に大きく聞こえた。
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